遊戯王~召喚士?いいえ決闘者です。~   作:ねおけらとどぅす

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第15話‐激流讃歌(げきりゅうさんか)

《地の国 大街道 宿場町スクォール》

 

(ゴゴォ…ゴゴォ…)

 

 城塞都市フワンタを足早に去り、辿り着いた隣町は既に雷雲の真下であった。豪雨降りつける最中を突き進む。

 

「ぬうわぁぁああ!!!」

「湿気る!俺のカードが湿気るぅ!!」

 

「ちょっとユースケ、変な声出さないでよ!」

「今、宿探すから!」

 

「ははは早くしてくれ!こここのままじゃバスターブレイダーががが…。」

 

「だから黙れ!!!」

 

 二人から奇声と怒号が繰り返されるも、雷鳴と雨音に掻き消され夕暮れ時のはずの宿場町は薄暗く静寂であった。

 

(バチバチバチバチ)

 

「?」

 

 遥か直上、稲妻とは違う青白い“何か”が雷雲の隙間に消えて行くのをユースケは見た。

 

(「あれは…?いや待てそれどころじゃ!」)

 

「やヤバい!アミアなるべく近場で頼む!!」

 

「あぁもぅ…じゃあここ!!」

 

 コクオー号の手綱を乱暴に曳き、明かりの灯された宿場へ滑り込む。

 

(ギィィィバタン!)

 

「すみませーん!」

「2人とスケ1頭、泊めてもらえますかー?」

 

「いらっしゃいませ、ご宿泊ですね。」

「お値段は……こうなりますが?」

 

「え?ちょっと高くない???」

 

「まぁーまぁーまぁーまぁ!」

「何でも良いんでよろしくお願いします。」

 

 

(バチバチバチバチ)

 

 騒々しく帯電した“何か”が宿場町低空を横切り、灰色の世界を一瞬青白く照らす。

 

(バチバチバチバチ)

 

 それは宿場町の先、大河に架かる石橋まで差し掛かると高度を上げ雷雲の中へ、そして…。

 

(カッ)

 

 

赤い閃光を放った。

 

*******************************************

 

《翌朝》

 

「な"!?何で嘘っ!?」

 

 大河に掛けられた巨大な石橋、聖都と繋がるこの橋はいつもであれば多くの人が行き交う物流の要である。しかし…。

 

「通行止め…か。」

 

 太い綱と看板が張られ多くの人が足止めに遭っていた。

 通行止めの先に目をやると、橋は無惨に崩れその大半が濁流の中に散在している。

 

「まさか昨日の大雨で…?」

 

 

「いや違うな。」

 

「?」

 

 看板の横で見張る兵士が答えた。

 アミアは膝を着き呆然としている。

 

「あれっぽっちじゃこの石橋はびくともせんよ。」

「今、向こうの兵が調べてるが、どうも爆破されたらしい。」

 

「爆破…?」

 

 再び遠くに目をやると橋のあちこちに焦げ跡、そして溶かされたように抉れた部分も伺えた。この間、アミアは失神したように白くなっている。

 

「よっぽど凄い爆発だったんでしょうか?」

 

「ああ、今我々で調査している、もちろん修復もな。」

「明日には召喚士達が到着して復旧作業が始まる、早ければ5日でどうにかなるだろう。」

 

「へぇ5日で直せちゃうんですね~。」

「ん?5日!?」

 

「(察するのが)遅いわよ!」

 

「飛んで渡れたりとかしない?霊獣に乗って。」

 

「無理、気流が巻いてる山地なら兎も角、こんな平地じゃグリフィスだと滑空くらいしか出来ないわ。」

「あの子、水に落ちたら消えちゃうし。」

 

「他の橋は?」

 

「国境を越えて炎の国と闇の国にもあるわ。」

「どちらを目指しても多分1日足りない…。」

「あぁもぅ…私…。」

 

「まぁ事態が事態だし、ひとまず遅れる知らせを出してみないか?なぁ!」

 

(チリン)

 

「これまた随分とお困りのようね、旅のお方。」

 

 青い宝石の耳飾りをした黒い長髪の女性が凛とした声で二人に話しかけてきた。

 

「アタシはオイカワ、渡し船をやってる。」

「良い話しがあるんだけど、どう?」

 

「聞かせて頂けないかしら…!」

 

 アミアが喰らいつくように乗ってきた。

 

「ふぅん、実はここより下流に1本、新しい橋が対岸から作っている途中でね、その先端までならアタシが運べるって話しなのよ。ただし…」

 

「ただし?」

 

