またちょっとずつ書き進めていきます。
《地の国 旧街道 》
「なんとか暗くなる前に着けたわね…」
「ここは…?」
旧街道の峠道を登った先の山の中腹、提灯のような無数の灯り彩られたログハウス風の集落と湯気が立ち昇る小川、そしてその上座には大きな赤い結晶体が火のソウルを逆巻かせ輝いていた。
「ここはポカポク、火の小霊石の村よ。地の国だと珍しいの。」
「小霊石って…あれの事?」
「そうよ?」
「小って言う割りにでかくね…?」
「たしかにポカポクの霊石は大きめだけど…それでも大霊石と比べたらずっと小さいわよ?」
「ふーん」
「今夜はこの村で泊まるから宿探し手伝いなさい。」
「俺たち急いでるんだよな…? 夜は進まないのか?」
「やめたほうがいいわ。夜の森は獣が湧く…」
「獣ってそんなに恐いもんなのか?」
「一匹だと大したことないけど数がね…焚き火や索敵術で対処は出来るけど、どっちみち足を止めなきゃいけない。」
「だからこうやって村に入るのが一番なの。」
「なるほどな。」
「それにポカポクには温泉もあるしね。さぁ行きましょ。」
(「ずいぶん上機嫌だな…」)
二人は意気揚々とポカポクの門をくぐる…その様子を遠く背後から玉石を付けたコウモリが傍観していた。
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《地の国 旧街道 峠道の外れ》
(パチ…パチ…)
男が一人、焚き火を灯し玉石に映る二人の姿を凝視していた…。
「やはりポカポクに入ったか…。」
「しかし…本当に護衛が一人だけとは…。」
「まぁいい…好都合だ。まずは地の
「行け、我が
男は2枚のカードを夜空へ掲げる…。
カードから影が飛び出し黒い巨翼で周囲の木々をざわつかせ飛び去った。
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《地の国 ポカポク 泉湯郷》
「ただいま~。」
「おかえり、どう? こっちの温泉は?」
「いや~軽くカルチャーショックだ~。」
「これはこれで打たせ湯みたいで気持ちよかったけど、こっちの世界のだと湯船って無いんだな。」
「か…かる? “ゆぶね”って何?」
「お湯を溜める場所さ、こう…全身お湯に浸かって温まるんだよ。」
「へぇ~そっちの世界だと貯まった水に浸かるのね。」
「こっちだとそんな事しないわ。流れのない水に浸かるのは良くないって言われてるし。」
「へぇ~」
ポカポクに着いて早々、俺達はポカポクで一番大きな温泉宿を探し、この『泉湯郷』に泊まろうと決めたのだった。
アミアが言うには大きな宿の方が人目が多いから安全と言っていたが…
(ジャラジャラジャラ…)
(「むふふふ…(*´ω`*)」)
多分嘘だ…。
本当の所は召喚士団から受け取った金で贅沢したかったとかだろう。銭袋は不自然な程膨れ、硬貨の擦れる音が景気良く聞こえてくる。
「さてと…アミア、昼間言ってた昔話のこと詳しく聞かせてくれないか?」
「あ~良いわよ。けど、歩きながらでいい? ちょっと行きたい場所あるの。」
「おう、じゃあ行こうか。」
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《地の国 ポカポク 温泉街》
立ち込める湯煙に提灯の灯りが乱反射し温泉街が幻想的にライトアップされている。石畳を叩く二人の足音に乗せるようにアミアはそっと語りだした…
「今から150年くらい昔、先々代の聖霊王は神霊樹の不思議な力や伝説を解明するため研究に明け暮れていたの。」
「しん…れいじゅ?」
