《獣車の荷台(移動中)》
「うっ………?」
「よぉ、目が覚めたか?」
「お前は……………あッ!?」
(ドタバタ)
「無理に動くな。縄でぐるぐる巻きにされてんだから…」
「屈辱だ…」
「何が『屈辱だ…』だよ、お前のせいでこっちも見ての通りだろうが…」
「?」
アミアはユースケの声のする方に顔を向ける。そこには…
「!??」
自分と同じく、ミノムシの様に縄でぐるぐる巻きになったユースケが転がっていた…。
「フフフ…」
「アッハハハハwww(*゜▽゜)」
「何だ、結局自白したのかwww」
「違ぇよ!!これはだな…」
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《数時間前》
「ユースケ殿!!」
「ユースケっ!!」
「クルス…グッジさん!無事でしたか!」
「ええ、後ろからガンと一発もらいましたが大丈夫です。」
「俺はでっかいタンコブができた(# ̄З ̄)」
「それより召喚士殿は!?」
「そこで気を失って伸びてますよ。思いの外ぶっ飛んでこの木にぶつかってたから手当てが必要かもですね…。」
「ユースケ、召喚士に勝てたんか…すげぇな!けど…」
「けど?」
「やっちまったな~(ニヤニヤ」
「え…?何?行政的にやばい事しちゃった??」
「そのぎょーせーって何か分かんないけど、ある決まりがあって………」
「こほん、」
グッジさんが軽く咳払いし、周囲が何やら妙な緊張に包まれる。
「我がゴードン家には古くからの仕来たりが幾つかありましてね、その1つに…」
「『一族に争いを持ち込む者、その善悪勝敗を問わず等しく双方を罰せよ』とあるのですよ…。」
「え?( ̄▽ ̄;)」
「命の恩人にこの様な仕打ちは心痛みますが…仕来たり故、ユースケ殿、ご覚悟を。」
「えぇぇぇ!?(゜ロ゜;)」
「いや、ちょっと待って!おかしいでしょ!?俺頑張ったのに!!」
「父ちゃん、ロープしかないや。こりゃ『ぐるぐる巻きの刑』かな~?」
「おいィィィ!!!Σ( ̄□ ̄;)」
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「…ってな感じで、お前と喧嘩両成敗な理由でこうなったんだよ。」
二匹のミノムシは這いつくばった状態で向き合い、あの決着の後、何が起きたのかを説明していた。
「チッ なんだ…(  ̄3 ̄)」
「実際冤罪だったし一番にお前から謝罪の言葉が欲しかったんだがな!」
「ふん(  ̄3 ̄)」
「手当てまでしてやったのに損したわ…」
「!?」
「手当てって…え?」
「?」
「もしかして…服…脱がせたの?」
「………背中だけ。。。」
「信じらんない!変態!謝罪しろ!」
「手当てなんだから仕方ねーだろ!その前に謝るのはてめーだ!」
一度敵となり対決したからか…アミアの口調からは仰々しさが消え、田舎の友人や家族と口喧嘩するような口調に変わっていた。少しムッとくるが、以前の堅物と比べると遥かに話しかけ易い感じだ。
「まぁ…チートじみた技は使えるけど俺はこの通りみんなに危害を加える気はない。頼むからその妙な誤解は解いてくれないか?」
「どこの誰とも言えない奴にそんな事言われてもな~(  ̄3 ̄)」
「………なぁアミア…」
「?」
「あの時、お前は俺が出処を偽ってるって言ってたよな…?」
「…ああ」
「確かにその通り、出処に関してはその場しのぎで思い付いたデタラメだ。ただ…」
「?」
「今、この場で、お前にだけ本当の事を話すと言ったら、それを信じてくれるか…?」
「!?」
あの時と同じだ…。焚き火の薄明かりの中で私の問いかけに応じてくれたあの時と…。
その目も、その口調も。ただ…
表情だけはあの時と違い自分の返答に不安を抱きながらも明るく、そして信用を求めようと力強かった…。
「分かった、信じよう。」
「…ありがとう。」
(すーぅ)
「俺は…」
「俺は『日本』って言う、この世界とは別の異世界から飛ばされて来たんだ!」
「!?」
「に…ほん?…異世界?」
「信じられないかもしれないがこれは本当だ!」
「なぜこの世界に迷い込んだのかも、どうやったら帰れるのかも分からない…。俺はどうしたら…!」
真実を打ち明けた瞬間、この世界にやってきてからずっと隠し通してきた不安が、悲しみが、堰を切ったかのように溢れ出した。それは表情まで悲しみで歪め、目に大粒の涙を実らせる…。
