「C.C.、そっちはどうだ?」
「こちらは問題ない。流石ラクシャータだな」
現在ルルーシュとC.C.は、新しくなった蜃気楼の確認をしていた。
「まさか蜃気楼が造られていて、ドルイドシステムや絶対守護領域、さらに蜃気楼に合わせたエナジーウイングまで装備しているとは…」
「しかも私とルルーシュが乗ることを前提にだ」
「良くこの短期間で造れたものだ」
ゼロレクイエムの最終段階の時点では蜃気楼はなかったので、少なくとも1年以内の間に、蜃気楼は紅蓮とアルビオンと同時進行で造っていた事になる。
その事にルルーシュは素直に感心した。
「ドルイドシステムと絶対守護領域はルルーシュが担当。各武装のトリガーやエナジーウイングによる攻撃は私が担当か。こう見ると、攻撃面では私、それ以外はルルーシュという事になるな」
「それが無難と言えば無難だし、俺の操縦技術は低いからな。サポートの方が向いている」
確かにルルーシュのナイトメアの操縦技術は低いが、操作に高度な計算能力が要求される機体においては、持ち前の頭脳を発揮し、敵のエース級のパイロットに引けを取らないほどの実力を見せている。
簡単に言うと、普通のナイトメアはルルーシュに合わなかったという事だ。
ちなみに、ルルーシュが比較してる対象は、スザクやカレン、元ナイトオブラウンズといった面々なので、単純に比較対象がおかしいだけだったりする。
「そういえば、カレンがいつ戻ってくるか聞いているか?」
「俺は何も聞いてないが、中華での作戦が終わっても、そのまま向こうに残るんじゃないのか?カレンは黒の騎士団のエースのわけだし」
数日前から、カレンは中華連邦に滞在しており、アヴァロンを離れる際に「何があっても無理や無茶をしないでよ!絶対に!」と2人に釘を刺していた。
釘を刺されたルルーシュとC.C.は、カレンは何に対して無理や無茶をするなと言ったんだ?と首を傾げていたが。
「どうだか。カレンの気持ちを考えると、此方に戻ってくる可能性が高いと思うぞ」
「なんでだ?向こうの作戦が成功したら、もう用がないだろ?」
「…それ、本気で言っているのか?」
「そうだが?」
「はぁ…、お前はどれだけ経っても鈍いままだな。ある意味尊敬するよ…」
「…何故俺は呆れられたんだ?」
あまりの鈍さにC.C.は呆れてしまい、呆れられたルルーシュは理由が分からないのであった。
−中華連邦–
「星刻、作戦決行は明日で、地上のナイトメアについては私と中華連邦の軍、そして日本の軍で抑える事でいいのよね」
作戦の準備がある程度終わったカレンは、星刻に最終確認をしていた。
「ああ。シュナイゼルから、カレンは地下に回さず、地上で行動させた方がいいと言われてな。地下は私と黒の騎士団全軍で抑えるつもりだ」
当初、地上は星刻を含む黒の騎士団の半分と、中華連邦の軍で対応する予定だった。
だが、現在日本の首相代理を務めている神楽耶から、今回の作戦に日本軍をそちらに派遣すると通達があったのと、カレンは地上に回した方が良いというシュナイゼルから助言があった為、中華連邦と日本の軍、そしてカレンが地上を抑え、カレン以外の黒の騎士団全軍が地下を抑える事になったのだ。
「でも、何で私は地上の方がいいんだろう?」
「シュナイゼル曰く、保険らしいが、何に対しての保険かは言ってなかったな」
「ふーん。まぁ、シュナイゼルが考えてる事なんて私には分からないし、そもそも私自身、地上でも問題ないからいいんだけどね」
カレンは地上でも地下でも関係なく紅蓮を十全に操れるので、シュナイゼルの考えが少し気になる程度で、地上に振り分けられても特に問題なかった。
「ただ、扇達が中華から立ち去ったという情報は今のところないが、既に中華にいない可能性がある」
