ルルーシュ達がアヴァロンに来てから1週間が経ち、その間に2人は髪色と髪型を元に戻し、カラコンも外していた。
「暇だなぁ…」
「仕方ないだろ。お前の姿がバレてるし、外に出るのは危険なんだから。全てが解決するまではおとなしくしていろ」
ルルーシュとC.C.はアヴァロン内にある2人の部屋におり、ルルーシュは読書をしているがC.C.は何もしていないので暇をしているのだ。
「おいルルーシュ。読書をしていないで私をかまえ」
「読書しながらでもお前をかまっているだろ?」
「その読書をやめろ」
「…はぁ」
ただ自分だけに集中してほしいというC.C.の思いを理解したルルーシュは、本をテーブルの上に置いて読書をやめる。
「だが何をすればいいんだ?ちょっとしたゲームでもするのか?」
「そうだな…。皆でトランプでもやるか?内容はババ抜きで」
「ババ抜きか。…いや、ちょっと待て。それだとお前が出来ないじゃないか」
「はぁ?何故だ?」
「何故って''ババ抜き''なんだろ?なら300年以上生きてるお前は…」
「―ほぉ?誰が300年以上生きてる、しわくちゃなババァだって?」
ガシッ!!
ルルーシュの言いたい事が分かったC.C.は、物凄くイイ笑顔を浮かべながら、ルルーシュの顔を鷲掴みにする。
「…オバさんという意味を込めていた事は認めるが、流石にそこまでは言っていn…いや待て、指先に力を込めるな。そうだ、少し話し合いをしよう。大切だろ?夫婦間での話し合いは」
「そうだな。でもその前にお仕置きが必要だな」
「…すまなかった」
この2人のやり取りを、部屋に遊びに来ているカレンは呆れ半分、驚き半分で見ていた。
「あなた達、変わったわね…」
「ん?何がだ?」
「黒の騎士団にいた時、そんなやり取りしてなかったじゃない」
「まぁ確かに。あの時は色々と言ってからかったりはしていたが、こうやって冗談を言い合ったりはしていなかったな」
「でも、それ以外で変わったところなんてないだろ。別に何か変えたつもりもないし。カレンの気のせいじゃないのか?」
「そうかなぁ?雰囲気とか変わってる気がするんだけど…」
ルルーシュとC.C.は何か変えたつもりは無いと思っているが、周りから見ると2人はゼロレクイエム完遂前に比べて、自身の感情を素直に表すようになっているし、雰囲気も随分柔らかくなっていた。
…ついでにルルーシュとC.C.の間の空気がかなり甘いものになっているが、これに関しては2人は結婚しているのだから、しょうがないと言えばしょうがない。
「ところで、スザクは星刻を呼びに行っているんだったな?」
「ああ。星刻にも俺の事を伝えておこうと思ってな」
ルルーシュが変装をやめた理由は、こうやって黒の騎士団に匿ってもらっているのなら、総司令官である星刻にも自分が生きている事を教えておこうと思ったからだ。
「その勢いでナナリーにも生きてる事を伝えてあげればいいのに。きっと泣いて喜ぶわよ?」
「星刻には必要があると思ったから教えるだけで、必要がないのなら無闇に教えるつもりはない。それに、俺は世界にとって既に死人の存在だからな」
「私達にとって貴方は死人じゃないんだけど?ほんと、貴方って筋金入りの頑固者よね。そこは全く変わってないわ」
「なんとでも言え。…しかし、妙な気分だな。C.C.が追われてるから黒の騎士団から逃げていたというのに、今はこうして黒の騎士団に匿われるというのは」
「その件については、うちの元バカどもがとんだご迷惑を…」
ルルーシュの言葉にカレンは頭を下げて謝罪し、C.C.とルルーシュは苦笑いを浮かべた。
「別に責めてるわけじゃないさ」
「これでカレンも、当時ゼロだったルルーシュの気持ちが分かったんじゃないのか?」
「嫌と言う程にね…」
カレンはそう言いながら、はぁ…。とため息をつく。
「それとカレン、聞きたいことがあるんだが」
「なに?」
「ゼロレクイエムの真実を知っている人間は、他に誰がいるんだ?」
