「ルルーシュ、C.C.、気をつけてね?」
カレンが心配そうな表情をしながら、ルルーシュとC.C.に声を掛ける。
ルルーシュとC.C.は現在、神根島に存在する遺跡の前に来ており、カレンとアーニャが護衛としてついて来ていた。
そして、ジェレミアがサザーランド・ジークに乗って、スザクがアヴァロンの中から神根島の周辺を警戒していた。
「わかっている」
「ルル様、シー様、無茶しないでね?」
「安心しろアーニャ。私はC.C.だからな」
「…いや、その返しは意味わからないから。まぁ、周囲は私達が守ってあげるから安心しなさい!」
「任せたぞ?…行くぞ、C.C.」
「ああ」
ルルーシュとC.C.は、手を繋ぎながら壊れた遺跡に触れる。
すると、遺跡が光り出したと思えば、近くにいたルルーシュとC.C.の身体を包み込み、その光が消えると2人の姿も消えていたのであった。
「ここは何も変わってないな」
黄昏の間に着いたルルーシュとC.C.は、上にある集合無意識体を見ていたが、何かを感じたC.C.はルルーシュに声をかける。
「ルルーシュ」
「…隠れてないで出てきたらどうだ?シャルル・ジ・ブリタニア」
ルルーシュがそう言うと、シャルル・ジ・ブリタニアとマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが姿を現した。
「…気づいておったのか」
「ああ。お前がCの世界に飲み込まれただけで、死んではいない事はな。…元々死んでいた"マリアンヌ"がここにいる事は想定外だが」
「マリアンヌ、ね…」
既に、ルルーシュはマリアンヌの事を母親だとは思っていないので、それをマリアンヌは理解する。
そして、自分達のルルーシュとナナリーに対しての行動からして、それは当然の事だとも。
「俺がここに来た理由は、お前達に色々と聞きたい事があるからだ。答えてもらうぞ」
「…よかろう。何から聞きたい?」
「まず、何で俺にコードを継承させた?」
「…何を言っておるのだ?儂はお前にコードを継承などしておらぬぞ?」
「は?」
「証拠に''儂は今でもコードを持っておる''」
そう言ってシャルルが手のひらを見せると、そこには確かにコードのマークがあった。
「…それが偽物という可能性は?」
「儂の言うことが信じられないのであれば、C.C.に確認するがよい」
「C.C.」
「…確かにシャルルからコードの気配を感じる」
今まで自身が持っていたコードは、シャルルから継承したものだと思っていたが、実際には継承されてないという真実にルルーシュは動揺し、C.C.も少なからず驚いていた。
「…なら、俺が持っているコードはいったいなんだ?俺はいつ、コードを手に入れた?」
「可能性の1つとしてあるのは、C.C.がコードを2つ持っており、そのうちの1つをお前に継承させたというものだが」
そう言って、チラッとシャルルがC.C.の顔を見ると、そこには、シャルルが一度も見た事のない怒りの表現を浮かべたC.C.がいた。
「シャルル、まるで私が意図的に継承させたみたいな事を言うな。…今すぐ殺すぞ?」
シャルルの言葉にキレたC.C.が殺気を飛ばす。
心の底から愛しているルルーシュに、意図的にコードを継承させたと他人から言われれば、C.C.がキレるのも当たり前の話しだ。
元々C.C.は愛情深い。それ故に、今までの契約者にコードを継承させる事が出来なかった。
それを知っているルルーシュも、シャルルの発言に少し怒っていた。
「C.C.、落ち着け。俺もコイツの言葉に少しムカついているが、一々キレていたら話が先に進まん」
「フンッ…」
「しかし、お前が継承させてないとなると、俺は知らない間に、何者かによってコードを継承させられていたという事なのか?そうなると、世界には俺達以外にもコード所有者が存在するという事になる」
「私が把握している現在のコード保有者は、ここにいるメンバーしか知らないな。他にコードを持つ者がいるかもしれないが」
「お主らが他のコード保有者に会っていないのであれば、それは、"お前から生まれた新たなコード"という説が、可能性として1番高い」
「何…?」
シャルルは、ルルーシュが持つコードは新たに生まれたコードだと言い、それにルルーシュは驚いた表情を晒す。
「…ありえるのか?そんな事が…」
「現にコードを持っているのだからありえるのだろう。おそらく、アーカーシャの剣を壊した際に、新たなコードがお前の中で生まれたという所か。まぁ、そのコードにお前は救われた訳だが」
「…何が言いたい?」
ルルーシュはシャルルの言葉に眉を顰めた。
「コードが発現したという事は、お前は一度死んだという事だ。…父より先に逝こうとするな。この愚か者めが」
シャルルがそう言う理由は、コードが発現する=ルルーシュが1度死んだという事を意味するからだ。
「…当時の俺は、お前の存在は消えたと思っていたんだが?それに、今更父親面するつもりか?」
