二作同時進行はなかなかに大変だと、再認識いたしました。たくさん書かれている人達は凄いと感心しております。やっと第1話目をお送り致します。では、後程にて…。
「何‼ルーク王が戦死しただと⁉」
西方の国・コパルニクス国のコパ王は驚きを隠せなかった。
「あのガザト王にも引けを取らない程の強者が。いったい誰に倒されたのだ?」
「何でも大兵団の中にいる、小隊長を務めている者とか。」
従者のようにいる執事が入手した情報をコパ王に話す。
「そのような者に倒されたと言うのか。なんと恐ろしい事だ。あの国にはそれほどの強さを持った兵がゴロゴロいると言うことだぞ。我が国は太刀打ちできるかどうか………。」
と悩んでいるうちに一つの気がかりが出てきた。
「して、ザイルークの妃はどうしたのだ?」
執事も言いにくそうにしていた。
「話してみよ。」コパ王もさすがに執事の仕草でおおよその検討は着いたので、あえて聞く。
「はっ。ガザトール国に捕まり、無理やり妃にされてしまったようで…。」
「なんと!ガザトめ。そこまでやるか。」
驚きよりも憤りを隠せなかった。コパ王もこのままでは国を乗っ取られてしまいかねないと考え、決断をする。
「よし、アユラ国に急ぎ使いの者を。協力せねば2つの国共々乗っ取られるか、滅びるかだ。何としても阻止せねば。」
「はっ。直ちに使いを走らせます。」
「頼むぞ。」
執事も準備のためにその場を離れる。コパ王も部屋の窓から東方を眺める。
「ガザトめ。いったい何を企んでいる…。しかし、何故ザイルークなのだ?」
コパルニクス国は季節がバランスの良い恵まれた場所に位置している。作物も豊富で、貿易も盛んであった。
ザイルーク国は北方の山々に囲まれた土地で、季節は訪れるものの寒さの多い地域である。なので、寒さに適応した作物は取れるが、貿易はそれほど盛んというものではなかった。
それ故に、コパルニクス国の方が先ではないのか?と思うコパ王であった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
城内の廊下を靴音を一際響かせながら急ぎ足で、歩いていく者がいた。そう、銀髪のポニーテールに銀色の甲冑に身を包み、背中には例の剣を装備している。レザリアである。
階段を上がり大きな扉の前に立つと、静かに、そして人が一人通れる程の扉が開かれる。 中に進むと、扉も閉められ、玉座の間が目の前に。しかし、王の姿は玉座にはなく、むかって右側の窓から東方の国に向かって外を眺めている女性の姿があった。
「ナユラ様。」
そう呼んでレザリアは片膝をついて首を垂れる。
ナユラと呼ばれた女性はゆっくりとレザリアの方を向く。
「来てくれましたか、レザリア。」
レザリアは顔を上げてナユラを見る。
アユラ国の女王でもある、ナユラは黒髪をストレートに背中あたりまで伸ばし、綺麗な顔立ちで美人と呼ぶに相応しい。民からも慕われている。
にこやかではあるが、それが作り笑いであることは容易に分かった。
「何があったのですか?」
「あなたに大変な任務をお願いしたいのです。」
申し訳ないことを分かってはいるが、ナユラの切なる願いの方が勝っているのだった。
「一体それはどうゆう…。」
と最後まで喋ろうとしたレザリアをナユラが遮る。
「姉を助けて欲しいの!」
それを聞いてレザリアが眼を丸くする。
姉の事もよく知っているだけに、あまりに唐突過ぎて混乱してしまう。
「姉ぎみがどうされたのですか?」
再度、確認のために聞き直す。するとナユラは涙をポロポロとこぼし、泣き出してしまった。
レザリアも驚いて、慌てて優しく抱きしめる。
「一体どうされたと言うのですか?ナユラ様の姉ぎみの身に何があったのですか?」
「私から話そう。ナユラ様、宜しいですか?」
アユラ国に仕える参謀ラザクが気持ちを察して声を掛けてきた。
ナユラもレザリアに抱かれたまま、頷き返す。レザリアもラザクの方を向く。
