恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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久しぶり過ぎて感覚が分からず、かなりおかしくなってるかもしれません。


第十八話 食堂にて

 朝っぱらからお嬢ちゃんをからかってたらチフユに怒られちまった。

ああいうからかいがいがある奴はついついいじくり回しちまうなぁ。

いけねぇ、いけねぇ、悪い癖だ。

あんまりやり過ぎると嬢ちゃんがキレちまうしなぁ、それにセシリアにジト目で睨まれちまう。

ウチのお嬢様は機嫌を損ねると後が面倒だからよぉ。

後でちゃんと相手しておかねぇとなぁ。

そんな訳で授業の殆どを寝ながら過ごして、あっという間に昼になった。

この学園はIS以外にも通常教科なんかも教えてるわけだが、何が好きで英語なんて学ばなければならねぇんだよ。そんなもん、こっちは日常会話で使ってるんだ。今更学ぶようなことはねぇ。

そんなわけで覚える必要があったり使えそうなことは聞くが、それ以外は寝てるってわけさ。

もう昼になったんだし、昼飯を食おうとしたところでセシリアに声をかけられた。

 

「れ、レオスさん。一夏さん達に食事に誘われたので、よろしければ一緒に行きませんか?」

 

食事のお誘いかぁ……いつもは一人で食ってるからなぁ。

たまにはいいか。それに、何だか今日のイチカは厄介事に巻き込まれそうな感じがするからなぁ……きっと見てて飽きねぇと思うぜ。

なら答えは決まったな。

 

「ああ、わかった。んじゃ早速行くか」

「はい!」

 

オレが返事を返すと、セシリアは目映いばかりの笑顔を浮かべて喜んでる。

そんなに嬉しいかねぇ~。

それでオレとセシリアは一緒にイチカの所まで向かった。

 

「ヨォ、オレもいいかい」

「レオスも一緒にいくのか。ああ、歓迎するよ」

 

イチカの野郎はオレも行くと言ったらやけに喜びやがった。

お嬢様と言いこいつと言い、そこまで喜ぶようなことかねぇ。

まぁ、誰も仏頂面は見たくねぇよなぁ……野郎の後ろで妙に殺気立ってるホウキとかな。

ありゃチフユほどじゃねぇにしろ、結構怖いぜ。それに気付かねぇイチカは相当な大物だな。

それで四人で学食に向かい昼食の食券を買って受け取るために並ぼうとすると、前を歩くイチカが急に止まりやがった。

 

「ん、なんだぁ?」

 

そう思って前を見てみるが、誰もいねぇ。

 

「ここよ、ここ!!」

 

そんなオレを見かねたのか、オレの視界の下から声が聞こえてきた。

見るとそこには朝にからかったツインテールのガキがオレを見上げながら睨んでやがった。

 

「ん? 何だ、朝の嬢ちゃんじゃねぇか。ここにお子様ランチはねぇぞ?」

「むっきーーーーーーーー! 誰がお子様ランチよ! 私はこれを食べに来たのよ」

 

そう言ってガキこと鳳(ファン)はお盆に載せた料理を俺達に見せる。

そこには日本のヌードル、ラーメンがどんぶりで乗っかっていた。

 

「何だ、鈴。お前昔っからラーメンばかりだな」

「何よ、別にいいじゃない。好きなんだからさ」

 

イチカが昔を懐かしむような笑みで笑い、ファンはそう言われて照れて顔を赤くしていた。

それを見て大体察する。その証拠にホウキの顔がさらにおっかねぇことになってやがった。おぉ、怖いねぇ~。

それでファンも一緒に昼飯を食うことになって、オレ達は近くの席へと座る。

それで第一声を発したのはホウキだった。

 

「一体こいつはなんなのだ!」

 

ホウキがファンに指差してイチカに食ってかかっていた。

オイオイ、初っ端からそいつは駄目だろ。見てみろよ、ファンの額に青筋が浮かび上がってきてるぜ。

まぁ、ホウキの奴は朝から気になって仕方ねぇみてぇらしい。

そういや、寝てる時にチフユの出席簿の音が聞こえてたなぁ。どうやら犯人はこいつらしい。

ホウキに食って掛かられてイチカの野郎はタジタジになりながらも答えた。

 

「鈴は幼馴染みだよ」

「何! お前の幼馴染みは私だろう!! どういうことだ」

 

チフユほどじゃねぇにしてもおっかねぇ面でイチカに詰め寄るホウキ。

イチカはその面にビクビクしながら説明を始める。

おいおい、野郎がそんなブルってたら示しがつかねぇぜ。生まれたての子鹿みてぇなイチカを見てゲラゲラと笑っちまった。

それで聞いた所、ファンはホウキと入れ違いに学校に入ってきて一年前まで一緒だったらしい。

幼馴染みねぇ~。ラブコメディーの匂いがぷんぷんするぜ。オレはそんなのいねぇからなぁ。大体死んでるか行方不明しかねぇからな…ガキの時の知り合いなんて。

それを聞いたホウキはファンに笑顔で自己紹介するが、その目は全く笑ってねぇ。まだハロウィンのパンプキンの方が良い笑顔してるぜ。

それを受けてファンもホウキのことを察して返すが、こっちも似たり寄ったりだ。

互いに火花を散らしあってんのに、それにまったく気付かねぇイチカはマジで大物だぜ。

こういうのが見れるからこいつは面白れぇんだよなぁ。まったく目が離せねぇ。

セシリアも堂々と自己紹介をすると、ファンはホウキに向けていた顔とは違った笑顔で応じた。

どうやら同じ代表候補生らしく、気が合うみてぇだな。

ある程度喋ったところで、持ってきた料理を食い始めた。

イチカとホウキは和食でセシリアがラザニア、さっき言った通りファンがラーメンでオレはざるそばだ。

何でざるそばかって? せっかく日本に来たんだから、是非食っとかねぇとなぁ。

それにこのシンプルさがオレは気に入ってるんだぜ。特に麺を啜る快感って奴は他の国では味わえねぇからなぁ。仕事柄、あっちこっち行ってるが、日本の依頼は少ねぇからよぉ。食べる機会ってやつが中々ねぇってわけだ。

