早くワールドパージ編が書きたいです……。
次の専用機持ちタッグトーナメントでハブられたわけだが、それではいサヨナってわけにもいかねぇらしい。
あの後の事を掻い摘まんで説明しようか。
例の如く、会長さんは全校集会で今回の大会のことを皆に発表したまぁ、専用機持ちだけが出るっつっても、アリーナを貸し切りにするわけじゃねぇからなぁ。周りの連中には専用機持ちの戦いをより見てお勉強しろってこった。
そうしたら実に祭り好きなこの学園の連中はハシャぎまくったってわけだよ。まさに予想通り、どいつが勝つか賭けようってなぁ。
そして同時に始まったのが、イチカの野郎の取り合いだ。
ホウキにファンにデュノアに子ウサギ、まぁ見てくれは中々に良い線いってる連中だ。そんな美少女に追いかけ回されるってんだから、男だったら一度は夢見る光景って奴だろうよ。そんな実に美味しい目にあってるイチカは幸せにちがいねぇ。
え? オレはどうだって? 生憎オレはハーレム願望なんてねぇんでな。ああいうのは性にあわねぇ。
ああいうのは色男がすることであって、オレみてぇな碌でなしの甲斐性無しがするもんじゃねぇのさ。
それに……ああいう風に構われるのは面倒だろ。だったらオレはお嬢様一人をからかうくらいが丁度良い。
まぁ、そんなわけでオレのことはいいんだよ。
誰が見ても丸わかりな態度なんだが、それでも気付かねぇ奴さんは流石の一言に尽きる。それどころか今度奴さんが組もうとしてるのはあの会長さんの妹と来たモンだ。
そう、前回会長に少しばかりからかうネタに使った奴だよ。
日本の代表候補生で四組のクラス代表。だが、専用機が完成してねぇんで学園行事は今の所ほぼ不参加の妹さんだ。
更に調べりゃ面白いことに、どうやら妹さんのISの開発元は倉持技研。つまりイチカのISと同じ所だ。それが何で完成してないのかなんてのは、その結果を見れば分かる通りだ。つまりイチカの野郎の方に熱心になった倉持技研の連中は妹さんのほうを切り捨てたってこった。
それで妹さんは自分でオモチャを組み立てるってんで今の現状が出来上がったわけだ。その原因であるイチカが迫って来てんだ。そりゃぁもう愉快な事になってるもんだよ。
どうやら会長さんの差し金らしい。何の関わりもねぇのに連もうとするのはどう考えたって可笑しいからなぁ。軽く探っただけでスロットの大当たりみてぇに吐き出しやがった。お前さんも専用機持ちなんだから、もう少しは情報の秘匿ってもんを学ばねぇとなぁ、イチカ。
さて、見事奴さんにフられたわけなもんだからホウキ達は随分と頭にキたようで、御蔭で今じゃ親の敵みてぇな目でイチカの野郎を睨み付けてる。
あぁ、確かこういうのを日本じゃツンデレって言うんだったか。なんとまぁ可愛らしいことで。
と、これが今の現状だ。
今度のタッグマッチトーナメントでイチカと組むのは会長の妹さん。どうやら奴さんの魅力で物の見事に撃墜されて一緒にISの組み立てたらしい。
他の奴等も何だかんだと組んで、今じゃ奴さんをぶっ倒そうって気合いを込めて訓練に臨んでるよ。
デュノアと子ウサギ、お嬢様とファン、それと何でかまでは知らねぇがホウキと会長さん。この三組に纏まったよ、一年の専用機持ちはなぁ。
で、オレが何をしているかだって?