「そうね。まだ中華にいる事を願うわ。…今ある平和の為にも、此処で終わらせたいし」
「…そうだな」
命を賭して今の平和を創ったルルーシュの為にも、この場で決着がつく事を、カレンは心から願うのだった。
「……」
カレンと星刻が話し合いをしている頃、アヴァロン艦内にある一室で、スザクが難しそうな表情を浮かべながらPC画面を見ていた。
先日シュナイゼルから、扇達にC.C.の居場所がバレた可能性あり。という内容と一緒に、それに対する様々な案が書かれたメールが届いたが、その全ての案が使えないので、スザクは色々と考えていた。
「何処かの国に入国するという1番安全であろう案は、ルルーシュの生存がバレる可能性があるから出来ないし、どうしたものか…」
シュナイゼルがスザクに伝えてくる案は、全てルルーシュがいない事を前提に考えられており、そもそも、C.C.を匿っているという事は伝えているのだが、ルルーシュも一緒にいるという事はシュナイゼルに伝えていなかった。
たからスザクは、シュナイゼルが考えた案は全て使う事が出来ないのだ。
「いっその事、下手に動かずに此処で迎え撃つか?僕達を囮にしてルルーシュ達を逃し、中華にいる黒の騎士団からの援軍を待つ。…ルルーシュ達が逃げた先に扇達が待ち伏せしてる可能性があるからダメか?」
スザクは色々と考えるが、結局ルルーシュ達が安全に逃げ出せる案が浮かばなかった。
「やはり、これが僕の限界か。…ん?通信?ブリタニアから?」
ブリタニアからの急な通信に、何だろうか?と思いつつ、ゼロの仮面をつけ、スザクは通信を繋げた。
「…私だ」
『あ、スザク君?お久しぶり〜』
通信を繋げると、モニターにはロイド・アスプルンドが映り、それを確認したスザクはゼロの仮面を外し、口調を元に戻した。
「ロイドさん?どうかしたんですか?」
『ちょっと気になる事と、伝えないといけない事があってねぇ〜』
「なんですか?」
『……陛下、生きてるでしょ?』
そう言うロイドに、スザクは驚いてしまった。
「…どうして、そう思うんですか?」
『少し前に、C.C.と一緒にいる男の目撃情報があってねぇ〜。あのC.C.が陛下以外の男と一緒にいるはずないしぃ〜?』
「…ロイドさん。その目撃情報って」
『君が考えてる事で合ってるよ〜。ロシアでの目撃情報でぇ〜す!』
「…まぁ、当然気付きますよね」
ロイドか言う目撃情報とは、少し前にルルーシュとC.C.が、ロシアを観光していた時の目撃情報だった。
「と、言う事はセシルさんも…?」
『気づいてまぁ〜す!あとニーナ君も!』
「ですよね…。はぁー…」
思わず深いため息をついてしまうスザク。
「そうすると、神楽耶も知ってる可能性があるのか…。でも、知らない可能性もあるから確認出来ないし…」
『まぁ、いいんじゃない?君に確認しないと言う事は、ゆっくり生きてほしいと思ってるからなんじゃないの?ゼロレクイエムの真実を知ってるわけだしぃ〜?』
「…そうかもしれませんね」
『それと、君に伝えないといけない事なんだけどぉ〜』
「そういえば、僕に伝える事があるって言ってましたね。なんです?その、伝えないといけない事って」
スザクがそう言うと、ロイドは真剣な表情になった。
『…今、コーネリアが君の居場所を探してるみたいなんだ』
「コーネリア様が自分の居場所を?なんでまた…」
『これは僕の予想になるけど、コーネリアは君の、ゼロの正体に気付き始めている可能性がある』
「…それは本当ですか?ゼロ=自分に結びつく情報はさほど多くないのに、いったい何故…」
『たぶん、現在のゼロの身体能力の高さや、スザク君しか扱えない第九世代ランスロットの存在、そしてC.C.を匿ってるという情報を手に入れたからじゃないかな?』