ラザクもレザリアとナユラは幼馴染と知っているので、女王に対する態度を改めるというようなことはしなかった。
「参謀殿、これは一体…。」
「うむ。昨日、連絡があった。ルーク王が戦死したそうだ。それによってザイルークは陥落した。」
「なっ……。」あまりの大きな出来事に声が詰まる。しかし、直ぐに感じ取ったのかナユラを一度見て、ラザクに向き直る。
「では、ナユラ様の姉ぎみのカユラ様は…。」
「ガザトール国に拉致され、しかも強引にガザト王の妃にされてしまった…。」
それを聞いて愕然とし、そして憤りを露にする。
「なんて奴だ!ガザト王め!ルーク様どころかカユラ様まで………。許せん!!」
レザリアはナユラの両腕を優しく掴み、優しく声を掛ける。
「それで、私にカユラ様を助けて欲しいと言うのですね。」
「はい。このようなことを頼めるのは、あなたしかいないのです。どうか姉様を助けてください!!」
ナユラは力の限り懇願してくる。女王ではあっても一人の女性、まして姉の危機となればなおさらの事。
ただ、民の前では気丈でなければならない事も分かってはいる。なので、親しくしているレザリアに頼もうとしたのだ。
レザリアもその気持ちが痛いほど良く分かった。国を思う気持ち、肉親を思う気持ち、この姉妹は王族の中にあって凄く優しい姉妹であった。それをレザリアも、いや民全体も知っているだけに皆大好きでついてきている。
それだけに、激しい怒りと憤りを感じるのだった…。
「分かりました。私が必ずやカユラ様を連れて帰ります。私の命に代えても。」
「ダメ!」
「えっ。」
ナユラがレザリアに抱き着く。
「貴方も生きて帰ってきてください!絶対にです!貴方が死んだとなれば、私もこの世にいない事と思いなさい!いいですね!!」
「えぇぇぇ。」
ラザクも女王の発言を言及しようとしたが、レザリアの焦り様に逆に吹き出してしまう。
「くっくっくっくっく。そうだな、女王を絶対に悲しませてはならんぞ。」
とからかい混ざりで、レザリアにくぎを刺す。
レザリアもナユラの気遣いには頭が上がらない。笑顔でナユラに返事をする。
「分かりました。生きて連れて帰ってきます。」とナユラの手を取る。それを握り返すナユラであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
玉座を後にし、再び廊下を足早に歩いていく。
「何人か、仲間を連れて行くといいだろう。」
とラザクからのOKが出たものの、人選に悩みながら、城を後にした。
先ずは自宅に戻り、準備を始める。と言っても、大量の荷物を…というわけにはいかない。必要最低限に留める。
準備をしながら、一人思い浮かんだ人物がいた。
「そうだな、まず彼に頼もうか。」
引き受けるかどうかは分からなかったが、話せば納得してくれるだろうと、自宅を出て彼の家に。
広い通りから狭い路地へ。しばらく行くと右手に彼の家が。扉の前に立ち、ノックする。
「ごめんください、ニース君は居るかな?」
すると中で物凄い物音を立てながら、慌てて扉を開ける男が。
「レ、レザリア小隊長!お早うございます!」
レザリアはその男のあまりの慌て振りに、苦笑してしまう。
「クスクスクス、もうお昼近くだぞ。大事な話があって、寄らせてもらった。待っているから、準備が出来たら教えてくれ。」
「はっ!」と敬礼をして、再度慌てて扉を閉める。中で大きな物音を立てながら、片付けている様子が浮かんでくる。レザリアは外で苦笑いしながら、扉が開くのを待った。
やがて物音がしなくなり、暫くして扉が開く。
「すみません。お待たせしました!どうぞ!」
「お邪魔するよ。」と中へ進む。ニースも扉を閉めて茶の間へ案内する。
「どうぞ、お掛けください。」と椅子を勧める。
「ありがとう。」とそれに応えて腰掛ける。
彼は飲み物を出して、自分も向かい側に座る。
「で、小隊長直々に話しとは一体なんでしょうか?」
