恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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第十二話 VS イチカ

 まったく・・・・・・何で俺が向こう側のピットに向かわなきゃならねぇんだか。

二人一緒のピットから出るのはよくねぇってチフユに言われて俺は渋々向こうのピットの方へと向かっていた。別に一緒でも問題ねぇと思うんだがね~、形式美ってやつかもしんねぇなぁ。

 それでさっそくピットに着くと、お嬢様がISスーツのままいやがった。

 

「どうしたんだ、お嬢様? もうお前さんは試合を終えたんだろ。だったら速く着替えちまった方がいいぜ」

 

 そう気軽に声をかけて見たんだが、お嬢様は以前だんまりだ。何か気に障るような事でもしたかね~。まぁ、覚えなんざ多すぎてどれだかわかんねぇけどな。

 

「いえ、その、あの・・・・・・」

 

 何とか口を開いたと思ったらどもりやがった。見た感じからして何か言おうとしてんのは何とかわかんだけどなぁ。

 

「落ち着けよ、お嬢様。どうせ試合だからって急ぐ必要はねぇんだしよ。そいつは向こうが既にやってんだ、俺がやったってあいつは文句いえねぇんだからよ」

 

 そうお嬢様に言うと、お嬢様は深呼吸を数回する。

そして少しは落ち着いたらしい。顔を上げ、その青い両目で俺を見つめる。顔は心なしか赤い。

 

「そ、その・・・・・・お嬢様というのはやめて頂けませんか。何だか馬鹿にされてるような気がしてしかたないですわ」

「そう言われてもなぁ、お嬢様なのは事実なんだしよぉ」

「で、でしたら、セシリアとお呼び下さい!! わたくしもあなたのことを『レオス』さんと呼びますから!」

 

 そう顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言うお嬢様。

別に馬鹿にしてるわけじゃねぇんだけどなぁ。しっかし女に名前を呼ばれるとは思ってもみなかったぜ。別に何か感じるってわけじゃねぇがな。

まぁ、せっかくお嬢様が頑張ったんだ、それくらい別にいいだろ。そんなことでいちいち言うようなこともねぇし。

 

「はいよ、んじゃよろしくな、『セシリア』」

「は、はい!」

 

 お嬢様、いや、セシリアは犬みてぇに喜んで笑顔になっていた。

何がそんなに嬉しいのか、俺にはわからねぇなぁ。まぁ、本人が喜んでるんなら別にいいがよぉ。

だからだろうか・・・いつもより甘くなっちまうのは。

 

「んじゃセシリア、行ってくるからよぉ。暇なら見ていってくれ」

 

 そう言ってお嬢様の頭を少し乱暴に撫でる。

どうもこいつを俺は犬みてぇに感じるんだよなぁ。現に撫でられてるセシリアは真っ赤になりながらもどこか気持ちよさそうだしなぁ。

 撫で終えると俺はセシリアから少し離れてISを一次展開する。

 

「えっ・・・・・・そのISは・・・・・・」

 

 セシリアは俺の姿を見て驚いていた。イチカ達には見せたが、セシリアには見せてなかったからなぁ。セシリアが見たのは二次展開した姿だけだしな。

 

「これが俺のIS、『スカイウォーカー』の一次展開だ。詳しくは後で話してやるよ」

 

 そう言いながら二次展開。

全身を固い装甲が覆っていく。あっという間にセシリアが戦った姿へと変わった。

 

「んじゃ行ってくる」

 

 それだけ言って俺はまたアリーナへと歩いて行った。

 

 

 

 アリーナに出るとイチカの野郎が既に上空で待機してやがった。

 

「すまねぇなぁ、少し遅くなっちまった。気に障ったんなら謝るぜ」

「いや、俺は思いっきり遅れたしな。文句は言えないよ」

「そうかい、そいつはよかった。んじゃ・・・やるか」

「ああ!」

 

 そして試合開始のブザーがアリーナに鳴り響いた。

 

「おぉおおおおおおおおおおおお!!」

 

 イチカはさっそくご自慢の武器、『雪片二型』を展開して斬りかかってきた。

 