「ユースケ!」
「!?」
「私はあんたが居た『ニホン』がどんな所なのかは分からない。けど…、この世界には『こことは違う世界からもたらされた物』がたくさんある。もしそれがユースケの言う『ニホン』からの物だったなら、帰れる方法が見つかるかもしれない…!」
「だから泣き顔なんてすんな!あんたは三級召喚士の私に勝った凄腕の召喚士なんだから!!」
「ちげぇよアミア…」
「俺は…召喚士じゃない。
この時アミアからもらった励ましにどれ程救われただろうか…涙は止まり、心の中に『前向きにならねば』と、踏み出すための力が沸く。
(バサッ)
「二人とも、町が見えたからお仕置き終わりだよ~。」
「って…ユースケ泣いてんのか?(ニヤニヤ」
「ちげーよクルス、これはな…男泣きだ…。」
ユースケはこの期に及んで強がってみせ、袖で涙を拭う。
「ふーん、じゃあどんなんだったかすぐ横に居た人に聞いてみようか?」
「実際どうでしたか???」
「みっともないくらい号泣してました。」
「おいィィィ!!!Σ( ̄□ ̄;)」
“ゴードンルール”があったおかげだろう、朝方の闘争からうって代わり、小さな荷車は積みきれぬ程の皆の笑い声で満たされる。そして遠く行く先には広大な城壁を構えた国境都市、レンガレルが見えてきていた。
「………ん?」
そんな中、獣車を操るグッジはすれ違う獣車と人の数にに違和感を感じる。
(「炎の国からの入国者がこんなに…いったい何が?」)
「クルス、クー、どうやら町が慌ただしいようだ。用事が済んだら町を出よう。」
「ユースケ殿、召喚士殿も用事があるなら手早く済ませた方がいい…。」
「どうしたんです?」
「ん?…ちょっとな……様子がおかしい。」
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《国境都市レンガレル中央門前》
「参ったな…」
広大なレンガレル城壁の中央に位置する最も大きな城門、本来ならポツリポツリと人が行き来する程度のはずのこの門が濁流のように炎の国からの入国者を吐き出していた…。
「届け先へはこの門が最寄りだったんだが…これではなぁ…」
荷台に乗っていた4人も周囲の異様な慌ただしさが気になり、布張りから顔を出し息を飲む。
その人混みの規模もそうであるが殆どの人が家財道具らしき大量の荷物を抱えて歩いている。その光景はまるで…
「難…民…?」
「…かもしれませんね。何が起きたのでしょうか?」
「そこの獣車!」
大柄の番兵が自分達の獣車へ声を掛けてきた。
「中央門は今入国者の受け入れで貸し切っている。入るならすぐそこの側門で検問を受けてから入ってくれ。」
番兵はそう言うと中央門の横にある小さな門を指差した。
「これはご丁寧にどうも。」
グッジさんは番兵に会釈し、側門へと獣車を進める。
「ユースケ殿、どうやらこの先で検問があるそうだが、身分証の類いはちゃんとお持ちですね?」
「………ないです。(´・ω・`)」
「そうですかなら安…えっ!?」
「ユースケ殿…本当ですか??」
「自動車免許しか持ってないッス…(´・ω・`)」
「じ、じど?とにかく参りましたね…良くても門前払い、悪いと牢屋行きになりますよ?」
「………どうしましょう( ̄▽ ̄;)」
「これを使えっ!」
不意にアミアから何かをぶつけられるように手渡された。
「見習いだったの時の階級証だ。それがあれば召喚士だと言って検問は抜けれる…たぶん。」
黒曜石のような黒色の玉石が付いたペンダントだった。アミアの首には紅い玉石が付いた似たような物が下がっている。多分、今の階級の階級証だろう。
「アミア…」
「手当てしてくれたお礼なだけだから…。」
「ありがとう、遠慮なく貰っとくよ。」
「ちょっと!あ、あげたわけじゃないんだから、検問を抜けたらちゃんと返しなさい!」
「次の獣車、前へ!」
「いよいよ私達の番のようですよ。大丈夫ですね?」
「なんとか大丈夫そうです。行きましょう。」
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《国境都市レンガレル側門内検問》
「よし、そこで停まれ。」
「レンガレルへようこそ。ここへはどんな用事でかな?」
