記念パレードまであと2週間となった頃、ルルーシュとC.C.は東京で買い物をしており、街の人たちは少し浮かれていた。
「明後日、ナナリーとスザクが来日するんだったな」
「あぁ。ナナリーとスザクの人気は凄まじいからな。平和の象徴である、ブリタニア帝国第100代皇帝ナナリー・ヴィ・ブリタニアと、悪逆皇帝ルルーシュを討った救世主ゼロが来日するんだ。そりゃ、街の人たちも浮かれるさ。…私としては面白くないがな」
そう言うC.C.に、ルルーシュは苦笑いを浮かべながら頭を撫でた。
「むっ、子供扱いするな!」
そうC.C.は怒って、でも頭を撫でてる手を振り払おうとはせずに、ルルーシュの隣を歩いていく。
そのC.C.の左手の薬指には、純白の指輪が嵌められていた。
−1週間前−
「…暇だ」
オレンジ農園のリビングで、やる事がなかったC.C.は、ジェレミアから貰った採りたてのオレンジを食べながら暇を持て余していた。
そんなところに、
「おいC.C.、今暇か?」
財布を持ったルルーシュが現れた。
「ルルーシュ、私は今何をしている?」
「オレンジを食べているな」
「そうだ。私はオレンジを食べているんだ。これがどういう事なのか分かるか?」
「…つまり、暇なんだな?」
「そういう事だ」
「そ、そうか」
オレンジを食べながらドヤ顔を晒すC.C.を見て、ルルーシュはなんとも言えない気持ちになる。
「なら一緒に街へ出かけるぞ」
「ん?なにかあったのか?」
「ちょっと欲しい物があるんだ」
「欲しい物?まぁ、やる事もないしついて行くよ」
その後、外で作業をしていたジェレミアに出かけてくる事を伝え、ルルーシュとC.C.は街へ出て行った。
「それで?こんな所まで来て、欲しい物とはなんだ?」
「店に着けばわかる」
C.C.とルルーシュの2人は東京に来ており、すぐ近くの街にでも出かけるものだと思っていたC.C.は、
―此処まで来て、コイツが欲しい物とはなんだ?
と少し疑問に思っていた。
しばらく歩いていると、ルルーシュは目的地に着いたらしく足を止めて、C.C.はその店を見て驚く。
「ここは…」
「ほら、C.C.入るぞ」
ルルーシュはその店…宝石店へと入っていき、C.C.は驚きながらもそれについていった。
「すいません、少し前に予約をしたアラン・スペンサーですけど…」
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。どうぞ、こちらにおかけになってお待ちください」
「……おい、こんな店でいったい何を予約したんだ?」
「少し前に指輪を予約をしてな。」
「指輪?」
「ああ。指輪を予約した理由は後で話す」
「お待たせしました」
そうルルーシュが言うと、店員が声をかけてきた。
「予約されてた指輪は、こちらのデザインでよろしかったでしょうか?」
店員が見せてきたのは純白のシンプルな指輪だった。
「はい、これで大丈夫です。ありがとうございます」
ルルーシュは会計を済まし、C.C.と店の外へ出る。
「これで俺の目的は済んだ。C.C.、お前が何もなければ帰るがどうする?」
「私は特にないな」
「そうか。なら帰るとするぞ」
「ところで、何故指輪を買ったんだ?」
「それは後でな」
「むぅ…」
「帰ったらちゃんと話すから、そうむくれるな。…そうだ、買った理由のヒントを一つやろう」
「ヒント?」
「この指輪は、勇気をいる行動をする時に必ず必要になる。さぁ、これで答えに辿り着けるかな?」
「舐めるな。私はC.C.だぞ?」
「…関係あるのか?それ」
そうして、オレンジ農園へ帰っている間、C.C.は難しい表情で指輪を買った理由をずっと考えていたのだが、
―…いや、そこまで難しくないだろ。ヒントがほぼ答えなんだぞ…?
とルルーシュが考えていた事を、C.C.は知らない。
その後、2人がオレンジ農園に着くとルルーシュはC.C.を連れて、敷地内にあるオレンジの木々を見渡せる丘の上にやってきた。
「ルルーシュ?」
「どうだ?答えは分かったか?」
「…何かの暗号だと思って、お前がゼロや皇帝をやっていた時の記憶を掘り返してみたんだが、何一つ分からなかったぞ?どうなっているんだ?」
―幾ら何でも深読みし過ぎだろ…。
「…そこまで考えるとは正直思ってなかった。では、答えを今から言うが構わないか?」
「この場所でか?」
「そうだ」
「私は別に構わないが…。で、理由はなんだ?」
「俺が指輪を買った理由は、お前に渡す為なんだ。指のサイズは知っていたから大丈夫だと思うが…」
そう言うとC.C.は、
「……え?」
驚いた顔をしていた。
「言っただろ?この指輪は、勇気がいる行動をする時に必ず必要になる、と」
ルルーシュは、買ってきた指輪が入った小さな箱をC.C.の前に差し出しながら言う。
「E.Uにいた時にも言ったが、改めてもう1度言わせてもらう」
「俺はお前の傍に一生いる。だからお前は俺の傍に一生居て欲しい。そして俺にチャールズの名をつけさせてくれないか?」
その言葉を聞いたC.C.は、ルルーシュの顔と指輪が入った小さな箱を交互に見て口を開く。
「…じゃあ、この指輪は…」
「…エンゲージリングだ」
指輪の意味を理解したC.C.は少し固まりながらも、涙を流す。
―…ルルーシュに会えて、本当に良かった…。
答えは、決まっている。
「……はい。よろこんで」
涙を流しながらも心の底からの笑顔を浮かべ、C.C.はルルーシュからのプロポーズを受けた。
答えを聞いたルルーシュは安心したような姿を見せながら、C.C.の左手の薬指に指輪を嵌める。
「愛してる、セラ」
「私もお前の事を愛してる、ルルーシュ」
そして2人は、今の幸せを噛みしめるように抱き合い、キスをした。
―私は今、もの凄く幸せだよ。ありがとう、ルルーシュ。
そのあと屋敷に戻って、ジェレミア達に丘の上での事を報告したら、
「おめでとうございます!ルルーシュ様!!C.C.…いや、C.C.様!!」
とジェレミアが、滝のような涙を流しながら2人を祝福した。
「ありがとう、ジェレミア」
「…別に今まで通り、C.C.でいいぞ?」
「何をおっしゃるのですか!ルルーシュ様の奥様になられる方に、そのような言い方など出来るはずがありません!!」
「…まぁ、問題があるわけでもないし、いいか」
―どうせ、ジェレミアだしな…。
C.C.は苦笑いを浮かべながら、ジェレミアという理由で諦めた。
ジェレミア、忠義が凄すぎて色々と諦められる男。
「おめでとう、ルル様、シー様」
「「ありがとう、アーニャ。……ん?シー様?」」
「C.C.がルル様の奥様になったから、シー様」
「「な、なるほど…」
ルルーシュとC.C.は、アーニャがC.C.の事をシー様と呼んだ理由に納得した。
「ルルーシュ」
「なんだ?」
「これからも末永くよろしく頼むぞ?私の大切な旦那様?」
そう言ってC.C.はルルーシュに向かって、恥ずかしそうに微笑むのであった。