「天子様と神楽耶様は知ってるわよ。あとは玉城も知ってるわね」
「…天子と神楽耶はまだ分かるが、玉城だと?」
「あの考えなしが真実に気づくなんてありえるのか?」
「…まぁ、あなた達の気持ちはわかるけど。玉城は最初、扇さんに閣僚に誘われてたのよ。でも玉城はそれを断って、理由を聞いてみたら「ゼロにあんな事させた俺達に、そんな資格はないんだ」って言ってね。後悔してるのなら黒の騎士団でルルーシュが創ってくれたこの世界を守らないか?って聞いたら「俺に黒の騎士団は荷が重い」と、それも断られて。今は日本でバーを経営してるわよ」
「記念パレードで誰か1人いない気がしていたが、玉城だったのか」
「ふーん、私をゼロの愛人と言っていたアイツがなぁ」
「……それ、初耳なんだが?」
「初めて言ったからな。当然だ」
記念パレードの時、姿が見えなかったのは玉城で、本人は記念パレードの参加を断っていたのだ。「世界を救った英雄として皆に手を振るなんて、俺には出来ない」と言って。
玉城の断りの言葉を聞いたカレンは「コイツ、本当にあの玉城?人違いじゃないの?」と思っていたが、後日、街中で酒に酔いながら歩いてる玉城を見かけて「…あぁ、この残念具合は紛れもなくあの玉城だわ…」と結構失礼な事を思ったりしていたのは完全に余談である。
「それと玉城のヤツ、私以外の当時の騎士団メンバーと連絡を取らなかったのよ。「自分達が何をやったかを自覚せずに、ゼロの事を悪く言う奴らとは話したくない」とか言って」
「…玉城が真実に気づく事は予想外だったな」
「ほぅ、アイツ自覚あったのか。だが、許してやるつもりはないがな」
「お前な…」
「あはは…」
そんな事を言うC.C.にルルーシュは呆れて、カレンは空笑いをするしかなかった。
そうして、ルルーシュとC.C.とカレンが他愛もない話をしていると、スザクから通信が入る。
『皆、星刻を連れてきたよ』
スザクはまだルルーシュが生きている事を星刻に伝えてないので、音声だけに設定して通信を入れていた。
『今ブリッジにいるけど、そっちに行こうか?』
「C.C.、どうする?」
「いや、私達がそっちに行くよ」
『わかった。じゃあブリッジで待ってるよ』
スザクは、自分達がルルーシュ達の部屋に向かおうかと聞いたが、C.C.がブリッジに向かうと言ったので、スザクはブリッジで待つ事にした。
「それじゃあ、行くか。…そういえば、俺達がこのアヴァロンに乗ってから、まだブリッジに行った事が無かったな」
「基本はこの部屋にいるか、食堂にいるかのどちらかだったからな。それに艦内を探検をする程、私達は子供じゃないし」
「それはそうだろ。お前が300年以上も生きてる事に変わりないんだからな」
「―ルルーシュ」
「……すまん。調子に乗り過ぎた」
「2回目は許さん。せっかくだ。ブリッジに向かっている間、お前のお望みだった話し合いをしてやろう。覚悟するんだな」
「勘弁してくれ…」
そうしてブリッジに向かってる最中、C.C.はルルーシュに話し合い(強制)をし、それを見ながらカレンは苦笑いを浮かべて2人の後をついて行くのであった。
「スザクよ、私に紹介したい人物とはいったい誰だ?」
今ブリッジにはゼロの仮面を外しているスザクと星刻がおり、その星刻はスザクから「紹介したい人がいるからちょっとついて来て」と言われて、斑鳩からこのアヴァロンへ連れられてきたのだ。
「もうちょっと待ってね。そろそろ来ると思うから…」
その言葉と同時にブリッジの扉が開いたので、スザクと星刻は扉の方を向いて、星刻は固まった。
「やぁ、どうだい?此処もそっくりでしょ?…って、どうしたの?顔が凄く疲れてるけど」
ブリッジの入り口にはルルーシュ達が立っていたのだが、ルルーシュの顔が凄く疲れている為、体力落ちた?とスザクは疑問に思う。
「…気にしないでくれ。ただ横にいる魔女に怒られただけだ」
―…いや、僕が通信してから数分しか経ってないよね?何でその間に疲れるぐらい怒られてるの?
