多忙ながらもちょっとずつ、しっかり描き進めるのでよろしくお願いします。(*ω*;)
≪地の国 ポカポク 小霊石前≫
「あっ!?」
二人は石段の頂上からポカポクの温泉街を見下ろした。
『
「あいつめ…!」
『バスター・ブレイダー』を召喚しようとカードに手を掛ける…
「待って、ユースケ!」
「っ…何だよ!?」
「ここであの巨人を出したら余計混乱が酷くなる! 何か他の召喚獣は居ないの?」
「他の…」
デッキを広げ、モンスターカードに目をやる。確か『真紅眼の飛竜』は攻撃力1800、それと対等なモンスターは…
「…これなら!」
とある1枚に目が留まる。イラストではサイズまで分からないけれど、やつと同じ攻撃力1800、仮に小さくても互角に渡り合えるはず…
「行け!『竜魔導の守護者』!!」
夜空に向け掲げたカードは光を放ち、蒼い鎧と魔方陣を纏った戦士が現れた。
大きさは人より少し大きいくらい…これなら街の中でも闘えるはず。
「やった…召喚出来た!」
「竜魔導、あいつから街を守ってくれ!」
『竜魔導の守護者』はユースケの呼び掛けにコクリと頷くと、屋根を足掛かりに夜空へ跳躍し、街めがけ降下する飛竜を迎え撃つ…
「ハァッ!」
(ガキィン!)
「ギュオオォ!?」
守護者は魔方陣を展開し、降下してくる飛竜を上空へ弾き返した。
「よし! これなら…」
「アミア、あの飛竜は俺が食い止める。その間に伴竜と協力して石を取り返せるか?」
「ばん…りゅう…」
かつて自分と対峙したモンスター、敵視されるかもしれない不安にアミアは少したじろぐが……
「キュ!d(`・ω・´ )」
『よろしくね』って事だろうか? アミアに向けて伴竜は前足でサムズアップを送った。
「……ふっ、よろしくねおチビちゃん!」
アミアも伴竜の顔を撫で団結が結ばれたのだった。
「ユースケ、
「わかった!」
一人と一匹は召喚獣奪還を胸に石段を駆け降りる。ユースケはその後ろ姿に目をやり…
(「念のためお前も行ってくれ…」)
もう一枚取り出したカードから何かを召喚し、それをアミアの影の中に潜ませたのだった。
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《地の国 ポカポク 温泉街》
二人が『クリバンデット』を見つけるのは簡単だった。温泉街に逃げ込んだ毛玉は上空の飛竜へ見つかるよう周囲の人を蹴散らし人混みの中に円を書いていた。
「ギュォォ」
それを目掛け飛竜は降下するが……
「ハァッ!」
(ガキィン!!)
『竜魔導の守護者』の魔方陣により上空へ弾き返されるのだった。
「クリ……チッ」
「見つけた! あそこよチビちゃん!!」
「キューッ!」
伴竜が毛玉に飛び掛かり円の中で取っ組み合いになる。しかし……
「グリィッ!!」
毛玉に力ずくで振りほどかれ群衆の中へ逃げられてしまうのだった。
「くっ…待てっ!!」
二人は追撃を試みるも、毛玉は人を盾に、物を盾に、伴竜をかわす。避難する群衆も一層数を増しこのままでは……
(「ダメ…人が多くて捕まらない…」)
(「アイツをどこか広い場所に……」)
アミアは周囲に目をやる。道のどこもかしこも逃げ惑う人でごった返している中、温泉印の付いた壁に目が行く。
(「これだ!」)
「チビちゃん! アイツをあの壁の向こうに放り投げて!!」
「キュ…!? キュオー!!」
一瞬のスキだった。毛玉が群衆の足元に弾かれ転げたところを伴竜は喰わえ上げ、そのまま壁の向こうに放り投げた。
「クリリィー!?」
(ビシャ)
「やった! チビちゃん追うわよ!」
「キュー!」
続けて二人も壁を飛び越え毛玉を追う……
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《ポカポク 温泉街 大浴場》
「ク……リィ……?」
(ブルブルブル)
毛玉が放り込まれたそこは温泉宿の大浴場だった。既に避難が済んだのか人の姿はなく、湯の流れる音と自らの足音だけの静寂がそこにはあった。
(ピシャッ)
(ピシャッ)
「ク……!」
湯煙の向こう、足音が二つ……追跡者の登場である。姿こそ見えないがジリジリと迫るような気配が伝わる……
「…………」
「キュオーッ!!!」
静寂を破ったのは伴竜だった。湯煙を吹き飛ばし毛玉目掛け小さな拳を振り上げる。
「クゥッ!」
飛び掛かりを予測してたのであろう、毛玉は易々と伴竜をかわし反撃しようとする。しかし…
(バチンッ!)
