スザクがロイドと通信をしてから少し日にちが経った頃、中華連邦では、扇達を捕まえる作戦が決行されていた。
―…予想よりも敵ナイトメアの数が少ない。
地上の戦場を駆ける紅蓮のコクピットの中で、カレンは敵ナイトメアを紅蓮が持つ呂号乙型特斬刀で撃墜させながら違和感を感じていた。
―ジルクスタンで戦力を消耗したとしても、この少なさは異常だわ。
カレンがそう考えていると、神虎に乗っている星刻から通信が入る。
『カレン、気づいているか?』
「えぇ。敵の数が少な過ぎるわ。そっちは?」
『こちらも少ない。一応地下にいたナイトメアは撃墜していっているが」
「私が撃墜させたナイトメアも少しだけ。基本的に空域を警戒しながら飛んでるだけね」
『行方がわからなかった騎士団メンバーは地下にいたが、ごく僅かしか確認していない』
「扇さん達は?」
『今のところ見つかっていない』
カレンと星刻が話し合っていると、地下にいる騎士団の幹部から通信が入ってきた。
『星刻総司令、カレンさん、地下を粗方調べましたが、扇達の姿が見当たりません』
『…そうか。この施設に何かしらの罠があったりしたか?』
『調べてる途中ではありますが、罠らしきものはありません。それと、捕まえたメンバーから話を聞き出したんですが、扇達は最近になって戦力の殆どを連れて何処かへ向かったみたいです』
「何処に向かったかはわかるの?」
『そこまでは…。ですが、この話が嘘の可能性もありますので、引き続き調査してみます』
『よろしく頼む』
そう言って、幹部との通信を終えた。
「星刻、どう思う?」
『戦力の大半を連れて行くという事は、何かを見つけたという事になる。そして、その場所に行くには黒の騎士団の存在が邪魔だった』
「だから私達をここに誘き寄せた」
『扇達はワザと見つかったというシュナイゼルの読みは当たりだったという事か。…チッ、この地で終わらせると言っておきながら、この体たらく。平和ボケし過ぎたか?』
「反省は後にしましょ。…それにしても、何かを見つけた、か…」
―まさかとは思うけど…。いや、今は目の前の事に集中ね。
扇達が何処かへ移動したと聞いて、カレンは少し嫌な予感がしたが、とりあえず目の前の事に集中する事にした。
『カレン、私は今から地上にあがり、斑鳩へ戻る』
「地下はいいの?」
『このまま私が地下にいたところで意味が無さそうだからな。少し状況の整理をしたい』
「私も空域の警戒は中華軍と日本軍に任せて一度帰還するわ」
『了解した。なら、ゼロに途中報告だけしておこう』
「そうね。…ん?斑鳩から緊急通信?」
カレンが帰還する為に紅蓮を斑鳩が待機してる方へ向けた瞬間、その斑鳩から緊急通信が入った。
『星刻総司令!カレンさん!』
「どうしたの?緊急通信なんて」
『ゼロから救援要請がきて、カレンさんを至急今から指定する場所へ向かわせてほしいとのことです!!』
『救援要請?何かあったのか?』
『確認したところ、コーネリアが率いるブリタニア軍がゼロの元へ進軍してるみたいです!!』
『なんだと!?』
コーネリア率いるブリタニア軍が、ゼロがいる航空艦に進軍してるいるという事に星刻は驚愕して、カレンは言葉を失った。
「そんな…。どうしてブリタニア軍が…」
『わかりません!それと、ゼロがいる地域に謎の集団が向かっているという情報もあります!』
「ゼロの居場所に謎の集団が向かっている?…まさか!?」
『しまった!?……カレン!紅蓮のエナジーは!?』
「余裕があるからもう向かっている!!」
『カレンさん!ゼロが指定した場合は…』
「把握してる!!」
謎の集団の正体は扇達であると即座に判断した星刻は、カレンに紅蓮のエナジー残量を確認しようとしたが、紅蓮エナジーに余裕があったカレンは、ゼロ…そしてルルーシュとC.C.がいる場所へ既に向かっていた。
『扇達を侮り過ぎた…!扇達がワザと見つかった可能性がある時点で、こうなる可能性を考えていなければならなかったというのに!!』
「ブリタニア軍がゼロと接触するまでの時間は!?」
『ゼロの予想ではあと40分とのことです!』
「40分!?紅蓮でも間に合わない…!」
中華から神根島まではかなりの距離がある。
例え第9世代である紅蓮の全速力でも、1時間近くはかかってしまうのだ。
確実に起こるであろう、コーネリア率いるブリタニア軍との戦闘開始までに間に合わないのは確実だった。
「扇さん達の現在地は!?」
『現在ナイトメアフレームを展開しながら日本上空を通過中!その為、下手な迎撃行動が取れないとのことです!!』
警告をしている日本に対して扇達から「我々が日本を通過する間、こちらに手を出さなければ危害を与えるつもりはない」と伝えられているのと同時に、ナイトメアフレームを展開している事によって実質日本国民を人質にされている為、日本は迎撃行動が取れないでいた。
「手を出したら反撃するという脅しのつもり…!?」
『全団員に伝えろ!半数はここで調査の続きをし、中華連邦軍および日本軍には引き継ぎこの空域の警戒依頼を!!残りの半数は私と共にゼロの元へ向かう!』
『了解しました!』
―ルルーシュ!C.C.!お願いだから無事でいて…!