「確かに今更だ。…だが、Cの世界に飲み込まれた事によって理解した。儂等がやってきた事が、どれほど愚かな事だったのか。どれほどお前達を傷つけてきたのかを。今ならナナリーの笑顔の意味も理解出来る。…お前の言う通り、強制された素顔に意味はなかったのだ」
そう言うシャルルに、C.C.が声をかけた。
「…シャルル、私はお前達と同士だったからこんな事を言う権利はないとは思うし、私も非難されるべきなんだと思うが、あえて言わせてもらうぞ」
キッと鋭い目線で、C.C.はシャルルを睨みつける。
「ふざけるなよ?今更そんなこと言ったって、お前たちがやってきた事が許されるとでも思っているのか?散々ルルーシュを苦しめ、あげくに存在そのものを否定しておいて、それが今更許されると思っているのか!?」
「………」
「黙ってないで答えろ!!シャルル・ジ・ブリタニア!!!」
黙り込むシャルルに向かってC.C.は怒鳴るが、それをルルーシュが止めに入った。
「もういい、C.C.」
「よくない!!」
「いいんだ。…ありがとう、俺の為に怒ってくれて」
「ルルーシュ…」
ルルーシュは落ち着かせる為にC.C.を抱きしめる。
「俺のこいつらに対する復讐は、あの時に全て終わっているんだ。今更何かを言うつもりは無い」
ルルーシュのこの言葉にシャルルは、
「…そうか」
目を瞑りながらそう呟いた。
「話を戻すぞ。次に聞きたいのは、人工ギアスについてだ。人工ギアスは誰でも手に入れる事が出来るのか?」
「基本的に不可能だ。人工ギアスでも素質は必要になる。素質がない人間は、人工でもギアスを手に入れる事はできぬ」
「基本的にということは、素質が無くても手に入れる方法はあるんだな?」
「…その通り。たとえ素質が無くても、己の願望が相当強ければ手に入れれる可能性はある。だが、人工ギアスとは強制的にギアスを発現させるということ。仮に上手くいったとしても…」
「廃人になって植物人間になる可能性があるというわけか」
―ギアス教会で犠牲になった、あの少女のように…。
「しかし、何故このような事を聞く?」
「……」
シャルルからの疑問にルルーシュは答えるかどうか一瞬悩んだが、別に隠す事でもないので、素直に答えることにした。
「今、C.C.はギアスを欲する者から狙われており、その者は人工ギアスも調べている。俺は人工ギアスの詳しい事は何も知らず、嚮団アジトにあったデータは、ゼロの頃に全て削除してある。だからお前に聞いたんだ。…中華の嚮団アジト以外に、人工ギアスの情報を保管してあるという事はあるのか?」
「中華の嚮団アジト以外だと帝都ペンドラゴンのみ。兄…V.V.が何もしていなければ、そこ以外に保管しておらぬ筈だ」
「そうか。…最後にもう一つ聞いておく」
「なんだ?」
ルルーシュはシャルルに質問する前にC.C.の顔を見て、そんなルルーシュにC.C.は、いったいなんだ?と思いながら首を少しだけ傾げる。
「…俺のコードは不完全なのか?」
ルルーシュはシャルルに、自身が持つコードが不完全なものなのかどうかを聞き、それを聞いたC.C.は思わず目を見開く。
「何故そう思う?」
「少し前に、何かに引っ張られる感覚に襲われて、その直後に力が抜けて倒れた事がある。C.C.は勘違いだと言っていたが、俺は原因がCの世界が関係していると考えている」
「…お前の身に、そのようや出来事が起きたというのなら、おそらくお前の持つコードは不完全なんだろう。普通はそんな事は起きぬ」
シャルルの答えにルルーシュは「やはりか…」と呟き、C.C.は身体を震わせた。
「原因は分かるか?」
「儂の予想になるが、Cの世界の理が原因の可能性が高い」
「Cの世界の理?」
「あの時、お前が神に…集合無意識体にギアスをかけたのが原因で、Cの世界の理が乱れた状態になった。理が乱れた状態でコードを発現させたから、コードが不完全なものになったのだろう。儂等が此処に来れたのも、それが原因だ」
王の力は神には勝てない。それが理であった。
だがルルーシュは、王の力で神に勝ってしまった。
その結果、Cの世界の理が乱れる事になったのだ。
「コードを完全なものにする方法は?」
「わからぬ。そもそも、コードが不完全な形で発現してるのを初めて見たのだ。分かるわけあるまい」
「そうか…。他にも色々と聞きたい事はあるが、今必要な事は聞けたし外でスザク達を待たせている。そろそろ帰るぞ、C.C.。…C.C.?」
Cの世界から立ち去る為にC.C.に声をかけたルルーシュだったが、C.C.からの返事が無かったので、ルルーシュは不思議に思いながらC.C.の方を向くと、C.C.は静かに俯いていた。
「おい、C.C.」
「っ!?な、なんだ?」
―まったく、コイツは…。
「なんだじゃない。帰るぞ」
「…分かった」
「ちょ、ちょっと待って」
ルルーシュとC.C.が帰ろうとした所に、ある事に気づいたマリアンヌが慌てて2人を止めた。