「…ランスロットはゼロ専用として造り直したと説明してありましたが、枢木スザクのイメージが強過ぎたという事ですか」
『かもしれないね。身体能力やC.C.を匿ってる事はなんとでも言えるし』
身体能力とC.C.の事ならまだ言い訳が出来た。
戦時中、ゼロは世間に身体能力を最後以外で披露していなかったし、ゼロの正体を知っている者に対しては、中身が最初とは違うと言えばいいのだから。
C.C.は、女性が扇達に追われていたので保護したと言えばいい。
だが、機体に関してはそうもいかなかった。
ランスロットは世間に対して良いイメージが無いのに、態々造り直したのだ。
ゼロの正体がルルーシュという事を知っている者からすれば、少し違和感があったのかもしれない。
何故ゼロは、世間でのイメージが悪いランスロットを、専用機として造ったのだろう?と。
そこから、ゼロの正体は枢木スザクではないか?という疑問が一部で生じた。
まぁ、ゼロ=スザクという事になれば、悪逆皇帝ルルーシュを討ったのがナイツオブゼロの枢木スザクという意味不明な事になるので、今のゼロの正体がスザクではないと落ち着いた訳だが。
「…ランスロットを造り直したのは迂闊でしたね。最初から真母衣波の製造を依頼しておけば…」
『まぁ、僕はまたランスロットを造れたから満足だけどね』
「あはは…。とりあえず、言い訳を考えておきます」
『こういうのは柄じゃないけど僕も考えておくよ。…それじゃあ、伝える事も伝えたし、これ以上の通信は危険だから切るねぇ。陛下とC.C.によろしく〜』
そう言って通信を切るロイドに、相変わらずだなぁ。と思うスザクであった。
−ブリタニア本国 コーネリアの執務室−
「ギルフォードよ」
とある資料を持ちながらギルフォードの名前を呼ぶコーネリアの顔には、少しばかり怒りの表現が浮かんでいた。
「お前は少し前にゼロの居場所を掴んでいたみたいだな?何故、それを私に報告しなかった?」
「………」
コーネリアが持っている資料には、ゼロに関する事が書かれてあった。
「だんまりか?」
「…確証が得られてませんでしたので」
ギルフォードは少し前にゼロの居場所を掴んでいたが、それをコーネリアに報告しておらず、それが原因でコーネリアは怒りの表現を浮かべているのだ。
「では、確証が得ていたら私に報告していたと?」
「………」
「…まぁいい。全く調べていなかったのであれば何かしらの処分を下すところだったが、調べてあったからな。今回は不問にしといておこう」
ギルフォードを不問としたところで、コーネリアは持っていた資料に目を通す。
「それで、ゼロの居場所は日本の神根島上空か。…よし、ギルフォードよ、今から神根島に向かうと私の部隊に伝えよ」
「姫様、ナナリー陛下の許可を得ておりません。無許可で部隊を動かすなど…」
「構わん。終わった後で私がナナリーに話しておく」
「では、他国への説明は?」
「魔王ルルーシュの皇妃的立場の者が見つかったので、確めるために部隊を動かしたとでも言っておけばいい。…他にも、ちゃんとした理由を考えてあるしな」
―姫様…。
嗤いながら言うコーネリアを見て、ギルフォードは察した。
コーネリアは、もう止まらないと。
「頼んだぞ?我が騎士、ギルフォードよ」
「…イエス、ユア、ハイネス」
ギルフォードは部隊の者に伝えるために、部屋から立ち去っていった。
「…その存在を消し飛ばしてやるぞ、不老不死の魔女、そしてゼロ…いや、''裏切りの騎士、枢木スザク''よ。その為に私は秘密裏に''アレ''とあの''機体''を手に入れたのだ」
そう言ってコーネリアは、歪んだ笑みを浮かべた。
「あぁ…ユフィ…。これでやっと、お前を殺したギアスを滅する事が出来るよ…」
他の話と矛盾があったらすみません…。
この話はかなり苦労しました…。