「…おいっ、C.C.っ」
「なんだ?」
ルルーシュとC.C.は、現在ギアス教会の近くにあるという小さな町を目指しており、C.C.の記憶を頼りに森の中にある険しい道を進んでいた。
「本当にっ、この道であっているのかっ?」
「あっているぞ?この森を抜けたら町が見えてくるはずだ。…お前、旅のおかげで一応体力がついてきたとはいえ、本当に体力がないんだな」
「煩いっ、こんなのはっ、俺のジャンルじゃっ、ないんだっ…!」
息を切らしながら言うルルーシュに、C.C.は呆れてしまった。
「はぁ…。…しょうがない。広い場所があれば、そこで少し休憩するぞ」
「……すまないっ、助かるっ」
「気にするな。お前に体力がないのは知っていた事だしな」
そう言ってC.C.は先に進んでいき、ルルーシュは気合を入れてそれについていった。
それから、しばらく森の中を進んでいると、少し広い場所を見つけたので、ルルーシュとC.C.はそこで休憩をしていた。
「それにしても、何でお前はそんなに体力があるんだ?」
「何でって言われても…。私はかなり長い間、逃走生活をしていたんだぞ?だから体力はあるに決まっているだろ。もっと言うと、スザクやカレン相手に勝てるとは言わないが、対等に戦えるぐらいには身体能力は高いぞ?最低でも長い間、時間稼ぎは出来るな」
「……マジでか」
C.C.の身体能力が高い事を知ったルルーシュは、
――スザクとカレン相手に対等に戦えるとか相当じゃないか…。というより、最強クラスなのでは?
と、驚きながら思うのであった。
「と言っても、あくまで身体能力の話であって、ナイトメア戦になると、あの化け物じみた2人には勝てないがな。…スザクの場合だが、第7世代のナイトメアがパイロットの操作についてこれなくなるという現象、普通はありえないだろ」
「…確かにな。スザクがストレスを発散させる為に使ったシュミレーターが壊れた時には、頭が痛くなったものだ」
スザクがナイトオブゼロだった頃、ストレスを発散する為に、ランスロット・コンクエスターが登録されているシュミレーターを使ったら、そのシュミレーターがスザクの操縦技術についてこれず、そのままぶっ壊れるという理解不能な事が起きて、皆を唖然とさせたのはいい思い出である。
…ぶっ壊した本人は首を傾げて不思議そうにしていたが。
「アルビオンより紅蓮の方がスペックが高いとはいえ、そのスザクを倒したカレンも充分おかしいが。…今考えると、第7世代で第9世代を操るカレンの相手をするとか正気の沙汰じゃないし、よく私は死なずに済んだな」
「戦いはそういうものだと理解しているが、もしお前が死んでいたら、俺はカレンを許さなかっただろうな。例え、生き返ると分かっていても」
「…ふふっ、嬉しい事を言ってくれるじゃないか。女心を理解し始めたか?」
「…お前は俺の共犯者だろうが。ただそれだけの事だ。…C.C.、今となっては全く意味の無い話をするが、ダモクレスの戦いに''あの機体''が間に合っていたらカレンに勝てたか?」
「全く…、素直じゃないな。…それで、あの機体というのは''ランスロット・クラブ''の事か?…まぁ、1人では無理だろうな。アルビオン並みの機体性能があるわけでもないし、私とカレンには操縦技術の差がある。結局、私用に調整する事は間に合ったが、第9世代にする改修が間に合わなかったから、予備パーツで組み立てたランスロット・フロンティアで戦う事になってしまったけどな」
ランスロット・クラブとは、ルルーシュが皇帝になる前から存在していたランスロットの兄弟機で、スザクが乗るランスロットよりは予算の関係で性能は低いものの、他の機体よりは高性能で、スザク機より扱いやすい機体となっていた。(それでも一定以上の腕が必要で、ルルーシュが皇帝になったあとでだと、その条件を満たしていたのがC.C.とジェレミアの2人だけだった)
当初、C.C.の専用機として第9世代に改修していたが、シュナイゼルの動きが予想よりも早かった為、改修が間に合わずに使う事が無かった機体でもある。
「さて、お前の体力も戻ったし、そろそろ行くか」
「あぁ。すまなかったな」
「別に急ぐ必要はないんだ。ゆっくり行けばいいさ」
「…ならこの険しい道を選ばずに、もっとちゃんとした道を選んでくれ。お前がこの道しか知らないって事はないだろ」
「それはそれ、これはこれだ。それに、そんな事をしたら私が面白くないだろ?」
「……この道を選んだのはワザとだったのか貴様」
C.C.の言葉にルルーシュはため息をつき、2人は森の中を進んでいった。