星刻が黒の騎士団にそう指示をしてる中、カレンは全速力で神根島へ向かいながら、ルルーシ達の無事を祈る事しか出来なかった。
−神根島周辺上空−
カレンが赤い閃光となって神根島に向かっている頃、ゼロの姿をしたスザクは、部隊を展開しながらこちらへ向かって来ているコーネリアと通信越しで対面していた。
「これはどいう事だ?」
『身に覚えがあるんじゃないのか?私がこうして、部隊を連れてお前の前にやって来た事に対して』
「身に覚えがないな」
『…まぁいい。貴様が匿っている魔女と、その貴様自身を屠りにやって来た』
「何の事だ?私はお前が言う魔女を匿ってなどいないし、何故、お前に屠られなければならない?」
『あくまで恍けるか。貴様が魔女を…魔王ルルーシュの皇妃を匿っている事は調べてあるのだ。…それと貴様を屠る理由だが、貴様の正体が分かったのでな。だから屠るのだ。''裏切りの騎士''よ』
―…なるほど。ロイドさんから聞いた通り、僕の正体やC.C.の事について調べていたか。だが想定の範囲内だ。そちらが動いている事は事前に知っていたから対応策は考えさせてもらった。
コーネリアがC.C.の事やゼロの正体を調べている事は知っていたので、スザクは問い詰められた時の対応を考え、シュナイゼルにも助言をもらっていた。
だからコーネリアが問い詰めてきた事に関しては、スザク達の想定の範囲内なのだ。
―コーネリア、カレンが到着するまでの時間稼ぎをさせてもらうぞ?
「…どんな理由かと思えば、バカすぎて話にならんな」
『なに?』
「確かに、現在私はとある女性を保護している。だが、その者はルルーシュ皇帝の皇妃ではない。そもそも、あの皇帝に皇妃は居なかったと世界の人々が知っている筈だが?」
『それは公表しなかっただけだ。裏では確実に存在していた』
そう言うコーネリアに、スザクは呆れてため息をついた。
「存在してる訳ないだろ。皇妃の立場にいる者の情報が一切外に出ない事など不可能だし、ブリタニア国内でもそう言った話は無いのだぞ?それをどうやって証明する気だ?」
実際、C.C.は皇妃ではなかったし、メディアや国民の前に1度も姿を出した事はないので、C.C.の存在を証明するのは不可能な事だった。
『…では、貴様の正体はどう説明する気だ?貴様が裏切りの騎士では無いのなら、その仮面を外して貰おう』
「断る」
『…認めるのだな?貴様の正体が''枢木スザク''であるという事を』
「何を言っているんだ?そんな筈ないだろ?それより、ちゃんと調べたのか?」
『当然だ』
「ならば、貴様は無能だな」
『なんだと!?』
スザクの無能という言葉に、コーネリアが声を荒げた。
ちなみに、2人が言い合いをしている間に、ジェレミアとアーニャは出撃する準備を進めていたりする。
「教えてやろう。ゼロの可能性がある者は、昔、日本を国外追放された100万人だ。その者達全員を調べたのか?名前も性別も全て。そして、その中に枢木スザクという名前はあったか?そこまでは調べてないだろ?まぁ、調べてたとしても名前はないだろうがな。何故なら、その時の彼はナイトオブセブンで、黒の騎士団と敵対していたのだから」
『くっ…!!』
コーネリアの表情が歪む。
ゼロは昔、行政特区日本の式典を利用し、自身に変装した100万人の日本人と共に日本国外へ出て行った事がある。
その日本国外へ出て行った100万人の日本人をコーネリアが調べたかというと全く調べておらず、スザクはそれを最初から確信していた。
何故なら、集まった日本人の身元確認が行われておらず、データそのものがない為、調べようがないからだ。
「それにこんな事、ナナリー陛下が許すと思うか?」
すると、コーネリアは歪んだ笑みを浮かべた。
『許すさ。あの子は優しいし、ギアスが悪という事を理解している。何も問題ない』
―………。
「…少し気になったが、ギアスとはなんだ?」
『何…?』
「何かの暗号か?」
『……なんのことだ?』
「何か言えない事情があるのか?」
『答える必要はないな』
―まさか、ギアスを知らなかった時のことを考えていなかったのか?
コーネリアの言葉にスザクがそう思っていると、ジェレミアから通信が入った。
『ゼロよ、私とアーニャの出撃準備が完了した。よろしいな?』
「構わん」
『了解した。では、出撃する!』
そう言ってジェレミアが出撃し、アーニャもそれに続いていった。
『サザーランド・ジーク、それにモルドレッドか。抵抗するという事でいいな?』
「部隊を展開しておいてよく言う。そんな事をされて抵抗しないと思ってるのか?だが、私は戦闘を望まない。話し合いでの解決を望む。そちらにその気があるのであれば、こちらは引こう」
『話し合いをする気はない。私に抵抗するというのなら、それが無意味という事を教えてやる』
そう言って、コーネリアは通信を切った。
「…話し合いでの時間稼ぎはここまでか。カレンが此方に到着するまではと思っていたが…。あとは自分達の動き次第だな」
―相手との戦力差は圧倒的。状況もこちら側の圧倒的不利。だが、カレンが着くまでの時間稼ぎは出来るはずだ。
そう考えながら、自身も出撃する為にスザクは格納庫へと向かった。
コロナウイルスが凄い事になってますね。
自分はコロナウイルスのせいで緊急会議が鬼のように入ってきて、別の意味でコロナウイルスにやられております(現在23連勤中)
早く終息してほしいものです…