遊戯王~召喚士?いいえ決闘者です。~   作:ねおけらとどぅす

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結構ブランク空きましたが投稿再開します。
久々だと書き方分からなくなってて焦った。( ̄▽ ̄;)


第12話‐高貴なる暴れん坊

《地の国 ルートルビア 門前》

 

「確かに、レンガレル士団長の令状確認した。」

 

 アタゴン山嶺から下山し、今日の目的地『ルートルビア』に着いたのは日没から暫くしての事だった。

 二人も、それを乗せる二頭も、疲弊し足取りは重く、もう閉門に間に合わないと半ば諦めかけてたいたが、城門は解放され煌々と松明で照されていた。

 

「まてよ…レンガレルから…ハッ!?」

「君たち、昼間山頂を通って来たのか!?」

 

 二人の脳裏に昼間の死闘が過り、無意識に表情は強ばった。

 

「はい。」

 

「山頂で炎の国の罪人、『ラテス=ニロチクルス』と遭遇、奴の召喚獣と交戦しました。」

 

「なんと…!?」

「では昼間の騒ぎは君らが襲われてたのか!?」

「見捨てたようですまない、山頂の騒ぎは単なる陽動だと………ん?」

 

(タカッ タカッ タカッ…)

 

「すまん、失礼する!」

 

「あ、はい…。」

 

 ユースケらの後ろで一人の騎兵が門前に到着した。番兵はその騎兵のもとに駆け寄り…。

 

 

 

「ご苦労!どうだった?」

 

「あぁ…凄い数の怪我人だ…。」

「部隊長から衛生兵を追加で50送ってほしいとの伝令を受けてきた。」

 

「なんと…分かった、お前は騎士団塔へ行け!」

「俺は獣舎の親父さんを起こして来る!」

 

「…頼んだ。」

 

 

 

「すまない、火急の用でな…君らの通行を許可する。」

「山頂での件は、明日朝、召喚士団塔で報告せよ。」

 

「はい…。あの…外で何が?」

 

「環状街道で『ヤタガラス』が出た。すまぬが門番の私からはそれしか言えん。」

 

「!?」

 

「失礼する!」

 

(タッタッタッ…)

 

「奴らが…。」

 

「行きましょうユースケ、まずは休まなきゃ…。」

 

「あいつら…」

「俺を襲ったり人を襲ったり…一体何なんだよ!」

 

「八界を脅かす大罪人…この世界全ての敵よ。」

 

 ユースケに振り返りそう言い切ったアミアの目には幾つもの涙粒があった…

 召喚士としての責が、誇りが、犠牲の知らせを聞いたアミアの心に重くのしかかっていた。

 

「………休まなきゃな、俺ら。」

 

「………そうね。」

 

 真夜中のルートルビアに慌ただしく駆ける兵と獣車の音が響く。兵達の灯す松明が街中を緊迫の色に染め上げ、多くの者に長い夜の訪れを報せるのであった。

 

 

《翌朝》

 

 急ぎの旅路のはずが、昨晩宿の寝床で倒れるように眠りに付いた二人は遅い起床となった。

 ボサついた髪を掻き、沈みきった気を無理矢理整え、街に出る…。

 

「………。」

 

「………。」

 

 互いに口数は少なく、街並みも昨晩の慌ただしさとは一変して静まり返っていた。

 

 

《ルートルビア 召喚士団塔》

 

「なんと!あのラテスが!!?」

 

「はい、私が護衛中の彼を狙い襲撃してきました。」

 

「ふむ…そこのお方、何か心当たりは?」

 

「いえ、何故襲われたかは分かりません。」

「ですが…」

 

「ん…?」

 

「あいつは自分と所縁のある召喚獣を持ってました。恐らく知らない部分で自分は奴らと何らかの繋がりがあるのかも知れません。」

 

「ふむ…何とも言い難い…。」

「それが悪い繋がりでない事を祈ろう、行きたまえ。」

 

 

《ルートルビア 獣舎前》

 

