私自身は執筆を諦めてはおりませんで。何とか、少~~~しずつですが、進めていた次第……。ささ、読んでやってください。後ほど後書きにて。
では、物語りスタートです……♪♪
日差しの強い、雲なき晴れ渡る中をレザリア一行は、森の道を進んでいた。
獣道ほど酷くはないが、整備されている訳でもなかった。人々が同じ道を通り続けて出来上がった道…。その道を5人組は乗り物等を使わずに歩いて進む。
馬車では段差が有りすぎて、しょっちゅう車輪の故障に見舞われそうだったからだ。なので、あえて歩くことにしたのだった。次の村からは馬で移動してもいいかもとは考えていた。
鳥の歌声も良く聞こえ、暖かい日差しの中を一行は進んでいく。やがて小高い丘に辿り着くと、レザリアが声を掛けた。
「よし、小休止しようか?」
レザリアは手荷物を足元に降ろす。
「やった~、休憩~。」
「おぉ、肩が痛い。」
それぞれその場に荷物を降ろしていく。お互いに飲み物を手にとって喉を潤す。
レザリアにつられて、見えはしないが全員目標の国の方向を見据える。それぞれに思いを馳せていた。
「ここから、もう少し進んだ所で休もう。キャンプになるとは思うが、よろしく頼むよみんな。」
「「「「了解です。」」」」
「隊長?まだ目的地が見えませんね。」
「そうだな。まだまだこれからだろうな。気は抜けないが。」
そう言いながら、荷物を背負い直す。
「それじゃあ、行こうか。」
とレザリアが先頭で歩き出す。4人もそれに続いて歩き出す。
目的地までは距離はあったが危険に遭遇することもなく、キャンプの出来る場所に無事に着くことが出来た。
小川が流れている所で、その脇に空き地のようなスペースもある。西日の強い夕暮れになって来ていて、5人は早速、キャンプの準備を始めようとした時だった。
「グゥルルルルル……。」
暗がりの茂みの奥から獣の威嚇する泣き声が聞こえてきた!5人とも即座に鳴き声の方を見る!
「全員、荷物を中央に集めて、戦闘体勢だ!」
レザリアがそう叫ぶと、4人は荷物を一ヶ所に集め、囲うように陣形をとる。
おのおのの武器を構えて、奇襲に備える!
やがて二つの赤い光が現れだす!それが徐々に数が増えてくる!
「コイツは厄介な奴に絡まれてしまったな。」
とレザリアが、苦虫を噛んでいた。
「隊長、コイツらは?」
ニースが初めて見るモンスターだったようで、レザリアに声を掛けてきた。
「ゼブラダークウルフだ。集団で人や家畜を襲う危険な魔物だ。一匹でも残せば果てるまで執拗に追いかけてくる厄介な奴だ。」
「そうなんすか、そりゃたちが悪いな。」
「数はどの位になっている?」
レザリアは武器を構えたまま、誰となくきいた。
「少なくとも百以上はいるかと。しかもこれだけいると言う事は…。」
アルダも知っているようで、言葉を濁す。
「知っているのか?」
ニースが驚いて、アルダの方を向いていた。
「あぁ、あたし達も以前遭遇してさ、てこずった記憶がある。」
「マジか…。」
ゼブラダークウルフの姿が見える程に近づいて来ていた。
狼の姿ではあるが、体毛が黒と灰色の縞模様で、通常の狼より一回りは大きい。その群れが百匹以上とはかなり危険な事だ。
「ボスがいるな…。」
「なっ、ま、まあ確かにこれだけの群れを統率してるってことは、居てもおかしくないってことですか…。」
「そうだな、やはりだ。いたぞ。」
レザリアが剣を向けてその群れの奥を見据える。すると、そのゼブラダークウルフの体躯より十倍はあろう巨体のダークウルフがゆっくりと暗闇の中から現れた。
「中々の体格だな。昔遭遇したときのダークウルフはもう少し小さめだった気がしたが、別格か?」
ボスとレザリアの眼の飛ばしあいが暫く続いた。その周りはおろか森ごと静まり返り、緊張感が半端なく高まる!が、最初に動いたのはボスの方だった。
顔を真上に上げ高らかに雄たけびを上げる!!それによりウルフたちの狩が始まった!それぞれ5人に襲い掛かる!