「お代は有り金全部、この場で払ってもらうわ。」

「多分だけど…お嬢さん、その財布だいぶ入ってそうよね?」

 

 アミアの腰から覗く財布を見逃さなかった。文字通り一文無しになるこの交渉、だがこちらには選択肢はもう残っていなかった。

 

「いいわ、その話し乗った!」

「大きなスケも1頭居るけどお願いね船頭さん。」

 

(ジャラッ)

 

「ふっふーん、毎度ありー。」

「ではではーこちらへどうぞー。」

 

 川へ降りる小道へ案内される2人と1頭、その姿を不思議そうに見る地元民は…

 

「なぁ、渡し船なんてあったっけか?」

 

「いいや、聞いたこたぁ無ぇな。」

「それにあんな娘っ子も、どこの誰じゃ?」

 

 何やら不穏な事態を察していたのであった。

 

 

〈地の国 ナガト川 川岸〉

 

「ちょっと!渡し賃にしては不釣り合いな小舟じゃないの?平気これ!?」

 

「心配なさるなって、大丈夫大丈夫〜。」

「水でも被ろうもんならお代は返すわよ。」

 

「はぁ…いい自信ね。」

 

「まぁまぁアミアもそれくらいに、船頭さんよろしくお願いします。」

 

「あいよ!」

 

(ギィ〜ギィ〜)

 

 黄土色の激流が放つ轟々とした水音と、右へ左へ捌く舵が(しな)る音、そして…

 

『♪〜♪〜♪』

 

「?」

 

 船頭オイカワの鼻歌、いや舟唄と呼ぶべきか、水音や舵の雑踏をまるで楽曲のように歌詞とメロディーを添える。

 

『水よ~流れよ我らと共に〜♪』

『時よ〜流れよ魂と共に〜♪』

『雫よ集いて川となれ 人よ集いて世となれ♪』

『押せよ時代を奔流を〜♪讃えよ凪なる静寂を〜♪』

 

『♪〜♪〜♪』

 

「…悔しいけど、ほんとに水しぶきひとつ掛からないわね。」

 

「その歌も渡し船ならではの技なんですか船頭さん?」

 

「えぇ?まぁね、ってよりアタシは水の国の出でね!」

「水と付き合うための歌ってのがいくつかあんのよ。」

「今日のは…ちょっと激しめなとき用の歌かな。」

 

「あ、やっぱり流れキツめなんですね…。」

 

「けどご心配なく、お二方共、見えてきたわよ。」

 

「あれが…。」

 

 水面の先に浮かぶ一本の線、橋下駄以外はまだ作りかけな様子の橋が対岸から川の中程まで伸びていた。

 

「先端に着けるよ、跳び移りな!」

 

「うぉっと!!」

 

「ひゃっ!?」

 

(スタッ)

 

〈地の国 ナガト川 まだ名のない橋〉

 

「よっとっ!」

「はぁいご到着っと、ね?平気だったでしょ?」

 

「ほんと腕は確かだったみたいね…助かったわ、ありがとう。」

 

「さて…川も渡れたしここから聖都まであと少…っ!」

 

「ユースケ…。」

 

「あぁ、またお出ましみたいだ…。」

 

 

 ローブを被った人影がひとつ、二人の行く手を阻むように立ち塞がる。

 

 

「オイカワさん、舟を…。」

 

「(フフフフ…)あいよ。」

 

(ギィ〜〜〜)

 

「えっ?」

 

 空っぽの舟が濁流に押し出され、木の葉のように流れに揉まれ沈んでいった。そう…

 

 

「フフフフ…。」

 

「お前にしちゃ早かったじゃねぇか、ギル。」

 

「毎回遅れてくるのアンタでしょうが、バス!」

 

 

 オイカワ…いやギルから距離を取るユースケとアミア。

 

「…罠だったって訳か。」

 

「フフフご名答。」

 

「悪いねぇ地の決闘者(デュエリスト)、ちょっと君で試したい事があったからさっ!」

 

『ここはうってつけだ。』

 

 バスと呼ばれたローブの男はそう言って鋭い視線を橋の右から左へ走らせ大きな口でニヤリと笑った。

 

「試したい事?新しいキャッチセールスとかか?」

「前来たヤツにも言ったけど、悪いが急いでんだ!」

 

 

「まぁそう焦んなって、デュエルしようぜ…」

 

『この俺、狡猾者バスと!!』

 

「!?」

 




迫る決闘、そして背水…
竜狩りの前に立ちはだかるそのモンスターは!??

次回、第16話 - 電子(でんし)嵐竜(らんりゅう)
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