「この世界の中心にある大きな結晶体みたいなものよ。」
「ずっと大昔に大きな戦があってね、それを鎮めた六人の賢者様が作ったもので、六つの大霊石から光を受けて木みたいに少しずつ成長してるの。」
「神霊樹には色々な伝説や古文書があって、『異界渡り』もその中の一つだった。」
「異界渡り…」
「ええ、そして先々代の聖霊王は古い伝説を解き明かし、自ら異界へ渡り、こっちには無かった様々なモノを持ち帰ってきた…」
「『ジパング』と呼ばれた言語、文字、暦…」
「それで記された沢山の学問書そして…」
「『機械』と呼ばれた動く金属仕掛け…」
「ジパング…」
「聞き覚えある名前みたいね…」
「ああ、大昔に日本を目指した西洋の探検家が使ってた呼び名だ…先々代の王様は中々洒落てるお方だったみたいだな…」
「間違いない、『異界渡り』の行き先は日本だ。この世界は日本と繋がっている!」
「希望が見えてきた?」
「ああ、ありがとなアミア。」
「神霊樹…まずはそこに行き着けば…」
「そう言ってる間にこっちも到着かな。」
最後の石段に足が掛かりアミアの目的地が二人の前に現れた。
「おぉ…!?」
火の小霊石が天目掛け聳え立っていた。
「近くで見るとまたすごいでしょう。さてと…」
「そういえば用事があるんだっけ?」
「ええ、そこの祭壇でこの子達を癒そうと思ってね。」
そう言うとアミアは懐から召喚獣を秘めた紅い霊珠たちを取り出して見せた。小霊石には囲う様に古びた石組みの祭壇が並んでいて、何人か祈祷する人影も見られる。
アミアも祭壇へ霊珠を供えると皆と同じ様に祈りだした。
「おやまぁ…あなた方、もしや召喚士様ではありませんか~?」
祈祷していた一人の老婆が話しかけてきた。
「こんばんはお婆さん、この子達にソウルを分けてもらおうと思ってね。あなた達の小霊石にちょっと厄介になるわ。」
「いえいえ~常日頃お勤め御苦労様です。今夜はどちらへお泊まりですか~?」
「泉湯郷っていうとこに泊まってます。」
「おやまぁ! 奇遇ですねぇ~私ゃそこの…」
突如、境内に突風が吹き付け、その場に居合わせた人全てが風の吹く先に視線を向ける。そこには…
(バサッ バサッ )
「!?」
「ギュオオオォッ」
紅い眼をした黒い飛竜が夜空の闇の中から姿を現したのだった。
「嘘…!?」
「きえぇー! 竜じゃー!?」
参拝者達は洪水の様に境内から逃げて行く。周囲には風で散った火のソウルと土煙が立ち込める…
(「ククククッ…」)
(ヒュッ…ヒュッ)
黒い飛竜の背中から何か境内に飛び込む影が見えた。
影は大きく跳躍しつつ小霊石前の二人へ迫り…
「!?」
「アミア! もう一匹何か居るぞ!!」
「え!?」
(パシッ)
「クリット!クリットッ!」
一瞬にして祭壇にあった霊珠を掻っ拐っていった。
「私の召喚獣が!?」
影の正体は『クリバンデット』、霊珠を盗るや否や一目散で飛竜まで戻ろうとしている…
「させるか!」
「キュオーン!」
ユースケはすばやく『破壊剣士の伴竜』を召喚し『クリバンデット』に飛び掛からせた。さらに…
「捕縛せよ、ルーツトーダス!」
「クルルォッ!!」
アミアは懐に残していたルーツトーダスを召喚し、蔓で竜を牽制する。
合流を妨害されたのを察してか、飛竜は上空に飛翔し蔓をかわし、『クリバンデット』も伴竜を振り払い温泉街へ逃げようとする…
「逃がすか! 追うぞ!」
「待ってユースケ、あの竜は…もしかして伝説の?」
「いや…あれは『
「よかった…なら勝てるのね。」
「どっちかって言うと『勝つしかない』んだがな俺たち…行くぞ!」
「ええ!」
次回、湯煙の攻防戦