「近道通って来たんだよな俺ら?」

「なんかじわじわ予定より遅れてないか?」

 

「うーん…ちょっとゆっくりし過ぎたかなぁ?」

「でも大丈夫、伝書は先に届いてるはずだし。」

「あとはこうやって寄った街でケイスケを乗り継いで…乗り継いで…のりつ…。」

 

「…………空っぽだな、獣舎小屋。」

 

「あれれぇ~ちょっと~?誰かー!?」

 

「ふぁああぁ~…」

「何じゃ?スケの返却か?」

「だったらそこへ繋いどいてくれぃ!」

 

「あぁ…はい。じゃなくて!!」

「新しいスケに乗り継ぎたいんですけど、ケイスケ2頭貸してください!」

 

「あぁん?ケイスケぇ?」

「残念じゃが、残っとらんよ。昨日うちの騎士団がみんな乗ってってちまったからのぉ。」

 

「え?」

 

「え?」

 

「うむ。」

 

「えええええぇぇぇ!?(゚Д゚;)」

 

********************************************

 

 

《地の国 大街道 道端の木陰》

 

 大街道の道端、大樹の陰に身を隠すように深々とローブを被った男がやって来た。呼吸が乱れながらも周囲を鋭く警戒し木の根本に寄りかかる。

 

「手ぶらで来たって事は…失敗したか。」

 

「うっ!?」

 

 幹の反対から声、そして人影が二つ、腰を降ろし男を待っていた。

 

「………ヴェァス様。」

 

「たかがあだ名を律儀に古文字読みしなくて良いと…この台詞、確かもう5度目だろう?」

 

「申し訳ありません!地の決闘者を…。」

 

「いちいち律儀な奴め…」

「あれだけ暴れ回って尚も高貴で居るつもりか?まぁいい。」

 

「ちょっと何ぃ!?バスってあだ名だったのぉ!?」

 

「あれれ?前に話さなかったっけ?」

 

「貴様は…!?」

 

「ああ、ギルは俺が呼んだ。炎の国は例の新入りに任せてな。そしてお前はここで俺たちと交代だ…。」

 

「?」

 

「新たな指令だラテス、直ちに闇の国に向かえ」

 

「闇の国へ…?」

 

「ある物を運んでほしい…まぁ聞く限り“運ぶ”より“盗む”ってのが正しいけどな。」

「詳しくは向こうで“あのお方”から聞け、手筈を整えてお待ちだ。」

 

「あのお方が…承知しました!」

「ヴェァ…ぃぇ、バス様…」

 

「ふっ…何かな?」

 

「お気を付け下さい、地の決闘者、ヤツの(しもべ)は竜狩りの剣士です。」

 

竜狩り…へぇ~!そいつは面白い!!

「その竜狩り、果たして俺の竜を狩れるのかな?」

 

 へらへらと笑みながらラテスに向け1枚のカードをちらつかせる。視線を奪われるような青に十字の赤い矢印…ラテスにはそこまでしか視認できなかった。

 

「ふふっ…楽しみだ…。」

 

 

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《ルートルビア 獣舎前》

 

「嘘…うそウソウソウソウソウソうそ~!!(゚ロ゚;)」

「伝書は届いてたでしょ!?何で!!?」

 

「おぉん?」

「嬢ちゃん達、レンガレルから来るってあった二人組か!惜しかったのぉ…。」

「騎士団の連中、真夜中にこんな令状持って駆け込んで来てスケをみんな乗ってっちまいおった。」

 

「終った…完全に終ったわ………。」

「あぁぁ故郷のみんなに何て言えば…。」

 

「あわわわ…こりゃ御愁傷さまだわ。」

 

「んん?まてよ…?」

「お主ら、乗れっか分からんが1頭残っとるぞ?」

 

「え?アミア、1頭あるってよ!!」

 

「それ貸して下さい!もう何でも乗ります!!」

 

「そう言ってものぉ…。」

「果たして“あやつ”が人を乗せるかどうかじゃ。」

 

 

《ルートルビア 獣舎場 最奥》

 

