遊戯王オリジナルストーリー   作:鈴木颯手

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デュエルモンスターズ・ハイスクール編
第一話:プロローグ


デュエルモンスターズ。それはモンスター、魔法、罠といったカードでデッキを作り決められた勝利条件の元勝敗を決めるゲームである。

 

とある人物により開発されたソリッドビジョンシステムによりカードの実体化が可能となってからは更なる躍進を遂げ今ではデュエルに強いことが社会での最重要と言っても過言ではないステータスとなっていた。

 

そんなデュエルモンスターズは様々な地域で毎週のように大会が開かれていた。そこには大なり小なり規模は違えど様々なデュエリストが参加していた。

 

そしてここ、遊戯町では月に一度の大会が開かれていた。専用のデュエルスタジアムにはたくさんの観客とそれらに見守られている二人のデュエリストの姿があった。

 

一人は筋骨隆々の大男でライフを4200と半分以上も残していた。対するデュエリストはローブを羽織り顔の下半分と腕だけを露出させたスタイルをしていた。辛うじて声から男だと言うのが分かる程度である。

 

「ふん、その怪しげな姿の割には持った方だな」

 

大男は歓声響くスタジアムの中央から余裕の表情で目の前のローブの男に声をかける。大男の場には通常モンスターの『トライホーン・ドラゴン』に『ゴギガ・ガガギゴ』。『デーモンの斧』を装備した『ラビードラゴン』が存在していた。対するローブの男の場にはモンスターは存在せず魔法、罠カードも存在しなかった。更にライフは1300とどのモンスターで攻撃されても負けてしまうライフしか残されていなかった。

 

「まあ、あんな雑魚カードを使っている時点で勝負は見えていたという訳だ。さっさとサレンダーするんだな」

 

大男の言葉にローブの男は不敵に笑みを浮かべた。

 

「サレンダー?するわけないじゃん。なぜなら今から貴様が馬鹿にしたモンスターによって倒されるんだからな。俺は手札から魔法カードトライアングルソウルを発動!このカードの効果により墓地からレベル3以下のモンスターを三体まで特殊召喚する!現れろ!俺のモンスター達!」

 

ローブの男の声に合わせて三体のモンスターが場に現れた。

 

ワイト×3

ATK300 DEF200

 

「ふん、そんな雑魚カードに一体何が出来ると言うんだ?雑魚は雑魚らしく無様に這いつくばっていろ!」

 

大男は現れた三体のワイトを見てその様に言ってくるがローブの男は構わずに続ける。

 

「更に俺はチューナーモンスター屋敷わらしを召喚!」

 

「チューナーだと!?」

 

ローブの男の場に現れたモンスターを見て大男は驚く。今までローブの男が出したカードにはその様なモンスターはおらずただの雑魚カードの寄せ集めデッキと思っていたのだ。

 

「俺はレベル1のワイト三体と屋敷わらしをチューニング!出でよ!アンティーク・ジャンク・ドラゴン!」

 

四体のモンスターが光の球となって合わさり一つの大きな球になった。そして現れたのは巨大な機械の龍であった。

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100 DEF1800

 

「攻撃力2100?そんなモンスターで一体何が出来ると言うんだ!」

 

「アンティーク・ジャンク・ドラゴンの効果発動!自分の墓地に眠る攻撃力1000以下の通常モンスター一体につき攻撃力と守備力を200アップする!俺の墓地には十枚のカードがある。よって」

 

「攻撃力、4100…!?」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100→4100

DEF1800→3800

 

「バトル!アンティーク・ジャンク・ドラゴンでトライホーン・ドラゴンを攻撃!更に速攻魔法リミッター解除を発動!これによりアンティーク・ジャンク・ドラゴンの攻撃力は二倍になる!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK4100→8200

DEF3800

 

「く、おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

大男

LP4200→-1350

 

【試合終了!28年度エイプリルカップ優勝者は近藤遊大(こんどうゆうだい)に決定だぁ!!!!】

 

