指揮官
「指揮官と」
G3
「G3がお送りする」
「「ドルフロ銃解説~」」
指揮官
「前回は火縄銃から火打石、そして雷管を使った管打ち式へと進化していったことを解説した。今回は現代の銃に欠かせないライフリングと薬莢、そして連発できる銃の先駆けとなったリボルバーについて解説しよう」
G3
「そこで今回は特別ゲストにお越しいただいています。西部を制した銃、コルト
SAA
「きゃっほー! コルトSAAだよ!」
指揮官
「製造でMk23の代わりに8連続で出てキレた原因のSAAをゲストに迎えて解説するぞ」
SAA
「言い方酷いっ!? それあたしのせいじゃないよ!」
指揮官
「だまらっしゃい! 未だにMk23来ねぇんだキレて当然だろ! ……解説に入る。19世紀に至るまで、銃身にライフリングはなかった。正確に言えばライフリングはあったが、ごく少数だった。当時の銃は銃口から発射薬と弾丸を込める
SAA
「あたしは銃身の後ろから弾込めする
G3
「なぜ前装式だとライフリングが無いんですか?」
指揮官
「弾丸に回転を与えるにはライフリングが必要だが、弾丸をライフリングに食い込ませる必要があった。だが前装式では弾丸を銃口から奥まで押し込まなければならないから、ライフリングに食い込むほど大きい弾丸は弾込めするのに非常に苦労するんだ」
SAA
「それでこの問題を解決したのがミニエー銃だよ。あたしが生まれる30年ぐらい前に出たよ」
指揮官
「フランスのミニエーという人が1849年に発明したからミニエー銃と呼ばれている」
G3
「このミニエー銃はどのようにして問題を解決したんですか?」
指揮官
「まずは下の図を見てくれ。ミニエー弾の口径はライフリングに引っかからないよう一回り小さくなっている。そして弾丸の底が窪んでいて、そこにコルクが入ってるんだ。発射するとコルクが爆発で押されて弾丸の裾を押し広げて弾丸をライフリングに密着させるんだ」
SAA
「入れた後に大きくなれば問題ないってね。このミニエー銃のおかげで命中精度と射程はいきなり3倍にまでなったんだよ」
G3
「3倍ですか! それはかなり大きいですね」
指揮官
「このミニエー銃のおかげで、今まで隊列を組んで一斉射撃し命中精度を補っていた戦い方は大きく変化せざるを得なくなったが、この話はまた今度にしよう。次は連発を可能にしたリボルバーについて解説しよう」
SAA
「ついにあたしの出番だね! Revolver(リボルバー)はレンコンみたいに薬室がたくさんある
G3
「リボルバーってコルトが発明したんですか、初めて知りました。あっ、シリンダーブロックは以下の画像をご覧ください」
指揮官
「コルト テキサスパターソンだな。"実用的なリボルバー式拳銃としては世界初"という注釈が付くがな。薬莢がまだ発明されてないから1発ずつ発射薬と弾丸を込め雷管をセットする手間があるが、ともかく人類は6連射できる銃を手に入れたんだ」
SAA
「金属薬莢を使ったリボルバーはS&W(スミス&ウェッソン)に世界初を譲っちゃったんだ」
指揮官
「と言う訳で次は薬莢の発明についてだ。ちなみにS&Wのは"金属式薬莢の弾薬を装填するために設計された貫通式の薬室を備えたリボルバーとしては世界初"っていう長ったらしい注釈が付くぞ。世界初も大変だな」
G3
「それでは薬莢についてです。薬莢のようなアイデア自体は15世紀からありました。フランキ砲というもので、薬室部分を砲身から取り外して交換できるようにした砲でしたが、発射時に隙間から高温高圧のガスが漏れて危険でした」
指揮官
「ガス漏れが防げず、発射薬を増やして強化できなかったから廃れてしまったんだ。それから数百年が経った1836年、フランスのカシミール・ルフォーシュによって最初の実用的な金属式薬莢が開発された。金属式薬莢は発射薬が爆発すると内側から圧力が薬莢を薬室へ押し付けて、ガスが漏れないように密閉する。こうやってガス漏れを防いでいるんだ」
SAA
「ちなみにー、20年後の1857年にS&Wが世界初の金属薬莢を使ったNo.1リボルバーを発売したんだ。でもコルト社は金属薬莢に出遅れちゃって、特許切れになるまで薬莢が使えなかったんだ。No.1が出てから20年も経ってからあたしが発売されたのは、こんな理由なんだよ」
G3
「特許ですか……いつどの国でも大変ですね」
指揮官
「そして薬莢の登場で後装式が容易になり、レバーアクションとボルトアクションが登場するのだが、これは次回の話だ。といったところで今回は終わりにしよう。ではまとめだ」
・ミニエー銃の登場でライフリングが普及した
・ミニエー銃は弾丸の底にコルクがあり、発射薬の爆発でコルクが押されて弾丸を押し広げライフリングに密着させる
・1836年にリボルバーの原型となったコルト テキサスパターソンが登場した
・1836年に実用的な金属式薬莢が発明され、1857年にS&Wが世界初の金属式薬莢を使うリボルバーを発売した
G3
「いかがだったでしょうか? それでは皆様」
「「「次回もお楽しみに」」」
G3
「ところでSAAさんは私たちの基地に居ませんけど、どこから来たんですか?」
指揮官
「ん? あぁ、他の基地から後方支援で来ていて、たまたま居たから声かけたんだ」
G3
「……後で菓子折り持たせてきますね」
作者
「日版開始から5ヶ月経った先日に1週間経つとMk23貰えるの知って発狂したのは俺だけでいい。なんで自動で貰えないんだ……」
参考文献
銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密
著者:かのよしのり 発行所:ソフトバンク クリエイティブ株式会社
図解マニアックス・1 拳銃百科増補版
著者:安田誠 発行所:株式会社 幻冬舎コミックス
図解マニアックス・2 小銃百科増補版
著者:安田誠 発行所:株式会社 幻冬舎コミックス
回転式拳銃/SW M1 - MEDIAGUN DATABASE 2019年1月13日閲覧
http://mgdb.himitsukichi.com/pukiwiki/index.php?%B2%F3%C5%BE%BC%B0%B7%FD%BD%C6/SW%20M1
薬莢 - Wikipedia 2019年1月13日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/薬莢
コルト・シングル・アクション・アーミー - Wikipedia 2019年1月13日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/コルト・シングル・アクション・アーミー