「ここじゃ。」

 

 二人は獣舎場のひときわ奥、周りの小屋とは明らかに違う頑丈な檻の前に案内された。

 

(ズシッ…ズシッ…)

 

 檻の奥、暗がりから一歩また一歩、地を踏み締める震動が足裏に伝わる。

 

「ちょっと待って信じらんない…何でここに!??」

 

「で…でけぇ!何だこれ!?(゚A゚;)」

 

 現れたその姿、例えるなら上半身がアンバランスな程発達したドーベルマンの化け物。黒く艶のある毛並みの巨体を見上げた先に剥かれた白い牙が光る。

 

「そう『ダイスケ』じゃ、そっちの兄ちゃんは見るのは初めてかだったか?」

 

「ダイ…スケ?」

「本当にこれもスケなのか!?」

 

「ええ、特別なね。」

 

「特別?」

 

「大昔は戦車を、そして今では王族や高位な貴族の車を曳いてるスケよ。」

 

「つまり…高級車なんね。」

 

「けどおかしいわ…何でここに『ダイスケ』が?」

 

「あぁ、コイツはちょいと訳ありでなぁ…。」

「立派に訓練はされとるはずなんじゃが、故郷の農園を離れたら途端に荒くなってのぉ。」

 

「荒くって?」

 

「うむ、人でも荷物でもまず曳こうとせんし、無理に運ばせようものなら、曳き回してぶっ壊しちまうんじゃ。」

 

「オイおっさん!」

 

「じゃから乗れるか分からんと言ったじゃろ!」

「試しにほれ、ヤツの前に立ってみろぃ。」

 

「前に立てって…それで何が?」

 

「言ったろ、お前さんらを運ぶかどうかはこやつの気分次第じゃと。」

 

「操獣術には自身があるわ、学院でみっちり仕込まれたから。」

 

(スタスタ…)

 

「さっ、おいd…」

 

(パクッ)

 

「#*&×%@※=≧!!?」

 

「おっといかんいかん!」

 

「ぬうぅうああぁぁぁああ!!?」

 

「大丈夫かアミア?」

 

「だぁから言ったじゃろ気が荒いと、嬢ちゃんももうちょい身構えて近寄れぃ!」

 

「しかしどうしようか…。」

「二人で乗るにもスケの操縦出来るのアミアしか居ないし…。」

 

 ふと、ユースケは『ダイスケ』からの視線に気付いた。見上げるほどの高さにある青い瞳はユースケに、その顔に、そして首元のペンダントに向けられていた。

 

(「もしかして…」)

 

「うぁああんもうべちゃべちゃ~。」

 

「ほれ、嬢ちゃんこの布で…っておい兄ちゃん!?」

 

(スタスタスタ…)

 

「無理よユースケ、あんた操獣は素人でしょ!?」

 

 ユースケが近付くのに合わせダイスケも持ち上げた首を徐々に下ろす。

 

「おおぉん?まさか!?」

 

(なでなで…)

 

 ユースケの手に委ねるようにダイスケは額をつき出し、ひと撫で、ふた撫でされる。そして…

 

「あっ!」

 

 不意に首を空へと向け…

 

「ゥワォオオオォォン!!」

 

 一帯に衝撃波のような遠吠えのを響かせた。

 余りの衝撃にユースケはその場で腰を抜かし、見守る二人もいきなりの事態に息を飲む。

 

「こいつは…いける、いけるぞぃ!」

 

「な、何が!?」

 

「話しは仕度しながらじゃ!」

「いいから奴の気が変わらんうちに早よぅ行くぞぃ!」

 

 

《ルートルビア 門外 大街道の端》

 

 

(キュッ…キュッ…カチッ)

 

「これでヨシとぅ…」

「あとその(つな)を腰の金具に通してくれぃ。」

 

(カチッ)

 

「えっと…これで良いですか?」

 

「ああ、上出来じゃあ。」

「その綱は文字通りお前さんらの“命綱(いのちづな)”だからのぉ。」

 