「来るぞ!気を抜くな!!」
「「「「了解!!!」」」」
狼たちは容赦なく襲い掛かって来ていた。
レザリア達はそれぞれの武器で薙ぎ払い、叩き割り、打ち抜き、切り捨てる!だが、どう見ても多勢に無勢、5人で5頭ずつ倒してはいくものの、倒しきるまではスタミナが持たない。
まして倒しきったとしても、最後にはボスが控えている。レザリア達はかなりのピンチに晒される事になった。
「くっ、腕が痺れてきやがった!」
「あたしもだ。まずいな、このままじゃ潰されるよ!どうします、隊長!!」
アルダがレザリアに支持を乞う。(くっ、何かいい方法はないか…。)戦いながらもレザリアが返答に困っていた時だった。
「一つだけ方法があるわ!」
「「「「えっ!!」」」」
声を発していたのはテリューシャだった。
「初めての業だからうまくいくかどうかは分からないけど、やらせてもらえるなら。」
その物言いに、レザリアも自信なさげに言ってはいても気持ちは十分にあると理解した。
「分かった!テリューシャに任せる!頼んだぞ!!」
テリューシャもニコリと笑ってすぐに体制を作る!
「私を中心にして下さい!業の集中に少しかかります!敵を近づけないで!!」
と4人に囲まれるように中心に立つ!!
「「「「了解!!」」」」
「絶対に近づけるな!!」
「「「おう!!」」」
4人は力の限りに剣を振るった!その中でテリューシャも気持ちを整えて背中から一本の矢を取り出した。真っ白な矢じりと羽に朱色のラインが入った、特別な矢のようだった。その矢をつがえて弓を弾き、なんと天を向いたのだ!すると、矢じりと羽が白く光り出す!
「魔を滅する白き矢よ!千の光矢となりて敵を滅ぼせ!魔塵白羅《まじんびゃくら》!!!」
天に向かって矢を放つ!光矢は肉眼で見えなくなるまで上昇すると大きな光となって弾ける!
狼たちも光の矢が空に向かって上がって行くのに驚いて見つめていた。上空では弾けた光が無数に光だす。それが少しずつ大きくなりだした。
テリューシャがボスの方に向き直って不敵な笑みをこぼす。
「あら、いいのかしら。逃げるように命令しなくて。」
その言葉にボスも気づくがすでに遅し!数百とも思える光の矢がレザリア達を避け、ウルフ達に降り注いだ!!狼たちも慌てふためいて逃げ惑うが間に合わず、胴体に突き刺さる物、口の中を貫通する物、眉間に突き刺さる物、足を突き抜ける物、パニックに陥り統制をとれなくなっていた。ボスも矢を避けるのに必死で、号令を掛ける事が出来ない!
「すげえな。いつの間に覚えたんだ、この業?」
「色々技を研究してたら覚えちゃって。」
「マジか!業を考えるのは昔から好きだったよな。」
「ほう、それは凄い事だな。今度私の業も一緒に考えてくれるかな?」
「は、はい!喜んで♪♪」
テリューシャが魔物そっちのけでよろこんでいる!
ほとんどが、光矢の攻撃を受けて倒れていった。一気に全滅に近い状態になっていく。
まともに残っていたのは6頭とボスのみだった。
「さて、のこるはお前達になったぞ!どうする?」
声は分からずとも、一応話しかけてみる。
しかし、その甲斐虚しく聞き入る事はなかった。
「ウォォォォォォォ……!!!」
ボスウルフが怒り、顔を上げて咆哮を上げ残りの6頭にも襲い掛かるように指示を出す!それぞれが1頭ずつジャンプして次々に飛び掛かってくる!
5人はそれぞれ1頭ずつ、薙ぎ払っていく。ボスウルフもジャンプして右前脚を振り上げ、爪をむき出しで振り下ろしてくる!!それを上段の構えで受け止める者が……。
「「「「隊長!!」」」」
そのボスウルフのパワーはレザリアの足元を深さ30センチ程のクレーターを作る!
