森の中を数日間進み続けたルルーシュとC.C.は、やっとの思い(特にルルーシュ)で、目的の町に辿り着いた。
「やっと着いた…」
「中々楽しい道のりだったな」
「…どこがだ!?途中、熊に襲われたんだぞ!?どうしたら楽しいと思える!?」
「え?楽しかっただろ?」
「……え?本気でそう思ってるのか?」
「そうだが?」
「俺は時々、お前の事が本気で分からなくなるんだが…?」
森の中を進んでいる最中、熊に襲われたりして、本気で死ぬ思いをしたルルーシュは、熊に襲われた事を楽しいと感じていたC.C.を理解できなかった。というより、理解したくなかった。
「お前が怖がって慌ててる姿、面白かったぞ?」
「…普通、熊に出会ったら怖がるだろ。なんで、そんなに平然としていられたんだ」
「そんなの、逃げ切れるからに決まっているだろ?言ったじゃないか。スザクと対等に戦えるぐらいに身体能力は高いと。それに助けようと思えば助けられたが、お前が本気で怖がってる姿が面白くてな。つい、そのままでいいかt……私が悪かった。だからその右手を降ろしてくれ。暴力はよくないぞ」
本気で怖がってた自分を面白かったから助けなかったと告げたC.C.に対して、拳骨でもしようかと思っていたルルーシュだったが、謝罪の言葉を聞いたので拳骨はやめておいた。
「はぁ…。で、この町の近くに、ギアス教会があるんだろ?」
「あぁ。徒歩で1日はかかるとは思うが、ここから見える山の奥にあるはずだ」
「なら、今日はこの町で泊まって、明日からギアス教会を目指そう」
「わかった。…教会に来るのも、数百年振りになるのか…」
宿を探し始めたルルーシュを横目で見ながら、C.C.はそう呟いた。
「そうだ、C.C.」
「なんだ?……イタッ!?何をする!?」
「人が怖がってるのを笑った罰だ。これで少しは反省しろ」
そう言って先に進むルルーシュを、デコピンされた額を抑えながら、追いかけるC.C.であった。
「私を探してる人がいる?」
「ああ。ここ数ヶ月、お前を探してる男がいるらしい」
あれからすぐに宿を見つけて、C.C.が宿で休んでる間に、ルルーシュは情報収集をしに町へ出て行き、その最中に、緑髪の少女を探してる男がいるという情報を手に入れていた。
「今は変装しているし、簡単にバレる事はないと思うが…。一応警戒しておこう」
そう言うルルーシュは、旅を始める時、この姿のままで旅をしていたら、死んだ筈の自分が生きている事がバレると思い、髪を茶色に染め、髪型も少し弄って、青色のカラーコンタクトをつけている。
そしてC.C.も、途中までは変装せずに旅をしていたが、ギアス教会を目指すと決めた時に、周辺の町に自分の記録が残ってる可能性があるため、髪を黒色に染め、髪型もポニーテールに変えて、黒色のカラーコンタクトをつけていた。
そのため、ルルーシュ達とかなり親しかった者が見ても、分からない姿をしていた。
「私を探してるとなると、間違いなくギアスの事を知っているな」
「確実にな。俺の予想だが、男はギアス嚮団の生き残りの可能性が高い」
「だろうな。問題は、その嚮団関係者と思われる者が、私を探す理由だが…」
「俺が一番可能性が高いと思っている男の目的だが、その男が嚮団を復活させて、コードとギアスの研究をしたいと考えている事だな」
「もし、その男が嚮団関係者では無かった場合は?」
「その場合で考えられる事は、どこからかギアスの情報が漏れ、男がギアスを欲してるか、男がそもそもギアス保有者でコードを狙っているかだな」
「考えられる事はそれぐらいか…」
C.C.を探してる男の正体を、ある程度予想したところで、ルルーシュはコードについて質問した。
「C.C.。コードという物は、ギアス保有者なら誰でも継承できるものなのか?」
「基本的にはな。コードを継承する為にはある程度ギアスの力を増幅させる必要があるが」
「増幅?」
コードを継承させるために、ギアスの力を増幅させる必要があると、C.C.は言う。
「ギアスには経験値があり、ある程度の経験値が貯まると、お前も経験したが達成人になる前の段階であるギアスの暴走状態になる。暴走状態になったら、契約者にコードを継承させる事が出来るようになるんだ」
「…成る程。そして、俺のギアスが暴走したのは特区の時。だからV.V.は動いたのか」
「あぁ。私がコードをお前に継承すると思ったからV.V.は動いた。私はあの時、死ぬ事を願っていたからな」
V.V.はブラックリベリオンの時、C.C.のコードがルルーシュに継承される可能性があると危惧した為、ナナリーを攫って神根島に誘き寄せ、スザクを使ってルルーシュを亡き者にしようと考えていた。
「今は違うんだろ?」
「当然だ。今の私は生きたいと思っているよ。…話を戻すが、契約者が暴走状態になれば、その者にコードを継承させる事は出来るが、ギアス保有者がコードを奪うとなると話が変わってくる。コードを奪う為には達成人になる必要が出てくるからな。それに、達成人になると異種のコードを奪う事が出来るようになる」
「なら、お前を狙ってる男は達成人の可能性があるのか」
「そうだな。…ルルーシュ、マオを覚えているか?アイツはコードを継承させられる事が出来る状態にあった。だけど私はコードを継承させずに、そのままアイツを捨てたんだ」
C.C.はあの時、その気になればマオを一蹴する事が出来たが、情を捨てきれず、それが出来なかった。
「後悔していたのか?マオの事を」
「…今でも後悔しているよ。マオにギアスを与えずに、母親としてあの子を育てていれば、心が壊れる事はなかったし死ぬ事もなかった」
C.C.は悲しい顔でそう言って俯いた。
そんなC.C.の姿を見たルルーシュは、ある事を決意して、C.C.を抱きしめた。
「C.C.、俺がお前にした、もう一つの約束を覚えているか?」
「…もう一つの約束?私を笑顔にしてくれる以外の?」
「あぁ。''お前が魔女ならば、俺が魔王になればいいだけだ''。昔、お前にそう約束した」
「…そういえばそうだったな」
「俺はそれを嘘にするつもりはない。実際、お前と同じくコードを持っているし、世間から魔王と呼ばれているしな。それに、皆が離れていく中でお前だけは、何があってもずっと隣に居て、俺を支えてくれた。だから…」
「…ずっと俺の隣に居て、俺を支えてくれてありがとう。これからは俺もお前を支えるから、ずっと隣に居てくれ。愛してる、''セラ''…」
その言葉を聞いたC.C.…''セラ''は目を見開き、そして涙が浮かんで流れていく。
「…私でいいのか?私は今まで、沢山の人を不幸にしてきたんだぞ?」
「何を言っている。俺はお前じゃないとダメなんだ。…だから、これからもずっと一緒にいよう」
「っ、…うんっ……!!…ぐすっ…!」
「我慢するな。別に泣きたいと思ったら、泣いても良いんだから」
「うぅ…!…ああああぁぁぁ!!!」
ルルーシュの言葉に、C.C.は声を上げながら泣き、数百年間生きてきた中で、初めて心からの幸せを感じて、今まで生きてて良かったと思えた。
「ありがとう、ルルーシュ。……私も、お前を愛してる……」
そしてC.C.は、笑顔でそう言った
その笑顔は、ルルーシュが今まで見てきた笑顔よりも、C.C.が今まで生きてきた中でも1番の笑顔で、心の底からの幸せそうに笑う、初めての笑顔だった。