恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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少し甘めです。


百六十六話 ご褒美

 爺さんからのお話も終わり、後は帰って寝るだけなんだが……その前にもう一つのイベントを楽しまねぇとなぁ。

え? 何かあったかって? おいおい、そいつはあんまりだろうさ。今日一番に頑張ったであろう御人にご褒美をあげなきゃあいけねぇ。何せそう約束したからなぁ。

そういうわけで、オレはお嬢様と一緒に寮の自室に戻るとお嬢様のベットの下に隠しておいた物を引っ張り出した。

 

「私のベットの下にいつの間にそんな物を………って聞く方がお間抜けさんですわね。レオスさんったら気付かない内にこの部屋のあっちこっちに色々と仕込んでいるんですから」

 

オレの様子を見ながらジト目で呆れ返るお嬢様。だが、その感じからもう慣れたってのが伺える辺り、お嬢様も結構染まってきたような気がするよ。

そんなしょうがないなぁって感じに笑うお嬢様に笑いかけつつ、勝手知ったる我が部屋と言わんばかりに簡易キッチンに置いておいたワイングラスを取り出す。

そしてそいつを二つと本日のメインとなる物を持って、お嬢様が待っているベットの方へと向かう。

 

「さぁ、お約束のご褒美だぜ、お嬢様」

 

期待に胸を膨らませているであろうお嬢様に笑いかけながらとっておきの封のコルクを引き抜くオレ。

今回の約束………頑張ったご褒美に、爺さんの所からがめてきた高級ワインをお嬢様と一緒に味わうってのがこのお題目だ。そのためにこうしてこっそり飲もうと思ってパクッといた五大シャトーの一つ『シャトー・マルゴー』のかなり年代物をお嬢様にも振る舞おうってわけさ。

きっと爺さんのことだから、今頃苦笑でも浮かべてるんだろうさ。たまにはそんな面を浮かべるのもいいんじゃねぇかな。何事も手前の好きなようにはならないってのは、世のルールって奴だよ。

封のコルクを引き抜き終えると、グラスに少量だけ注ぐ。ワインってのは他の酒と違ってお下品にいけねぇのが偶に傷だが、そこがまわりと違って良い感じでもある。

そいつをお嬢様に差し出すことにした。

 

「ほら、お嬢様」

「は、はぃ!」

 

もう何度か飲んだことはあるだろうに、未だに緊張した様子でグラスを受け取るお嬢様。大方未成年でいけねぇのに、そいつをやるってことに禁忌ながら魅惑的なナニカを感じるんだろうよ。なぁに、ガキの頃ってのは好奇心旺盛なもんさ。

え? オレはどうなんだって? おいおい、今更も良いところだろ。酒と煙草は物心ついた時からやってる代物だ。そんな代物に好奇心も何も湧かねぇよ。水と一緒で生活の一部だよ。無いと落ちつかねぇのさ。

お嬢様にグラスを渡すと手前の分を取り、少し薄暗くした部屋の中でグラスをお嬢様へと掲げる。お嬢様も少し顔を赤くしながらもオレと同じようにグラスを掲げた。

 

「んじゃ、お嬢様」

「はいですわ」

 

そしてグラスをゆっくりとぶつかり合わせた。

 

「「乾杯」」

 

柄になくロマンチックなことをした後、オレはグラスを軽く揺らし中のワインの香りを堪能する。お嬢様もオレを見ながら見真似をして香りを楽しんでいるようだ。そのまま後は少量を口に含み舌でゆっくりと味わっていく。

うん、流石はクソが付くくらい高いワインだ。豊かな風味と確かな旨味と渋さを感じさせる。多少お淑やかでお上品だが、たまにはこういう酒も悪くねぇ。

そんな風にとっておきを楽しむわけだが、対面にいるお嬢様の面は何と言うか少しばかり無理をしてるような、そんな面をしていた。

まぁ、お嬢様は酒がそこまでイケる口じゃねのはわかってるけどね。

 

「どうだい、お嬢様。オトナの味は?」

「そ、その………美味しいですわ……」

 

少し硬い笑顔でそう答えるお嬢様に少しばかり苦笑しちまう。

最近すっかりと慣れてタフネスになったお嬢様だが、流石に舌の方はまだまだらしい。

 

「まだお嬢様にゃぁ早かったかな」

「そ、そんなことは!」

「いや、焦らなくていい。こういうのは歳をとっていけばいずれは分かるようになるもんさ」

 

焦るお嬢様を諭すようにそう言うと、お嬢様は少し拗ねたような顔で『レオスさんだって御歳は一緒じゃないですか……』ってつぶやいていたが、そう言うなよ。悪いが年齢は一緒でも年季が違うんでね。

そんなわけで少しほろ酔い………になるにはあまりにも弱いから素面のままか。その状態でお高いワインを味わうわけだが、お嬢様は少量でも既に酔ってるようだ。顔に朱が指し潤んだ瞳が幸せそうにオレを見つめてる。美人ってのは何をやっても美しいってのは嘘じゃねぇなぁ。