 巨体である『ダイスケ』でも調度となるような大きな複座の(くら)が載せられ、前座にアミア、後座にユースケが“固定された”。

 

(「ほんとに大丈夫かな…?」)

 

「この鞍は昔こいつに乗っかろうとした王様が作ったもんでな、こいつが売られてうちに来た後、わしが改良したんじゃ。」

 

「へぇ~」

「で、その乗っかろうとした王様ってどうなったんですか?」

 

ふむ……………。」

 

「ちょっと!?何で急に黙るんすか!??」

 

「さぁ出発じゃ、達者でなぁ!!」

 

(パシッ)

 

 おやっさんが手綱を叩いた瞬間だった…

 猛烈なスピード感が全身を襲い、腰から上は慣性に負け仰向けになり、二人共為す術無くはためいた。

 

「きゃあああああああああああ!!!」

「ぬああああああああああああ!!!」

 

 快晴の草原を黒い旋風が抜ける。道沿いの草や木の葉、そして、ちらほら通る通行人を吹き飛ばしひと街、またひと街と大街道を突き進む。

 

《地の国 大街道 バヤリィス》

 

 二人が荒馬ならぬ荒獣から解放されたのは、ルートルビアを出発して4つ目の街まで着いた頃だった。散々爆走したダイスケは気が済んだのか獣舎の水飲み場から一歩も動かなくなった。

 

「はぁはぁはぁ………」

 

「死ぬかと思った…もう全身痛い。」

 

「ひとまず駒は進めたけど、コレに乗り続けるのは確かに辛いわね。ここで交替して乗り継ぎしとしましょ。」

 

「賛成、このままじゃ身体がもたない。」

 

 

《地の国 バヤリィス 獣舎前》

 

「スケを貸せないってどうゆーこと!!?」

 

 獣舎の主である老婆に向けアミアの絶叫混じりの怒号が飛ぶ。やれやれ顔で老婆は耳を塞いだ。

 

「喚くな小娘…まったく。」

「正確には“交換に応じられない”だよ。あんた達が乗ってきたダイスケはうちじゃ預かれない。」

 

「だから何でよ!?」

 

「スケってのは預けられた街から運びも兼ねてもとの獣舎に戻るんだよ、知っとるよな?」

 

「ええ。」

 

「つまり、積荷も人も乗せられんスケは預かれんってわけじゃよ。そのダイスケ『コクオー号』じゃろ?」

 

「コクオーゴウ…?」

 

「そのダイスケの名じゃよ、品評会で史上最高点を叩き出したその姿、見間違うはずはない。」

「当然、その荒獣っぷりもねぇ、よく知っとるよ。」

 

「うっ……」

 

「こやつをルートルビアまで戻すのには、更にスケが必要になる。あんた達に貸す分も含めて計4頭だ。」

「とてもじゃないけど応じられないねぇ。」

 

「ううぅ……」

 

(トボトボ…)

 

「このダイスケ、そんな有名だったなんて…。」

 

「史上最高点に王様投げかぁ、ほんと高貴な暴れん坊だったんだな。」

 

 当の『コクオー号』は水と食事をたっぷり貰いスヤスヤと眠っていた。多分今日は一歩も動かないだろう。

 

「…私達も宿探そうか。」

 

「賛成。」

「その前に薬局で湿布買いたいなぁ。」

 

「ヤッキョク?シップ?何それ?」

 

「え?こっちには無いの?湿布?」

「なんかこう伸ばせて体に貼れて…」

 

 まだまだ長い聖都までの旅路、二人とも身体中が痛むけれども、三日目の夕焼けに染まるバヤリィスの街並みはここ数日で一番平和な風景であった。




石集めに夢中で休載気味ですが、マイペースでも書きます!書き上げます!まだまだ先は長いけれど必ず完結させます!

歴史は不可逆的に時を刻み込む。見惚れていたい程の繁栄も、目を逸らしたい程の衰退も。忘却に押し込めようとした“歴史”が突如として牙を剥く。

次回、『時の化身』
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