コードギアス −魔王と魔女の旅路−   作:アンサラ

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第14話

カレンとC.C.とアーニャは今、東京内にあるカレンの自宅へと来ており、移動している間、カレンとC.C.は一言も喋っておらず、アーニャはそんな2人を心配そうに見ていた。

 

そして、自宅内にあるカレンの自室に、C.C.とアーニャの2人が入ったのを確認して部屋の扉を閉めたあと、

 

「本当にごめんなさいっ!!!」

 

カレンはC.C.に向かって土下座をした。

 

「カ、カレン、お前、いったい何を…」

 

予想だにしていなかったカレンの行動に、C.C.は驚きの表情を晒す。

 

「私はあの時、ルルーシュにゲームの駒だと言われて裏切られたと思っていた。でもそれは、私を銃を向けられてる自分から離す為の嘘で、ルルーシュは助ける為には嘘をつく人だと知っていながら、私はそれを信じて離れてしまった。そして、黒の騎士団に裏切られたルルーシュは、ブリタニア皇帝になってゼロレクイエムを決行させて逝ってしまった」

 

カレンの言葉を聞いているC.C.は、最初こそ驚いた顔をしていたが、次第に険しい顔へと変わっていく。

 

「それと貴女にも酷い事を言った。ダモクレスの戦いの時、私は貴女に「人間らしい事を言うのね」って、まるで貴女が人間じゃないような事を言った。貴女はどんな存在であれ、ちゃんとこの世界で生きてる1人の人間だというのに。……それも謝りたくて」

 

カレンの独白を聞いていたC.C.は、険しい表情のまま口を開いた。

 

「……私の事はいい。何とも思っていないからな。だが、あいつの事に関しては謝って許される問題だと思っているのか…?お前達は日本を取り返す為に、ルルーシュを敵国の宰相であったシュナイゼルに売ったんだぞ?それが許されると思っているのか…っ!」

 

当時のルルーシュが感じていた絶望を思い出したのか、C.C.の口調が徐々に強くなっていく。

 

「そもそも!何故敵国の宰相に自分達のトップを売る事が出来る!?これはあり得ない事だと、これはおかしい事だと、どうしてお前は疑問に思わなかった!?それにお前は2度もルルーシュを裏切っている!ルルーシュの思いを知っていながら!!」

「私は…私達はとんでもない事をしてしまった。許されるとは思ってない。…だから、私は罪を償う為ならなんだってする」

「当時、お前たちに裏切られて、様々な出来事で大切な者達を失っていく事に絶望していたルルーシュは、自身の贖罪の為でもあったが、それでもお前達が…世界の人々が幸せに笑って過ごせる世界が来るならと言って、ゼロレクイエムを決行したという事を分かっているのか!?答えろ!紅月カレン!!」

 

C.C.の怒りの叫びを、カレンは土下座をしたまま聞いている。

 

「…分かってる。でも私の頭では、こうやって頭を下げて…土下座をする事しか考えつかなかった」

「……それはルルーシュに謝るべきであって、私に謝っても意味が無いだろがっ」

「…ルルーシュを裏切ったのと同じように、貴女の事も裏切ってしまった。もし、ルルーシュに会えるのであれば会ってちゃんと謝りたい。でも、私達の身勝手な裏切りのせいで、ルルーシュにはもう会えなくなってしまった。だけど貴女は生きている事を知っていたから、直接会ってちゃんと謝りたかった。……それで許される事では無いと分かってる」

「……ふぅ」

 

自身を落ち着かせる為に、C.C.はそっと息を吐く。

 

「…カレン。私は今のところ、この件について許すつもりはない」

「…うん」

「だがお前が裏切った事を後悔し、ルルーシュの事を想っているのであれば、この世界を守り抜け。そしていつか、笑って逝けるよう幸せに生きろ。…それが、お前があいつに出来る償いだ。…いいな?」

「っ!!。ごめんなさいっ…!本当に、ごめんなさいっ…!!」

 

その言葉を聞いたカレンは、泣きながらそう叫んだ。

 

それをアーニャは優しい顔で見守っていたが、C.C.は、

 

―いったい何をやっているんだろうな。私にカレンを責める権利なんてないのに。…本当に最低だ。

 

と、カレンを責めた事を心の中で後悔していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し落ち着いた頃、C.C.はカレンに先程の言い合いで、疑問に思った事を聞いた。

 

