遊戯王~召喚士?いいえ決闘者です。~   作:ねおけらとどぅす

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第1章~デッキひとつで異世界行脚~
第1話‐バスター・ブレイダー


《リュウジョー平原》

 

 

 平原を突っ切るように敷かれた一本道。暖かな日差しの下、牛くらいのダックスフンドのような家畜が曳く荷車が『地の国』首都から『炎の国』との国境付近に向けコトコトと旅路を進めていた。

 

「父ちゃん、あれ!」

 

 荷台から周囲を見渡していた兄妹が遠くの茂みが一瞬大きく光ったのを目撃した。

 

「小霊石かもしれない!ちょっと見てくる!」

 

「兄ちゃん私も~!」

 

「クルス、クー、すぐに戻るんだぞ~」

「けどまぁ…この辺で一度休憩でもいいか。」

「構いませんな?召喚士殿。」

 

 そう言うと父親は車を停め、荷台の奥に座るローブ姿の若者に明るく語りかけた。

 

「構いませんよゴードン殿、念のため索敵術を張りましょうか?」

 

 ローブの若者は軽く相づちを打ち、淡々とした口調で返事をした。

 

「ちょっと停まるだけさ、わざわざいらんよ。」

「それにまだこの一帯では件の一身は目撃されてない…商会の決まりで護衛を依頼したが、今回の旅路では何の問題も起きやしないさ。」

 

(「えぇぇぇ!?Σ(゚Д゚;/)/」)

 

「!?」

「!?」

 

 不意に彼方から絶叫のような音が二人のもとに響いてきた。父親は子供達の声ではないと瞬時に判断出来たが…

 

「…何じゃろうな今の?」

 

「…………………さぁ?」

 

 

********************************************

 

 

《同じくリュウジョー平原(茂みの中)》

 

 23年間で最も大きかったであろうか…あれほどまで大きな絶叫は放ったのは初めてだった。おかげで瞬時にある程度までの冷静さを取り戻せた。そして目を閉じ再びベンチに腰掛ける。

 

「落ち着け…この通りベンチはしっかりある。

変なのは見えてる景色だけだ。」

「………」

「…つまりこれは見間違えだろ。

遠出して遊んで疲れてたし。」

 

(チラッ…(/ω・\))

(スッ(/ω\))

 

「あれ…?まだ目の前草だよ?

そんなに田舎の自然が恋しいのか俺?」

 

(チラッ…(/ω・\;))

(スッ(/ω\;))

 

「何で草しか見えねぇんだよ!?

駅前だろここ!?マック何処いったんだよ!?」

 

(チラッ…(/ω・\;))

(スッ(/ω\;))

 

「スワーッ!助けてくれー!

ドナ○ド・マジックで目がおかしくなった!!

早く俺にコーラ持ってきてくれ~!!!」

 

(チラッ…(/ω・\;))

(スッ(/ω\;))

 

 「そもそもどうしてこうなった!?

どこでこうなるフラグ踏んだんだ?俺は!?」

 

「思い出せ!思い出せ!思い出せ!思い出せ!」

 

(「ならこのカードをあげよう…」)

(!??)

 

 真新しい記憶だ…そういえばこうなる直前そのカードを手にしていた…。

 

「あのカードがか…?」

「…だとしたらあいつが!?」

 

(チラッ…(/ω・\;))

(少女「ドキッΣ(゚д゚;)」)

 

「へ?」

 

「あの…お兄さん……

 こんなとこで何してるの…?(゚д゚;)」

 

「………迷子です。(´;ω;)」

 

「ぇ……と、とにかくお父さん呼んでくるね。

 ちょっと待ってて。(((゚д゚;)」

 

(がしっ)

 

「ひっ!?Σ(゚д゚;)」

 

 理解の追い付かない状況からか…目の前に現れた日本語の通じる少女の手を咄嗟にガッシリ掴んでしまった…

 

「………(´;ω;`)」

 

「はわわわゎ!!?(((゜ロ゜;)))」

 

 少女は完全に怯えているが、この状況で一人になるのが恐ろしかったからか…両手で掴んだ自分より一回り小さい左手を放すことができない。すると…

 

(ゴンッ)

 

 後頭部に重い一撃を食らっていた。

 

「痛ってぇ………」

 

「おい!おっさん!!」

 

「!?」

 

「俺の妹に何してやがるんだ!」

 

 今度は少年が現れた。少女のことを『妹』と言っていたので兄妹なのだろうか?確かに同じような目の粗い灰色の生地に紅い刺繍を施した民族衣装を着ている。

 どうやら後ろからぶん殴られたようだが、おかげでまた平常心に戻れた。しかし…

 

(じーーーっ(# ゜Д゜))

(じーーーっ(´;ω;`))

 

 完全に警戒されてる。どうしようこれ…?

