【ぐっ!お、おのれぇぇっ!!】
アフリマは星態龍の攻撃を受けライフが0になった代償として体が崩れ始めていた。被っていたフードは外れ成人にいっているかいないか程の男性の姿をさらしていた。
「無様だな。それが我らに敵対した代償ですよ」
【ふ、我が主に負け体を保てずカードとなりこの世界に這う這うの体で逃げてきた貴様が言うか…。いずれ我が主は世界を統べる王となられる。故に!私はまだ終わるわけにはいかないのだよ!】
アフリマがそう叫ぶとフードの中から虎の様な四足歩行の動物が現れた。全体的に黒い毛を纏ったその生物は遊大を警戒しているのか低く唸っていた。
「悪王アフリマ。王の名を持ちながらあいつに忠誠を誓った愚か者。貴様は使えるべき主を間違えたな」
【黙れ!我が主の愚弄は許さん!】
アフリマは先ほどとは違い腹から出しているような低い声を上げ遊大に飛び掛かった。しかし、遊大はそれをひらりと避けると右手で指鉄砲を作るとその先をアフリマへと向けた。
すると指先に光が集まりある程度集まるとそれをアフリマへと撃った。アフリマはそれを軽々と避けるが高速で撃ちだされた光の球は寸分の狂いなくアフリマの頭を貫通した。
【ぐっ、おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!】
「聖なる力の前に滅びるがいい」
遊大がそう言うとアフリマの体が光輝き少しづつ消えていく。アフリマは先ほどの一撃で力尽きたのか倒れこんだまま消失していった。
そしてそれを見届けた遊大も力を使い果たしかのようにその場に倒れこむのであった。後に遊大達を囲んでいた霧は消え元の教室に戻ってきていた。十郎は倒れた遊大に必死に声をかける中様子を見に来たのか、先生が駆け付け遊大は病院へと搬送される事となった。
☆★☆★☆
遊大が病院へと運ばれていく中、人間世界とは違う別の世界。そこに建つ巨大な城の中で一匹の龍が眠っていた。しかし、何かを感じ取ったのか目を覚まし天井を見上げた。そして何かに怒りをぶつけるように衝撃波ともとれる咆哮を上げた。
周りに飾ってあった備品は破壊され部屋を薄暗く照らしていた照明は破裂しその破片が雨の様に地面に落ちていく。
「いかがなされました!?魔王様!」
そこへ咆哮を聞きつけ龍の部下と思われる悪魔が姿を現した。魔王と呼ばれた龍はその声を聞き顔をそちらに向けた。その表情は怒りで満ちており向けられた悪魔は恐怖を抱いていた。
【我が臣であるアフリマがぁ、奴らに、あの負け犬共にぃぃぃぃぃぃっ!!!】
「っ!落ち着いてください!このままでは城が持ちません!」
悪魔は咆哮で吹き飛びそうになる体を守りながら必死に呼びかける。二度の咆哮に部屋は悲鳴を上げるようにきしんでおり見えていないところでは日々が入っている可能性もあった。
【あいつがいる場所は特定したぁ!ガーゼットォ!直ぐに兵を連れ負け犬の息の根を確実に止めて来いぃ!】
「わ、分かりました!それで、場所は何処ですか?」
ガーゼットと呼ばれた悪魔はこれ以上この場所に居たくないとばかりに居場所を聞く。それと同時に魔王が負け犬と呼ぶ存在を知っており、まだ生きていたのかという軽い驚きも感じていた。
【場所はこの世界ではない!前々から調べていた人間の世界だ!】
「あそこですか…。分かりました。直ぐに準備をします」
ガーゼットはそれだけ言うと部屋を出て行く。一人になった魔王は怒りを落ち着かせ再び眠るために体を横たえた。しかし、幾度も目を瞑ろうと眠気は全く感じずむしろ苛立ちが募っていくばかりであった。
魔王は仕方なく体を起こすとそのまま部屋から繋がっているバルコニーに出る。夕暮れと言う事もありバルコニーから見える景色は奇麗の一言に尽きた。城下町では様々な種族のモンスター達で賑わいを見せており魔王の所への小さな騒ぎが聞こえていた。つい数十年前まで時が止まったかのような様相を見せていた世界とは思えないほどであった。
そして一人のモンスターが魔王に気付き手を振った。それにより他のモンスター達も一様に魔王へと手を振った。魔王も右腕を上げてそれに返し再び夕焼けを見ながら今は亡き忠臣を思うのであった。
☆★☆★☆
とある次元の暗闇で三つの光が集まっていた。
『…ついに我らが長が目覚められた』
三つの光の内青色の輝きを放つ光が響くような声で言った。
『今は一人の少年の体に宿り力を蓄えている。復活の時は近い』
『我らがこの姿になり既に幾年の月日が流れたか。遂にあの反逆者を滅ぼすことが出来る』
青色の光に続くように赤色の光が感無量とばかりの声で言った。最後の緑色の光は喋らないが二人の言葉に賛成している様であった。
『そのためには我らも力を蓄えねば』
『しかし、それには我らを使いこなす事が出来る担い手が必要だぞ』
『少年の元に全てが集まればよかろう』
緑色の光がようやく口にするが二つの光がその提案を否定する。
『それではだめだ我らが長に加えてトリシューラもおるのだ。人間如きに我らの力全てを扱えるとは思えん』
『ならばその少年に近しい人間に持たせるようにすれば問題ない』
『それが良かろう。丁度いい事に奴の周りはそれなりの実力者が集まっている。その中から最も近しく我らを扱うことが出来る人間に渡るようにすればいい』
『それが良かろう』
『ああ、待ち遠しい。精霊世界は今はどうなっているのか…』
『決まっておろう?あの反逆者共によって荒廃しているわ』
『世界は我らが長と我らによって管理されてこそ平和が保てるというもの』
『人間たちも我らの力の糧になれるのだ。本望だろう』
光はその後も話を続けていたがやがて話を終えたのか一つ、また一つと消えていくのであった。