「グリッ!?」
伴竜の尻尾に不意討ちされ叩き落とされる。そこへ…
「たぁぁあああっ!!!」
「クリリ!!?」
(パコーン!)
アミアの強烈な蹴りが炸裂し、毛玉は大浴場の壁際まで思いきり蹴り飛ばされた。
「グ…リリィ……」
毛玉はよろけながらも立ち上がり、応戦の構えをとる。
「さぁ、追い詰めたわよ…」
「大人しく私の召喚獣を返しなさい!」
「グルルルル…(`ω´)」
前方を二人で、後方を壁で塞ぎついに毛玉を追い詰めた。しかし…
「クリクリリ…」
『それはどうかな?』と返すように毛玉は指を振り、体毛の奥から大きな三日月刀を取り出すと、二人へ突き付け迫ってきた。
「ギュ………キュオッー!!」
「待ってっ!? チビちゃん!!」
伴竜も刃物を前に一瞬たじろぐが、石を取り返すため、果敢に毛玉に立ち向かう。だが…
「クリィッ!」
「キューッ!」
乱暴に振り回された刃に肩を斬られ、無力にはね返されてしまった。
「クリクリィッ!!」
「っ!? やめてぇ!!」
負傷し倒れる伴竜目掛け毛玉の凶刃が振り下ろされる。アミアは伴竜を庇おうと覆い被さるが………
湯煙漂う大浴場に刃物が肉を斬る不気味な音が響くのだった…
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《ポカポク 温泉街 屋根の上》
「ギュオォォ!」
(ガキィンッ)
「ハァッ!」
温泉街の上空では守護者と飛竜の空中戦が繰り広げられていた。
「くっ、こっちは飛べないし相手が空の上じゃ追撃出来ねぇ……」
良く言えば互角、悪く言えば防戦一方、温泉街への被害はごく僅かに食い止めているが、この避難の騒動で何時何処で火の手が挙がってもおかしくない。焦る気持ちに手を強く握り締める…
「何か良い手は…」
「ん?」
ボロ屋の屋根下、キラリと光る蝶が蜘蛛の巣に引っ掛かっているのがユースケの目に映った。
「蜘蛛の巣………」
「ギュオォォ…!」
その時だった。飛竜は何の前触れもなく守護者から離れ、温泉街の開けた一画を中心に旋回しだした。
「あそこに何か…?」
「まてよ、今なら!」
「竜魔導、次のタイミングで…」
「ンゥ? ウムゥ……!」
守護者はユースケから指示を受け、大浴場を見晴らせる位置に着き詠唱を始める。
「上手くいってくれよ…」
(「っ!? やめてぇ!!」)
「!?」
アミアの叫び声が大浴場の中から聞こえてきた。その声から毛玉相手に何か起きたのは明かだった。ユースケも屋根を伝わり大浴場まで駆けつける。
「アミア…」
眼下の大浴場は湯煙が湧き視界が霞んでいた。その霞みの向こうに床に伏せるアミアの姿が……
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《ポカポク 温泉街 大浴場》
目を瞑った暗黒の中、何かが斬られる音が耳に響いた。
「…………ッ!」
恐怖で強く閉じた目蓋を万力で持ち上げるように少しずつ開く。すると…
「…えっ?」
「グ…リィ…!?」
目の前には、真っ暗な人影のような『何か』に背後から抑え込まれ悶え苦しむ毛玉の姿があった。
毛玉の胸ぐらからは刃が突き出し、流血のように黒紫色の闇のソウルが傷口から流れている。
「な…何なの…!?」
影のようにアミアから延びた『それ』はゆっくり分離し、漆黒の外套を纏った青光りする人の姿となった。
「フフフフフ…」
(ザシュッ!)
