恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回はイマイチ上手く書けていないかもです……。


第二十六話 世界的、困った人の助け方

 我等がクラスに新たに二人の生徒が加わって賑やかになってから数日が経った。

流石世界各国から人が入ってくるIS学園っつった所か、もしくは我等がクラス一の色男、イチカの野郎の成せる技っつったところか。

さっそくながらに問題を起こしたようだぜ。

何でも新たに加わった美男子(ロメオ)、デュノアと一緒に訓練していたらいきなりドイツの子ウサギに襲われたらしい。

あの子ウサギはどうもチフユが大好きで仕方ねぇてもんで、イチカに嫉妬してるんだとさ。

男の嫉妬はみっともねぇが、女の嫉妬も結構なもんだ。

本当にイチカの野郎は女絡みで問題を起こすもんだから見てて飽きねぇ。こういうのを確か日本では女難の相があるっていうんだったか。まさにその通りなのが笑い何処だが、その割に好かれるところを見ると難でもねぇと思うんだがよぉ。

 そんな感じでイチカの野郎のコメディっぷりを見ながら楽しんでいた数日間。

その日の夜、俺は何故かウチのお嬢様ことセシリアに話をせがまれた。

どうもこのお嬢様はこの間に話した『冒険話』が癖になったらしい。お嬢様の日常にはまず有り得ないような話に夢中になって聞き入ってくる。

別に面白いもんじゃねぇと思うんだが、話している間にまるで純真無垢なガキみたいに瞳をキラキラと輝かせてるもんだから、断るに断れねぇんだよなぁ。

どうもこの変は兄貴分でもあるクロードに似てきたのかねぇ。彼奴は『紳士』だからなぁ……オレはまずそんなキャラじゃねぇがな。

まぁ、そんなつまらない話でも楽しそうに笑って聞くお嬢様の笑顔ってもんが見られるんなら易いってもんだな。

 

「それで他にはどんなお話がありますの」

 

すぐにでも聞きたいって感じに迫るお嬢様。

無邪気すぎてオレには眩しすぎるぜ、この笑顔は。

 

「そうだな……そう言えば、去年くらいにタイのどっかの町で仕事をしに行った時なんだけどよぉ、景気づけに仲間と一緒に飲みに店に出向いたんだ。確か旗の名前が付いてた店だったけな。そこで飲んでたんだが、これが中々に物騒な店でなぁ。客の殆どは懐に銃を隠し持ってやがるし、バーの後ろ辺りを見りゃショットガンが置かれてる始末。挙げ句の果てには飲んでたバーテーブルに鉄板が仕込んであったよ。それも分厚い実戦仕様のやつのな。一体何処の前線基地かと思ったぜ。しかも一見さんなもんだったから、周りの奴等の視線が集まるわ、目つきの悪りぃ店主に睨まれるわでさんざんだった。挙げ句の果てには少し外が騒がしいと思ったらいきなり店を巻き込んでの乱戦だぜ。何でも何処ぞのカルテルが一悶着起こしたとか。その所為で店内にいた何人かは蜂の巣になるわ、他の客がキレて外に向かって懐のモンぶっ放すわ、二丁拳銃で暴れ回ってた女を見た店主が滅茶苦茶にキレてショットガン持ってきて外の奴等に撃ち込みまくってたよ。あの時の店主の面ときたら、プレデターだって全速力で逃げ出すくらい凄かったぜ」

「そんなことがありましたの」

 

お嬢様、結構興奮気味。

あんまりこういう話ばっかり聞いてると精神的には良くないぜ。

 

「その時レオスさんはどうしましたの」

「そん時は面倒なんで退散したかったんだが、これが中々面倒でなぁ。何せ店の入り口全面包囲されてたからな。別に正面の馬鹿共を転がしても良かったんだが、仕事でもなくて報酬もでねぇのに殺りあっても損しかねぇ。だからカウンターに入り込んで他の奴等と酒飲んでた。鉄板で良い感じ防げたからな。店主が怒鳴り散らしてきたが、見た感じ毎度のことだろって思ったから『店の保安は店主の責任だろ。オレ等に怒鳴り散らしてる暇があるんなら外のクソ共をとっとと掃除しろ、このボケッ!』って中指立てて言ってやったよ。その後店主の奴はさらにがなり立ててキレてきやがったけどな。まぁ結局、その後ハンドグレネードなんてモンぶち込まれたもんだからオレ等も我慢が出来なくなってなぁ。結局正面の奴等を全員叩きのめして、小遣い替わりにその組織を潰す依頼を速攻で受けて潰させてもらったんだけどよ。奴等の所為で酒がまずくなった」

「何て言うか、レオスさんは毎回そんな騒ぎに巻き込まれますのね」

「おいおい、そんなことは言わないでくれよ。寧ろオレは被害者なんだからよ」

「まぁ。ふふふ」

 

そんなふうにお嬢様に今晩もお話をしてたら、突如部屋の扉がノックされた。

こんな時間に誰だぁと思って出て見たら、イチカとデュノアじゃねぇか。

 

