1週間後、ルルーシュとC.C.は無事日本に渡り、今は東京から少し離れた街にいた。
しかし…
「………」
「なぁ、ルルーシュ、いい加減機嫌直せよ」
ルルーシュの機嫌がすこぶる悪かった。
「…………」
「しょうがないだろ?お前は変装しないと入国出来ないんだから」
「……その変装に問題があったんだろうが…!」
「似合っていたからいいじゃないか。それに、私が見繕った服は''可愛かった''だろ?」
「コイツ…!!」
ニヤニヤしているC.C.を見て怒りが天元突破しそうになったが、他にやる事がある為、ルルーシュはぐっと我慢した。
「…まぁいい。とりあえず、さっさとジェレミアのオレンジ農園を探すぞ」
「フッ…、勝った。敗北が知りたい」
「バカな事言ってないで早く探せ!」
ルルーシュとC.C.の2人は、日本に渡ったのはいいが肝心のジェレミアが営んでいるオレンジ農園の場所が分からなかった。
なので、ルルーシュ達は今いる街で聞き込みをし始めるのだが、
「知ってる人が中々いないな。……C.C.、お前、見覚えがあり過ぎる食べ物が描かれた紙を持っているが、いったい何の聞き込みをしているんだ?」
「ピザ◯ットの店舗の場所」
C.C.が全く関係ない事を聞いていた。
「何を探しているんだ!今はピザ◯ットを探すんじゃなく、オレンジ農園を探せ!!」
「えー」
「えーっじゃない!!…ったく、せめてオレンジ農園の名前さえ判ればいいんだが…」
「いや、それが判れば場所も判ると思うんだが?」
「………」
「……ルルーシュ、お前…」
「…俺ってこんなにバカだったか?」
「いいんじゃないか?それだけ平和だっていう証拠だろ?」
落ち込むルルーシュに、C.C.は苦笑いを浮かべながらフォローする。
嫌いとは言わないが、常に気を張りながらゼロをやっていた頃や、世界の為とはいえ、自身が死ぬ為に皇帝をやっていた頃のルルーシュはあんまり好きではなく、滅茶苦茶頭が良いくせにどこか抜けてる今のルルーシュのほうが、C.C.は好きだったりする。
「ねぇ…」
「「ん?」」
後ろから声をかけられ、ルルーシュとC.C.が振り向くと、声をかけてきた人物を見て固まってしまう。
何故なら、そこに立っていたのは元ナイトオブラウンズのアーニャ・アールストレイムだったからだ。
「2人とも、ジェレミアのオレンジ農園に行きたいの?」
「あ、あぁ…。お前、場所が判るのか?」
「うん。私はそこで働いているから。2人はジェレミアの知り合い?」
「ジェレミアが、オレンジ農園を始める前からの知り合いだ。ジェレミアに会いに日本に来たんだが、連絡もせずに来たもんだから場所が判らなくてな…。できたらその場所を教えてくれないか?」
「私、今からオレンジ農園に向かうから、よかったら着いてくる?」
「いいのか?じゃあ、よろしく頼むよ」
と、アーニャが連れて行ってくれるそうなので、ルルーシュはそれに着いていくことにしてお願いをした。
「そういえば、2人の名前まだ聞いてない。…名前教えて?」
「あー…。俺たちの名前を教えるのは、オレンジ農園に着いてからでいいか?ちょっと訳ありで、ここでは言えないんだ」
アーニャが名前を聞いてきたが、街中ではフルネームを言えないため、オレンジ農園に着いたら教えると、ルルーシュは答えた。
「…わかった。じゃあ、2人ともついて来て。ここからオレンジ農園まで、3時間近くかかるから」
そうして3人は、オレンジ農園へと向かった。
それから3時間ほど電車に乗ったり歩いたりしていると、立派な大量のオレンジが成る農園に着いた。
「これは、すごいな…」
「かなり立派なオレンジじゃないか」
立派なオレンジの木を見たルルーシュは驚き、C.C.は感心した。
「ありがとう。…ジェレミアはこっちの建物にいる」
その言葉を聞いたアーニャは2人に礼を言って、先に見える大きな屋敷へと案内した。
アーニャが屋敷の中に入るとそこにはジェレミアが立っていて、それに気づいたジェレミアが声をかけた。
「おぉ、帰ったかアーニャ」
「ただいま。頼まれたもの買ってきた」
「うむ、ご苦労であった」
「それとジェレミア、貴方にお客様が来てる」
「私に来客?」
その言葉に、ジェレミアが疑問に思っていると、建物の扉が開き、そこから入ったきた2人を見て、ジェレミアは驚愕した。
「…久しぶりだな、ジェレミア」
「……ぉぉぉおおおおおおおお!!そちらの女性と、その隣に立っておられる方はもしや!?」
「ああ、俺だ。今はこんな風に変装しているがな」
「ルルーシュ様!!それにC.C.!!よくぞここにお越しくださいました!!!このジェレミア感激でございます!!!」
と、ジェレミアが滝のような涙を流しながら言ってくるものだから、ルルーシュとC.C.は苦笑いを浮かべるしかなかった。
ジェレミアと再会したルルーシュは、近くで固まってるアーニャの方を向いた。
「久しぶり。それと、すまなかったな。…俺の名は、世間では死んだことになっている、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ。クローンでもなんでもない本物だ」
と告げ、それをC.C.は心配そうにルルーシュを見て、何かあったら自分が守ろうと、いつでも間に入れるよう準備した。
