恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回も訓練です。
感想が来ない辺り、この作品って面白くいないのだろうか………


第三十話 お嬢様との特訓 その2

 お嬢様とトーナメントに向けて情報を共有しあうと、今度は一端更衣室へ向かって動きやすい恰好に着替えて貰うことにした。

その事にお嬢様は不思議そうに

 

「今度は何をするんですの?」

 

と可愛らしく首を傾げて聞いてきた。

何か期待しているようだが、悪いね。生憎お嬢様が期待するようなことじゃねぇんだよなぁ。

それで先にグラウンドに戻ってきて待つこと十分弱。

 

「お待たせしました、レオスさん」

 

お嬢様が此方に向かって歩いてきた。

お嬢様が着てきたのはISスーツ。

いつ見ても眩しいスタイルだねぇ。まさに眼福ってのはこういうのを指すんだろうなぁ。

 

「それで……何でISスーツなんですの? ISを使うわけでもないのに」

 

お嬢様はそれが気になって仕方ねぇってらしい。

それについて簡単に説明しますかねぇ。

 

「今度はお嬢様と一緒に訓練だ」

「訓練ですの? それは一体……」

 

これから行うであろう訓練の内容が気になるらしく、お嬢様は真面目な顔になった。

別にそこまできついもんでもない。ただのお遊びなんだけどなぁ。

 

「さて、お嬢様。これからタッグを組んで戦うわけだが、オレとお嬢様ならどんなふうに戦うのがベストだと思う?」

「そうですわね……やっぱり前衛をレオスさんがして、私が後方から狙撃支援やティアーズでの撹乱といった所でしょうか。それが一番だと思いますわ」

 

少し考えてからそう答えたお嬢様に笑顔を向けながら頭を撫でてやる。

 

「えっ、なっ、ひゃう!?」

 

それに驚いたお嬢様だが、どこか嬉しそうに頬を赤くしていた。

まぁ、確かにお嬢様が言っている通りなんだけどなぁ。

 

「確かにそいつが正解だが……それはこの組み合わせなら誰でも考え付くってことだ。つまり他の奴等もそう考えてるってことだぜ。別にそのままごり押しでもいいんだが、それじゃあお嬢様のためにならねぇ。見え透いた連携ほど罠にかけやすいからなぁ」

「そ、そんなことはないですわ! 私とレオスさんならどんな人が相手だって!」

 

顔を真っ赤にして否定するお嬢様。

嬉しい事を言ってくれるのは喜ばしいが、生憎そいつを受け入れることは出来ねぇなぁ。

 

「褒めてくれるのは嬉しいが、実際そうも言ってられねぇ。と言うわけでこいつの出番だ」

 

オレはお嬢様にそう言うと、お嬢様が着替えに戻っている間に用意しておいた物をお嬢様に渡す。

それを見たお嬢様は一瞬顔を凍り付かせた。

 

「これはっ……ナイフ!? いや、でも……これは刃が……」

 

渡されたナイフに最初こそ驚いたお嬢様だったが、手に持ってすぐそのナイフが普通でないことに気づいたみてぇだ。

そこでこいつの正体を明かした。

 

「そいつは所謂訓練用のナイフだ。重さは本物と同じにしてあるし重心も同じだ。ただ刃は着いてねぇから切れねぇが、その代わり特殊なインクが出るようになってる。まぁ、こういうわけだな」

 

俺はそう言いながら持っていたもう一本のナイフを手に軽く押し当ててから引くと、そこに赤い線が出来た。

それを見たお嬢様は渡されたもんがどういうモンなのかを理解したようだ。

理解が終わったところで本題に移るかねぇ。

 

「連携の幅を広げるためにも、お嬢様には是非とも近接格闘戦をもっと上手くなってもらわねぇとなぁ」

「な、何で私が近接格闘戦を!」

 

お嬢様が少し怒ったようだが、それにはちゃんとした理由があるんだから怒らないで欲しいねぇ。

 

「そう怒んなさんな。いいかい、よ~く聞けよ。お嬢様は射撃はまぁまぁだが、如何せん接近されると弱ぇ。これはイチカとの試合の時に露呈しちまった弱点だ。しかも前にファンと組んでマヤと戦った時があったろ。あの時に近接戦が出来るようになってれば多少はマシになってたはずだぜ。それが出来てねぇってことは未だに克服出来てねぇってことを周りに教えちまってるようなものさ。だからこそ、お嬢様には近接戦を上手くなってもらわねぇといけねぇ。上手くなればお嬢様自身の弱点がなくなるし、連携の幅も広がる」

