指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説   作:スツーカ

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だんだん長くなってきて読み辛くなてきてます。なんとか読みやすい物を目指しますので、しばらくお付き合いしてください


銃の歴史その4 〜ボルトアクションとレバーアクション〜

 

指揮官

「指揮官と」

 

G3

「G3がお送りする」

 

「「ドルフロ銃解説~」」

 

指揮官

「前回はライフリング、リボルバー、そして薬莢の完成で現代の銃に必要な要素がそろってきたところまで解説した。今回は現在でも使われるボルトアクションと、映画でお馴染みレバーアクションについてやっていこう」

 

G3

「今回も特別ゲストにお越しいただいています。ウィンチェスターM1887ショットガンさんです。どうぞ」

 

M1887

「ウィンチェスター散弾銃、お目にかかれて嬉しいわ指揮官さん」

 

指揮官

「それでは解説を始めよう。時は1836年、前回登場した実用的な金属式薬莢と同時に、銃の歴史を変えたものがドイツで産声を上げた。それが」

 

G3

「Zündnadelgewehr(ツェンドナーデルゲヴェーア)です。Kar98kさんや漢陽88式さんのご先祖様であり、全てのボルトアクション式ライフルの元祖ですね。Zünd(ツェンド)は突く、Nadel(ナーデル)は針、Gewehr(ゲヴェーア)はライフル用の弾を使う銃(※意訳です)という意味です。ヨハン・ニコラウス・フォン・ドライゼが1836年に開発し、第二次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争、普墺戦争、普仏戦争で使用されプロイセンがドイツを統一する原動力となりました。構造は、紙製薬莢の中に黒色火薬と雷管が入っており弾丸で蓋してあります。これを後から込めてハンドルの付いたボルトで薬室まで押し込みます。ボルトには細長い撃針が入っていて、引き金を引くと撃針が紙製薬莢を突き破り、中の雷管に衝撃を加えて発射薬を起爆させるんです。日本では開発者の名前を取ってドライゼ銃と呼ばれることが多いですね」

 

M1887

「……指揮官、G3は物静かな戦術人形と聞いていたけど、随分と雄弁じゃない」

 

指揮官

「ここまで喋るG3は私も初めて見たぞ。やはりドイツ人気質なのか自分の祖国となると話したくなるものかもしれん」

 

G3

「あっ……ごめんなさい指揮官さん」

 

指揮官

「いや、謝らなくていい。私もサb……楽できるからな」

 

M1887

「言い直しても変わらないじゃない」

 

指揮官

「コホン、さっ、続きといこう。G3が説明してくれた通り、ドイツのドライゼという人が世界初の実用的なボルトアクション式ライフルの原型を発明した。構造はG3の説明の通りだが、そこから幾多の改良を経て以下の図のような形として完成された」

 

 

【挿絵表示】

 

 

指揮官

槓杆(こうかん)はボルトを動かすためのハンドルのことで、英語でBolt Handle(ボルトハンドル)と言う。ロッキングラグはボルトを固定するための突起で、ロッキングリセスはロッキングラグを収める空間のことだ。ボルトを押し込むと弾が薬室に入り、ハンドルを回すとロッキングラグがロッキングリセスと噛み合ってボルトは固定される。引き金を引くとボルトの中の撃針がバネに押されて雷管を叩き、起爆するようになっているんだ」

 

M1887

「そしてドライゼ銃に対抗してフランスはシャスポー銃、グラース銃を経て1886年に銃の革命児、ルベルM1886を開発するわ。この銃は世界で初めて無煙火薬を使う銃として開発されたの」

 

指揮官

「無煙火薬は第2回の"弾と銃の構造"でちょろっと出たな。ルベルM1886が登場するまでは硝石、硫黄、木炭を混ぜて作られる黒色火薬を使用していたが、これは撃つと大量の煙が発生する迷惑極まりない火薬だったんだ。隊列を組んで一斉射撃しようものなら戦場は発射した煙で霧のように覆われ、数百メートル先の敵すら見えなくなったほどだ。この時期の兵士が派手な色の軍服を着ているのは、黒色火薬の煙で見えずらいからなんだ」

