恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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仕事が忙しすぎる………。


百六十一話 そろそろ本気を出す? おいおい、もうおせぇだろ、それは。

 ご自慢のペット二匹をバーベキューでこんがりにしてやったわけで、残りはデザートをいただくだけさ。

さて、そんなわけで残りはタバネ一人のみ。奴さんの面はそれはもう爆笑するくらいに愉快な面になっていたよ。

 

「ぬ、ぬぅ~~~~~~~~~~~! 私の自信作の二体が~~~~~~~! 化け物だって殺せるように計算したのに~~~~~~~~~!」

 

そいつは実に見事な悔しがりだったよ。まさに全身全霊をもってして悔しいって感情を発露してやがる。大人らしい隠したりするといった考えや体裁なんざ一切無い、まさにガキのような見事過ぎる悔しがり。

そんな奴さんはあまりにも面白すぎて、正直愛おしさすら感じちまう。それぐらい奴さんは『可愛い』もんだったよ。

こうなった相手にはどう対応すれば良いのか? そいつは二つの対応しかねぇよ。

一つ、そんな悔しがるなよって優しく抱きしめながら愛を囁くように慰めること。そこから始まる恋ってもんもあるかもしれねぇなぁ。まぁ、実に色男的な対応で、クロードがやればどんな女だって堕ちること受け合いだ。

二つ、それはもう弄くるしかねぇだろ。そいつのプライドも何も全部ブチ砕いて悔しがってるのを更に助長するように弄くり倒す。

以上が対応策なわけだが、この二つを言えばオレがどっちを選ぶかなんてもう丸わかりだろ。

答えは………二つめだよ、勿論なぁ。

 

「おいおい、お前さん、計算してあの程度なのか? だったらオレはお前さんがあまりにも可哀想でしかたねぇよ。あの程度のオモチャ如きでオレ達が殺せると本気で思ってたんだからなぁ」

「っ!? キィ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

哀れみを存分に含ませた視線を向けながらそう言うと、奴さんは顔を真っ赤にして地団太を踏む。そうそう、弄くられてるならそういう反応をしねぇとなぁ。

 

「あんなオモチャで仕留められるのは、ウチの中でも間抜けなカイルくらいだろうさ。それ以外の連中なら全員余裕でぶっ壊すだろうよ。オヤジなら拳の一発で叩き潰すしクロードならコアを一発でぶち抜いてお終いさ。まぁ、今回はオレのお遊びが過ぎたから長引いただけだがね」

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?」

 

声にならない叫びを上げて唸る奴さんはそれだけで腹を抱えたくなるくらい笑えるもんだよ。

しっかし、改めて冷静に考えてみりゃぁ、こりゃぁ……………。

 

「そもそもだ。お前さん、戦場(アスレチック)で遊んだ(体験)ことはねぇんだろ。遊んだことがあるんだったらこんなオモチャなんて作らねぇよ。もっと戦場を知ってるんだったら、それを考えたもんを作るはずだ。そうじゃなくてお前さんのお遊びで作ったってことは、お前さんが未だに未経験の処女だってことを自分から言いふらしてるようなもんだぜ。日本人は慎ましやかなのが美徳だろ。幾ら清いことをアピールしたくても、こんな風に言いふらすのは感心出来ネェなぁ」

「う、うるさいよ! そりゃ確かに私はまだ経験無いけど、それはちーちゃんだって一緒だし」

 

おっと、チフユの秘密を知っちまった。意外とは………言えねぇなぁ。何せあの性格でその上ブラコンだ。野郎なんざぁ寄りつかねぇだろうよ。

とは言えだ、下手にばれたらおっかねぇ目に遭いそうで恐いねぇ。

そろそろトドメと行くかぁ。

 

「そもそもだ、ISってのは宇宙での活動が本当の目的で作られた代物だろ。そいつがお遊びに使えるってことを周りの連中が知ったから今はこんな風になってるわけだが、あくまでも流用が効くってだけだ。前提が違うんだよ、前提がなぁ。拳銃は何処までいっても対象をぶっ殺すモンだ。そいつがたまたま他のことに使えると言っても、本当に実力を発揮するのはやっぱり殺しなんだよ。本領を発揮するのは、そいつが元来の目的としていることってことだよ。だからお前さんのオモチャは駄目なんだ。世間で持てはやされちゃいるが、オレ等みたいな仕事をしてる奴等からすれば、残念ながら恐くもねぇ。オモチャにビビる程、オレ等は暇じゃねぇんだよ」

 

どこまで言ってもISは宇宙用ってことだよ。それはそいつを作ったお前さんが一番分かってることだろ。オレを忌々しく睨みつつも涙目になってるタバネにオレは最終的な答えって奴を告げてやる。

 

「いくらお前さんが頑張ろうが、『殺し』を知らないお前さんじゃぁこの程度が良い所だろうさ。ご自慢のお脳も『殺し』に関しちゃぁ『普通』だな」

 

そう言われ、奴さんはそれまで悔しそうにしていたのから一転して、まるで何も考えてねぇような無表情になっていた。

まるで何かを『吹っ切った』ような、そんな面だ。

 

「普通じゃない……………」

「何がだ?」

「私は………………普通じゃない…………」

「いいや、普通だろ。確かにお脳がキレちゃいるが、オレ等からすれば真っ当な『普通』の人間だよ」

 

そして遂に奴さんは爆発した。

 

「私は、私は普通なんかじゃない!! 私は天災、世界の全てが掛かってこようとも、それらを全部笑って吹き飛ばせる細胞レベルでオーバースペックな十全な存在! だからこそ、私を普通だなんて言うお前達化け物を認める訳にはいかない! 私が『普通』だなんて認める訳にはいかない! だから!」

 

奴さんはそう言うと、手を上にして全身を輝かせた。それはISを展開するときの光に似てる。

そんで光が収まれば、そこにいたのは新しいドレスを着たタバネだった。

 

「お前は絶対に殺してやる! この私が作った私だけのための専用機『ハートの女王(ハート・エンプレス)』で殺し尽くしてやる!」

 

奴さんとの『おままごと』はまだ続きそうだ。

そう思いながら、オレは懐からタバコを取り出した。本日三本目になるそいつを咥え、奴さんを嘲笑うようにニヤリと笑いながら返事を返す。

 

「やってみろよ、お嬢ちゃん。癇癪起こしたガキで処女なお嬢ちゃんに殺れるほど、オレの命は軽くはねぇよ。寧ろ世間の厳しさを教えてやる。掛かってきな、ド三流。本当の『殺し』ってもんを教えて殺る」

 

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