遊戯王オリジナルストーリー   作:鈴木颯手

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第十一話:忍び寄る悪意! 遊大VSアフリマ前編

「はぁ、酷い目にあった」

 

「あはは、お疲れ。遊大」

 

デュエルモンスターズ・ハイスクールの二日が終了し家に帰宅した遊大は自分の部屋の如く部屋にいた瑠奈に慰めてもらっていた。因みに瑠奈がこうやって遊大の部屋にいる事は遊大の両親が許可を出しており瑠奈の私物がいくつか置いてあった。

 

「それで結局その後はどうしたの?2ターンで終わったから早かったでしょ?」

 

「うぐっ!?そ、その後はもう一回デュエルを行ったよ。…2ターンで決着が付いたけど」

 

瑠奈の何気ない一言に遊大は答え深く傷ついた。

 

「え、また2ターンで!?」

 

「ああ、六武の門を二枚と六武院、それに紫炎の道場を追加されて気付いたら場にモンスターが五体揃っていた」

 

「…最初より酷いじゃない」

 

瑠奈はその様子を想像したのか顔を青くして小刻みに震え始めた。二人はいつも一の六武衆デッキにいいようにやられていた。それは六武衆自体が強い事もあるが何より一の強運も加わりトラウマを相手に植え付けさせるレベルになっていた。実際中学時代ではこのせいで何人かがデュエルモンスターズを辞めていた。

 

「あれとまともに戦える奴なんていないよな~」

 

「私も土方先輩になんて勝てないよ」

 

例えどんなに場を整えても1ターンで全てを無に帰してくる一はまるで悪魔のようであった。

 

「…結局三戦目で漸く他のデュエルの決着が付き始めてな。俺は解放されたんだ。周りはすごい同情してくれたよ」

 

「それは…なんというか、ご愁傷様」

 

「本当だよ。はは…」

 

遊大は何とも言えないような瑠奈の言葉に乾いた笑い声をあげるのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

<???side>

 

「…」

 

この空間に閉じ込められて以来幾年の月日が過ぎた事か。しかし、それももうすぐ終わる。遂にあのカードが担い手(・・・)の元へ渡った。奴を降しカードを奪えば我が主の元へ帰還できる。

 

我が主を称える声がここからでも聞こえてくる。ああ、私もその場に出て我が主の名を呼び称えたい。我が主■■■■■■様。心の中でしか貴方様を称えることが出来ないこの身をお許しください。

 

必ずやここを抜け出し我が主の元へ馳せ参じなければ。

 

…ほう、丁度いい。この者を使い彼奴を倒してくれよう。

 

ふ、フハハハハハッ!!!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「おっす、遊大。昨日は大変だったな」

 

「全くだよ」

 

翌日、遊大は教室に入るなり十郎からの弄りを受けた。ニヤニヤ顔のまま遊大に話しかけるが当の本人は触れてほしくない内容のため挨拶もそこそこに軽く返事をするのみだった。

 

「いや~、土方だっけ?あいつがあそこまで強いなんてな~三回やったんだろ?それで全敗」

 

「付け加えると全て後攻ワンターンキルだがな。それがどうかしたか?」

 

十郎の言葉に若干眉間にしわを寄せ「これ以上話題に出すな」とばかりの目力を加えて遊大は返事をする。流石の十郎もたじろき「ま、まあ。あれなら誰だって勝てないよ」とフォローする。

 

「でも六武衆なんてあまりお目にかかれない代物だろ?よく持っているよな」

 

「何でもあいつの親が友人からもらったカードらしいよ。俺も詳しくは知らないからよくわからないけど」

 

六武衆シリーズはその力故にあまり出回っておらずましてや六武衆をあそこまで持っている人は数少なかった。その為六武衆をそろえ圧倒的な力で勝利をもぎ取る一に遊大はちょっとした憧れを持っていた。

 

「…と、言っても俺のデッキだって負けてはいないさ。このデッキだって俺が魂を込めて作り上げたデッキだ。どんな逆境でも乗り越えてやるさ」

 

【…ならば乗り越えて見るがいい】

 

遊大がデッキを手に持ちそう言った瞬間何処からともなく声が聞こえて来たかと思うと教室に黒い霧が発生しだした。

 

「う、うわぁぁぁぁっ!」

 

「な、なにこれ!?火事!?」

 

「に、逃げろぉぉぉ!!!!」

 

教室は一瞬で阿鼻叫喚の騒ぎとなりクラスメイトは我先にと飛び出していく。遊大と十郎も逃げようとしたのだが二人を包み込むように霧が濃くなり下手に動くことが出来なくなっていた。

 