「おいおい、いきなりこんな時間に何の様だ? しかも二人一緒で来るってことは遊びにでも来たのかい。出歩き禁止の時間帯に出歩くなんて、随分と張り切ってるみたいじゃねぇか。アレかい、チフユにバレねぇかのスリルを楽しもうってところか」

 

少し茶化しつつ話しかけるが、どうもイチカの野郎は笑わねぇ。

その面は結構真面目って面だった。それと後ろにいるデュノアが何やら腕を胸の前に出して胸を押さえているみてぇだ。

これだけの材料があれば何があったかは分かるってもんだ。

 

「レオス、実は真面目に相談したいことがあるんだけど」

「そうかい。まぁ、入れ。そのままじゃ困るだろ、お前さんも」

「ああ」

 

それでイチカとデュノアを部屋に入れたら、お嬢様が少し驚いていた。

だが、流石お嬢様って奴かイチカ達の面を見て気きかせて茶ぁ淹れに行ったよ。

ウチのお嬢様は料理はアレだが、何故か茶淹れるのは上手いんだよなぁ。何でもたしなみらしいぜ。

だったらお料理もたしなみだから頑張らねぇとなぁって言ったらふくれっ面になったが。

それで二人に茶を出して早速本題といこうかねぇ。

 

「それで? こんな時間にそんな面で来たんだ。それなりの話なんだろ」

「あ、ああ実はな………シャルルを助けるのを手伝って欲しいんだ!」

 

それからイチカはデュノアの正体を俺達に明かした。

まぁ、既に知ってたがな。

お嬢様はそれを聞いて驚いてたが、その後社長のことを怒ってたよ。

まぁ、普通に考えればそんなもんだろう。

ちなみにお嬢様にそのことを話してもいいのかと聞いたら、代表候補生の意見も聞きたいんだと。

それでどうすればデュノアの奴を助けられるのか相談しに来たんだとさ。

 

「それで? 何でオレに相談しにきたんだ? 普通はチフユにでも相談するところだろ、そこは」

「いや、出来れば千冬姉には知られたくないんだ。あまり迷惑かけたくないし。それに俺よりもレオスの方が色々知ってるから何か出来るんじゃないか?」

 

どうもイチカはデュノアを助けてぇって思いは強いんだが、その具体的な案については思いつかねぇて感じだ。

 

「だとさ。んで、当人のデュノアはどう思ってんだ?」

「僕は……」

 

今にも消え入りそうな声で返すデュノアを見て、セシリアが俺に真剣にお願いしてきた。

 

「レオスさん、どうにかなりませんの。確かにデュノアさんのした事は良くありませんけど、それでもコレはあんまりですわ。実の子供をそんな卑怯なことに使うなんて、絶対に許せませんもの!」

 

流石お嬢様はそう言うことが大嫌いだと。

そのひたむきな視線を向けられるのはちょっときついなぁ。

まぁ、少し真面目に答えてやるとするか。

 

「イチカ、お前さんはデュノアの何を助けたいんだ?」

「何って……全部だ。シャルルの取り巻く環境から救いたい! いくら実の親だからって子供をそんなふうにして言い訳ないだろ!!」

 

そう真面目に言う一夏。

本当に本心で怒っているようだ。

こいつのこういう真面目な所は好きなんだが、少し世間知らずだからな。偶には教えとこうかねぇ。

俺は指を三本立てて突き付けてやる。

 

「いきなり何だよ、それ?」

 

突き出された指の意味がわからねぇみたいだな。

 

「金が必要になるんだよ、これぐらいな」

「えっと……3万円?」

「残念……3000万円だよ」

「なっ!?」

 

金額を聞いて驚くイチカ。

別におかしいことはないぜ。

 

「何でそんな大金が必要になるんだよ! まさかシャルルのことを脅す気かっ!!」

 

そんな卑劣な奴を見る目で怒らないでくれよ。

別にそういう意味じゃねぇんだからよ。

 

「別にそういうことじゃねぇよ。必要経費だよ、経費」

「……どういうことだ?」

 

イマイチ理解出来てねぇようなので説明しますかねぇ。

 

「いいかい。今のデュノアを助けたいってお前さん要望、そいつを叶えるにはご実家の会社をどうにかしなきゃならねぇ。その後に政府だな。具体的に言りゃあ、このまま学園に在籍させるにはデュノア社の不正をなかったことにして政府に性別の誤報を正させるとかな。だが、そんな面倒臭いことデュノア社がするわけねぇ。なら、どうすればいいと思う?」

「いや、それは……IS委員会に訴えたりすれば何とか……」

「そいつをしたらデュノアは速、豚箱入りだ。IS委員会に報告したところで表に出るのはデュノア本人の不正のことだけだぜ。さっき言っただろ、『トカゲの尻尾』だってな。連中の頭の中じゃいつ切り離してもいい使い捨てだぜ、デュノアは」

「ぐぅ!? じゃ、じゃあどうすればいんだよ!」

 

イチカは手がねぇってことに自棄になりながらオレに叫ぶ。

 

