「バレンタイン特別短編書こうとしたらこのありさまだよ!」
指揮官
「指揮官と」
G3
「G3がお送りする」
「「ドルフロ銃解説~」」
指揮官
「今日はバレンタインデー特別編という事でその名に因んだものを解説しよう。その名もズバリ!」
G3
「まさかヴァレンタイン歩兵戦車の解説、て言うんじゃないですよね?」
指揮官
「その通りでーす解説入りまーす。ヴァレンタイン歩兵戦車は1940年から1944年までイギリスやカナダで生産され、英連邦各国を始めレンドリースされたソ連で運用された歩兵戦車だ。歩兵戦車とはイギリスの戦車の区分のひとつで、歩兵を支援し陣地を突破するための厚い装甲を備えた比較的速度の遅い戦車のことだ。これと対をなすのが巡航戦車で、薄い装甲で比較的速度の速い戦車だ」
G3
「1938年の初めにイギリスのヴィッカース社が生産していたMk.Ⅱ巡航戦車の改良型である歩兵戦車として戦争省に設計プランを提出したのが始まりです。この設計プランを提出したのが2月14日だったため、ヴァレンタイン歩兵戦車と名付けられたと言われます」
指揮官
「だが設計プラン提出は2月10日だとする資料もあり、ヴィッカースの技師ジョン・ヴァレンタイン卿からともヴィッカース社の社名からとする説もある。さて、ヴィッカース社はこの歩兵戦車はMk.Ⅱ巡航戦車の部品や生産設備を流用できる利点が大きいとしていたが、陸軍は陣地を突破する以上は装甲厚65mm以上が必要としていた。エンジンやサスペンションの性能から重量を16トンに抑えるため、砲塔を2人乗りの小型のものとなってしまった。車長、つまり戦車を指揮する人が弾込めする装填手を兼ねてしまい効率が下がることを陸軍は難色を示していた。しかし、最終的に妥協して1939年6月には設計段階だったにもかかわらず275輌も発注している」
G3
「砲塔とは戦車砲や機関銃を搭載し360度旋回できる部分です。1939年10月に設計が完了し、1940年4月に生産が開始され1940年5月に試験を受けました。性能は良好で射撃時の安定性と機械的信頼性が高く、Mk.Ⅲ歩兵戦車として制式採用されました。1940年末に実戦配備され、1941年に激戦の北アフリカ戦線へ送られました」
指揮官
「北アフリカ戦線では高い信頼性から高評価を得た。中には4,000kmを無故障で走り切ったのもいるほどだ。今でも戦車は走れば必ずどこかが壊れると言われるから、これはすごい事だぞ。ヴァレンタイン歩兵戦車は2名用砲塔から3名用砲塔に変更されたが、搭載する戦車砲の大型化で再び2名に戻されてる」
G3
「搭載砲を2ポンド(口径40mm)から6ポンド(口径57mm)、75mmへと大型化させましたが、より高性能な戦車の登場で徐々に置き換えられていき、1944年4月に生産が終了しました。ヴァレンタイン歩兵戦車はMk.ⅠからⅪまで計11もの型式が開発され、合計で8,275輌、うちカナダで1,420輌が生産されました。一時期はイギリスで生産される戦車の25%がヴァレンタインだったそうです。カナダで生産された1,390輌とイギリスで生産された2,394輌がソ連にレンドリースとして送られ、軽さと信頼性の高さから「連合国から供与された戦車の中で最も優秀である」と、より高性能な戦車が登場してもヴァレンタインを要求するほど大変好評でした」
指揮官
「設計の流用という誕生ながらイギリスの苦しい時期を支えた名戦車として、戦争後半に後継の高性能な戦車にその役割を譲った……で終われば良い話だったが、残念ながらそうはいかないのがイギリス兵器である。いや、ヴァレンタイン自体は良い戦車だが、こいつの派生型が曲者揃いだった」
G3
「まず始めに、砲塔を取り去り車体に25ポンド(口径87.6㎜)野砲を載せたビショップ自走砲が開発されました。遠距離で撃ち合う大砲は今まで馬やトラックで牽引してましたが、これで牽引状態から準備して発砲、撤収までに時間がかかって撃ち返される危険がありました。また戦車の速さについて行けない問題もありました。そのため戦車の車体により大きな大砲を載せた自走砲が開発されました」
指揮官
