恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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第十四話 クラス代表パーティー

「織斑くんクラス代表決定おめでとう!!」

 

 現在食堂の一部を貸し切りでパーティーが行われていた。

パーティーを行っているのは一年一組であり、そこには『織斑 一夏君、クラス代表おめでとう』の垂れ幕が下げられていた。

 そう、これは一夏のクラス代表決定を祝うパーティー。

そしてその主賓である一夏はと言うと、パーティー会場の真ん中で苦笑しながらジュースを啜っていた。

 一夏としては気まずいものがある。

クラス代表決定戦では全敗しているのに、こうして皆から祝ってもらえるというのは、嬉しいがそれはそれで別なわけで・・・・・・何ともしがたいものがある。

 しかも、よく見れば一組以外の生徒もいた。それだけに、注目度が高いことに一夏の気まずさに拍車をかけた。

 

「これでクラス対抗戦も盛り上がるねぇ」

「うんうん、そうだよねぇ~」

「ラッキーだったよねー。同じクラスになれて」

 

 一夏が気まずさを感じている中、クラスの女子達は口々にそうはしゃいでいた。

彼女たちにとって、楽しめれば何だって良いらしい。一夏は彼女達を見てそう感じ、呆れ返りながらも少し楽しくも思った。

 

「頑張ってね、織斑君」

「私達の食券フリーパスのために!」

「織斑君が勝てばみんなが嬉しいから」

 

 そう女子達に応援される一夏は苦笑しつつもそれに応じる。

殆ど私欲ばかりだが、それでも応援してもらえるだけでも有り難いと、一夏は思った。

 そしてパーティーは進んでいく。

一夏が周りから持てはやされるたびに一夏はそれらを苦笑しながらも応じ、箒はそうちやほやされる一夏を見ては頬を膨らませていた。

 

 「あ、いたいた織斑く~ん!」

 

 そう一夏に声をかけてきたのは、眼鏡をかけた女子だった。

見覚えのないその女子に一夏は注目する。よく見ればリボンの色が黄色であり、二年生であることがわかった。

 

「あ、あの~、あなたは?」

「私は新聞部副部長の黛 薫子、話題の新入生のインタビューに来ました」

 

 一夏は二年生ということで丁寧に聞くと、二年生は社交的な笑顔でそう自己紹介をしてきた。

どうもクラス代表になった『世界で初のISを動かせる男』ぼ独占インタビューをしたいらしく、訪問してきたようだ。ちなみにレオスは二人目な上に、世界各国の首脳陣が渋っていることもあって、そこまで知られては居ない。

 

「あれ、噂の二人目はどうしたの?」

「噂?」

 

 薫子がそう一夏に聞くと、一夏は噂と言う言葉が気になった。

 

「凄い有名よ、彼。凄腕の傭兵ってプロフィールだけど、まさか代表候補生を余裕で退けちゃうなんてね~。ISを動かして織斑君とは一ヶ月しか違わないって言うじゃない。それが代表候補生に余裕で勝っちゃったのよ。これって大事だからね」

「そ、そうなんですか~」

 

 興奮気味にそう言う薫子に、一夏は少し引け気味に反応する。

酷い話だが、一夏は代表候補生のことも知らなかった身だ。それがどれほど凄いことなのか、ということを聞いただけでは判断仕切れないのだ。しかし・・・・・・

一夏はレオス・ハーケンが強いということだけはわかっていた。

実際に戦ってみて分かる、圧倒的な強さ。

どんなに此方が攻撃しても、かすりもしない余裕を持った回避。その上武器一つ使わずに素手で一夏は倒された。それがどれだけ強いのかということは、そう言うことに疎い一夏でも実感させられた。

自身の姉とはまた違った強さに、一夏は惹かれた。

 

(俺もあんな風に強いくなれるだろうか・・・・・・・・・)

 

 そう考えずにはいられない。

 

「織斑君は知らない、彼がどこにいるか?」

 

 薫子の言葉には、と現実に戻り答える。

 

