記念パレードの前日、東京政庁の首相専用の部屋で扇は考え事をしていた。
―どうなっているんだ?前の報告(第11話)以降、C.C.に関して全く発展がない。
最初の報告以降、C.C.の情報が全く入ってこない事に、扇は内心頭を抱えていた。
―もしかして本人にバレたか?そうだとすると、ゼロとカレン辺りが伝えた可能性がある。あの2人はC.C.の居場所を知っているのか?…いや、2人に居場所や連絡先を聞いても教えてくれるはずがない。気長にやるしかないか。
C.C.の捜索は気長にやると決めた時、扇に通信入り、その相手は藤堂だった。
「藤堂さん?どうしたんですか?」
『報告する事があってな』
「何かあったんですか?」
『ああ。ギアスの研究施設と思われる場所が見つかった』
「本当ですか!?…場所は何処なんです?」
『カンボジアだ。だから俺と慕ってくれている者達は明日の記念パレードが終わり次第、カンボジアに向かう。その際、日本が所持しているナイトメアも運ぶつもりだ』
「藤堂さんが行くんですか?それに、何で日本のナイトメアを?」
『どうやら、隠蔽してる事がバレてしまったみたいでな。ゼロと紅月君が俺を捕まえる気でいるみたいだから、その前に、俺を慕ってくれている者と隠蔽してるナイトメアも一緒にという訳だ」
「なるほど。わかりました」
『記念パレードが終わったら、部下にナイトメアを取りに行かせる。それと、千葉と数名は日本に残らせてC.C.の捜索に当たらせるが構わないな?』
「大丈夫です。なら、カンボジアの件については任せました」
『承知』
そうして藤堂との通信が終わった扇は、ナイトメアを運ぶ準備を部下に指示しに向かっていった。
−記念パレード当日−
ルルーシュとC.C.は現在東京におり、ゼロとナナリーの姿を見ようと街の道に並んでいる大勢の人を見ながら、手を繋いで歩いていた。
「見ろ、ルルーシュ。人がゴミのようだ」
「お前はいつから、天空の城を目指す大佐になったんだ?」
「安心しろ。私は目を押さえながら絶叫して、宇宙に消えるつもりはない」
「…なんの安心だ?」
「それにしても、人が多いな」
「平和の象徴で、世界を救った存在でもある皇帝ナナリーと救世主ゼロ。そして、英雄部隊と呼ばれるようになった黒の騎士団。それを一目見ようと世界中の人間がここに集まって来てるんだ。来れなかった人は、テレビで見てるだろうな」
そう言いながらルルーシュとC.C.が歩いていると、道に並んでいる大勢の人から歓声が上がった。
「来たみたいだな」
「らしいな」
歓声が上がった理由はナナリーとゼロ、そして、悪逆皇帝に立ち向かった当時の黒の騎士団メンバーが現れたからである。
「ナナリーを実際に見るのも1年ぶりか」
「元気そうだな。……黒の騎士団の奴らが笑顔で手を振ってるのは、お前が目指した世界だから文句は言わないが、敵国の宰相であったシュナイゼルに唆されてルルーシュを裏切り、そして英雄気取りしている事は許せないな」
少しだけ怒りの表情を浮かべるC.C.を見て、ルルーシュは苦笑いを浮かべた。
「それは仕方ないと言えば仕方ないだろ。世間がそう呼んでいるんだから。…カレンの姿が見当たらないな。流石に来てないという事はないと思うんだが…」
パレードに参加して民衆に手を振っている騎士団メンバーの中に、カレンの姿がない事に、ルルーシュは首を傾げる。
「なら、ゼロ達を護衛しているナイトメアのコクピットに居るんじゃないか?姿を見せない理由としては、ルルーシュを裏切った事を後悔しているから、そんな自分を英雄扱いされたくなくて、顔を出したくないというところだろ」
「そんな事、気にしなくて良いんだがな。…ん?他にも誰かいない気がするんだが?」
「…確かに1人少ない気がするな。…まぁ、気にする必要はないだろ。それで、どうする?少しついて行ってみるか?」
「そうだな。帰っても暇だし、ついて行こう」
ルルーシュとC.C.は、道を進むゼロ達を追いかける。
「しかし、こうして見ていると、ほんと気にくわないな。ルルーシュが命を賭けて今の世界を創ったというのに、称賛されてるのは裏切り者の集団である黒の騎士団とは…」