「2人とも、少しいいかしら?」
「…なんだ?」
引き止められた事で、少し不機嫌そうな表情を浮かべながら返事をするルルーシュに、マリアンヌは少したじろぐ。
「その…私の見間違いじゃなければ、C.C.の左手の薬指に指輪が嵌められてないかしら?」
「嵌めているぞ?私はルルーシュと結婚したからな」
C.C.がそう言うと、マリアンヌが目を見開いて驚く。
「あなた達、結婚したのね」
「用件はそれだけか?」
「え?う、うん。それだけよ…」
ルルーシュに対する負い目の所為か、マリアンヌのぎこちない対応にルルーシュは思わず「はぁ…」と溜息をついた。
「マリアンヌ、俺達に対する負い目の所為か分からないが、お前がその調子だと、此方が困るんだが?」
遠回しに、昔のようにしろと言うルルーシュの言葉にマリアンヌは驚いたが、すぐに苦笑いを浮かべた。
「…分かったわ。ルルーシュ、C.C.。おめでとう」
「ああ」
祝福の言葉を口にするマリアンヌに、ルルーシュは短く答え、ルルーシュはC.C.と共に黄昏の間から消えていった。
「マリアンヌよ。儂らも戻ろう」
「ええ。…ルルーシュ、C.C.、幸せにね」
そしてシャルルとマリアンヌの2人も、黄昏の間から姿を消した。
–超合集国 本部–
「ふむ…」
超合集国本部にある一室にて、中華連邦にいる黒の騎士団から送られてきた情報を、少し考える様子で見つめるシュナイゼルがいた。
「殿下、何か気になる事でも?」
「カノン、今の私は皇族では無いのだから、殿下と呼ぶ必要はないよ」
シュナイゼルを殿下と呼ぶのは、シュナイゼルの補佐官をしているカノン・マルディーニだ。
「癖みたいなものですよ。それで、どうしたんです?」
「この情報が、どうしても気になってね」
「扇達が中華連邦にいるという情報ですか?もしかして、ガセと思いで?」
「そうは思ってないよ。けど、わざと見つかったとは考えているね」
今回扇達は、わざと黒の騎士団に見つかったとシュナイゼルは考えていた。
「黒の騎士団を中華に誘き寄せるのが目的かな?」
「いったい何故?」
「黒の騎士団を倒せる策があるのか。それとも、黒の騎士団が中華に来てくれた方が都合が良いのか。私は後者の方と予想してるけど」
「だからと言って、黒の騎士団を中華に派遣しないという選択肢は無いんだけどね」とシュナイゼルは少し困ったように呟く。
「扇達が中華にいるのに動かないとなると、合集国に参加していない国から指摘されてしまいますからね」
「ほんと、困ったものだよ。…今回わざと見つかったのは、恐らく藤堂辺りの策だね。扇では、この策は思いつかないだろうし」
「殿下もそうですが、皆さん扇に対しての評価が低いですね」
「首相時代を知ってる者なら、皆同じ評価を下すよ」
―さて、確か扇達は、ギアスを求めて彼女を追って、それと同時にギアスの研究施設を探していたんだったね。なら、彼女の居場所を見つけたか、新たな研究施設を見つけたかのどちらかだ。
「カノン、星刻に、扇達がギアスの研究施設を見つけた可能性あり、と伝えてくれないかな?」
「それと、罠の可能性もあり、と伝えた方がよろしいですか?」
「そうだね。可能性が無いわけじゃないから、それも注意するようにと」
「かしこまりました」
カノンは星刻に通信をする為に離れ、シュナイゼルは、ゼロであるスザクにメールを送った。
…扇達に彼女の居場所がバレた可能性があるから、直ぐに今いる場所から移動するように、と。
Cの世界から戻ってきたルルーシュとC.C.が、遺跡の前で待機していたカレンとアーニャと合流し、アヴァロンに戻っている途中、ルルーシュはC.C.に声をかけた。
「C.C.」
「なんだ?」
「言っておくが、俺は約束を違えるつもりはない」
「…何の話しだ?」
「俺のコードが不完全なものと分かった時、お前、不安になったんだろ?俺がそのうち消える可能性があることに」
「さぁな…」
顔を逸らしながら答えるC.C.に、「別に誤魔化さなくてもいいだろ」とルルーシュは苦笑いを浮かべるが、直ぐに真剣な表情に戻す。
「俺はもうお前を置いてCの世界に逝くつもりはないし、お前を1人にはさせない。仮に、もし俺がCの世界に引き摺り込まれたとしても、必ず復活してお前の元に帰ってきてやる。だから安心しろ」
「安心しろって、お前…」
「それにだ」
ルルーシュは不敵な笑みを浮かべる。
ゼロや皇帝としていた時に浮かべてたように。
「この俺が黙っていると思うか?」
暫く見ていなかった不敵な笑みを浮かべるルルーシュを見て、目を見開いて驚くC.C.。
「…そうだったな。お前はそういう奴だ」
ルルーシュの言葉を聞いて、少し安心したC.C.は、何かを決意した表情を浮かべた。
「ルルーシュ」
「どうした?」
「もし、お前がCの世界に引き摺られてしまったら、私はどんな手を使ってもお前を必ず取り戻す」
「フッ、頼りにしてるさ」
C.C.の決意を聞いたルルーシュは、小さく笑うのであった。