「これだけ聞けば大砲の威力と射程に戦車の速さと頑丈さを兼ね備えた名兵器に聞こえるが、25ポンド野砲を砲架ごと載せてしまい、更に周りを装甲板で覆って密閉してしまった。砲架とは大砲を載せる部品で、自走砲用ではなくそのまま載せてしまったため上下左右の角度が従来より制限されてしまった。更に密閉されたため大砲の操作がしにくくなった。搭載できる弾薬も32発と大量に撃つ必要がある自走砲としては全く足りず、角度が制限されたおかげで射程が半分になり、速度も時速19kmと非常に遅かった。極めつけは開発された同じ時期にアメリカから高性能な自走砲が供給されてしまい、当初の予定から生産数を半分に減らされてしまった」
G3
「それでもアメリカ製自走砲が配備されるまではイギリス軍唯一の自走砲として活躍しました。必要なのはそこに無い高性能な兵器より、微妙でも今そこにある兵器です」
指揮官
「では次にアーチャー対戦車自走砲だ。ヴァレンタインの砲塔とエンジン区画以外の車内を取り去って17ポンド(口径76.2mm)対戦車砲を"後ろ向き"に搭載した対戦車砲自走砲だ。もう一度言う、"後ろ向き"にだ。17ポンド対戦車砲はあの伝説のドイツ戦車ティーガーを破壊できる強力なものだが、かなり重く待ち伏せするにも一苦労する代物だった。そこで旧式化しつつあったヴァレンタインを改修して対戦車自走砲にする案が登場した」
G3
「ですが、完成を急ぐため車体に大掛かりな改修をせず、砲塔取り去り従来の乗員区画を利用して17ポンド砲を後ろ向きに搭載する変則的な方法が採られました。これがアーチャー対戦車自走砲です。待ち伏せが基本なので撃ってすぐ後退できるこの配置は一見、合理的にみえました。ですが射撃の反動で砲が操縦士の頭のところまで下がるため、射撃時は操縦士は外に出ないといけませんでした」
指揮官
「アーチャー対戦車自走砲は1944年3月から量産され終戦までに665輌が完成した。これもまたアメリカ製のM10対戦車自走砲やそれに17ポンド砲を搭載したアキリーズ対戦車自走砲、某戦車アニメに登場したシャーマン・ファイアフライの登場があったものの、信頼性の高さから50年代まで使われた」
G3
「次はヴァレンタインの派生型だけでなく、「今まで作られた戦車の中で最悪な戦車の1つ」、「その恐るべき教訓を学生に教えるために保管する」、「あまりに欠点が多過ぎて朝から間違い探ししないと日が暮れて終わらない」などと酷評された戦車です」
指揮官
「それがヴァリアント歩兵戦車だ。ヴァリアントとは勇敢な、価値があるという意味だが、結果は真逆となってしまった。イギリス軍はヴァレンタイン歩兵戦車の部品を流用し、さらなる重装甲と重武装を施しつつ重量を極力減らした戦車を要求した。かなり無茶な要求に出来る限り応えたヴィッカース社だったが、重量は10トンも増加してしまった。もちろんエンジンやサスペンションをより強力なものに変更したが、最高速度は1944年以降に登場させる戦車としてはあまりに遅い時速19kmとなった。また操縦レバーが非常に重く、ブレーキを踏めば操縦士が負傷し、ギアの操作も危なっかしいという完全に操縦士を殺しにかかってるものだった」
G3
「これらの欠点から試作車以外は作られることは無く、より高性能な試作戦車(後のセンチュリオン戦車)もあって計画は破棄されました。1両だけ作られた試作車がイギリスのボンヴィートン戦車博物館で余生を過ごしてます」
指揮官
「とまぁこんな所で番外編であるヴァレンタイン歩兵戦車の解説は以上だ。これからも特別編という事で何か銃以外のものを解説するかもしれないが、その時はよろしく頼むぞ」
G3
「いかがだったでしょうか? それでは皆様」
「「「次回もお楽しみに」」」
G3
「その……今日は聖バレンタインの日ですので、これを指揮官さんに」
指揮官
「信仰深いG3がイベントに乗っかるなんて思ってもいなかったよ、ありがとう。お返しみたいになっちゃうけど、これを」
G3
「ふふっ、ありがとうございます。指揮官さん」
作者
「バレンタインだし特別に短編上げるかと多少書いてたら今日中に終わりそうになかったんで戦車になりました。最後のやり取りはその名残です。皆さんチョコ貰いました?自分は母からしか貰ってません」
参考文献
戦車研究室 第2次世界大戦編 2019年2月14日閲覧
http://combat1.sakura.ne.jp/TAISEN.htm
Wikipedia バレンタイン歩兵戦車 2019年2月14日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/バレンタイン歩兵戦車
戦車名鑑 1939~45
発行所:株式会社光栄