「お前が俺を呼ぶなんて珍しいこともあったもんだな、ベルクーリ?」少し嫌味に聞こえるかもしれんが、まぁいいだろう。
「その言い方はちょっとばかし酷いんじゃねぇのか?」 とベルクーリは顔に笑みを浮かべながら言う。
「気のせいだろ、んで?」
「せっかちな男は嫌われるぜ?」
「ああ、そうかもな...(鈍感すぎるのもどうかと思うが...)」
「...なんだよその目は、なんか変なこと言ったか?」
「いや、なんでもない」
変なところは気づくくせに、肝心なところで気づけないなんて本当に面倒な男だ...
副長殿もよく愛想が尽きないものだ、これが恋は盲目ってやつなのか...?
「そうそう、久々にお前と試合をしようと思って呼んだんだ。お前も監視ばっかりで体動かせてないだろ?」
ふむ、確かに最近ダークテリトリーに動きがなかったから、満足に体を動かせていないな...
「その話に乗るとしよう、整合騎士の剣の腕が鈍って、いざという時に目も当てられなくなったら元も子もないからな。」
「そういうこった、ほら受け取れ。」
「ありがとさん、いい加減アンタに追いつきたいもんだ。」
「ハハハ、そう簡単に追いつかれたら最強の名が泣くからな。とは言え、オマエも十分強いぜ?」
「最強に言われてもなぁ、嬉しくもなんともねぇよ。」
「それもそうか、悪りぃな。」
「謝るな、余計に惨めになる...。」
「ただオマエは近接格闘が強いから、それも含めりゃ俺より強いかもだぜ?」
「ありがとよ、その近接格闘を今味あわせてやろうか?」
「いいぜ、その方が面白いからな。それじゃいい加減始めるか、先に一本取った方の勝ちってことで、行くぞ?」
「ああ、では....参る!」
始めの合図が言い終わるや否や、ベルクーリは突っ込んできた。これが素人なら簡単なんだが、そこは最強の名にふさわしく一切の隙がない。そしてあっという間にベルクーリは俺の間合いに入ってきた。ここでおとなしく一発もらうほど俺も鈍ってはいない、ベルクーリが振り下ろした剣を弾いてベルクーリに蹴りを入れる。その反動で後ろに飛び、間髪入れずに前に飛びつつ剣を振り下ろす。その瞬間、カンッ!という木刀と木刀とがぶつかる音が響く。
「流石は最強様だ、素人だったらもう終わってただろうな!」
「オマエも良い蹴り入れやがるな!」
「そりゃどうも!もう一回いるか?安くしとくぜ?」
「生憎と、俺にそっちの気はねぇよ。」
「俺もアンタがMだなんて微塵も思っちゃいないさ、そうだったら気持ち悪すぎるしな!」
「そりゃそうだ!」
互いに軽口をぶつけ合いながら戦う、もう100合は打ち合っただろう。打ち合っている最中に、俺は木刀を弾かれ手を離してしまった。とはいえ俺の武器は剣だけじゃない、さっきも言ったが俺は近接格闘を得意としてる、ベルクーリの剣を避けつつ肘打ちをかます。
「グッ!?流石だな、あのタイミングで肘打ちが来るとは予想していなかったぜ?」
「だろうな、そう簡単に読まれてたまるかってんだよ。」
そして俺は落とした木刀を拾いつつ、改めて構え直す。そして前に飛ぼうとした瞬間「そこまでです。」という声が聞こえた。
声の正体はアリスだった。俺は何故ここに、という疑問で頭がいっぱいだったが、
「もう良い時間です、いったいどれくらいの間打ち合っていたのですか?」といわれ窓の外を見てみると、先程は空が青かったのに対し、今は少し赤みがかっていた。
「もうそんな時間か、時間経つの早すぎないか?」とベルクーリは少し不満そうに言う。
「ま、仕方ないさ。アリスがここに来たってことはもう飯か?」
「ええ、そろそろ頃合いかなと思いまして。」
「おお!嬢ちゃんの手作りか?こりゃこんな事してられねぇな!」とベルクーリは先ほどの不満そうな顔とは打って変わって満面の笑みを浮かべる。
「はぁ...、子供じゃねぇんだから落ち着けよ。とはいえ確かに楽しみであることは間違いないな。」実を言うと俺も結構楽しみだったりする。
「フフッ、では早く戻りましょうか。そうそう今日は副騎士長も呼んだんです、一緒に作りましょうって。」
「ファナティオも作ってるのか。しかし、あいつが料理をするとは意外だな、そういうのには興味がないと思っていたんだが...。」
「「はぁ...。」」思わず俺とアリスは溜息をついてしまった、これだから唐変木は...。幸いベルクーリには聞かれなかった様子で、早く行こうぜと急かしてくる。
「「あいよ(はい)。」」
そうして俺たちは副騎士長殿の待つアリスの部屋に急ぐのだった。
To be continued...
誤字・脱字報告、感想
お待ちしております!