MCの言葉にスタジアムは歓声に包まれた。その中心にいるローブの男、近藤遊大はフードを外し観客に向かって笑顔で手を振った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「お疲れ!遊大!」

 

大会参加者の控室から出てきた遊大を一人の少女が出迎えた。遊大より頭一つ分低い身長の少女は顔に満面の笑みを浮かべてタオルとドリンクを渡してくる。遊大はそれを受け取り声をかける。

 

「おう、いつもありがとな。瑠奈!」

 

遊大は目の前の少女、松井瑠奈(まついるな)の頭を撫でながら言う。彼女の家と遊大の家は隣同士で昔から家族ぐるみでの付き合いがあった。その為昔から瑠奈と遊大は一緒にいる事が多く。それは今でも変わっていなかった。

 

「これでジャニュアリーカップからの出場権は確保したぜ。年末の総決戦が楽しみだ」

 

遊大は今にも待ちきれないとばかりに語る。遊大がいるここ遊戯町は首都直下地震により壊滅した首都圏に新たに作られた街である。そしてデュエルモンスターズの為の町と言える程デュエルモンスターズに関連する施設が建てられていた。まさにデュエルモンスターズ界の聖地と言っても過言ではなかった。

 

そんな遊戯町では三年に一度総決戦と呼ばれる巨大な大会が開かれる。開催する年の一月から十二月までのカップ優勝者と世界各地からやって来る猛者二十四名の計三十六人で行われる。これに勝った者はチャンピオンとなり最高の栄誉が約束される。デュエリストにとっては目指すべき場所であった。

 

「遊大ならきっとチャンピオンになれるよ!僕も応援しているね!」

 

「任せろ!よし、早速総決戦に向けてデッキの調整に行くぞ!」

 

「おー!」

 

遊大の言葉に瑠奈は勢いよく返事をした。しかし、そんな二人に水を差すように声が聞こえてきた。

 

「…その前に入学試験を済ませるのが先だろうが」

 

後方から聞こえてきた声に二人はビクッとし恐る恐る後ろを振り返る。そこには遊大と同じくらいの男がいた。鋭い目つきに服の上からでも分かる鍛え抜かれた肉体。肩には竹刀袋を担いでいた。

 

「よ、よう(はじめ)。お前も来ていたのか」

 

「ああ、丁度剣道部の最後の鍛錬を終えてきたところだ」

 

遊大の恐る恐ると言った風の言葉に男、土方一(ひじかたはじめ)は淡々と答える。遊大は「そ、そうか」と答えたが瑠奈は遊大の後ろから少しずつ離れていた。

 

「松井」

 

「ひゃいっ!」

 

一に声を掛けられた瑠奈は思いっ切り噛みながら返事をする。

 

「たしかお前に遊大の勉学を見てくれと頼んでいたがそれはどうなっている?」

 

「え、え~と~」

 

一の問いかけに瑠奈はしどろもどろになりながら目を泳がせる。その様子を見て状況を察した一は深くため息を吐いた。

 

「…仕方ない。遊大、今すぐ戻って試験内容の復習をやるぞ」

 

「え″っ!?い、いや今はジャニュアリーカップを制した喜びを味わいたいのだけど…」

 

「そんな暇はないだろ。早く行くぞ。瑠奈もついてこい」

 

「はい…」

 

「え、いや、ちょ…。俺この後デッキの編成がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

遊大は一に引きずられる形で家への帰路につくのであった。

 




遊戯町十二カップ
遊戯町で毎月行われる大会の総称。それぞれ月の名前が使われており優勝者は「~カップ優勝者」と言われる。三年に一度行われる総決戦に出場できる条件の一つで日本ではこれに優勝するしか出場できない。優勝者は年が変わりジャニュアリーカップ開催まで出場は出来ない。

総決戦
デュエルモンスターズのチャンピオンを決める大会。三年に一度行われている。日本では遊戯町十二カップでの優勝が出場条件となっている。その他に世界各地から二十四人を合わせた三十六人で行われる。
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