「グリッ!!?」
影はさらに深く押し刺すように刃を立て、そのまま毛玉を持ち上げる。すると…
(キラ…キラ…)
(パシッ)
毛玉から召喚獣を秘めた霊珠が零れ落ち、影の左手に受け止められた。
「フフフフフ…」
(ドサッ…)
霊珠を受け止めるや否や、影は毛玉を振り捨て、アミアの方へ向き直す。
「……っ!」
アミアは正体不明の影を強く睨み、伴竜を強く抱き寄せる。すると…
「キューッ!(*≧ω≦)b」
「えっ?」
伴竜は親しそうに影に向け笑顔でサムズアップを送ったのだった。
「フフフフフ…(ドヤァ」
「え? 何っ!? チビちゃん、こいつ知り合いなの!?」
「お? やっぱり無事だったかアミア。」
「ユースケ!? こいつもあんたの召喚獣!?」
「あぁ『
「さすが永久制限カード、見事大活躍だったみたいだな。」
「フフフフフ…(ドヤァドヤァ」
「クゥ……リィ……」
(「ピィィィィィイッ!」)
瀕死の毛玉は消滅する直前、空へ向けかん高い指笛を鳴らした。
「来るぞ…!」
「え?」
さっきの口笛は合図だったのだろう、上空を旋回してた飛竜が急降下で大浴場めがけ突っ込んでくる…
「ユースケ!?」
「まだだ…まだ……」
「今だッ!!!」
瞬間、守護者の手から大浴場の上空をすっぽり覆うような巨大な魔法陣が放たれ、飛竜はそれに巻き込まれ動きを完全に封じられた。
「ギュ…ギュオォォ!?」
「よーし捕まえたぁー、あとは…」
「フフフ…(スッ」
影がアミアにスッと寄り、霊珠を手渡すとそのまま姿を消した。いきなり手渡されたアミアは危うく落としそうになりながらも受け取った霊珠とユースケに視線を送る。
「あとは頼んだぜ!」
「え!?」
「あの高さだと俺のモンスターじゃ届かないんだよ…」
「アミアの召喚獣はほら…翼あったろ?」
「…ふっ、わかった!」
「ソウルが強まってるからちょっと離れててね!!」
アミアは赤い六角柱の霊珠を上空の飛竜に向け、詠唱を始める。彼女の警告通り、周囲には以前より激しく火のソウルが逆巻き、湯煙をも更に蒸発させる……
『万物を還す紅蓮の炎よ、我が
『猛よ…召喚獣、ヴォル・グリフィス』
「クゥエエエェェェン!」
鷲頭の巨獣が炎の竜巻を纏い飛翔する。炎と魔法陣が花火の様に夜空の闇を照らし、その中心に磔になった飛竜は、迫り来る業火にもがきだす。そして…
「ギュオォォォォォ………」
鷲獣の放つ炎に包まれ、僅かな燻りと緑光する風のソウルの粒子を残し消滅したのだった…。
ご精読ありがとうございました。今回は場面切り替えが忙しなくなってしまいました。お見苦しい様でしたら申し訳ありません。けれど、その甲斐あってイメージしてたポカポクというステージを自分なりに上手く描けたかもと思います。次のステージをどう描こうか楽しみです。(*≧∀≦*)
急ぐ旅路は頂上越えの超酷道。一方、怪事件は真相迫る局面へ…
双方のゴールは果たして何処に???
次回、峠を越えて