『バスブレさん、未だ『地を這うドラゴン』しか斬ってない!』
もっと活躍させてあげなきゃ…(使命感)
《地の国 アタゴン山嶺 山頂》
「ギュオオオオオオ!!!」
「くっ……!」
「うぅ……!」
全身を通して伝わってくる『
「これも…
元の世界では、紙のカードでは感じることが無かったモンスターの力。テキストやステータスでは説明が効かないほどの強大な力が、今まさに目の前に君臨していた。
「分かるか?これこそが私と貴様らの差だ!」
「世界を改変すべく燃え
「ユースケっ…これ!?」
アミアの声に周りを見渡す。黒竜の咆哮に震わされた石や草花が次々と…
「発火…してるのか…?」
あちらこちらで黒炎が上がり、じわじわと二人を取り囲むように拡がりだした。
「こいつ…周囲のソウルを無理矢理闇のソウルに変えていってる…このままじゃ!」
「くっ…急ぐぞアミア!」
「ええ!」
「ギュオオオオオオ!!!」
黒竜は尚も荒々しさを増し、甲殻の隙間からも黒い炎を滾らせる。その背に座す男の怒りを顕現するかのように…。
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《地の国 タイホー平原 名も無い丘》
「お~、やってるやってる~。」
地の国首都と国境都市を結ぶ環状街道が敷かれたタイホー平原、その小高い丘に大きな望遠鏡を構えた怪しげな二人の姿があった。
「あんな暴れたら騎士団が飛んで来るだろうに…阿呆だな~。」
「ちょっとっバス?さっきからソレで何見てんの?」
「ん~?阿呆な部下の働きっぷりを見てるのw」
「なんだぁ…ただのお守りかよ…もぅ。」
「しかも何?こんな水気の無いとこまで呼び出して、あたしの可愛い召喚獣が干からびたらどうしてくれんのぉ?」
「あ~あ~ゴメンゴメン。」
「ここらで合流しといた方が何かと都合良くてね~、今回も当てにさせてもらうよギル…。」
「………フン!」
不適な笑みで接する男に対し女はそっぽを向きローブの奥で大きな青い宝石のピアスがきらりと揺れる。
「さてと~そろそろやりますか~!」
「?」
望遠鏡を環状街道の彼方、国境まで繋がる獣車の渋滞の先頭に向ける。そこには…
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《地の国 タイホー平原 環状街道》
(ガヤガヤ…ガヤガヤ…)
「おい!どうなってるんだ!?」
「何だってこんなのが道の真ん中に?」
環状街道の渋滞の先頭、そこには見慣れない大きな塊が道を塞いでいた。
「機械…なのか?だいぶ錆びてるな。」
「こんな物が一体何処から…?」
「それより憲兵隊はまだか?通行の邪魔だ!」
平原ではあるものの、街道の端は手付かずの荒れ地、茂みの中には大小様々な岩が見え隠れしていて、無理矢理通ろうとしようものなら獣車や積み荷が壊れてしまう。
そして道が塞がれた今、その錆びた塊の前で列が溜まり、人々は通れぬ不満の罵声を上げていた。
「父ちゃん、さっきからちっとも進まねぇや。」
「事故だろうか…?」
「長引きそうだ、クルスも荷台で休んでていいぞ。」
「うーん、そうする。」
ゴードン一家もまた、首都への岐路の途中、この混雑に巻き込まれ先頭から目と鼻の先の位置で立ち往生していた。
「ンフフフ…」
望遠鏡を覗きながら男は片手を高らかに挙げ…
音魔法が施された指鳴らしが平原全体に鳴り響き、風にそよぐ草花や人々の鼓膜を不気味に震わせた。
一人、また一人と唐突に聞こえだしたその音に辺りを見渡し、中には不気味に反響し続けるソレに耳を塞ぐ者も居た。そして、共鳴するかのように…
錆びた鉄塊たちが静寂を破り動き出すのであった。
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《地の国 アタゴン山嶺 山頂》
「放てグリフィス!!」
「クェエエエエン!!」
鷲獣の翼から炎の羽根が黒竜に向け放射状に撃ち出される。
「その程度の弾幕など!」
黒竜は放射状に拡がる炎の羽根を大きく旋回して
(「キィイイイン」)
「くっ!」
『竜魔導の守護者』の結界で直撃を免れるが、威力の増した黒竜の攻撃は受け止めきれず、最早受け流すのがやっととなっていた。
結界ごと黒炎弾に跳ねられ鷲獣が体勢を崩した隙に、黒竜は地上の二人に向け攻撃を仕掛ける。
(「ドゴォオオオン!」)
「うわぁ!?」
「キャッ!?」
『バスター・ブレイダー』がその身を盾に黒炎弾から二人を守る。一撃、また一撃と攻撃を受ける度、群青の鎧は黒炎に焼かれ焦げと亀裂が増していく。
(「これ以上長引いたら…どうにかしてヤツを…」)
「ユースケ、小さくてもいい…強い結界をヤツの**に張れる!?」
「………やってみる!」
「グリフィス、お願い!」
「クェエエエン!!」
鷲獣が再び炎の羽根で黒竜に攻撃を仕掛ける。
「フンッ何度やっても無駄だ!」
