恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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番外編の始まりです。


番外編
if もしもシャルロットを助けるなら


 ん~、まぁなんだ、久しぶりとでもいうべきなのかね、これは。

今更初めてなんて抜かす奴がいるとも思えねぇが、一応は初めましてと言っておくよ。

さて、それまで諸君にはどうしようもないロクでなしのラブストーリーなんてもんを見て貰っていたわけだが、どうだった?

私的にはあり得ないような程鳥肌が立つお話だったと思うが、何、人間ちょとしたことであんな風になることもあるってもんさ。

良く言うだろ、幸せの青い鳥ってのは案外身近にいるもんだってなぁ。それに気付きさえすれば、案外誰だって幸せになれるってね。

だからオレもおとなしくハッピーエンドを迎えてグッドラックってね………え? いや、そうは問屋が卸さねぇって?

何々、まだやり残したことがあるじゃないかって? 一体何があるってんだい? お嬢様とのメイクラブシーンを見せて貰ってねぇって? おいおい、流石にそいつはプライベートの心外も良いところだろう。それにもし話そうものならお嬢様が恥ずかしがってむくれちまうよ。そういうところもまたキュートで可愛いんだがね。え? 惚気はいらない? そう言うなよ、幸せな人間ってのは大概の話が惚気になるもんだからなぁ。おおらかなで寛容な心を期待するよ。

んじゃ他に何があるんだ? 亡国のお間抜けは皆ミンチに変えて出荷したし、学園だって問題らしい問題を起こすことなく卒業もした。仕事だって十分にこなしてる。

だから何もないと思うんだが…………。

 

え、デュノアの野郎についてだって?

 

いや、それは語っただろ。あのあざといお譲ちゃんは愛しい王子様の義妹にクラスチェンジを果たし、その身分を十分にフル活用して王子様に迫ってるって。

そうじゃなくて、あの時のことだって? あの時ってなんだよ?

 

あぁ、デュノアの正体が発覚したって時か。

 

面白そうって理由でそのまま放置し、イチカの間抜けが見事にそれを引き当てて大慌てしまくったあの笑わせてくれたイベントね。確かにあれは面白かったよ。あのトラブルを常に引き起こす野郎と一緒にいれば嫌でも発覚すると思っていたが、あそこまで露骨に判明するなんて予想外だったからなぁ。いやぁ~、今思い出しても十分に笑えるな、ありゃ。

んでそいつがどうかしたのかい?

え? あの時の本当の答えが知りたいって? なんだよ、答えって?

あの時、イチカが示したじゃねぇか。『3年間はとりあえず 無事だからその間にどうにかすればいい』ってよ。そしてその3年間の期間に出た答えが野郎のお嫁さん(笑)になるってもんだったろ。

ほら、問題なく答えは出てるじゃねぇか。

え? 違うって? いや、何が違うんだよ?

 

『レオス・ハーケンとしての解決法をちゃんと見せて貰ってない』

 

そういわれてもなぁ。

悪いがオレが出せる答えってのは、そんな皆が幸せになれるもんなんかじゃねぇよ。物語がハッピーエンドで終わるように作られちゃいるが、世の中ってのは寧ろそっちの方が少ない。オレの目の前には寧ろそれであふれかえってる。

それでも聞こうっていうのかい? 聞いたって誰も幸せになれないかもしれないってのに? 

 

 

いいぜ、そんなに聞きたいんなら聞かせてやるよ。

 これはあの時、もしもオレが動いたのなら、その時のIFのお話だ。

悪いがお嬢様との甘い一時なんてもんはしないでくれよ。用意するんだったら、そいつはゲロ袋かもしくは胃薬のどちらかだ。

さぁ、話してやるから楽しみに座ってろよ、ガキども。

 

あの時のオレらしい対応の始まり始まり~…………。

 

 

 

 

 一々当時の事を語るのも面倒だろ。

だから要点だけ言えば、夜の外出禁止時間にイチカ達がオレの部屋に来たってのがあのお話の始まりだ。

その後部屋に入れて例のごとくデュノアの正体を聞かされるわけだ。

 

「それで、オレにどうしろと?」

 

問題に対しニヤニヤとしながら待つことにしたオレに対し、イチカの野郎は真面目な面で真剣に言ってきた。

 

「シャルルを救うために、手を貸してほしいんだ」

 

このお優しいイケメンの王子様は困った人がいると助けずにはいられないお人よしらしい。その実に主人公らしい性格にオレは笑っちまう。いやぁ~今のご時世にこんな熱い奴がいるとはねぇ~。

熱くて甘くて緩すぎて笑っちまうよ。

まぁ、そんなお熱い我らがヒーローがこれからの事に着いて語りだす。

奴さんからの提案はこの3年間は手が出せないっていう時間的猶予。それを聞いたデュノアは感動で泣きそうになっていたが、どう見たって奴さんはイチカに惚れてることが丸見えだ。奴さんにはイチカの野郎が白馬の王子様に見えるらしい。

夢見がちなお子様にはありがちってやつだな。

だが、それじゃぁハッピーエンドにはならない。悪いがこれで終わりだっていうのなら、世の中皆お花畑でピクニックしてるよ。

それはそれで嫌いな考え方じゃねぇんだが、それでは現実ってもんが理解出来ねぇ二人じゃそのまま世の中に出て叩きつぶされちまう。

だからここは社会人としてはっきりと言ってやるかねぇ。

 

「そいつじゃデュノアは救えねぇ。イチカ、お前さんが言ってるのはただの時間稼ぎだ。その間に解決策を見つけられなかったら即アウト。しかも今現在にその兆しが見えてねぇようなら尚更な。だからこそはっきりと言わせてもらうぜ………お前のそれじゃ絶対にデュノアを救えない」

 

この発言にイチカは勿論怒ったよ。

 

「ならどうすればいいんだよ!」

 

奴さんにとってあの提案が精一杯らしい。

奴さんが言う問題の答え、そいつはかなり難しいもんだ。

 

『お前さんはデュノアの何を助けたいんだ?』

 

「何って……全部だ。シャルルの取り巻く環境から救いたい! いくら実の親だからって子供をそんなふうにして言い訳ないだろ!!」

 

これが奴さんの答え。実に青々しく若々しい答えだ。

だからこの答えを出すためにオレは奴さんにあることを確認する。

 

「一応聞いておくがイチカ………お前さんはこの先何があっても認められるか?」

 

その問いかけに奴さんは戸惑いつつも頷いた。

それがまだ甘い、考えが緩いってことを考えずにだ。

それが笑えてしかたねぇが、たまには善人の振りをするのも悪くねぇだろ。

 

「その覚悟ってやつをさっそく見せて貰うよ」

 

そう奴さんに言うと、オレはデュノアの方を振り向き懐の物を取り出した。

そいつは黒光りする馴染み深いオモチャだ。

そいつを見た途端に二人の顔が強張った。

その反応を見てクスリと笑いつつ、オレはデュノアにこう告げた。

 

「んじゃさっそく………デュノア、お前には死んでもらおうか」

 

告げると共に、引き金をオレは引いた。

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