「おいおい、落ち着けよ。何も手がねぇって言ったわけじゃねぇんだからなぁ」

「それはそうだけど!」

「まったく、もっと落ち着きをもたねぇとなぁ。いいか、良く聞けよ。お前さんが手に入れたカードはお前さんがそのまま使えば大した意味はねぇし効果もでねぇ。だが、他の奴らにそのカードは渡るのは奴らにとって一番まずいことになる」

「まずいこと? それに他の奴って?」

「ああ、そいつはな………マフィアさ」

「マフィア!?」

 

イチカが更に驚愕に顔を染めてきた。

その驚き顔は中々に面白いぜ。

 

「それも一流の巨大な組織のな。マフィアや日本のヤクザなんて連中は自分達の利益になることなら何でもする奴らだよ。そこに一流企業の弱みを見せてみろ。奴らはそいつを骨の髄までしゃぶり尽くす。お前さんじゃ訴えてもそれで終わりだが、マフィアとかの連中なら確実に絞れるよう体勢を整えてそれを元にその企業を脅し嫌がらせをかけて蜜を吸い出そうとする。それを頼むための3000万なんだよ。それを渡したら連中からきっと三倍以上の金を絞れるぜ」

「な、何だよ、それ」

「それで連中にこのネタで脅されたくなければデュノアを解放しろとでも言えば、連中はそれ以上の損害を気にして用件を飲み込みざる得ないってわけだ」

 

それを聞いた三人は何やら難しそうな顔になっていた。

そこまで難しいことを言ったわけじゃねぇんだけどな。

要は『プロの人に脅して貰ってデュノアの件から手を引いて貰おう』ということだ。

政府に関してはその後誤報でも何とでもなる。

 

「そんな、シャルルを利用してるだけじゃないか! そんなこと許せるわけがないだろう」

 

イチカはオレの言葉を聞いてそう返してきた。

それを本気で言えるのがコイツの魅力なんだがな。

表じゃ綺麗に輝くものも裏じゃ黒ずんで何も使えない。

だからこそ、イチカに『物の頼み方』を教えてやることするか。

オレは電子タバコを取り出すと、口に咥えて少しふかす。

そのまま口から煙を吐き出しながらイチカを見る。

 

「いいか、イチカ。良く聞けよ。確かにお前さんは『いい奴』だ。真っ直ぐで人に親切、困ったことがあったなら助けたいと本心で思う。だが……世の中お前さんみたいな奴ばかりじゃないんだ。お前さんの周りは『優しい』奴らばかりだったから仕方ねぇけどよ。だけど今回そいつは通用しねぇ。お前さんはデュノア社の良心に訴えかけて助けてぇんだろうけど、それは絶対にありえねぇ。いいかい、外じゃ人を動かすのは感情じゃねぇんだ。外で人を動かしたいんだったら、それにはお互いの利益になるかどうかってことだけだ。そいつがあって始めて話が始まるのさ」

「ッ………」

 

オレにそう言われて言葉がねぇって面になるイチカ。

さらに補足するためにオレはセシリアに聞く。

 

「セシリアだってこの話、わからねぇわけじゃねぇだろ。社交界関係でも似たような話はあったはずだ」

「確かに………そうですわね」

 

それを聞いてイチカの顔がしょぼくれる。

気持ちは分からなくはねぇが、こうして子供は大人になっていくんだぜ(笑)

 

「まぁ、これはあくまでもオレが出来る確実な解決方の一つってだけだ。まだ他にはばれてねぇんだったら、他の方法を考える時間もあるだろ。よ~く考えれば他に何か出るかもしれねぇしな」

「あ、ああ…」

 

暗く沈むイチカを励ます。

その失意のままイチカはデュノアを連れて部屋を出て行こうとする。

このままじゃ歯切れが悪いから、少しだけ葉っぱをかけてやるとするか。

 

「おい、イチカ」

「何だ…」

「いいか、お前はデュノアにとって唯一頼れる男なんだ。なら、格好悪い姿わ見せるなよ、『王子様』」

 

そうイチカに言ったら、デュノアの顔が真っ赤になった。

予想通り、『また』墜としたようだ。

いやぁ、さすがは我らがクラス一の『スケコマシ』だねぇ。

そう言われたイチカはイマイチわかんねぇて面で少し笑いながら部屋へと戻っていった。

それを見ていたお嬢様が何やらオレを見て笑う。

 

「やっぱりレオスさんは優しいですわね」

「何がだい? オレはいつも優しいぜ」

 

そして二人で笑った後、眠ることにした。

 

 

 翌日、デュノアから『IS学園特記事項第二十一』を聞かされ、在籍中の猶予があることを教えてもらったが、どうやらイチカの野郎が必死扱いて見つけたらしい。

お陰でデュノアはかなり嬉しそうだ。

まぁ、あくまで問題の先送りにしかなってないんだが、それまでにイチカがまた頑張ればいいだけだ。

オレには特に何もねぇが、それを聞けたお嬢様が喜んでるってんならそれでいいだろう。

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