それでさっそく食べ始めた。

麺を一口分箸で摘まんでそばつゆに突っ込み、そのまま摘まんで啜る。

うん、良い味してるし、香りもいいねぇ~。

そのまま食べてると、何故か皆変な顔でオレを見てきやがった。

 

「どうしたんだ? 何か変なものでも見たかい」

「いや、レオスって普通に箸使えるんだな」

「何というか、外国の人間に目の前で見事にそばを食われているというのは、何だか奇妙でな」

「それにそのお料理も何だか妙に美味しそうに見えてしまって……」

「あんた、本当に西洋人?」

 

おいおい、そんなに意外かよ。

別に何ら可笑しな事はねぇんだぜ。仕事柄、東南アジアなんかにも良く行くからなぁ。現地の屋台でフォークなんて出してくれるところは少ねぇんだよ。

必然的に使えるようになるってわけさ。人間、慣れれば大体出来る様になるんだぜ。

 

「別にそこまで変なことでもねぇよ。アジア系統は専ら箸なんだぜ。何度も行きやぁ嫌でも使えるようになるってもんだ」

 

そう答えると三人は納得したが、ファンは何の事か分かってねぇって面してやがった。

そういや言ってねぇな。

 

「オレは仕事柄あっちこっち行ってたからなぁ。インドネシアにアフガン、アジアに中国や韓国、アメリカにレバノン、まぁ最近だとこんな所か」

「仕事? あんたって何かやってたの?」

「これでもオレは社会人だったんだぜ。 年齢はイチカと一緒だけどなぁ」

 

それを聞いて驚くファンにイチカ達は苦笑していた。

それでご機嫌ヨロシクにそばを啜ってるわけだがさっきから妙な視線を隣から感じる。

見てみるとセシリアが食べたそうな、そんな視線を向けていた。

さっきも美味しそうって言ってたからなぁ。

オレはセシリアの方にそば猪口を持って聞く。

 

「気になるみてぇだな。食うかい?」

 

自分がそんな視線を向けていたことに気付いてセシリアの顔がポストみてぇに真っ赤になった。

 

「い、いえ、そんなことないですわ!」

 

慌てながら否定するが、その目はすっかりそばにいってやがった。まったくもって説得力がねぇよ、お嬢様。

 

「そんな気になってる視線で見られたら食い辛くて仕方ねぇよ。ほれ、口開けな」

 

そばをそばつゆに浸してから箸で摘まみ、零れないようそば猪口ごとセシリアの前に持っていき、少し強引に口の前にそばを持って行く。

流石にセシリアも断れないと判断したらしく観念した口を小さく開けた。

 

「あ、あ~ん……」

「ほれ」

 

口の中にそばを入れると、セシリアは音を立てないようにチュルチュルと麺を啜っていく。

そして顔をヤカンみてぇに真っ赤にしながら感想を言った。

 

「お、美味しいですわ……とっても……」

「そうかい。そいつは良かったな」

「はい……えへへ……」

 

相当美味く感じたのか、セシリアはご満悦みてぇだ。

これでやっとそばを食うのに集中出来るってもんだ。

すると今度はホウキとファンが凄いものを見る目でオレのことを見てきやがった。

 

「今度は何なんだ?」

「いや、それは、その…」

「だって…ねぇ…」

 

どうにも二人は歯切れがわりぃ。

まぁ、大方こんな様子じゃ聞きてぇことなんて予想出来るけどなぁ。

だからオレは二人を呼び寄せて考えてることを当ててやることにした。

 

「その様子だと、どうせお嬢様に食わせたことと、そいつが間接キスになるってが言いたいってところだろ?」

「「!?」」

 

オレに言われたら、さっきのセシリア以上に真っ赤になりやがった。

これも若さってやつだな。

 

「たく、そんなことで一々赤くなるようなことか? 食わせるのなんて、負傷兵の看護にゃ当たり前だし、一々間接キスだの何だの気にしてたら食糧不足で干上がっちまうよ。そんなに羨ましいならイチカの野郎にねだってみたらどうだい? 彼奴なら素直にやってくれんだろ」

 

オレにそう言われ二人はイチカの方を見る。

イチカは二人の視線を受けて戸惑ってるみてぇだが、こいつのことだ。どうせ無意識で食べさせるだろうよ。そういうのに鈍感だからなぁ。だから面白いれぇわけだが。

 こうして、この後一夏は二人にねだられ追いかけ回されていた。

そいつは何とも滑稽で面白くて、下手なコメディー全然面白れぇ。そんな三人の様子を見ながら食うそばは格別に美味かったぜぇ。

 食堂を出るまでそれは続き、ウチのお嬢様とオレは上機嫌でクラスへと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

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