「初っ端から全開だねぇ、やる気十分ってか。いいねぇ~、まさに若いって感じだぜ」

 

 イチカの上段からの一撃をひらりと躱す。

剣道をやっていたこともあってか、恰好はついてるみてぇだな。

 

「まだまだぁ!!」

 

 さらにイチカはそこから横凪に一閃、その後返しで斜め上に斬りかかる。

へぇ~中々に頑張るねぇ。だが・・・・・・

 

「まだまだだぜ、イチカ。そんなんじゃ俺には当てられねぇよ」

 

 攻撃が全部大振りだから避けんのも楽勝ってか。

モーションがでけぇから見切るもの楽過ぎんぜ。

 

「くそっ!」

 

 そう吐きながらもイチカの野郎は懸命に責めてくる。

真っ直ぐに、ひたすらに、正直に、裏表無く・・・・・・

まさにこいつの性格を表したかのような攻め方だ。そこがこいつの良いところなんだがなぁ・・・・・・残念だが、戦いには向かねぇ性格だ。

 

「おいおい、もうちょっとは楽しませてくれよ、イチカ。男だろ」

「そうはいうけどなぁ、そんなに上手くは動かせないぞ。それよりどうしてお前がそこまでISを動かせるのか俺には不思議なんだけど」

 

 あれ、てっきり怒ってくんのかと思ったらそんなことを言ってきやがった。

さすがにこいつは予想の斜め前に行ったぜ。戦ってる最中に何考えんのやら。

 

「戦ってる最中に考えることか、普通?」

「だって気になるだろ。お前は確かに俺より速くISを動かしたんだろうけど、だからって代表候補生に圧勝するほど動かしたわけじゃないだろ。オルコットさんと戦ってそれがよくわかった。だから余計気になるんじゃないか」

 

 そう力説するイチカ。

どうやらやっこさんはセシリアとの試合を通じて何か感じ取ったらしい。

 

「一応言っとくがよぉ、この話はお前さんのためになるような話じゃないぜ。それでも聞きたいか?」

「ああ、聞きたい。それで強くなれるなら」

 

 真っ直ぐな視線を俺に向けるイチカ。ちっと照れちまうじゃねか。

さて、冗談もそこそこにするかねぇ。

 

「俺のISは通常のISとは違うってことは知ってるよなぁ」

「ああ、見ただけでも違うものだからな」

「そこにはまずコンセプトの違いがある。イチカ、お前さんはISで飛ぶときどういうイメージを浮かべてる?」

「えっと・・・何とか飛んでる状態でそこまで明確なイメージはないな。そもそも飛んだこともないのにイメージ出来るのか?」

「そう、そこだ。俺等人間は飛ぶことが出来ない。跳ぶことは出来ても飛行は出来ねぇ。イメージしろって言われたってそう簡単にゃ湧かねぇだろ。そこで逆に考えたのがこいつだ。飛ぶイメージを浮かべるんじゃなく、空中でも陸上と同じように行動できる。つまり空中を歩き、走り、跳ぶようにしようと考えたのさ。その『行動』自体は普段からやっていることだからな。ただし空中を歩くなんてことは普通は出来ない。そこで考えられたのがこいつの第三世代装備だ。力場を発生、それを足場にすることで空中を駆け抜けられるようになったってわけさ。しかも足場となる力場はオートで出るようになってるから俺が意識する必要はねぇし、俺の動きをISが読んで最適な形で足場を成形してくれるんだ。だから、俺はただ空中でも普段と同じ、陸上と同じ動きをしてるだけなんだよ。それなら代表候補生と操縦時間が違かろうが関係ねぇ。俺は俺の土俵で戦えるってわけだ。だからこの話はお前さんに有益ってわけじゃねんだ」

 

 そう説明するとイチカの野郎は何とも言えねぇ顔をしてやがった。

どうせあいつのことだ。半分くらいしか理解出来てねぇだろ。

 

「お前さんには実際に見せた方が速ぇだろ。んじゃいくぜ!」

 

 俺はそうイチカに言ってその場から跳んだ。

 