「俺は称賛されたくてやった訳ではないからな。それに悪く言えば、黒の騎士団を最後まで利用させてもらった」
自身を裏切った黒の騎士団だが、世界に明日を迎えさせる為に、ルルーシュはそれすらも最終的に利用したのだ。
…富士上空での決戦時、黒の騎士団が思っていたより厄介な存在だった事で、苦戦する羽目になったが。
「魔王の癖して欲のない奴だなお前。しかしスザクの奴、周囲を見渡すだけで全く手を振らないじゃないか」
「当たり前だ。そんなのゼロのキャラじゃない」
「なんだ、つまらん」
「つまらんって、お前…。まぁ、いい。そろそろ帰るぞ」
「いいのか?まだ見ていても…」
「もう充分だ。ナナリーの姿を見れた事だしな。帰ったらピザでも作ってやるよ」
「よし、今すぐ急いで帰るぞ!」
「変わり身が早いな、お前…」
そうしてルルーシュとC.C.はオレンジ農園へと帰って行ったが、その姿を見ている者達がいたのであった。
ゼロであるスザクは記念パレードの最中、目の前で手を振る黒の騎士団を冷めた目で見ていた。
―笑顔なのはまだ良い。それがルルーシュが目指した世界だから…。だが、英雄気取りで手を振っているのは理解が出来ない。僕が言えた口じゃないけど、君達は英雄部隊じゃなくて、ゼロ…ルルーシュを裏切った、裏切り集団だろうに。
「…ゼロ?考え事をしてるようですが、何かあったのですか?」
ゼロの仮面をつけている為に表情は分からないが、スザクが何やら考え事をしてる事をしてるのを雰囲気で感じ取ったナナリーは、心配そうな表情を向けた。
「いえ、何もありませんから大丈夫ですよ、ナナリー陛下」
少し考え過ぎたかと思いながらもナナリーを安心させる為に、優しい声で何もない事を告げるスザク。
「それより、ナナリー陛下こそ大丈夫ですか?」
「何がです?」
「このパレードの事ですよ。辛いのであれば…」
「大丈夫です」
民衆に向かって右手で手を振りながら、大丈夫だときっぱり言うナナリーだっだが、左手は拳を作りながら少し震えていた。
「しかし…」
「平和の象徴と呼ばれ、ブリタニアの皇帝でもある私がパレードを欠席する訳にもいきません。だから大丈夫です」
「…分かりました。ですが、辛くなったらいつでも言って下さい」
「…なら、1つだけお願いを聞いてもらっても良いですか?」
「何でしょう?」
「パレードが終わったら、少しだけ
ゼロではなく、スザクの胸を貸して欲しいとナナリーに言われ、仮面の中でスザクは優しい笑みを浮かべる。
「僕の胸で良ければ、いくらでも貸すよ、ナナリー」
「ありがとうございます、スザクさん…」
そうスザクがナナリーと話していると、パレードを見ているルルーシュとC.C.の姿を見つけた。
―あの2人、来ていたのか。一応当事者だから少し見に来た感じかな?もう帰るみたいだけど。…もう、あの2人が傷付かないように頑張らないと。
そしてスザクは、離れていくルルーシュとC.C.をその場から見送るのであった。
カレンは、パレードを護衛しているナイトメアのコクピットから、黒の騎士団を悲しい顔で見ていた。
―皆、私達の裏切りのせいでルルーシュが死んだのに、何でそうやって英雄気取りが出来るの?私にはそんな事出来ないよ…。
そう考えていると、カレンはモニター越しでC.C.を見つける。
―C.C.?…そっか、今日はルルーシュがここで死んだ日だもんね。貴女が来ない訳ないか。……ん?
よく見ると、C.C.は隣にいる男と仲良く手を繋いでいた。
―誰?恋人?…いや、そんな訳ない。C.C.は、今でもルルーシュの事を想っているのを知っている。じゃあ、新しい契約者?…これも違うな。それじゃあ、手を繋ぐ意味がわからないし。
そこまで考えて、1つの可能性が頭によぎる。
―…まさか、ルルーシュ?…ありえないか。ルルーシュは1年前のこの日に、ゼロであるスザクに刺されて死んだのを私は見た。
だが、そんな事はあり得ないと、すぐに否定した。
―…本当に誰?
C.C.の隣にいる謎の男のことを考えながら、カレンは2人がいなくなるまで見ていた。
果たして、カレンが男の正体…ルルーシュが生きている事を知る日はくるのだろうか。
この小説も、ルルーシュとC.C.に関する人物設定を書いた方がいいですかね…?