「首都の工房よりレンガレル騎士団様発注の武具を納品に来ました。これがその証書と武器運送許可証です。」
「確認する…。うむ、確かに。」
「あの…今日はやけに炎の国からの入国者が多いですが何かあったのですか…?」
「残念だがここではお答えできない、この場で騒がれても困るのでな。」
「気になるなら中に入った後で誰かにでも聞いてくれ。」
「そうですか…分かりました。」
「さて、そちらの二人は護衛の召喚士か?」
「三級召喚士、アミア・カルヴァンです。」
「見習いの菊地 遊介です。」
アミアの見よう見真似で首から下げたペンダントを相手に見せ、軽くお辞儀した。
「待っていたぞアミア・カルヴァン、士団長様がお呼びだ。検閲が済んだら召喚士団塔へ向かえ。」
「そっちの見習い召喚士もだ。別件で士団長様が言伝があるそうだ。アミアと一緒に向かってくれ。」
「えっ俺も???」
「了解しました。」
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《中央広場》
「よしよし」
「よしよし」
「ヘッヘッヘッヘッゥワン!(ベロベロ(^ω^∪)」
「うわぁぁあ」
「きゃははは」
検問を通り近くの広場に獣車を停め全員で一息つくことになった。番兵に囲まれ緊張はしかだ問題なく抜けれて幸いだった。兄妹は獣車を曳いていた犬みたいな家畜と戯れている。
「へぇ~触っても平気なんだ~。よし俺も(モフモフ」
「ゥワンゥワン!(ベロベロ(^ω^∪)」
「うっはぁwべちゃべちゃするwww」
「クルス、こいつって何て名前なん?」
「ククククw(*≧∀≦*)」
「クスクスw( *´艸`)」
「ユースケwそいつもユースケだよwww」
「え…?」
「えぇぇ!!?グッジさん!?( ; ゜Д゜)」
「本当ですよ。そう言う種類の獣なんです。(クスクス」
自己紹介の時に笑われた理由がようやく分かった!つまりは妙な格好した人が『私はブタだ』と言ったような感じだろう。そんなの誰でも笑うわ!(ぶ○ぶ○ざえもんをイメージしながら)
その後でグッジさんから教わったのは、獣車を曳く獣はまとめて『スケ』と呼ばれていて、大きさや体質、気質で色々な種類があるらしい。そして、グッジさん達が連れてるこいつが、小振りで足も遅いが丈夫で力持ちな『ユースケ』と言うわけだ…。
「ゥワン!(ベロベロベロ(^ω^∪)」
「うぉっ!?ははは…お互いよろしくな“ユースケ”。」
「さて、ゴードン殿、そろそろ行きますか?」
「おっとそうですね…私達は騎士団へ納品に向かいます。」
「私達は士団長様の所へ。」
「では用事が済んだらまたここで合流ですね。帰りの護衛もよろしくお願いします。」
「こちらこそ、またよろしくお願いします。」
今さらだったが、グッジさんの心の広さがすごく思えた一言だった。アミアがやらかした横暴の数々も正義感が故と分かっているのだろう。そんな考え事をしながらグッジさん達と離れ召喚士団塔へ向かったのだった。
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《召喚士団塔》
「ついた。」
「はえ~~~ここがその召喚士団塔?」
アミアの道案内(半分迷子)で辿り着いた先は神殿や教会のような荘厳な造りをした白色の建物だった。入口には竜を使役する召喚士の像もあり、なかなか踏み込むには畏れ多いような場所だが…
(スタスタスタ…)
「おっ!?ちょっと待って!(゜ロ゜)」
見とれてるユースケをよそにアミアは先へ進んで行くのだった。建物内は受付嬢が立つカウンターやクエストボードらしき掲示板、大勢の召喚士が集まる広間があり、さながら召喚士のギルドといった所だろう。それらを横目にしつつ奥の螺旋階段を上がりとある一室の前に辿り着いた。
「ここだ…と思う。」
「しっかりしてくださいよセンパイ。( ̄▽ ̄;)」
『私の部屋はその向かいだ。しっかりしてくれ。』
「!?」
不意に何処からかスピーカーから出したような男性の声がした。
『ははは、ここだ、ここ。』
声の聞こえる先に目をやると、大きな玉石を身につけたフクロウが出窓に乗りこちらを窺っていた。
『驚かせてすまんな、到着が遅かったので『偵察鳥』で見張らせてもらっていた。さぁ中へ入りたまえ。』
「も、申し訳ありません士団長様!」