 

G3

「そこでフランスのポール・ヴィエイユという人物が、1886年にB火薬というニトロセルロースにエタノールとエーテルを加えたものを発明しました。これが黒色火薬より遥かに煙が少なく、そして強力な世界初の無煙火薬となりました」

 

指揮官

「無煙火薬は発射した後、銃に煤が出にくく整備が容易になり、発生するガスの量と反動も大幅に増えた、このことは次世代の銃開発に大きく影響するが、それは次回にしよう。次はボルトアクション式と同時期に登場したレバーアクション式について解説しよう」

 

 

 

M1887

「ということで、私ことウィンチェスター散弾銃がレバーアクションについて解説するわ。レバーアクションは最初、S&Wがヴォルカニック銃を発売したのが始まりだわ。これを改良したヘンリー銃が普及して、かの有名な天才技師ブローニングの手によって完成されて私の生まれたウィンチェスター社が大量に販売したのよ」

 

指揮官

「構造については以下の画像を見てくれ。ロッキングボルトはボルトを固定する部品だ。撃鉄は撃針を叩いて雷管を起爆させる部品で、英語ではハンマーと言う。アンダーレバーを奥に(画像では右に)動かすとレバーの先端で抑えられていた弾が出てきてキャリアの上に載る。レバーを最後まで動かすとキャリアが弾を薬室手前までもっていき、レバーを戻していくとボルトが弾を薬室に押し込み装填される。レバーが完全に元の位置に戻るまではリンクの先端が次の弾が出てこないようになっている」

 

 

【挿絵表示】

 

 

M1887

「この構造を採用したライフル、ウィンチェスターM1873はコルトSAAと共に"西部を征服した銃"と呼ばれるわ。レバーアクションは連射に向いていて、ボルトアクションより早く撃てるの」

 

指揮官

「だがレバーアクションには欠点があった。構造的に強力な弾が撃てず、伏せて撃つ兵士にとって扱いにくい方式だったんだ。人気が出たアメリカの民間市場を除くとボルトアクションが最も普及した結果となってしまった」

 

M1887

「だが西部劇やアクション映画でたびたび登場して未だに根強い人気を誇るわ。これを見ているそこのあなたも、これを機に私を使ってみてはいかがかしら?」

 

指揮官

「といった感じで今回は終わりにしよう。次回は最初の世界大戦の象徴の一つとも言うべきあの銃だ」

 

G3

「それではまとめです」

 

・1836年に世界初の実用的なボルトアクション式ライフル、ツェンドナーデルゲヴェーアが登場した

・1886年に世界初の無煙火薬を使用するルベルM1886が登場した

・レバーアクションはヴォルカニック銃に始まりヘンリー銃で普及し完成形がウィンチェスターによって大量販売された

・ボルトアクションは構造が頑丈で強力な弾が使える

・レバーアクションは早く連射できるが構造が複雑で強力な弾が使えず伏せて撃つのに向かない

 

指揮官

「いかがだったかな? それではみんな」

 

「「次回もお楽しみに」」

 

M1887

「地獄で会いましょう、ベイビー」

 

 

 

G3

「ところでM1887さんはまだ配備されてないはずでは?」

 

指揮官

「今度の大規模な作戦の時に配備されるらしくて、その前の実地テストでうちに来てたんだ」

 

G3

「そうだったんですね。ではまた会えますね」

 

指揮官

「また解説に登場はしないと思うけどね」

 




参考文献
銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密
著者:かのよしのり 発行所:ソフトバンク クリエイティブ株式会社

図解マニアックス・2 小銃百科増補版
著者:安田誠 発行所:株式会社 幻冬舎コミックス

ウィンチェスターライフル - Wikipedia 2019年1月13日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィンチェスターライフル

小銃 - Wikipedia 2019年1月13日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/小銃

ボルトアクション方式 - Wikipedia 2019年1月13日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/ボルトアクション方式

B火薬 - Wikipedia 2019年1月13日閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/B火薬

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