黒竜は無数の炎の羽根を難なく躱し、すかさず鷲獣に向け黒炎弾を放つ。
「今よユースケ!!」
「竜魔導!!」
「ハァアアア!!」
合図と同時に黒炎弾を包み込むように立方体の結界が形成され、そして…
(「ダッ…」)
鷲獣はその結界を踏み台に黒竜の目の前まで跳躍する。
「くらえええぇ!!」
「クェエエエン!!」
鷲獣の口に炎が逆巻き、火の粉の渦を纏った強力な火球が放たれた。
「くっ!?」
黒竜は攻撃を放った体勢から無理矢理急上昇し火球を避わそうとする。しかし…
「逃がさない…!」
アミアにより術式の細工がなされた火球は、すり減りながらも急加速で黒竜を追尾する。
「ぬううぅっ!!」
ラテスの両眼は向かって来る火球を追い続け、左翼の飛膜に直撃する一瞬まで凝視した…。
(「ドゴォオオオン!!」)
「やったあっ!!」
「よっしゃあ!!」
爆音と爆煙が火球の命中を二人に報せる。そして…
「フフフ…フハハハハハッ!」
かん高い嘲笑が黒竜の健在を報せるのだった。
「残念だったな!その程度では真紅眼は墜ちぬよ!」
『
「くっ!?このぉ!!」
今度は遠距離から乱れ撃つように火球を放つ。初弾同様黒竜を追尾し次々着弾するが…
「無駄だ無駄だ!!」
放たれた火球は黒竜の飛行速度に追い付くのがやっとで、着弾までに減衰し決定打に至れない。
「どうすれば…」
周囲からは黒い火柱が上がり、上からも黒炎弾が降り注ぐ。最早呼吸すらままならない…。
その
「渡り鳥…ピースの群れ………」
平和の象徴たるその鳥たちは山頂の激戦に取り乱すことなく綺麗なV字の編隊ではるか上空を飛んでいた。
「V字…抵抗……!?」
「アミアこれだ!!」
「何っ?」
「炎の小鳥だ!それをグリフィスの火球に…」
「………うん!」
「フレア・バード!」
アミアは小さく頷き、二羽の炎鳥を召喚した。
「グリフィス!もう一度お願い!!」
「クェエエエン!!」
鷲獣の炎の羽根が花吹雪のように展開され、黒竜に逃げ場すら与えぬ弾幕で襲いかかる。
「フンッ…ならお遊びも終わりとしよう…。」
「
「ギュオオオオ!!」
黒竜は牙を剥き、爪を立て、飛来する炎の羽根を跳ね退け真っ直線に鷲獣へ突っ込んで来る。
「これでトドメだ!!」
鷲獣との間合いを一気に詰める。その牙で、その爪で残虐に絶命させる為に…。
「そう来ると思ってたわ…。」
(「スッ…」)
(「ズシャッ」)
「ギュオオオオ!!」
「な、何だ!?」
黒竜の牙が届く寸前、一枚の炎の羽根が黒竜の左眼を深々と貫いた。
「くっ!?小癪な…!!」
不意の一撃と片側の視界を失ったことで、黒竜はよろめき飛行の体勢を崩した。
「これで…墜ちろッ!!」
「クェエエエン!!」
二羽の炎鳥に従えられた火球が急加速で黒竜に迫る。炎鳥の羽ばたきが火球の空気抵抗を減らし、また火球の螺旋が炎鳥と一体化し、炎の槍となる…。
「いっけぇえええ!!」
(「ズドォオオオン!!」)
灼熱の炎槍は左翼の飛膜を貫き大穴を開けた。
「な、何だとッ!!?」
黒竜は悶えながらも飛び続けようと羽ばたくが、浮力を失い降下していく。
「今よ!ユースケっ!!」
「OK…行くぞバスター・ブレイダー!!」
「ハァアアアッ!!」
大空に向かって反り立つ山頂碑を駆け上がり黒竜目掛け跳躍する。しかし、まだ届かない…。
「ユースケ!乗って!!」
鷲獣が結界を背に張り自ら足場となった。『バスター・ブレイダー』は更に跳躍し黒竜の上に出る。
地上の二人の瞳に、足場となって落下する鷲獣の瞳に、そして、群青の巨人の瞳に“敵”を捉え、鋭く輝く大剣を振り
『バスター・ブレイダー』の一閃は『真紅眼の黒竜』を斬り裂いた………
「な、何だ!?」
大剣が振り下ろされる直前、黒竜は黒光りする闇のソウルとなって霧散し、上空で新たな姿を創り出す。
そして…
(「バサッバサッ…」)
「ギュオオオオォォォォォォォォォォォ…」
大翼を広げた黒竜となり、ラテスを乗せ大空の彼方へ飛び去っていった。
「『
「私たち…勝ったの…?」
「勝った…んだろうな…あはははは…」
(「ドサッ…」)
「ちょっ!?ユースケ、大丈夫!?」
疲弊した身体で渇いた笑い声をあげながらユースケは仰向けに倒れた。寄り添うアミアは直ぐ様、その笑い声に“震え”が混じっているのに気付いた。
「あはは…死ぬかと思った…あははは…。」
「ユースケ…。」
「とんでもないトコに来ちまったんだな…俺…。」
「………。」
「………。」
「行きましょう、ユースケ。」
『進むため、そして帰るために…。』
「………うん。」
夕暮れに染まる世界で、合わせ鏡をするかのように互いの瞳を重ね見つめ会っていた。
相変わらず戦闘シーンを描くの難しい!大真面目な戦闘でこんな難しいと、この先のネタ戦、鬱戦、大局面戦とかどうすりゃいいんだ!?
旅路に計画性は最重要、急ぐ旅ならまぁ尚更。
ところが肝心のアシ(移動手段)の調達でやらかした!
次回、『高貴なる暴れん坊』