慌ててフクロウに向けお辞儀するアミアに合わせユースケもお辞儀した。そして、声の主と対面すべく『執務室』と書かれたドアを開ける…。
(「あれ…?この字…」)
「遅れて申し訳ありません、士団長様。」
「久々だなアミア・カルヴァン。」
「それと初めましてか…私はレンガレル召喚士団団長、レオハルトだ。ようこそ異世界からの
「え?…今何て?」
「まぁ追って話そう、まずは…」
「士団長様、その前に一つお尋ねしてよろしいですか?」
「何だね?」
「このおびただしい数の入国者…いったい炎の国で何が起きたのですか?」
「ふむ…確かお前は炎の国の生まれだったな…分かった、まずはそれから話そう。心して聞いてくれ…」
「昨日未明、炎の国首都、マグナ・コロナが陥落した。」
「!?」
「首都…陥落?………まさかあの暴動で!?」
「いや、違う。確かに暴動も一因ではあるが…」
「マグナ・コロナを陥落させたのはあの『ヤタガラス』だ。」
「そんな…まさか!?」
「まだ全貌は掴めてないが、暴動の鎮圧に兵が出払っている隙をついたのだろう…最悪な事に炎の大霊石がやつらの手に堕ちた。」
「大霊石まで…」
突然の悲報にアミアは驚愕を顔に浮かべ、崩れ落ちそうになりながらもその場で立ち尽くす。
「そのため現在、レンガレルでは地の国への難民の誘導と国境防衛の強化を進めている。そんな矢先にだ…」
「今朝方、リュウジョー平原を通り掛かった行商人から『巨大な霊獣が暴れている』と通報があった。」
「私が『偵察鳥』を飛ばさなかったら騎士団大隊がリュウジョー平原へ緊急出動するところだったぞ。」
「その点については未然に防げたのと、お前が状況を知らなかったが故、まだ許そう。しかしな…」
「民間人を巻き込みかねないあの状況で、あれほど強大な霊獣を差し向けた事は重罪だ。よって、お前の召喚士資格を剥奪する。」
「そ………ま、誠に申し訳ありません、慎んで処罰を受けます…。」
アミアは一瞬「そんな!」という表情をしたが、自分の犯した罪を自覚したように顔を伏せ謝罪の意を示した。
「そして、そこの君。」
「は、ハイ!!」
「今朝方、聖都から緊急の知らせで『
「………はい。」
「この状況下で貴重な兵を割くのは実に惜しいが…命令に則り君には二個小隊と召喚士二人を護衛に付け聖都まで向かってもらう。異論はないな?」
「ちょっと待って下さい!」
「何だね?それっぽっちの護衛では不満か?」
「いえ、ただこの状況下だからこその提案をしたいのですが…」
「ふむ…提案とは?」
「先ほど仰った護衛の代わりにアミアに護衛を任せることは出来ませんか?」
「!?」
「!?」
「確かにそれは有難い提案だが…良いのか?彼女は一度君に霊獣を差し向けたのだぞ?」
「確かにあの時は互いに憎み合い、闘う事になってしまいました。しかし、そのおかげで彼女の実力やその源にある正義感を感じることが出来たんです。」
「………ユースケ」
「レオハルトさん、実のところ俺はまだ貴方の事も、その命令を出した人の事も信用出来ません…だからせめて、護衛だけは今この世界で一番信じられる人間に任せたいんです。」
「お願いします!」
「………」
「………」
「………」
「顔を上げなさい。面白いものだな
「アミア、良い
「士団長様…!」
「改めて命令を言い渡す!アミア・カルヴァン、7日以内にこちらの要人を聖都まで無事お届けせよ!達成出来なければ即刻召喚士資格剥奪とする!」
「旅費は士団で用意しよう。受付で受け取りなさい。」
「ハッ、了解しました!」
「ありがとうございます!」
「時間はない急げよ。」
レオハルト士団長は最後に優しく囁き二人を送り出した。規則も命令も無視した私情混じりのこの決断に本来ならば不安や焦りを感じるはずなのに何故だろうか…
「頼もしいものだな…あの青年は。」
小柄なユースケのとは思えないその勇姿に圧倒され、そのようなつまらない感情は抱くことすらなかった。
ご精読ありがとうございました。
「異世界街道異常ナシ?」は書きたい内容がたくさんになってしまったため何分割かにしていこうと思います。若干グダグダ展開もあるかもですが、今後もよろしくお願いします。m(_ _)m
それと、近々前話で書き忘れた部分の書き足しと、細部修正をかけていこうと思います。修正後も当作品をよろしくお願いします。m(_ _)m