今さら「怪しい者じゃない」と発言したところで最早説得力の欠片もない…さてどうしたも

 

(ヒュンッ→)

 

「あっぶねっ!!?Σ(゚Д゚;/)/」

 

(ドスッ)

 

 自分めがけ矢が飛んできた。咄嗟にかわし前方に目をやれば兄のほうが弓を構えている。

 

「チッ…今のは威嚇だからな!次は当てるぞ!」

 

「いきなりあぶねーだろクソガキ!!(゚ロ゚;)」

 

「うるせぇ!そもそもお前何者なんだよ!?」

 

 名乗れと迫られた時にピッタリのネットスラングをふと思い出した。きっと伝わらないだろうが…やってみるか…

 

「フフフフ…」

 

 兄妹「!?」

 

「ドーモ、ハジメマシテ。菊地=遊介 デス。」

 

 

ドゴォォォン!!

 

 絶妙なタイミングで後ろから爆発のような地響きがした。SEとしては非常に優秀だったが、そもそもこの場にそんな仕掛けは施してない。

 

「ぬぁ!?Σ(゚д゚;)」

「ひっ!?(゜ロ゜;)」

 

「えっ?(;・ω・)」

 

 この場に居合わせた全員が地響きのした土煙舞う方へ目をやる…そこには…

 

(ドスッ…ドスッ…)

 

「!?」

 

(グルルルルル…)

 

「!!?」

 

 グォオオオオォォォヲン!!!

 

 とてつもない大きさのワニのような怪物が咆哮をあげた。

 

う…ああ…

ひぃ……

 

 「逃げろお前らーッ!」

 

 大声で呼び掛けるも兄妹は怪物に恐怖しその場から動けないでいる。このままでは…

 

「クッ…!」

 

 すぐさま二人の元へ駆け寄り、腰を抜かした妹ちゃんを抱え上げ、兄くんの手を引き全速力で走り出す。

 

「急げ!追い付かれるぞ!」

 

 振り向き怪物の姿を視界に捉える…。頭部にはさっき放たれた兄くんの矢が深々と刺さっていた。怒りの原因はこれだろう。

 

「な、な、な、何なんだあれ!?」

 

「知るか!そんなの逃げきってから考えろ!」

 

 兄くんの問に「知るか」と返したが、ユースケはこの怪物を知っていた。大きな顎、偏平な体、破れた小さい翼、こいつは…

 

………地を這うドラゴン

 

 ★5地属性ドラゴン族の通常モンスターだっただろうか…自分が生まれた頃かもっと前の遊戯王カードのモンスターだ。カードショップのストレージでその姿は度々目にしていた。そんな遊戯王のモンスターが…

 

(「どうして…ここに…?」)

 

(ドクン…)

 

(!?)

 

 背中…いや背負ってるショルダーバッグから鼓動にも似た振動が伝わってくる。

 

(「何だ…いったい…?」)

 

 

********************************************

 

 

(グォオオオオォォォヲン!!!)

 

「今のは…!?」

 

「この咆哮、獣のものでも霊獣のものでもありません…ゴードン殿!」

 

「さっきの地鳴りといい尋常ではない……クルス、クー!

「子供達を探しに行く。召喚士殿、同行願う。

今からソウルを溜めて備えてもらえるか?」

 

「承知しました。」

 

 父親は幅広のショートソードを、召喚士は霊珠の杖を手に音の方向へ赴く。不安と恐怖と焦燥が入り交じり表情は固く固く引き締まる。

 

「クルス、クー…今行くぞ。無事でいてくれ…」

 

 

********************************************

 

「ハァッハァッハァッハァッ…」

 

 3人で茂みを掻き分けひたすら逃走する。走り出してから程なくして兄妹共自力で走れるようになったので幾分か楽にはなったが…

 

(グオオォォォ!)

