自分の基地から車を走らせること数時間、途中で向こうの護衛部隊と合流しつつ案内状に書かれた式場の基地にたどり着いた。既に他の招待客もいるらしく、入り口は賑わっていた。車を止めて服装を正し受付へと向かう。
「初めましてアレクサンドラ・プーシキナだ、本日は招待いただき誠に感謝する」
「副官のG3です、本日はおめでとうございます」
入り口で個々の副官のナガンM1895と挨拶した。自己紹介で長くなるのもあれだと受付へと案内される。だがそこで驚愕の口径を目の当たりにしてしまった。男装のG36がいるのはまだいいが、鉄血人形のダイナゲートとハイエンドモデルのアーキテクトが居るじゃないか!
「いらっしゃいませ、受付はこちらとなります」
「はーい、招待状を確認しますので出して下さーい」
「いや待てぇぇぇ!!??」
「ふおおお!?なんだよ驚かすなよ、私意外と小心者なんだぞ!」
思わず叫んだよ! なんで鉄血人形が居るんだよ! よく考えなくとも一大事だぞ!
「これ、どういうことだ?」
「見ての通りじゃ、話は聞いたことあるじゃろうて離反する鉄血が居るとな」
ナガンに話を聞けば、
「なるほどな」
頭の中で結論を出し受付を済ませる。ドヤ顔のアーキテクトが言うにはダイナゲートと遊べるようになるとか。いくら制御下とは言え流石にすぐ遊ぶ奴なんて
「おすわり! お手! ちんちん!バーン!」
「後輩ちゃん順応力高すぎない?!」
「か、かわいい......」
「先輩も一緒に遊びましょうよ!」
「..................あそぶ」
……いたわ。いや適応力高すぎるだろ。それか警戒心足りなさすぎじゃないか? 大丈夫かG&K、もう少し採用や訓練を厳しくした方がいいんじゃないか。そう思っていると、その隣で一人の男性を見つけた。あの人は……間違いない、私が解説をやるきっかけとなった人だ。嬉しさと緊張で変な笑顔になってないか心配になる。よし、多分戻った。挨拶に行こう。
「はじめましてというべきかな? 」
ぎこちなく手を差し出し握手を求める。
「は、はじめまして」
「いやぁ、こんなところで貴殿と会えるとはな。なにせ私はあなたのラジオのファンでな、時たま動画サイトで真似事のようなことを」
「もしかして......動画サイトで解説してる人ですか?」
「お恥ずかしながら」
「あ、ああああああ!」
ガンスミスが思い出しように叫ぶ。どうやら認知されてるようでよかった。内心お叱りを受けるんじゃないかと心配してたが、そんなことは無く一安心した。
「すみません、すっかり忘れていました。申し訳ない」
「いえ、それよりラジオのようなもう少しフランクな口調で構いませんよ。むしろそちらの方が慣れてるので」
「じゃあお言葉に甘えて......この基地の指揮官とはどんな知り合いで?」
「数日前にな。個人的に扱う資材を発注するついでに縁ができたんだ」
「指揮官は戦前の戦車を持ってるんですよ」
「ただ部品や燃料が無くて訓練の的になってたんだ。これでやっと戦力として運用できるようになった」
「へぇ、そいつは興味あるな」
「そっちはどんな縁で?」
「他所との繋がりが欲しくてなとうちの元指揮官が俺を派遣してからだ。ここの基地って色々と訳ありでな、武器整備が行き届いていないのもあって俺に白羽の矢が立ったわけだ。最も、個人的な繋がりに終わってたんだがな」
なるほど、銃の修理で知り合ったのか。今度うちの銃を見てもらおうか。そうして話しているうちに、やはりと言うか今回の主人公、ユノの話になった。
「あの嬢ちゃんが結婚か、こうして招待された今でも中々現実味湧かないのは不思議なもんだな」