「…大丈夫、少しビックリしただけだから。安心して?誰にも言わないから」
ルルーシュの正体を聞いたアーニャは、そう答えた。
「申し訳ございませんルルーシュ様。勝手ながら、アーニャにはゼロレクイエムの真実を話させていただきました。流石に生きていらっしゃる事は伝えておりませんでしたが…」
「ジェレミアから全て教えてもらった。ゼロレクイエムの事や、シャルル元皇帝とマリアンヌ様がやろうとした事も、そしてギアスの事も…。ルルーシュ君やジェレミアのおかげで、私は自分の記憶を取り戻すことができ、ルルーシュ君…ルル様の事も思い出した」
「…そうか、俺の父と母が申し訳ない事をした…。しかし、記憶を取り戻す事が出来たのはジェレミアのおかげであって、俺は何もしていない」
「それでも、ルル様が行動を起こさなかったら、私は記憶を取り戻す事もなく、偽りの記憶と記録頼りで生きていくしかなかったし、シュナイゼル殿下を止めてくれなかったら、今の世界はフレイヤによって管理された、悲しい世界になっていた。だから…」
「!?、いったい何を…」
いきなり、目の前で跪いたアーニャを見て、ルルーシュは驚き、慌てて声をかけた。
「貴方が行動を起こしてくれたおかげで、自分は記憶を取り戻す事ができ、貴方のおかげで、世界は明日に向かって進むことが出来るようになりました。…本当にありがとうこざいます。貴方が起こしてくれた奇跡、絶対に忘れはしません。そしてこの命が続く限り、私の意思で貴方に尽くします。我が主、ルルーシュ様」
アーニャのその言葉に驚いたルルーシュは目を見開いて、その後、目を瞑った。
「…そうか。なら忘れないでくれ。明日を求めて生きるという事を。それを忘れさえしなければ、俺の行動に意味があったと思う事が出来る。…ありがとう、アーニャ」
「良かったな、ルルーシュ」
そう呟くルルーシュに、C.C.はそう言いながら微笑んだ。
それから少し時間が経った後、ルルーシュとC.C.は、屋敷の中にある1室に案内され、4人は部屋にあった椅子に座り、ルルーシュたちはジェレミアが育てたオレンジを食べながら、今までの旅での出来事をジェレミアとアーニャに話してたが、途中でジェレミアがある事を思い出した。
「そういえば…」
「どうした?ジェレミア」
「いえ、あくまで噂程度なんですが、日本の首相である扇が、黒の騎士団の総司令代理を務めている藤堂に、ある依頼をしたという話がありまして」
「依頼?…あぁ、中華連邦の事か?」
「ご存知でしたか」
「いや、日本の高官の家族が誘拐され、中華連邦の街に監禁されたのを、騎士団が救出して解決したというニュースを観てな。…まぁ、その報道はデマで、扇と藤堂は何か隠してると思っているが。ジェレミア、お前は何か知っているのか?」
「はい。噂ではありますが、扇は中華連邦のある場所の調査と、緑髪の少女の捜索を、藤堂に依頼したという話があります」
「緑髪の少女ということは、C.C.のことか?」
「おそらくは」
と、答えるジェレミアにルルーシュとC.C.は、自分たちには無関係だと思っていた事が思いっきり関係していて驚くしかなかった。
「扇本人はその噂を否定していますが、間違いなく事実でしょう」
「何故、扇が私を探しているんだ?」
「…もしかしてギアス関連か?」
「扇がC.C.を探す理由はそれしかないでしょうな。それに、C.C.の捜索と同時に中華連邦のある場所の調査というのも想像ができます」
「まぁ、私を探すのと同時に調査する場所なんてギアス嚮団跡地しかないだろうが…」
「それで?扇が嚮団跡地の調査と、C.C.の捜索を依頼した理由は判っているのか?」
「噂程度なので、そこまでは…。ただ、ある程度の予想はできます。…先の戦争後、扇の手腕が悪い事で日本の復興が他国に比べてかなり遅れており、そのせいで、合集国としての立場が悪いと言われています。なので扇は、日本の復興が遅いのは悪逆皇帝ルルーシュのせいにしようと思っているのかもしれません」
扇が考えているであろう事に、C.C.は呆れる。
「それが通ると思っているのか?ルルーシュが皇帝として今も生きているのならルルーシュの責任に出来たかもしれないが、世間ではもう、ルルーシュは死んだ事になっているんだ。その後の事なんて、自分達の責任だろ」
「たぶん、俺のせいにするのと同時にギアスの事も公開し、俺が生きてる時にギアスを使って復興がうまくいかないようにしたんだ、とでも言うつもりかもしれん。C.C.に関しては、俺にギアスを与えた者として、処刑なりしようと考えているのかもな。…無論、そんな事させるつもりはないが」
ルルーシュはC.C.の頭を撫でながらそう呟き、そんなルルーシュに、C.C.は頬を染めて照れ隠しに横を向いた。
「大丈夫。ルル様とC.C.は絶対に守るから」
そこにアーニャがそう告げる。
「ところでジェレミア、手紙はないか?スザクに手紙を送りたいんだが…」
「それでしたら、枢木に通信が出来るようにしておりますので、通信をしてみますか?」
「本当か?…ならそうしよう。ジェレミア、よろしく頼む。」
「承知しました」
そう言ってジェレミアはスザクに通信する為、準備を始めた。
今日中にもう1話投稿する予定です。