「そんなことより、何で俺が座っていた椅子が2つもあるんだ?」
「それはロイドさんが「陛下の席を作るんなら、ちゃんと皇妃の席も作らないとね〜」と言って作ったんだよ。皆、君達が想い合ってたのは知っていたからね。だからその席はルルーシュとC.C.の席だよ。ルルーシュが皇帝のままだったら、皇妃はC.C.になっていたんだし」
スザクにそう言われて、ルルーシュとC.C.は何と言えない表情を浮かべる。
「……まぁ、ゼロレクイエムを決行せずにずっと皇帝をやっていたら、皇妃はC.C.になっただろうから否定はしないが」
「その前に、私達が自分の想いに素直になっていればの話だがな」
「ねぇ、このまま星刻をスルーしてもいいの?魚のように口を動かしてるわよ?」
カレンの言葉を聞いて全員が星刻の方を向くと、驚きの表情を浮かべながら口をパクパクと動かす姿が見えた。
「ル、」
「「「「ル?」」」」
「ルルーシュの亡霊!?!?」
「ふんっ!!」
「ごふっ!?」
ルルーシュの事を思わず亡霊と呼んだ星刻は、C.C.による全力の右ストレートを腹に受けて沈む。
そして…、
「おい、このロン毛。私の愛しい旦那様に対して亡霊発言とはいい度胸してるじゃないか?えぇ?喧嘩売っているのか?買うぞ?」
亡霊発言にキレていらっしゃるC.C.が、そのまま星刻に詰め寄っていた。
「す、すまない。…いや、しかし!!ルルーシュは胸を刺されて死んだんだぞ!?なら亡霊と思うしk…」
「ふんっ!!!」
「ぐはっ!?!?」
更なる亡霊発言に、C.C.は全力のハイキックを星刻の顔面に直撃させて再度沈ませる。
「学習能力が無いのか?だからシュナイゼルにいいように使われるんだ。おい、聞いているのか?2度も私の愛しい旦那様に亡霊発言とは面白い根性してるな?えぇ?加減なしのショックイメージを与えてやろうか?一瞬で逝けるぞ?」
「シ、C.C.、そこまでにしときましょ…?」
「それ以上は星刻が空の向こうに旅立っちゃうから…」
それを見たスザクとカレンは、ビビりながらもC.C.を落ち着かせようと必死になっていた。
ちなみにルルーシュは、C.C.が本気で怒るような事は絶対にしない、と心に誓っていたりする。
その後、立ち直った星刻はC.C.に土下座をしながら謝罪をして、ルルーシュから今までの事を教えてもらっていた。
「なるほど。スザクに刺された時にそのコードとやらを継承して不老不死になってしまったと」
「ああ。ゼロレクイエム後はC.C.と世界を見て回っていたんだ」
「そうだったのか。……お前を裏切った事、本当にすまなかった」
「別に気にしてないからいい。それに、あの事は既に終わった事だ」
ルルーシュにとって、黒の騎士団が自身を裏切った事は既に過去の出来事なので、当時は色々と思う事があったとしても、今となってはどうでもいいのだ。
「そうか…。私にはお前やスザクに返しきれない恩がある。だからこの命、世界の為に使っていく事を誓おう」
そしてルルーシュが星刻と話していると、オレンジ農園の状況を確認しに行っていたジェレミアとアーニャがブリッジにやってきた。
「ただ今戻りました」
「ルル様、シー様、ただいま」
「ジェレミア卿、オレンジ農園はどうでした?」
スザクがオレンジ農園の状況を聞くと、ジェレミアは少し難しそうな表情を、アーニャは悲しそうな表情を見せた。
「屋敷は基本的に無事だったが、オレンジの木が半分以上ダメになっておった。だからしばらくの間は休業だな」
「一生懸命育てたオレンジがダメになっていたのは悲しかった」
「我が忠義の証がダメになっていたのは非常に残念だが、ルルーシュ様とC.C.様を守れたのだ。今はそれで満足しよう」
「ジェレミア。どれぐらい休業するんだ?」
「とりあえず1年は休業しようかと。場所も変えようと思ってますので」
「なら再開したら手紙でも送って教えてくれ。その頃には私達は旅に戻っていると思うから」
「かしこまりました」
そうして、ある程度話し合ったルルーシュ達は解散したのであった。
次の更新もかなり遅くなります…。