「来るな!!」
レザリアが大声で、近寄ろうとしているアルダ達を制止した。
「し、しかし!!」
「すまない!みんな、離れてくれ!!」
更に離れるように指示を出す!
「分かりました!いざとなったら援護します!」
テリューシャが矢をつがえたまま、後方に下がる。他の3人もレザリアの方を注視しつつ、離れる。
レザリアは皆が離れたのを確認すると、そのまま剣でボスの前脚を払いのけ、剣を構えなおす!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
レザリアが牙突の体勢で、ボスを見据えたまま気持ちを集中する!体中から気が溢れ出し、全体を包み込んでいく!
ボスがその荒々しい気を見て一瞬、怖気着く!それをかき消すように高くジャンプして両前足を振りかざし、爪を全開にむき出し、振り下ろしてくる!!
「ガァァァァァァ!!!」
レザリアが同時に動いた…………。
「剣技!虎皇烈波《こおうれっぱ》!!!」
襲い掛かってくるボスに対し、胸のあたりに牙突を繰り出し、胸に当たる前で、剣先に気を全て集める!!球状になった気が一瞬で凝縮し、ボスの体内に入り込む!そして一気に背中全体を突き抜けていった……。その衝撃で、地面に降りられずに激痛と共に吹き飛ばされる!!
「ギャフッッ!!!」
後方の巨木数本をなぎ倒して、その場に崩れ落ちる。戦意も意識も失われていた……。
ゆっくりと剣を降ろし、ボスを見据えるレザリア……。そのあまりの気の凄さに改めて怒らせてはいけないと誓う4人だった……。
「死んだんですか!?」
そばに寄ってきたニースが声をかけてくる。アルダ達もレザリアの傍に寄ってきた。
「いや、死んではいない。気を失っているだけだ。」
「え、マジ!じゃ、とどめを刺さないとまた襲って来るんじゃ……!?」
と、4人は武器を構えなおす!しかし、レザリアはそれを制した。
「大丈夫だ♪♪」
にこやかに話すレザリアに一同驚きを隠せなかった。
「な、なぜですか!?」
「危険ですよ!?」
そうこうしているうちに、ボスが気が付いてむくりと上体を起こしだす。それに慌てたテリューシャも矢をつがえる!
「まて!!」
矢を掴んで、放つのをやめさせる!怪訝な顔でレザリアを見る!ゼブラダークウルフのボスが巨大な体躯をゆっくりと前に進んでくる。レザリアも前に出る。
「た、隊長危険です!!」
「下がってください!!」
ほかの4人は武器を降ろそうとはせず、レザリアに危害が及ぶようなら躊躇なく攻撃しようと身構えていた。
ボスとレザリアが目の前に立ち、暫く眼を見つめると、突然意外な行動に出た。ボスがその場にお座りの状態になり、方前足の指を少しかじり、血を滲ませたのだ……。4人もレザリアの後方から何が起きているのか分からず、
その場を動くことが出来なかった。
しかも、意外な行動はボスにとどまらず、レザリアも……。
剣を収め、短剣を持って同じく指を少し切り、血を滲ませた。それをボスの血の滲んだ指に重ねたのである。
4人はなおも唖然としてしまい、不思議な光景に腕に力を入れることも出来ず、武器を降ろしてしまった。
「これで、契約は完了した。これからは、私の従者だ♪♪」
追い打ちをかけるように意味不明の発言に4人の眼が一斉に小さな点になった……。
「「「「ええぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」
半径数百メートルに響き渡る絶叫がこだまする中、にこやかにボスの頭を撫でるレザリアと、ゴロゴロと甘えだしたゼブラダークウルフのボスは落ち着くようにと声をかけるのだった………………。
読了ありがとうございます。またまた間をおいてしまうかもしれませんが、執筆を諦めたわけではありませんので、どうかよろしくお願いいたします。
では、また次話にてお会いできることを切に願って…。