「それがわからないんですよ。オルコットさんはあいつがどこに行ったか知らないか? 確か同室だったよな」

 

 一夏はその場にいたセシリアに聞いてみる。

セシリアは他の女子と談笑していたが、一夏に聞かれすぐに返してきた。

 

「それが・・・・・・わからないんですの。お部屋に行ったときはもういなくて。せっかく一緒にパーティーに行けると思いましたのに・・・・・・」

 

 セシリアはそう言って不満をこぼしていたが、後半は誰の耳にも入ってこない。

そう、このパーティーにレオスは来ていない。

誰も彼の行方を知らないのだ。授業が終わり次第、ふらっとどこかに行ってしまった。

 

「まぁ、いないんじゃ仕方ないか。それじゃ織斑君とセシリアちゃんにインタビュー、行ってみようか」

 

 薫子はそう割り切り、一夏達にインタビューを開始する。

一夏は苦笑しながらもそれに応じ始めた。

 一夏達がインタビューを受けている間に他の女子達と言えば、クラス代表決定戦の賭けについて話し合っていた。

 その場に少し間延びした声が届く。

 

「お~い、みんな~」

 

 そんな声をかけてきたのは一夏達のクラスメイトである、布仏 本音だった。とてもマイペースでのんびりとした少女であり、一夏からは『のほほんさん』と呼ばれている。

 本音は話し合っていたみんなの所まで行くと、両手をみんなに見えるように差し出した。

そこには福沢 諭吉が五枚ほど乗っている。

 

「ちょっとまえにレオレオが来てね、『賭けに負けちまったからこいつぁ皆で別けといてくれ』て言って渡してきたの」

 

 そう本音が言うと、周りの女子達から喜びの声が上がった。

 

 レオスは賭けに負けた食券の金額を本音に渡していたのだ。行方も言わずに・・・・・・。

 

 

 

 俺が一夏のパーティーに行かずどこにいるかって?

 

「パーティーに行かなくても良かったんですか?」

 

 爺さんがいつもの笑顔でそう聞いてくる。そう、俺が居るところは理事長室だ。

 

「酒も飲めねぇところに行ってどうしろってんだ爺さん? 俺はそこまでガキじゃねぇぞ」

 

 爺さんは俺の答えを聞いて相変わらずな笑顔を浮かべていやがった。

イチカの野郎のパーティーに俺が参加する理由はねぇしなぁ。酒もタバコもねぇのに騒げるあいつらが俺には不思議でしかたねぇ。そんなガキ共の前に行くのは疲れるだけだぜ。

そこに喜んで行く奴ぁカーニバル好きな頭のイッてる奴か真面目に祝おうって奴だけだぜ。おれはそのどちらでもないんでな。

 

「君も年齢は同じなんですけどねぇ~」

「そういうもんじゃねぇだろ、爺さん」

 

 そう言いながら電子タバコを吹かす。

 

「それに俺は『報酬』を受け取りにきたんだよ」

「ああ、報酬ですか」

 

 爺さんにそう言うと、勝手に奥の棚から報酬の物を取り出す。

 

『アードベクブロヴナンス』

 

 結構有名なお高い酒ってやつだ。

今回爺さんの要望を聞き入れた報酬に貰うことになっていた代物だ。

 俺はそいつを持って行くと、今度は備え付けの冷凍庫からロックアイスを拝借し、グラスを二つ持ってきて酒を注ぎ爺さんに一つ渡す。

 

「おや、私もいいのですか?」

「一人でやっててもつまんねぇんだよ。付き合いな」

「では、ご相伴にあずからせて頂きます」

 

 そして爺さんの前にグラスを差し出すと、爺さんも前に出す。

 

「何に対してやりましょうか」

「別に何だっていいんじゃねぇか」

 

そう答えると、爺さんと一緒に笑っちまった。

 そして乾杯しながらお互いに言った。

 

「「織斑君(イチカの野郎)のクラス代表を祝って・・・乾杯」」

 

 薄暗い部屋にガラスがぶつかり合う音が響いていった。

 

 

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