「いつだったか、私と会った時もガチガチで逆に心配になるほどだったからな」
「そうですね、でも一生懸命な感じでいい娘だとは思いましたけどね」
確かに一生懸命で可愛らしい。見ていてこっちも癒される。ただあまりに一生懸命に取り組んで自分の状態を把握できないのはダメだな。この前教えてて倒れそうなぐらい勉強にのめり込んでいたから、少しは自身の管理を覚えて欲しいものだ。長話が過ぎたようで式場に入るよう案内され、今日かいに改装された大きな倉庫に通された。
着席してしばらくすると牧師役なのかシスター姿のG3とウエディングドレス姿のPPKが入場した。こっちのG3とあっちのG3は若干雰囲気が違う気がする。やはり同じ人形でも環境が違えば中身も変わるのだろうか。そしてしばらくすると扉が開かれウエディングドレス姿のユノが入場した。全員が拍手でもって祝福する。両者が婚姻の契約を誓い、指輪をはめて誓いのキスを交わす。そして式が終わり会場を移して披露宴となった。全員で食べきれるか不安なぐらい巨大なウエディングケーキが登場し、UMP姉妹がヴァイオリンを演奏し416姉妹それに合わせてダンスを披露。そしてP38が歌とダンスを披露しVectorが歌って最後にIDWが馴れ初め話を大いに語って新郎新婦を真っ赤にして自由時間となった。
頭文字にFが付くこれまた性格が大きく違う404小隊と元鉄血のハイエンドモデルが酒を飲んで大騒ぎし、ユノとあちらのG3と話してやはりこっちのG3と違うと確信し、他の招待された指揮官と交流を兼ねた雑談に花を咲かせた。そして早いもので閉演まで残り10分となってしまった。ここでユノの副官のナガンがマイクを取る。
「盛り上がっている所すまぬ!そろそろ閉宴の時間が近づいているのでな、最後に指揮官から言葉を貰おう」
マイクをユノに渡す。緊張してるのがよく伝わってくる。
「えっと、今日はこんなに沢山の人達に集まってもらってとても嬉しかったです!今までこうやって祝われるとか無くて、今回初めて『おめでとう』っていう言葉を掛けられて、その、えっと、あれ?」
ユノの目から涙が溢れ出てくる。よほど嬉しかったんだろう。
「ご、ごめんなさい、ひっぐ、だからその、えぐ、今日はありが……ありがとうございます!!」
「あたくしからも深い感謝を、皆様のお蔭でユノに、新しい幸せな思い出を残せましたわってこれは開宴のときに副官が言ってましたわね」
「呵々、では非常に名残惜しいがお主らも基地を長々と開けるわけにも行かぬじゃろう、これにて披露宴をお開きとする。改めて本日は急な招待でありながらこれだけ集まってくれて感謝じゃ、ありがとう」
「あ、でも引き出物はちゃんとあるからこっちのカタログから選んでね~、それとダイナゲートの人は言ってくれれば一基地25体まで送れるからこっちも宜しくね~」
せっかく良い雰囲気だったのに最後のスチェッキンの言葉で会場が騒然となった。折角なのでダイナゲートを1体貰うことにし、新たな夫婦に挨拶して会場を後にした。
「幸せそうでしたね」
「2人が、あの基地がいつまでも幸せであることを願うよ。そのためにも、私たちが頑張らねばな」
「そうですね、他の基地と連携して戦力を増強していきましょう」
こうして私たちの結婚式の話は幕を閉じた。
「ところで向こうのG3はなぜか底知れぬ恐怖を感じた気がするんだが」
「奇遇ですね、私もです」
「一体なんだろうな……」
コラボ回と言ってもこっち側視点で語ってるだけなので、他の方の話とそう変わらないです。はい
関係各位様には申し訳ありませんが、この場をお借りして今回の大規模コラボ回に参加させていただき感謝いたします。今後ともよろしくお願いいたします!