指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説   作:スツーカ

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『焔薙』様の『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』とのコラボ回となります! あちらの指揮官とのやり取りは第199話をご覧ください。

ユノちゃんとスチェッキンの口調合ってるかすごい不安。そしてコラボ回なのに解説してなんか申し訳ない

※スチェッキンの移動屋台から戦車の部品や燃料買ってますが、戦場で放棄された戦車を修理して置いてある感じです。動かす燃料無いので訓練のマトになってます


番外編 ~コラボ回・ポンコツ指揮官と特別講義~

 ある平日の昼下がり。いつもの警備や護衛以外は特に任務も無く、書類仕事もひと段落ついた頃。あることを思い立ち、業務用携帯電話を取り出してある所へ電話をかけた。

 

『はいはいこちらスチェッキンの移動屋台だよ』

 

「〇〇地区指揮官のアレクサンドラだ。ちょっと頼みたい品があって連絡したが、今は大丈夫か?」

 

『いつでも大歓迎さ。それで頼みたいものってなんだい?」

 

「あぁ、1946年生産型のT-34/85の部品と燃料だ。頼めるか?」

 

『うへぇ、こりゃまた難しいもの注文するね。でも任せてよ』

 

「できる限りで構わないからな。後でリストを送るからそれを参照してくれ」

 

『了解だよ。それとこっちの指揮官を連れてきていいかい? 少し確かめたいことがあるんだ』

 

「構わんよ。それじゃ準備しておく」

 

 電話を切ってリストをメールで送る。そして数日後、指揮官を拉致連れて移動屋台のトラックがやって来た。スチェッキンとあちらの指揮官と少しやり取りをしてから受け取りとなった。一言だけ言えることは、値段が想定より2桁少なかったことだ。

 どうやら安くする代わりに向こうの指揮官"ユノ"の結婚式に来て欲しいと言うのだ。二つ返事で快諾したが、ユノは聞いてなかったようだ。なかなか面白い基地じゃないか。3人の笑い越えとユノの絶叫が木霊した後、せっかくだからと私の基地を案内した。案内中に先の大規模作戦(低体温症)の話になり、そこでユノがどのような指揮を執っているか聞いた。特別な目を利用した指揮は悪くないが、しっかり戦術と指揮の教育を施せばもっと良くなると確信し、特別講義を決定した。

 

 

 

アレクサンドラ(※ユノと区別するため変えていますが、指揮官です)

「よし、では特別講義だ。今回は戦いの原則について講義しよう」

 

ユノ

「よ、よろしくお願いします」

 

G3

「そんなに緊張しなくてもいいですよ。リラックスして聞いてください」

 

アレクサンドラ

「後でまとめたものを送るから安心してくれ。戦いの原則は9つある。①目標の原則、②統一の原則、③主導の原則、④集中の原則、⑤奇襲の原則、⑥機動の原則、⑦経済の原則、⑧簡明の原則、⑨警戒の原則、この9つだ」

 

ユノ

「うわぁ、いっぱいある……」

 

アレクサンドラ

「そうだな。だが、9つと聞くと多いように見えるが、一つ一つは非常に簡明で合理的だ。では目標の原則から。これは作戦において達成すべき目的を明確に方向付けることだ。目的が曖昧では部隊は何を目指していいかわからなくなる」

 

G3

「次に統一の原則です。これは1つの作戦にて最高責任者は1人だけ、指揮権限を1人に統一させよ。という原則です。普段の任務では問題ありませんが、他の基地と共同で作戦を行うときは注意したいですね」

 

スチェッキン

「なんかビジネスでも役に立ちそうな話だねぇ」

 

アレクサンドラ

「実際、一部のビジネス書でも取り上げられてるからな。では主導の原則だ。これは戦いの主導権を自分の手に収め、相手に取られないようにすることだ。スポーツで言えばサッカーやラグビーのボールを奪い、常に自分のチームが転がすように努めることだ」

 

G3

「次に集中の原則です。相手が優勢でも弱点は必ずあります。この弱点に対して自分の戦力が相手に勝るように集中させ攻撃する原則です。この原則には後で話す奇襲や機動の原則が必要不可欠です」