「お、おい。これって一体何がどうなっているんだ?何かのイベントか?」

 

「俺もそうであってほしいよ。だけど…」

 

十郎の言葉に遊大は答えるがその表情は硬くなにがあってもいいように身構えている。

 

そして少し経ってから足音が聞こえてくる。その足音は遊大達の前方からゆっくりと近づいてきている様であった。そして霧の向こう側から現れたのは黒いローブを羽織った者であった。ローブで顔が隠れているため素顔までは分からないが体格などから男というのが分かる。

 

「…誰だ?お前は」

 

【…我が名はアフリマ。偉大なる魔王に仕えしものなり】

 

「アフリマ?魔王?一体何の事だ」

 

【ふっ、今の貴様等には説明したところで分かるまい。だが、こちらも様があるのでな】

 

そいうと男、アフリマは右手で遊大を指さす。

 

【近藤遊大!大いなる龍を使いし担い手よ。私とデュエルをしろ!】

 

「デュエル?へっ、そん位こんなことしなくたっていつだって受けてやるよ。ふん、今日は運が良かったな。丁度デュエルディスクを持ってきていたんだ」

 

遊大は自分の中古のデュエルディスクを装着する。瑠奈が持っている新型に比べれば性能は劣っているがデュエルを行うには十分であった。

 

「行けー遊大!必ず勝てよー!」

 

「勿論だ十郎!必ず勝ってやるさ」

 

【ほう、貴様が負ければ貴様とそこの者の魂は我が復活の贄となってもらうと知ってもか?】

 

「贄ぇ?何下らないことを言っているんだ?やるならさっさとしろよ!」

 

【…いいだろう。貴様等に絶望を教えてやる】

 

そう言うとアフリマの左腕に霧がまとわりつき黒いデュエルディスクが現れた。アフリマはそれを装着しデュエルディスクを起動させる。

 

「【デュエル!!】」

 

【先行は私が貰おう。ドロー!】

 

アフリマ

手札5枚→6枚

 

【私はヘルウェイ・パトロールを召喚。カードを二枚伏せてターンエンド】

 

ヘルウェイ・パトロール

ATK1600 DEF1200

 

「俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「俺は魔法カード予想GUYを発動!自分の場にモンスターが存在しない場合デッキからレベル4以下の通常モンスターを一体特殊召喚出来る!俺は守護竜ユスティアを特殊召喚!」

 

守護竜ユスティア

ATK0 DEF2100

 

「俺は手札からレスキューラビットを召喚!」

 

レスキューラビット

ATK300 DEF100

 

「レスキューラビットの効果発動!フィールドのこのカードをゲームから除外してデッキからレベル4以下の同名の通常モンスター二体を特殊召喚する!現れろ!レアメタル・ソルジャー!」

 

レアメタル・ソルジャー

ATK900 DEF450

 

「(相手がどんな奴か知らないけどやばい奴だと言うのは分かる。ここは直ぐに決着をつけるべきか)俺はレベル3のレアメタル・ソルジャー二体にレベル2守護竜ユスティアをチューニング!出でよ!デストロイ・ジャンク・ドラゴン!」

 

三体のモンスターが組み合わさり一体の龍が現れた。デストロイ・ジャンク・ドラゴンはフィールドに降り立つと巨大な咆哮を上げた。

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果発動!墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地には三体いる。よって攻撃力600アップ!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→3200

DEF2000

 

「更にシンクロ召喚時相手の場の魔法、罠カード一枚を破壊する!俺は右のカードを破壊する!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンは咆哮を上げるとその勢いで突風が起こりアフリマの伏せカードを天高く舞い上げ、破壊した。

 

「バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでヘルウェイ・パトロールを攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンより巨大なブレスが吐き出されヘルウェイ・パトロールを呆気なく飲み込んでいった。

 

アフリマ

LP8000→6400

 

「どうだ!」

 

【…ふっ、中々やるではないか。ならばリバースカードオープン!ダメージ・コンデンサー発動!これは私が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。手札を一枚捨てデッキから受けたダメージ以下の数値を持つモンスター一体を特殊召喚する!私はもう一体のヘルウェイ・パトロールを召喚】

 

ヘルウェイ・パトロール

ATK1600 DEF1200

 

【そして手札から永続魔法闇の鼓動が捨てられたことで効果発動!デッキから闇属性ドラゴン族モンスター一体を手札に加える。私は魔王ディアボロスを手札に加える】

 

「俺はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

アフリマ

LP6400 手札3枚

モンスター

ヘルウェイ・パトロール

魔法、罠

なし

 

近藤遊大

LP8000 手札2枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

セット

セット

 


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