そうだなぁ……強いて言えば……………
「おいおい、ファン。いくらお前さんの攻撃手段がその二つしかねぇっても、もう少しマシな使い方があるだろ。全部お前さんのお得意な暴力で片付けられるもんじゃねぇんだから、もう少しはあおのお脳を使いな」
「キィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 何なのよ、このワイヤー! 切れないじゃない!」
「鈴さん、落ち着いて下さい! ワイヤーは暴れれば暴れるだけ締め付けるんですから、ちゃんとした解き方をすれば直ぐに解けますわ!」
アリーナの地面で蓑虫みてぇになって騒いでるファンの姿を笑いながらお説教中だ。
そんなファンにお嬢様は巻き付いてるワイヤーを解きながら話しかけてる。
オレが何をしてるかってのは、この状態からわかるだろうさ。つまりお嬢様とファンのタッグと訓練だよ。オレ対二人での模擬戦だ。
二人はタッグとして連携の訓練を中心に戦い、オレはそんな二人をからかいながら相手にしてるってわけさ。
その成果だが、どうにもこうにもねぇ。
お嬢様は正直見事としか言いようがねぇ。クロード仕込みの狙撃に戦況を見る目、そして戦術的なビットの運用に手品の偏向射撃。これらが合わさった結果、実にやり辛い相手になったもんだよ。唯一の難点を言えば、やっぱり未だに接近戦が苦手なことと、火力的に少し物足りねぇってところだろうかねぇ。
その点はタッグであるファンに期待したいもんだったんだが、こっちはこっちで問題大ありだ。
やる気は十分でパワーもあるし、接近戦だって悪くはねぇんだが、如何せんオツムがよろしくない。
ノリは良いんだが、攻めることに集中しすぎて防御が疎かになりがちだし、根が正直なもんだから安直にわかりやす過ぎるんだよ。
御蔭でこっちはひっかけ放題だ。お嬢様はもうオレのパターンを読んでるから下手なトラップにゃぁ引っかからねぇ。それどころかこっちの仕掛けたもんを逆利用して攻める時もあるもんだから、本当に成長したもんだ。
「もう何でこんな訓練してるのよ!」
ファンは癇癪気味に叫びながらこっちを睨む。
そんなファンをオレは口元の部分の装甲を解除して電子タバコを吹かしながら答えた。
「何でもクソも、そのまんまだろ。タッグを組むんだったら連携は必須だぜ、お嬢ちゃん。他のタッグを考えても一番鍛えるべきはそこだろうさ」
「その通りですわ。タッグ戦でもっとも重要なのは個人の能力よりも、互いに協力し合い隙なく相手を攻める連携がものをいいますもの」
お嬢様がオレの言葉に賛同してそう言うと、ファンは何とも言えない顔をする。
「そうなんだけどさぁ~、もっと他にもあるんじゃない。新しい装備付けるとか、作戦をもっと練るとかさ~」
そんなファンにオレは呆れた声で言ってやる。
「新しい装備ってのは使い熟せりゃ強ぇが、そんな直ぐに出来たら苦労しねぇよ。それにお前さん等の機体は実験的な要素がでけぇもんだから早々そんなもんはねぇだろ。マウスに与えられるのは実験用も餌だけだ。作戦だって連携ありきってのが普通だし、向こうの情報はあるんだからある程度はもう寝れてるだろ、普通」
「確かにそうですわね。わたくしも鈴さんのISも第3世代IS故に実験的要素が大きいですもの。早々新しい装備を要求しても、どのような武装が送られてくるかわかりませんわ。兵器は信用が大切だと、クロードさんにしっかりと教えられましたし」
お嬢様はすっかりクロードの教えに染まったらしい。
笑顔でそう言う辺り、少しばかり恐くなっちまう。このまま大きくなったらあの陰険眼鏡みてぇにならないか心配だよ、オレは。
「それに情報って言っても、そんな大きなモンはねぇだろ。イチカと会長の妹ってのは手の内がイマイチわからねぇが、ネックなのはイチカの経験の無さだ。その点で言えばデュノアと子ウサギが厄介だが、こっちには子ウサギに引けを取らないほどに成長したお嬢様がいる。デュノアは厄介だが、器用貧乏で決め手に欠ける。それで最後は会長とホウキだが、こっちもオモチャは上等だが使い切れてねぇホウキがネックなのは確かだろうよ。会長のISの情報は分かっちゃ居るが、気を付けるべきは性能や能力よりも技術っつった点だ。あんなんでも一応は学園最強の看板背負ってるんだからよ」
相手のリサーチなんてのは当たり前だろ。競馬で自分が賭ける馬のデータも知らずに賭ける馬鹿はいねぇ。何が出来てどんな能力なのか、何てのは知ってて当たり前だ。実戦ならそんな情報も悠長に集めてる余裕もねぇんだから、こうしてのんびりとくっちゃべられているくらい余裕ってもんだ。
オレにそう言われファンはふてくされるが、そんなときこそ発破をかけるのが一番だ。
「それにここでイチカの野郎をぶっ飛ばすんだろ? だったら頑張らねぇとなぁ。ここでアイツを倒して、組まなかったことを後悔させてやるんだろ。ここで負けたらお前さん、あの妹さんにイチカを取られちまうかもなぁ」
「ッ!? な、何言ってるのよ、別に一夏のことなんて……でも、負けるのは嫌! アイツには目に物見せてやるんだから!」
やる気満々なファンを見て、何でイチカが会長の妹と組んでるのかを知っているお嬢様がジト目で睨んできた。
「レオスさん、あんまり弄るのは感心しませんわよ。そういう風に人の恋心を弄るのは」
そんなむくれてるお嬢様にオレは笑いかける。
「やる気を出すにはお菓子とご褒美が一番なんだよ、お嬢様。まぁもっとも、お嬢様のやる気を出すために、オレとしてもご褒美をやるのはやぶさかじゃねぇ。頑張ったら前回よりもさらに上のことをしてやるぜ」
「え、それって………」
お嬢様ったら何を考えてるのか丸わかりだぜ。顔が面白いくらい真っ赤になってる。まぁ、そのご褒美が想像通りなのかは置いといて、これでやる気は更に出ただろうさ。
後はもっと二人で訓練させてトーナメントに備えるだけだ。
まぁ、オレは暇だがね。お嬢様の顔を見て楽しむくらいが丁度良いってところさ。オレ自身、ご褒美を上げるのも嫌いじゃねぇからなぁ。
頑張れよ、お嬢様。