遊戯王~召喚士?いいえ決闘者です。~   作:ねおけらとどぅす

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休稿から復活しました。1年近くお待たせして申し訳ありません。のめり込んでた鉱物収集も一段落着いたので、これからコツコツ投稿してきます。( ̄▽ ̄;)


第10話‐紅く(みなぎ)る瞳

《地の国 アタゴン山嶺 山頂》(みなぎ)

 

「私はラテス=ニロチクルス、地の決闘者(デュエリスト)よ…」

『我々、ヤタガラスと共に来てもらおうか。』

 

 雲に包まれた灰色の世界、立ちはだかるその者から放たれた『ヤタガラス』という言葉に緊張が限界まで張り詰めた。

 

「ラテス=ニロチクルス…!」

 

「アミア…知り合いか?」

 

「黙ってて!」

 

 『ラテス』と名乗ったその男はそっとローブを脱ぎ、渇いた血の様な深紅の長髪を風に晒した。

 

「ラテス=ニロチクルス…忘れもしない、炎の国の暴動を引き起こした元凶め!」

 

「ほぅ…君は炎の国の民か。悪いが責めは後で聞こう今は大事な…」

 

「ふざけるな!」

「貴様のせいでどれ程の民が命を落としたと思っている…!」

 

「落ち着けアミア!」

 

「えーと…何をやらかした指名手配犯さんだか知らないけど、今は聖都まで急いでるんだ。そっちの用事ってのは後にしてくんない?」

 

「面白い男だ…同意を得ようなど思わんさ、何故ならこれは脅迫なのでね…」

 

 ラテスの背後、雲で埋め尽くされた灰色の奥で何かが紅く光った。その瞬間…

 

(ドオォォン)

 

 巨大な黒炎が雲の壁を撃ち抜き二人に迫る。

 

「だと思った…。」

 

 着弾間際、地のソウルの光柱が昇り黒炎を遮った。

 

(ガシャ…ガシャ…)

 

 光柱の中から群青の巨人が姿を現し、雲の向こうに潜む“何か”へ向けて大剣を構える。

 

「頼んだぞ『バスター・ブレイダー』。」

 

「ウムゥ!」

 

 山頂を吹く風が雲を巻き取り後方へと抜け、景色は次第に光を取り戻し、灰色に隠された世界をじわじわと露にする。

 

岩だらけの地表、

鮮やかな布の山頂碑、

ラテスの切れ長な紅い眼、

そして…

 

「ギュオオオオオ!!」

 

 真紅の瞳をした漆黒の巨竜の姿を…。

 

「『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』…やっぱりな。」

 

『万物を還す紅蓮の炎よ、我が魂と連なり猛威を示せ』

『猛よ…召喚獣、ヴォル・グリフィス!』

「ほぅ…巨人族と鳥獣族の上位種か、それで私の竜に果たして敵うだろうかな?」

 

「甘く見てくれるなぁ、こいつは“竜殺し”なんだぜ?」

 

「そっちこそ尻尾を巻いて逃げ…いえ、絶対逃がさない!黒焦げにしてでも法廷に引き摺り出してやる!」

 

「大した自信だ…まぁそうでないと“こいつ”も楽しくないだろうからな。」

 

「やれ…『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』よ!」

 

「ギュオオオオオオオオ!!!」

 

 山全体を震わすような咆哮、そして風圧が二人を襲う。それは最早、攻撃力2400などと単純に言い表せるものではなかった。黒竜はラテスを乗せ飛翔し、再び黒炎をその口に逆巻かせる…。

 

「させない!グリフィスおねがい!!」

 

「クエェェエエン!」

 

 すかさずアミアの鷲獣が上空で黒竜に飛びかった。体格差は倍以上、だが、黒炎弾を狙いから逸らすには充分だった。

 

(ドゴォォン)

 

 逸れた弾は山の岩肌に当たり、一瞬にして岩石や高山植物を黒い炎で塗り潰した。

 

「なんて炎だ…あんなの撃たれたら、アミア!」

 

「わかってる、グリフィス!!」

 

「クエェェエエン!」

 

 アミアの掛け声で鷲獣は炎の翼を限界まで広げ、黒竜を牽制する。体格差はあるものの、速度と旋回では鷲獣が優っていた。山頂上空で激しいドッグファイトを繰り広げる。

 

「小癪な…」

 

 黒竜は翼を翻し一瞬にして鷲獣の背後に回る…

 

「落ちろ。」

 

 至近距離から黒炎弾が放たれる。回避が間に合わない…

 

(キィィィン)

 

 着弾直前、鷲獣の背後に魔方陣が展開され黒炎弾を打ち消した。

 

「結界だと…!?あの青い魔術師か!」

 

 そう、『竜魔導の守護者』が鷲獣の背中から姿を現し、まさに騎士の如く鷲獣に跨がった。

 

「攻めも守りもというわけか…」

 

「ならば召喚士を!やれ真紅眼(レッドアイズ)!!」

 

「ギュオオオオオ!!」

 

 巨大な黒炎弾が地上の二人目掛け放たれた。単純な熱量とは違う…魂ごと消し炭にするかのような熱波が迫る…

 

「バスター・ブレイダー!!」

 

「ハアッッッ!!!」

 

 紺碧の巨人が跳躍する。蒼空に向け眩い銀色の大剣を振り下ろし、巨大な黒炎弾は縦一文字に両断され青空と白雲の彼方に消え去った。

 

「何だと真紅眼(レッドアイズ)の炎が!?」

 

「ふぅ…焦ったぁ…」

 

「そう、私たちは負けないわ、貴方達“暴虐な謀反者”には!」

 

「暴…虐…、謀反…者…?」

「フッ…フハハハ!」

 

「?」

 

「実に尤もな言われようだ。だがな…」

 

「それでも私には…我等には大義があるのだよ!たとえ謀反者と蔑まれようが!!」

 

 狂笑は一転し怒号となり、ラテスの赤い瞳は怒りを宿し険しく、そして鋭く二人を睨み付けた。

 

「焼き払え真紅眼(レッドアイズ)ッ!!」

 

「ギュオオオオオオ!!!」

 

 咆哮に黒炎が混じり、黒竜の瞳は更に紅く、マグマのように熱く(みなぎ)る。その眼に映る全てを焼き尽くさんが為に。

 




二人、そして二頭が瞳を重ね敵を捉える…
敵を倒す為、先へ進む為、明日を掴む為。

次回、『重なり合う瞳』
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