恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回はある意味無双ですよ。


第二十七話 ヤンチャな子供の叱り方

 前回にあったデュノアの一件も何とか終わり、いつもと変わらねぇ日々って奴が戻ってきやがった。別にオレの生活ってもんが変わるわけじゃねぇんだが、これからイチカの野郎はさらに騒ぎに見舞われること受け合いだ。何せ『また』墜としたんだからよぉ。優しさてのは美徳だが、無遠慮に振り回していいもんじゃねぇ。アイツはそういうこと自覚しねぇとなぁ。そのうち路地裏で刺されてもしかたねぇぞ、本当。まぁ、そいつはそいつで実に面白そうだと思うぜ。何せイチカだ。どうせコメディーヨロシクに何とかすんだろ。アイツはそういう才能ってモンがあるからな。羨ましい限りだぜ。

あれから数日が経ち放課後、オレは散歩がてらに放課後校舎内を歩いてた。

別にオレだって散歩くらいするさ。何も酒とタバコしか好きなもんがねぇわけじゃねぇ。

それで廊下をぶらりとしていたわけだが、何やら騒がしくなってきやがった。

何かと思って聞き耳を立ててみりゃ、どうも代表候補生三人が第三アリーナで模擬戦をしてるって話だった。

模擬戦自体は珍しいもんじゃねぇが、三人での乱戦ってのは珍しい。

しかも戦ってる奴ってのがウチのお嬢様とファン、それとドイツの子ウサギじゃねぇか。

せっかくお嬢様が頑張ってんだから、暇つぶしがてらに見に行くには丁度良い。

そう思って見に行こうとアリーナへと向かった。

 それで見てみりゃ、何だ、ありゃあ?

最初こそお嬢様のファンは健闘してたんだが、子ウサギが両手をかざすと拘束されたみてぇに停止しちまう。確かドイツのIS特徴である『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』だったか。日本語訳だと慣性停止能力って言うらしいぜ。オレの『スカイウォーカー』とは少し違うんだとか。

そいつを使われてから戦況は変わり、二人はどんどん追い詰められていった。

それであっという間にシールドが減ってくとあの子ウサギがドSな面でお嬢様とファンの首にワイヤーをひっかけてタコ殴りにし始めやがった。

このままいきゃぁお嬢様がISを強制解除されるなぁ。

そう考えてたらすぐ近くで聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「ひどい・・・あれじゃシールドエネルギーが持たないよ!!」

「このままじゃ鈴がまずい!!」

 

声のした方を向いたらイチカとデュノアが焦った面で模擬戦を見てやがった。

二人もこの騒ぎを聞いて見に来たってところか。

イチカの野郎が今にも飛びだそうとしてるもんだから、ちっと止めてくるかねぇ。

 

「おいおい、もうちょっとは落ち着いた方がいいぜ、お二人さん」

「あ、レオス!」

「君もこっちに来てたんだ!」

 

二人が焦った面でこっちに詰め寄ってきた。

どうやら我等がヒーローは一方的なこの展開が許せねぇらしい。さすがヒーロー、そこに痺れるねぇ。だからといって見習いてぇわけじゃねえがな。

 

「レオス、このままじゃ鈴達が!」

「分かってるっての、そうがなり立てなさんな。ちっとばっかし話を通さなきゃならねぇんでなぁ。何かを行うのにはそれなりに面倒臭ぇ手続きってのが必要になるもんなのさ」

 

イチカにそう言いながら携帯であの爺さんに連絡を取る。

何だかんだと言ってもこの学園の面だからなぁ。それに……この距離でアリーナのシールドがあるんじゃ今から正攻法で行っても間にあわねぇ。となると、この観客席から直に行くしかねぇわけだが、そうさせないわけも含めたアリーナのシールドだ。容易じゃねぇなぁ。別にこいつを破る手立てなんてもんはいくらでもあるんだが、勢い任せにぶっ壊すとたぶんチフユあたりがカンカンになって来ると思うぜ。人間誰しも怒られたい奴なんてのはいねぇだろう。オレだって御免だね。

別にチフユはいいんだが、それよりおっかねぇのがいるのさ。

もし、ぶっ壊したことで請求やそんな話がクロードに伝わって見ろ。

オレは3時間以上ずっとお小言を言われなきゃならねぇ。あれほどしんどいもんをオレは今まで味わったことがねぇよ。まだナイフ一本だけでジャングルをサバイバルしてるほうが断然マシだぜ。

特に女性にはお勧めする。何せされりゃあ一回のお小言で5キロは痩せるんじゃねぇか。

ちなみにオレは3キロ痩せたよ。

そんなきっついお小言が御免なオレはちゃんと許可をいただくってわけさ。

携帯を鳴らすこと二コール目で繋がった。

 

『もしもし、どうかしましたか?』

 

いつもとかわらねぇ様子だが、この声を聞く限りもう分かってるんじゃねぇのか?