 

ユノ

「ええっと、主導の原則がこうで集中の原則がこうで……あれ? 違う?」

 

アレクサンドラ

「慌てて書かなくても大丈夫だぞ。そう、そこはこう言う風に……よし、上出来だ。では次、奇襲の原則だ。古来より敵に対して優位に立つには奇襲を仕掛けることが重要だ。相手の意表を突いて自分に有利な状況を作り出す。これが奇襲の原則だ」

 

G3

「続いて機動の原則です。数で劣っていても速度と策略で敵を窮地に陥れることが出来ます。これは主導、集中、奇襲の原則に通じることですね。完璧な計画を来週実行するより、次点の計画を今すぐ断行する方が遥かに良い。という事ですね」

 

スチェッキン

「そう、だから結婚式の計画をすぐ立てて実行したのさ」

 

ユノ

「いや結婚式ぐらいはじっくり考えようよ!」

 

アレクサンドラ

「私もそう思う。さて、次は経済の原則だ。人員も資源も限られている中で戦力を遊ばせておく余裕は無い。戦闘中に何もしていない部隊は敵に制圧されているのと同じだ。だが水で満たしたコップに一滴加えると溢れ出すように、予備戦力を決定的な場面に投入することで勝利を得ることが出来る。適切な戦力の運用と予備の準備によって無駄を減らしつつ目標を達成することが出来る、という原則だ」

 

G3

「次に簡明の原則です。これは目的や指示を出来る限り簡潔にまとめる、という原則です。特に時間が差し迫った場合に、いかに短時間で目的を共有するかは非常に重要です。複雑で理解しにくい命令や、1つの作戦で目的がいくつもあるようでは、組織の行動に害を及ぼします」

 

アレクサンドラ

「そして最後に警戒の原則だ。奇襲を受ければどんな強大な部隊でも、呆気なく崩壊してしまう。だから常に情報収集をして警戒することが大切だ」

 

ユノ

「うぅ、覚えることが多いよ……」

 

G3

「焦らず、ゆっくり覚えていけばいいんです。まだまだ時間はありますから」

 

アレクサンドラ

「それに今回の内容をまとめたプリントを後で代金と一緒に納付しておくから、そのノートと一緒に復習するといい。また何かわからないことがあれば、遠慮なく聞いてくれ」

 

ユノ

「あの、今日はあ、ありがとうございました!」

 

 

 

 特別講義が終わり、驚きの安さの代金と今回、そして今までの解説の資料をお土産として渡してお別れとなった。

 姿が見えなくなるまで見送ってから急いで式の準備に取り掛かった。基地を空けている間の業務や警備の割り当てとローテーションを考え、各小隊長を呼び工程を詰めていく。粗方終わったら式に着ていく礼装の準備をしていく。そう言えば空軍時代の礼服があったなと思い立ち、私室のクローゼットを漁るとビニールカバーのかけられた青色の軍の礼服を掘り出した。義肢の部分もすんなりと入ったので問題なく着れることを確認してアイロンがけし、装飾を付けていく。もう軍属じゃないから着てもいいのかとか言ってはいけない。

 G3は結構悩んでいたが、ベージュの落ち着いたアフタヌーンドレスにした。後はその日になったら会場に向かうだけだ。

 そして式当日、半ば自家用車となりつつあるフェネック偵察車のキーを回してエンジンをかける。

 

「さて、出発だ」

 

 ……会場に着いてハイエンドモデルがいたことに心底驚いたのは内緒である。

 




スチェッキン
「講演会とか解説DVDやれば売れると思うんだ」

アレクサンドラ
「人を商売道具にするのやめなさい」

アレクサンドラこと指揮官の礼服はロシア空軍の制服をイメージしてください。

参考文献
戦術と指揮 著者:松村劭 発行所:PHP文庫

【仕事に役立つ軍事学】時代が変わっても通用する「戦いの9原則」 2019年3月8日閲覧
http://harukaze.tokyo/2018/01/24/sigotogunji9gensoku/

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