「うむ。私が女王から勅命を受けてな。それを手伝ってもらいたいのだが、何しろ危険な任務だ、強制することはできない。内容を聞いてもらって、それで判断してくれていい。」
珍しく慎重な物言いに、ニースもただ事ではなさそうだと、顔つきが真剣になる。
「で、任務とは何ですか?」
「女王の姉ぎみ、いわゆるカユラ様の奪還をすることだ。」
「な、なんですって!そ、それはどうゆう?」
「実はルーク王が戦死され、カユラ様がガザト王に拉致されて、無理矢理、妃にされたらしい。」
「はぁ?何て羨ましい、じゃなかった、とんでもないことを!」
「そのカユラ様奪還の任を内密に受けたのだ。少人数で、敵国に赴くことになるので、危険度がかなり高い。だから無理強いはしない。が、手伝って欲しいことも事実だ。どうだろうか?」
こればかりは、本人次第。行かないと言われたとしても恥ずかしいことではない。それほどに危険な任務と認識しているうえで、である。
だが、意外なほど即答で返事が帰ってきた。
「行きます!行かせてください。実は私は、ルーク王に憧れていて…、あ、今は小隊長に出会ってからは、すっかりレザリア隊長ですが。ですから、そのルーク王を手に掛け、カユラ様までとあらば、見過ごすことは出来ません!是非、一緒に連れて行って下さい。よろしくお願いします!」
と頭を下げるニース。
「ありがとう!よろしく頼む。」とニースの手をとって両手で握手をする。ニースも、驚きと恥ずかしさで、照れてしまった。
出発は明日と伝え、待ち合わせ場所を遠回りにはなるが、西側の門の横にとし、それまでに準備を頼む。と話し、ニースの家を後にした。
「さて、後は誰が良いものか………。」
と独り言を言いながら街を歩いて行く。
突然、左に方向転換をして歩きだした。
「酒場に行ってみようか。」
自分の部下を何人かとも思ったが、精鋭ばかりを引き抜いてしまうと、国が疎かになってしまうとも、思い至った。ならば、屈強の傭兵を何人か雇うことが出来ればと考えた。
暫く進むと、商店街が。その商店街をまたぐように道を進んでいく。突き当たって右に曲がると、正面に酒場が見えてきた。
レザリアはそのまま進み、酒場の扉を開き中へ入っていく。
中は昼間だというのに、中々に活気があった。傭兵らしきもの、一般の者、旅人らしき装備をした者、様々だった。装備をしたままだと目立ちすぎるので、自宅から普段着で行動していた。なので、顔をはっきりと分かっている者以外はほとんど気づくことはなかった。
一旦カウンターに腰掛ける。
何台かのテーブルがあり、1台は呑んだくれの傭兵達が…、1台は一般の飲み客が…。1台は傭兵客が…。もう一台は旅人のグループのようだった。
その内の1台のテーブル客が気になった。酔っぱらって大声で喋り散らしている傭兵たちではなく、もう1台のテーブルに座っている傭兵たちだ。モチロン軽装で来ていて、男1人の女2人で仲間のようだった。
男は、黒髪のショートヘアで細マッチョな体形で、女性の1人は、黄緑色のショートヘアに細マッチョ風、もう1人は茶髪のポニーテールだが細身の体系である。
話しかけてみようかと悩んでいるときに、先に話しかけた者がいた。その男は大柄でさっきの酔っぱらった傭兵だった。アルコールが十分に回っているのだろう。体全体がほんのり赤みがかっていた。
「よう、いいねぇ。女性2人をはべらせてよう。俺たちも混ぜちゃくれねーか?ん?」
茶髪の女性に話しかけたようだった。大男と一緒にいた仲間らしき者達も止める様子もなく、ニヤニヤと笑っている。下心が丸見えだった。
「悪いけど、付き合えないね。静かに楽しく飲みたいのさ。」
「なんだよ、つれーねーなー。一緒に楽しく飲もうぜ、なあ。」
とその大男が茶髪の女性の腕を掴む。
「ちょっと!」と黄緑色の髪の女性が、大男に怒鳴る。
同時に黒髪の男性が勢いよく立ち上がる。すると大男はその男性の方を向いて、女性の腕を掴んだまま睨み返す。