「え・・・・・・あいつ、どこに・・・・・・」

 

 イチカは俺の姿を一瞬で見失ったらしく、間抜け面でそう呟いてやがった。

 

「こっちだぜ、イチカ」

 

 イチカが俺の声に反応して上を見上げる。

俺はイチカより上空に立っていた。

 

「いつの間に!?」

「おいおい、この程度で驚いてたらこの先続かないぜ」

 

 そこからさらに跳ぶ。

今度はイチカもちゃんと見たみてぇだな。

 

「なっ、何だ、その速さ!?」

 

 俺は空中で身体を傾けて今度はイチカの下の方へと移動した。

空中でただ俺は跳んでるだけだぜ・・・・・・ただし、ISのパワーアシストを使って瞬発力をかなり高めている足でな。

俺のISは本来の『パワードスーツ』としての機能を追求してる機体ってわけだ。

 俺はその後もイチカを撹乱するように跳んでいく。

その様子はもしかしたら籠に入ったバッタを想像させるかもしれねぇなぁ。

 そしてイチカの下に回り込み一気に目の前に移動した。

 

「なっ!?」

 

 いきなり目の前に現れた俺に驚くイチカ。

 

「ま、こういうこった。んじゃそろそろ攻めさせてもらうぜ」

 

 そうイチカに言って、俺は至近距離からイチカの腹にボディブロウを咬ます。

 

「ぐほっ・・・」

 

 それを受けてイチカが苦悶の表情を浮かべて身体がくの字に曲がる。

シールドも当然減っていた。

 

「まだまだいくぜ! 歯ぁ食いしばって耐えろよ」

 

 そのままさらにワン・ツーを顔に放ち、怯んだ隙に蹴りで突き放す。

イチカは結構後ろまで飛んだ。

 

「くっそおおお、あんまし舐めんな! 何で武器使わねぇんだよ!」

 

 怒りながらも俺に突っ込んでくるイチカを攻撃を俺はまた余裕で躱し、続けざまにフックやストレートを放ち、イチカのシールドを削っていく。

 

「イチカよぉ、怒んのは結構だが、そんな大振りじゃ当たんねぇよ。お前さんはセシリアとは逆で武器こそ理解はしちゃいるが、逆にそれが仇になってんな。何も攻撃ってのは武器を振るうだけが攻撃じゃないんだぜ!」

 

 そしてさらにイチカに向かってラッシュを浴びせる。

確かに刀を振るうには正しいのかもしんねぇが、こんな長至近距離じゃ振るえねぇだろ。この場合は少し距離を離すか拳などによる拳闘が正解だぜ。

 みるみるうちにイチカのISのシールドエネルギーは減っていき、残り一桁になった。

 

「こいつで終わりだ」

 

 イチカが上段から振るう一撃を横にさ、と避けると同時に腕を掴み、背負い込みの要領で地面へと叩き付ける。

 

「ぐあぁっ!?」

 

 凄い衝撃で叩き付けられた地面が砕け、辺りを土煙が覆う。あまりの衝撃にイチカは叩き付けられて肺から空気を吐き出していた。

そして試合終了のブザーが鳴り響く。

 

『織斑 一夏、シールドエンプティー。よってレオス・ハーケンの勝利』

 

 俺はブザーが鳴り止むと同時にイチカの元へと向かう。

イチカは地面に半分くらいめり込んでいやがった。まさか漫画にありそうな感じになるとは思わなかったぜ、見てて吹き出しそうになっちまった。

 

「イチカよぉ、何で武器を使わなかったか教えてやる。いいかい、『弾は無料(ただ)じゃねぇ』あんまし使えねぇんだよ」

「・・・・・・・・・・・・そうか・・・・・・」

 

 イチカはそれを聞いて気絶しやがった。

これでやっとあの爺さんの依頼を果たせたってわけだ。

 

 今一つまんなかったがよぉ。

 

まぁ、いいか。これでやっと久々の酒にありつけるんだからなぁ。それで今回の不満は無しにしておうか。

 そう思いながら俺はイチカをピットまで運んでいった。

 

 

 

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