 

『地を這うドラゴン』は追跡を止めようとはせず、茂みを薙ぎ払いこちらに迫る。このままでは…

 

「おっさんこっちだ!」

 

「おい!?どこ行く気だ?」

 

「父ちゃんの所だ。そこには召喚士も居る。召喚士ならこの怪物だって…」

 

「…わかった、どっちだ!?」

 

「道に出てくれ。すぐ右だ!」

 

「了解!」

 

 一際高い茂みを掻き分け一本道の拓けた場所に出れた。道の先に荷馬車のような物も見える。さらに…

 

「クルス、クー!!」

 

「父ちゃん!」

 

 父親と召喚士も程近い場所に居合わせていた。双方から走り寄れば1分も掛からずな距離であったが…

 

(バキバキバキバキ…)

「グオオォォォヲン!!!」

 

 親子の間を裂くよう『地を這うドラゴン』が茂みを薙ぎ払い双方の間に現れた。

 

「こ、これは…っ!?」

「召喚士殿、霊獣を!!」

 

「はい!」

(「おかしい…周囲のソウルが集まらない…」)

 

 召喚士はすぐさま詠唱を始める…しかし、怒りに染まるドラゴンの眼が俺と子供達を捉える…

 

「何か打つ手は…………!?」

 

 使えそうな物は無いかとバッグを漁ると、あることに気付く…

 

「デッキが…光ってる?」

 

 

(ガン!ガン!)

「こっちだ!化け物!!」

 

「グルル…?」

 

 子供達から注意を反らすべく、父親は剣でドラゴンの左腕に斬りかかる。しかし…

 

(バシッ!)

「ぬあぁー!?」

 

 左腕で軽く弾き飛ばされ、そこへ向け右腕が振り上げられる…

 

(ドスッ)

 

「グォォォォ!?」

 

 刹那、振り上げた右腕に深々と矢が刺さった。

 

(キリキリキリ…)

「………………!」

 すかさず二射目を構える兄くん、しかし、ドラゴンの尾が横薙ぎに風切り音を立て迫る…

 

「!!?」

 

「危ない!!」

「お兄ちゃん!?」

「クルス!?」

 

(バシィィィンッ)

 

「ぐあぁぁ!!」

「うあぁぁ!?」

 

 間一髪だった。兄くんを後ろへ引き投げ直撃から逃れさせた。しかし…

 

「お兄さん!?」

「ハッ…おっさん!?」

 

 ユースケ自身は尾の先端がかすり、大きく撥ね飛ばされた。

 ドラゴンは尾で何かを捉えたと感じ取ったのか、こちら側に向き直し、子供達にじりじりと迫る…

 

「うっ…」

「ぁぁ…」

 

 自分は遠くへ撥ね飛ばされ身動き取れず、父親も負傷し、召喚士も詠唱が終わらない…どうすれば…!

 

「!??」

 

 ふと、倒れ込んだすぐそばに視点が合う。尻尾に当たった時にショルダーから飛び出したのだろう。辺りに散らかってるのは自分のスマホや財布、それと…

 

「俺の…デッキ…?」

 

 隙間から朝日のような優しい光が漏れ出すデッキケースがそこにあった…。

 すぐさま這い寄り蓋を開け、その中から一際輝く1枚を抜き取る…。

 

「バスター…ブレイダー…!?」

 

 光源の正体はエースモンスター、『バスター・ブレイダー』だった。カード全体が眩く、そして優しく輝いている…

 

(「あの怪物が本当に『地を這うドラゴン』なら…!」)

 

 牙が並ぶドラゴンの大顎が子供達に迫る…。最後の希望を託し、手にしたカードを子供達とドラゴンの方向に力を込めて振りかざす…!

 

 「間に合えぇぇぇ!!」

 

 黄金色の光柱が落雷の如く立ち昇る。瞬間、ドラゴンの前に群青の鎧を纏った巨人が立ち塞がり、迫り来る大顎を大剣で受け止めた…!

 

 

「!?」

 

 此処に居合わせた誰もがこの巨人の出現に驚愕した。そして、ドラゴンもまた予想外の事態に動揺する…。

 

「グルル!?グルル!?」

 

(「今だ!」)

 

 「いっけえええぇぇぇ!!」

 

かけ声と共に『バスター・ブレイダー』は力を込め大剣を立て、ドラゴンを頭から縦一文字に両断する。そして…

 

「グォオオォォォ…………」

 

 ドラゴンは儚い咆哮を青空高く響かせ砂金のような光を放ち霧散したのだった…。




ご精読ありがとうございました。
第1話はユースケくんの異世界での初戦闘となりました。
今後はこの様な対モンスター戦、対召喚士戦、それと、オリジナルのEx召喚『具現化(リアライズ)』を盛り込んだデュエルをストーリーに書き込んでいこうかと思っています。ご期待ください。
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