「なんだ!やるってのか!」
酒場の中に異様な緊張が走る。
「その3人は私の連れなんだが、これから大事な話があってね。悪いが離れてもらえるかな。」
スッと大男の傍に寄る。3人はその言葉に驚いたが、酔った大男はそこまで気にしてはいない。
「なんだ!先約は俺だ!横からしゃしゃり出るんじゃねーよ。それとも何か、お前が相手をしてくれるってか。」
大男は卑下た笑いを浮かべた。レザリアもニヤリと含み笑いをする。
「そうだな、剣でなら相手をしてもいいが?」
「んだとっ!!」大男は女性の腕を放し、レザリアの方へ向き直る。その仲間たちも顔色を変えて席から立ちあがる。
「なめられたもんだ。歴戦を生き抜いてきた、俺たちをコケにしてくれるとは。いい度胸だ。」
とテーブルに戻って、置いてあった斧を持ち出した。仲間たちもそれぞれ武器を持つ。
絡まれた3人も武器は無いものの立ち上がって戦闘の体系を取る。
「マスター。何か武器は無いかい?」
「はあい。これしか有りませんが、貴方なら十分でしょう。」
と渡されたのは、一本の木刀。
「はっ!なんだそりゃ!そんなもんで歯向かおうってのか。つくづくなめられたもんだな。なあ、おい。」
と仲間と笑いあう。しかし、そんなことはお構いなしに平然と言ってのける。
「クス、十分だと思うぞ。君たちをねじ伏せるだけなら。」
「なに!」
大男が怒りを露にして、両手で斧を構える。腰を低くとって戦闘の構えをとる。
「その減らず口、聞けなくしてやるわ!」
レザリアも木刀を構えて戦う姿勢をとる。
「喋るのはそろそろやめにしてくれないか。聞くにたえない」
「こんのアマぁ!!」
大男は斧を真上に振り上げてレザニアに向けて渾身の力を込めて振り下ろす。
しかしながら動きはレザニアの方が数段早かった。木刀を下段に構えて斜め上に横に薙ぎ払う。大男のすぐ脇を抜けながら、その胴体に一撃が入る。その衝撃が凄まじかったのだろう、斧を振り下ろす途中で硬直してしまった。
「あ…、が…。」
大男は白目をむいてその場に崩れ落ちる。レザリアは更に構えて仲間たちの方を睨む。
「次は誰が相手をしてくれるのかな?」
その傭兵たちは、慌ててテーブルに代金を置いて、サッサと逃げるように出ていった。気絶している大男を残して…。
「ふう、この木刀もなかなかのものだね。折れるかと思ったよ。」とマスターに木刀を返す。
「いえいえ、貴方の腕なら折るどころか7,80人はいけるでしょう。いいものを見させてもらいました。その男には迷惑していたので、助かりましたよ。こちらで片づけておきます。」
「ありがとう。済まないな、散らかしてしまって。その分も払うから、言って欲しい。」
「とんでもない!こちらも助かったのです。修理代なぞ要りませんよ。ありがとうございます、レザリア小隊長様。」
「な、」
「レ、レザリア小隊長だって!!」
「なんで、こんなとこに。」
3人とも驚いた。イメージとして酒場には顔を出すことは無いと思っていた。しかも、国の中では知れている人物だけになおさらだった。まして絡まれたところを助けてくれるとは。
レザリアは立ったまま硬直している3人に優しく声を掛ける。
「びっくりさせて済まない。初対面だが、君たちに話があることも事実だ。どうだろう、話を聞いてもらえるかな。」
「は、はい。どうぞ、こちらに。」と茶髪の女性が、椅子を用意する。
「ありがとう。みんなも座って。マスター!飲み物を頼むよ!」
「はあい、了解でーす!」と準備を始める。
「あ、あの…、」と黄緑色の髪の女性がもじもじしながら緊張しつつ話しかける。
「ん、何かな。」とその女性の方を見る。
「わ、私はアルダと言います。傭兵をしていますが、レザリアさんに憧れて剣士になりました。」
「え、私を?」
「はい、俺たちもそうです。俺はザッシュ。大剣を使います。こっちはテルーシャ、弓を得意とします。3人とも貴方に憧れて、傭兵になりました。」