あの爺さんなら学園内のことなら何でも網羅してそうだからなぁ。

 

「いや何、ちょっとドイツの子ウサギがヤンチャしてるってだけさ。それだけならいいんだが、どうもウチのお嬢様もその遊び相手なんだよ。このまま行くと流石にイタズラが過ぎるんでな。灸を据えてやらねぇといけねぇ。ガキが悪さをしたら叱るのは大人の責務ってやつだ。違うかい?」

『いえ、あってますよ。まさか君がこんな『善良』だとは思いませんでしたけどね』

「オレだって人の子だぜ。教養があるんだったらそれぐらいたまにはするさ」

『それで、私はどうすればいいのかな』

「どうせわかってんだろ。子ウサギのイタズラを止めんのに邪魔なもんをひっさげてくれるのが一番ありがてぇが、そいつを待ってたんじゃ遅ぜぇ。なら、このまま突き破っていくしかねぇだろ。その許可が欲しいんだよ。このまま無断でやったらチフユから睨まれちまう、そいつは怖いだろ」

『確かにそうですね。特に織斑先生は怖そうですから」

「一回見て見ろよ。ありゃあアフガンの反政府組織だって速攻で逃げ出すぜ」

 

そんな風に爺さんを話を付けてたんだが、それが我慢出来なかったらしくイチカが叫びやがった。

 

「いつまでかかるんだよ、それ! こんなことに時間かけてたら鈴達がもうまずいってのに。俺はもう行く!!」

「い、一夏!?」

 

たっく、耳元で叫びやがって。

御蔭で耳が痛いのなんのっててな。

そのままイチカはアリーナに向かって駆け出すとISを展開して専用の近接ブレードを叩き付けた。

その斬撃を受けてシールドが砕け散った。

確かイチカの野郎のIS『白式』のワン・オフ・アビリティー『零落白夜』は対象のエネルギーを全てを消滅させる能力だったか。随分と凶悪な能力だが、言い替えれば『IS』だけに有効な能力だ。

それでもこうして易々とアリーナのシールドを破る辺り、その辺の保安はどうなってるんだろうねぇ。

そのままイチカは破ったシールドの穴からアリーナへと飛び出していっちまった。

それに続いてデュノアの追っかけるみてぇだ。

 

「爺さん、どうもイチカの野郎が早漏で先にいっちまった。ちっと急ぐぜ」

『そうみたいですね。わかりました、アレの使用許可を出しますね。早く終わらせて下さいよ。私が許可したって言ったて怒られるんですからね』

「わかったよ、爺さん」

 

それで通話を切ってみりゃあ、イチカが子ウサギのAICに捕まってやがった。

 

「ふん! 貴様等など、このシュヴァルツェア・レーゲンの前では有象無象の一つにしか過ぎん!」

「なっ!? 動けねぇ!」

 

そのまま子ウサギが肩の大型レールカノンをイチカにぶっ放そうと構える。

 

「まったく……若いからってハシャぎすぎだぜ、お前等」

 

オレはそう言うなり、IS『スカイウォーカー』を展開、その場でスナイパーライフル『ゲイボルグ』を呼び出すと即座に倒れ伏せてぶっ放す。

発射された弾丸は見事に子ウサギのレールカノンにぶち当たり、その砲身を破壊した。

 

「なっ、狙撃だと!? いったいどこから!」

 

砲身を破壊されたことで驚く子ウサギ。

イチカはそれでAICが解除されたらしく、急いで距離を取った。

オレはそのまま起き上がると子ウサギの前に歩いて行く。

 

「模擬戦中に悪いが、これ以上ウチのお嬢様にオイタするってんなら流石に叱らねぇといけねぇんでな。ガキが悪さをすりゃあ大人が叱るには当たり前のことだよ」

「貴様っ!!」

 

オレがライフルを肩に担ぎながら明るく言うと、子ウサギがかなり怒った面で睨み付けてきた。

それなりには怖ぇが、チフユにくらべれば断然可愛いぜ。差にすりゃ子猫とライオンくらいの差があるなぁ。

 

「れ、レオスさん……」

 

ウチのお嬢様は少し弱った声でオレに目を向ける。

見た感じダメージが辛うじでBってくらいか。あと数発喰らってたらCにいってたな。

 

「悪いな、お嬢様。オレはどこぞのヒーローと違って格好良くは来ないんでな」

 

そう言ったらお嬢様は痛みに顔を歪めつつも笑った。

 

「あなたはどう見たってヒーローって感じじゃないですわよ」

「そりゃそうだな。まずオレのキャラじゃねぇ」

 

その事に同意しつつ、近くにいたデュノアに声をかける。

 

「デュノア、悪いけどお嬢様とファンを退かしといてくれ。後イチカもな」

「う、うん」

 

デュノアはオレに言われて二人の元へと走る。

二人の所に着くとともに二人のISが解除された。

 