「カレン」

「どうしたの?」

「お前はさっき、罪を償う為だったら何でもすると言ったな?」

「…ええ」

「もし私が、死ねと命令したらどうした?」

「それだけは聞けないと拒否していたわ。それを聞いてしまったら、この世界を守っていけないし、ルルーシュを否定している事になってしまうから」

「…なら良かった。お前がそれを聞いて死のうとするのであれば、私はお前の事を本気で殴って失望していた」

「大丈夫。私はもう、道を間違えないから…」

 

カレンがC.C.にそう答えると、カレンも1つ疑問を口にした。

 

「C.C.、私もちょっと聞きたい事があるんだけど」

「なんだ?」

「貴女、髪色や髪型を変えてるけど、もしかして黒の騎士団から追われてる事を知っているの?」

「知っているぞ?スザクから詳しい話を聞いてな」

「………へ?スザク?」

「ああ。1ヶ月程前だったか?その時に通信してな。…なんだお前、聞いてなかったのか?」

「何も聞いてない…。あのバカ…。」

 

愚痴るカレンに、C.C.とアーニャは苦笑いを浮かべた。

 

「それじゃ、貴女の事とは関係なしに、今、日本と黒の騎士団が相当やらかしてる事は?」

「ん?なんかやらかしてるのか?」

「それは知らなかったのね。…やらかしてるのよ。それも、とびっきり最悪の事を」

 

そう言って、ため息をつくカレン。

 

「何をやらかしているんだ?」

「…今、合集国は40機までのナイトメアを持つことが出来るのは知ってるよね?」

「知ってはいるが…。それが?」

「日本は、その上限を超えてナイトメアを不正所持してるのよ…。しかも、それを藤堂さんが隠蔽している」

「……それは本当か?」

「残念ながら本当よ…」

 

と、頭を押さえながら頷くカレンから聞かされた話に、C.C.とアーニャは驚愕する。

 

「無能だとは思っていたが、ここまでだったとは…」

「…どうするの?」

「藤堂さんは私とスザクで対処する事になっていて、日本に関しては、スザクが評議会議長である神楽耶様と協議してる。神楽耶様、頭を抱えてるみたいだけど…」

「だろうな」

「記念パレードの後日に、神楽耶様と扇さんが会談予定があるから、そこで不正所持の事を聞くと思う」

「ここで扇が対応を間違えれば、日本は合集国から除名をくらう事になるか」

「神楽耶様は扇さんを首相から退任させて、国際犯罪者として捕まえようとしてるみたい」

「まぁ、日本を生存させる為にはそれが妥当だろ」

 

それからも3人は日が落ち始めるまで雑談をし、C.C.とアーニャはオレンジ農園へ帰る為、そしてカレンはそれを送っていく為に、東京の駅へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「C.C.はオレンジ農園に住んでいるの?」

 

C.C.とアーニャを、東京の駅へと送ってく途中、カレンはC.C.が今、住んでいる場所を聞いていた。

 

「ああ。この件が終わるまでは、ジェレミアとアーニャに匿ってもらってるんだ」

「うん。C.C.は私が守るから」

「そうか。ありがとう、アーニャ」

 

アーニャはC.C.に頭を撫でられながら、

 

―それに、ルル様も絶対に守る。

 

と心の中で呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと…。何かあったら、アーニャの携帯に連絡するわ」

「ん、わかった」

 

それから駅に着いたあと、カレンが2人にそう告げ、アーニャがそれを了承する。

 

「…C.C.」

 

そして、C.C.の方を向いた。

 

「ん?どうした?カレン?」

「…今日は、本当にありがとう」

 

そう言って、カレンは頭を下げる。

 

「……。私は今のところ、お前を許していない。だが、お前を許す日が来るかもしれない。全てはお前の努力次第という事を覚えておけ」

「分かってる」

「ならいい。…すまなかったな。お前を怒鳴りつけたりして」

「ううん、気にしないで。私は怒鳴りつけられて当たり前の事をしてしまったのだから」

「それと、お前に会えて良かった。…今は無理でも、いつかまた、お前の事を''大切な友達''と思える日が来る事を信じてる」

「…えっ?」

「だから頑張ってくれると嬉しい。私はお前の事を、心の底から恨む事が出来ないみたいだから」

「C.C.…っ!!」

 

大切な友達という言葉にカレンは驚き、そして涙を流した。

 

「私、頑張るからっ!ルルーシュが創ったこの世界を守り抜き、幸せに生きて最後は笑顔で逝けるように!!また貴女に大切な友達って思われるよう頑張るからっ!!」

「…また会おう、カレン」

「またね、カレン」

「うんっ!またね、C.C.、アーニャ!!」

 

 

 

そうしてC.C.とアーニャはカレンと別れ、オレンジ農園へと帰っていった。

 

 

 


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