そんなお嬢様を見入りつつ、今日のお祭りについて感想を聞こうかねぇ。

 

「お嬢様の方はどうだった? あのお譲ちゃん相手にお嬢様ならもう楽勝だったろ」

 

そう聞くとお嬢様は少し真面目な顔になって答える。

 

「そんなことはありませんわ。私ひとりでは勝てませんでした……きっと。他の方達と合わせて1対7で戦えば、どう考えたって過剰戦力。それでも中々仕留められず、時間がかかり過ぎてしまいました」

 

どうやら大変だったらしい。あのお嬢ちゃん、1対7の相手で随分とまぁ粘ってくれたようだ。お嬢様は数で勝っていながら中々勝てなかったことが悔しいんだと。

 

「そうは言っても仕方ねぇだろうさ。あのお嬢ちゃんは少ないながらに何人か殺ってるビッチだぜ。いくら数が多かろうが、処女と童貞が相手じゃ流石になぁ。あのお嬢ちゃん相手に勝つには、それこそより多くの『実戦』を経験した絶倫野郎じゃねぇとなぁ」

「レオスさん、下品ですわ…………」

 

そう言う割にはお嬢様……その御顔が見事に真っ赤だぜ。

まぁ、そこが可愛いから好きなんだがね。

 

「それにお嬢様はどうにも数で囲ったことが卑怯に感じてるようだが、気に病む必要はねぇさ。戦場じゃぁ倍以上の数に囲まれるなんて日常茶飯事だからなぁ。寧ろオレは関心したよ。そういう当たり前のことをそういう風に考えられるのはさ」

 

どうやらへこんでいるらしいお嬢様に励ましの御言葉でもかけますか。

 

「お嬢様は本当によく成長したよ。お嬢様はそう言うが、オレの見通しならあのお嬢ちゃんとお嬢様なら1対1でも勝てたと思うぜ。何せお嬢様は今じゃ十分に強い『本当の戦場』を知ってるからなぁ」

「レオスさん………」

 

オレの言葉に顔を赤らめ少し泣きそうになるお嬢様。

どうにもオレにも酔いが回ってきたのか、凄くお嬢様が可愛く見えてきた。思わずギュッと………。

 

「れ、レオスさん!? そ、その、急にそうされては………………」

 

失敬、どうやら既に酔ってるらしい。あまりの可愛さに抱きしめちまってた。胸の中で真っ赤になって慌てるお嬢様ときたら、生まれたての子犬みてぇにプルプルと震えてまぁ、何と可愛いことか。

小さい声で『で、でも、嫌じゃないですわ』ってつぶやいてオレの体に手を添える辺り、お嬢様も嫌じゃねぇようだ。

そんな状態になっていると、今度はお嬢様の方から質問だ。

 

「レオスさんは博士と戦ってどうでしたの?」

 

その質問に関し、オレは少し呆れつつ事の顛末を話す。

 

「あのタバネはガキの癇癪でオレに新しいオモチャを使ってきたが、そんなもんで殺れるほど暇でもないんでね。IS無しでぶっ壊して遊んでたんだが、後一発でゲームセットって所で何故かクロードの野郎が来て中断。その後はあの野郎によって『撃墜』されたらしいタバネが初心なガキよろしくにしおらしくなっちまってまぁ………。おかげでオレはカヤの外でこうして暇だったわけさ」

「先生が来ていましたの…………」

 

クロードの登場に驚くお嬢様。そりゃまさかこんな所に急に表れるとは思ってなかっただろうから無理もねぇか。

そんな風にお互いに今日のお祭りに付いて語り合いつつ酒をたしなむ。

するとうっとりとしたお嬢様が何やら期待の籠った眼差しを向けてきた。

 

「あの、レオスさん………ご褒美、これだけじゃ………ないですわよね?」

 

あぁ、何が御望みなのかもう分かり切ってる。

せっかくだし、オレもそれに応えることにしようか。

 

「んじゃお嬢様…………腰が砕けちまわないようにぎゅっとしがみついておけよ。今日はそれなりに色々と溜まってるんでなぁ………思いっきりやらせてもらうよ」

「は、はぃ………」

 

そしてお嬢様の瑞々しい唇をオレはかっさらい、思う存分蹂躙させてもらった。

その時のお嬢様ときたら、そりゃぁもう……エロくて可愛かったよ。

 

 

 

 あぁ、そうそう。

クロードが学校に直に来た本当の理由を教えようか。

なぁに、単純な話だよ。

 

『国際IS委員会と世界各国政府から、亡国機業の本部襲撃』

 

コイツを依頼されたからだとさ。

要はさ…………ここ最近では無かった『実に楽しい殺し合い(お仕事)』が決まったんだとよ。

なんだよ…………楽しみじゃねぇか。

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