それから少し時間が経ったあと、
「ここは…アッシュフォード学園か…?」
森の中にいたはずのC.C.は今、アッシュフォード学園の一室に立っていた。
「何故私はここにいるんだ?森の中にいたはずだろ?」
理解が出来ない現象に困惑しつつ、周りを見渡すと、ある物を見つけた。
「ん?棺桶?……っ!?」
置かれていた棺桶に近づくと、中にはルルーシュが眠っていた。
「な、何故ルルーシュが棺桶の中で眠っているんだ…?まさか、これは夢か?…それとも、今までのが夢だったのか…?」
C.C.が驚き、さらに混乱していると、扉から大勢の人が部屋に入ってきた。
「ここにいたぞ!!」
「っ、何なんだ!?お前たちは!?」
すると部屋に入ってきた人々は、C.C.の言葉を無視して、ルルーシュが眠っている棺桶を囲み始めた。
「こんな所に安置されているなんて、世界の人々が許すと思っているのか!!我々の憎しみを、その身で受けてもらうっ!!」
そう言って棺桶を囲んだ人々が懐からナイフを取り出して、それを見たC.C.は慌てて止めに入ろうとする。
「お前たち!何をするつもりだ!!」
止めるために、ナイフを持った1人に触れようとした瞬間、C.C.の手が男の体をすり抜けた。
「な、なに!?」
手がすり抜けてしまった事にC.C.が唖然としてると、1人がナイフを持った手を大きく上にあげた。
「我々の憎しみを思い知れぇぇえええ!!」
「っ!?やめろぉぉぉおおおお!!!」
C.C.がそう叫びながら、ナイフを振り降ろそうとしてる人に向かって回し蹴りをするが、その蹴りもすり抜けてしまい、止める事が出来なかった腕が勢いよく降ろされ、ルルーシュの胸の真ん中にナイフが突き刺さった。
「そ、そんな…。ルルーシュは自分の命を代償にして、お前達に明日を与えたというのに…。どうしてこんな事を…」
「まだだ!我々の憎しみはこれだけで晴れはしない!!」
それを見たC.C.は、膝から崩れ落ちて涙を流し、そして棺桶を囲んでいる人々が、ナイフを持った腕を大きく上にあげた。
「やめてくれ…」
泣きながらそう懇願するC.C.だが、人々はそれに気づいてないかのように、それぞれ憎しみの言葉を口にする。
「そうだ!俺たちはコイツの所為で、酷い目に合ってきたんだ!この程度じゃ収まりがつかない!!」
「お願いだからやめてくれ…」
……ツ……。
「自分たちを散々な目に合わせておいて、安らかに眠ろうとするなど許すわけにはいかない!!」
「もう、やめてください…!」
……ツー…!
「この後、コイツの首を斬り落とし、皆の前に晒し上げてやる!!」
「本当に、もうやめて…!!」
…ーツー…!!
「皆、やれ!!!」
「やめてぇぇえええええ!!!」
「C.C.!!!」
「ハッ!?…ここは森の中…?それに夜…?という事は、さっきのが夢だったのか…」
C.C.が周りを見渡すと、暗闇ではあるが森の中にいる事がわかり、そしてさっきまで、自分が横になって寝ていた事を理解して、安心した表情を見せた。
「大丈夫か?随分と魘されていたが…」
顔を横にずらすと、ルルーシュが焚き火に木を入れながら、こちらを心配そうに見つめていた。
「…ルルーシュか」
「この場に俺以外の人間がいるわけないだろ」
「…それもそうだな。…大丈夫だ。ちょっと夢見が悪かっただけだ」
「……お前が見た夢っていうのは、ゼロレクイエムが関係している夢だったのか?」
「っ!?」
ルルーシュが言った言葉が図星だった為、C.C.は驚きのあまり息を飲んでしまい、それを見たルルーシュは申し訳なさそうな顔をした。
「…そうか。魘されていたのは、俺のせいだったのか」
「ち、違う!……違うんだ。確かにゼロレクイエム関連の夢を見てたが、それはお前のせいじゃない。…ただ、疑心暗鬼になっていただけなんだと思う。この時間が夢で、本当はまだ、アッシュフォード学園の一室にいるんだって…」
その言葉を聞いたルルーシュは、黙ってC.C.を抱き寄せた。
「ルルーシュ?」
「…こうすれば、夢じゃないとわかるだろ?」
「…あぁ、そうだな。ちゃんとお前の温もりを感じるし、私がここにいるという事を実感出来る」
「今日だけ、お前が寝てる間はこうしといてやる。…だから安心して寝ろ」
「…ありがとう。おやすみ、ルルーシュ」
そう言ってC.C.は、ルルーシュの肩に自分の頭を乗せて、穏やかな顔を浮かべながら眠りについた。
「おやすみ、C.C.。…良い夢を」
ちなみに、ここで出てきてるランスロット・クラブは、LOST COLORSで出てくるのとは別機体でオリジナル設定となります。