「何でオレもなんだよ!」

「お前さんの気持ちも分からなくねぇが、流石にウチのお嬢様をああされるとな。オレは結構気に入ってるんだよ。それに……爺さんに許可を貰った手前、早急に終わらせねぇとチクられちまう。そいつだけは勘弁だ」

「だかららって!」

 

それでもごねるイチカ。

 

「うっせぇよ! 少しは聞きやがれ!」

「ぐはっ!?」

 

オレは回し蹴りを入れてデュノアの近くまでイチカを吹っ飛ばした。

 

「聞き分けがねぇとチフユに怒られるぜ、イチカ。なぁに、ちょっと4人でそこの自販機で飲み物でも飲んでな。すぐに終わらせてやるからコーヒーでも奢れよ」

 

そう言うと共に子ウサギの方を振り向く。

 

「つーわけだ。これ以上ヤンチャするってんならオレも常識ある社会人として叱らなきゃならねぇ。大人しく引き差がるってんならチョコレートでも買ってやるから引き下がってくんねぇか」

「ふん、貴様とはいずれ戦わなければならなかったのだ。ならばこの場で叩き潰しても問題無い!」

 

子ウサギは興奮がまったく醒めねぇようだ。

もうちょっと事態ってもんを理解してくれると有り難かったんだがねぇ。

 

「んじゃしゃーねぇ。悪い子にはお尻ペンペンだ。その小ぶりなお尻が大きくなってもしらねえよ」

「ほざけ! 行くぞ!!」

 

子ウサギはそう叫ぶとともに、刃のついたワイヤー『ワイヤーブレード』6基を此方に向かって飛ばしてきた。

まったく……この子ウサギは本当に軍人なのか疑うぜ。

 

「まったく持ってワイヤーの使い方がなってねぇぜ、子ウサギよぉ」

「何だと!」

 

オレは飛んで来たワイヤーブレードを全て避けつつ、子ウサギの周りと駆け巡る。

ぐるりと周り、呼び出したケロベロス1丁で牽制射撃を行う。

 

「どうした、さっきまで叩いていた大口はただの虚仮威しか!」

 

子ウサギはにやりと笑いながらワイヤーブレードでの攻撃を繰り出していく。

どうやら攻撃が激しいから近けねぇと思ってるらしいな。

そろそろ種明かしといくとするか。

 

「そんなことねぇよ。そろそろ教えてやるよ。お前さんの間違ったワイヤーの使い方も含めてな」

「何がだ!」

 

そう言った後、オレはにやりと笑いながら何も持っていない左手を思いっきり引いた。

その瞬間……ウサギの身体が締め付けられで動けなくなった。

 

「な、何!? 身体が動かない! AIC!? いや、これは!」

「そう慌てるなよ。お前さんの身体を見りゃ一目同然だろうが」

 

そう言われ子ウサギは改めて身体を見ると、そこに気付くだろ。

何十にも極細のワイヤーが身体に巻かれていることに。

 

「これはっ、ワイヤーか!」

「ご明察だ。まったく、あんな見え見えなワイヤーなんて使いやがって。見づらいからのワイヤーだろうが。それがまだ囮ってんなら分かるが、そのままじゃ軍人が聞いて呆れるぜ」

「ぐぅっ!」

 

怒りと悔しそうな目で子ウサギがオレを睨む。

 

「さっきからお前さんはオレに夢中すぎだったんだよ。オレが周りを回りつつ、わざと砂煙を上げてトラップを仕掛けているのに気付かないってんだから笑いぐさだぜ。軍人ってんなら、これくらいの初歩のトラップくらい気付ねぇとなぁ」

「っ~~~~~!」

 

動こうと藻掻く子ウサギだが、これでも何重も重ねたワイヤーだ。

簡単には千切れねぇよ。一本が極細でも集まればこれほど厄介なもんはねぇ。

 

「そこで大人しく頭を冷やすんだな。残念なことにチョコレートはお預けだ。じゃあな」

 

そう言ってオレはISを解除しながら背を向ける。

 

「この程度で舐めるなぁああああああああああああああああああああ!!」

 

子ウサギはオレの態度にキレたらしく、叫びながら無理矢理ワイヤーを振り解こうとしたらしい。

はぁ……だから言ってるだろうに。

 

『ちゃんとよく見ろって』

 

そう思った瞬間………

子ウサギの周りが大爆発を起こした。

 

「なっ!? がぁあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

その爆炎に巻き込まれた子ウサギの絶叫を聞きつつ、オレはついでに言うことにした。

 

「トラップって言ったろ。なら、ワイヤーの先に何があるのかも分かっただろうに。もう少しお勉強して出直してきな」

 

そう言ってから、オレはアリーナを後にした。

 

 

 

 翌日チフユに怒られて反省文を書かされたけどな。

やり過ぎだってよ。

子供を叱るってのは本当に難しいぜ。

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