それにはレザリアの方も驚いた。まさかニースの他に自分に憧れている者達がいようとは。それに嬉しくもあった。自分を好いてくれている人達が、意外といるとは思わなかった。
「はあい、おまたせ~。」とマスターが飲み物を運んでくる。
レザニアもニコッとしながら、ジョッキを片手に
「これも何かの縁だろう、4人で乾杯といこうか。」
「乾杯!!」と4人同時に上に持ち上げ、ジョッキをぶつけ合う。それぞれ、いい感じに飲むとテーブルにジョッキを置く。
「それで、私達に話しとはなんでしょうか?」
とテリューシャが話を切り出す。
「うむ。これから話すが、先ずは確認させて欲しい。君たちは今誰かに雇われているかい?」
「いいえ。契約が切れてしまって、これからどうしようかと、話していました。」
「なら、良かった。あなた達3人とも私に雇われてみないか?」
とレザリアは3人の顔を見回す。3人は急に転機が回って来たと、喜ぶ。
「い、いいんですか?あたしらなんかで。」
逆に信じられないとアルダがレザリアに聞き返す。
「君たちを見込んでのことだが、その軽装にしてはしっかりとナイフ等を装備しているし、先程教えてくれた武器からも、君たちの方が歴戦の強者と見た。だから君たちを雇おうと思った。」
そこまで言われれば断る理由はないと3人は納得し、雇われることにする。
「分かりました。よろしくです。」
「で、これから俺達がする仕事と言うのは何ですか?」
3人とも、そこが知りたいと、レザリアを注目する。レザリアも無言で頷いて、肝心の話を切り出す。
「実は私と部下一人と、君たち3人の5人で、ガザトール国からカユラ様を奪還する。内密の任務なのだ。しかし、かなりの危険が伴う。だから、一緒に行く行かないは君たち次第だ。しかし、行かないとしても、私の専属としてずっと雇いたいと思うが、どうだろうか?」
3人は驚いてお互いに顔を見合わす。しかし、こちらも意外に即答で返事が帰ってきた。
「レザリアさんと行きますよ。確かに危険でしょうが、暴れられそうだし。」
「そうだね、面白そうだし。」
さすがは傭兵だな。と苦笑いしつつ、
「遊びじゃないことだけは認識してくれよ。」
「了解です、レザリアさんと一緒に旅が出来るんですよ、浮かれちゃいますよ。」と3人とも嬉しそうだ。危険よりもそれが勝っている。
「それで、部下の人はどんな人なんですか?」とテリューシャが。
「あぁ、私の部下の名前は………。」
とそこまで言いかけた時に、慌ただしく店に飛び込んで来たものがいた。
「た、隊長!無事ですか!」
思い切り突っ走って来たのだろう、体全体で息を切らしている。
「まったく、…勘弁…して…くださいよ…はぁ…はぁ…ち、ちょっと何か飲み物を…」と顔を上げて見回し、そばにあったジョッキを掴み、一気に飲み干した。
「あっ………。」
それを見て3人同時に声を上げる。
「ん?」と3人の反応に、前を向くと眼を閉じて右手拳をプルプル震わせているレザリアの姿が。
「えっ、…あっ……」
その反応に、慌てて翌々見てみると、手に取ったジョッキがレザリアの目の前にあった物だと、認識する。
彼の顔から、血の気が一気に引いていき、脂汗と共に震え出す。
「ニース君、歯を食いしばってもらおうか。」
さすがに別な意味での殺気を感じて、3人が立ち上がって、後退りする。
「た、隊長、こ、これは、その…、ま、待ってください!不可抗力です!ま、待って!いや~~~~~~~!!!」
次の瞬間、ニースと呼ばれた男は、大きく宙を舞って反対側の壁に激突し、その場に果てる。
3人はお互いに、
(この人に逆らっちゃイケナイ……)
と固く決意するのだった………。
お読み頂きありがとうございます。
自分の2作共、楽しんで執筆させてもらってます。今後共、亀更新ではありますが、書き綴っていきますのでよろしくお願いいたします。
次回も、読んで頂けることを願って。
では。