 

そう説明すると、お嬢様は少し難しい顔で食い下がる。

 

「た、確かにそうですけど、でも…」

「それになぁ、お嬢様がもし近接格闘戦を急に仕掛けたら、周りの奴等はビックリするぜ。それで一気に戦況は変わるだろうさ。何せ連中はお嬢様が射撃しか出来ねぇって考えてるんだからな。そんな奴等の驚いた時の間抜け面、見たくねぇかい?」

 

お嬢様はオレの言葉を聞いてから少し考えて、クスリと笑った。

 

「確かにレオスさんの言う通りですわね。少し趣味は悪いですけど、確かにそう思っている人達の鼻を明かすのは面白そうですわ」

「いいねぇ、お嬢様。そういうノリが人生には大切なんだぜぇ」

 

お嬢様はそれを聞いてさらにうふふっと笑い始めた。

最近お嬢様も変わった気がするねぇ。寧ろ良くない物に染まったっていうのかな。だが、料理じゃ雑味も必要らしい。人間も同じでそういうのがあったほうが面白みがあるもんさ。

そういう意味でなら、お嬢様はより成長してるってことなんだろうよ。

一頻り笑ったお嬢様と改めて向き合って訓練について話す。

 

「まぁ、そう言うわけでお嬢様には近接戦の訓練が必要ってことだ。だからこその訓練だよ」

「それは確かにそうですが、だったらISが使えなければ話にならないのでは?」

 

そいつはIS操縦者ならではの言葉って奴だな。

だが、ここではそいつは言いこなしだぜ。

 

「そうでもねぇんだな、これが。ホウキのことを棚に上げるわけじゃねぇんだが、近接格闘ってのは独特の間合いがあるんだよ。そいつを学ぶのには実際に何度もやり合ってみるしかねぇ。そいつはISがあろうとなかろうと変わらねぇのさ」

 

実際にISを動かそうと、行う動作が一緒な以上掴む間合いもあまりかわらねぇからな。結局ISもパワードスーツだってことを忘れちゃいけねぇぜ。

 

「そうですの。確かに理屈は分かりますけど……取りあえずやってみますね」

 

そう答えてお嬢様はナイフを握った。

 

「その意気だ、お嬢様。早速やるとしようかねぇ」

 

オレもそのままナイフを構えると、お嬢様のナイフを構え始めた。

さすがは代表候補生つった所かねぇ。一応の訓練は積んでいるらしい。

 

「んじゃお嬢様、さっそく仕掛けきな。レディーファーストだ」

「それはありがとうございます……わっ!!」

 

お嬢様はソードグリップで握ったナイフで上段から斬り掛かってきた。

それを逆手で持ったナイフでオレは受け流す。

 

「思い切りは結構だが、腰が入ってねぇぜ、お嬢様。もっとどっしりと腰を据えねぇと駄目だぜ」

「はいですわ!」

 

それを皮切りにお嬢様は更に果敢にオレにナイフで掛かっていく。上から下から真横から、此方に刃を当てようと振るう。

そいつをオレは避け、受け流して防いでいく。

 

「まだまだ、甘ぇ! もっと素早く細かく斬りかかりな」

「はい!」

 

それなりに訓練を受けているようで何よりだが、こりゃあしばらくサボっていたな。

鈍ってることが受けた刃から伝わってくるぜ。

こりゃ一回、思いっきり絞らないといけねぇな。

 

 

 

 そして約三分が経ったが、未だにお嬢様は一撃も加えられていない。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 

お嬢様はさっきまで全力で攻めてたせいで息切れを起こしていたが妙に艶めかしい吐息にクラクラしちまうねぇ。

それがベットの中でならたまらねぇもんだが、生憎今は訓練中。オレはそこまで女好きでもねぇんでな。まぁ、いいもん見せてもらったと思う程度だ。

 

「おいおい、お嬢様。この程度でへばってたら話にならないぜ」

「くぅ~~~~~……まさか一撃も当てられないなんて……しかもタバコを吸って余裕のレオスさんに……悔しいですわ」

 

お嬢様はオレを恨みがましく睨みながらそう愚痴る。

途中から暇になってきたんで電子タバコを吹かしたんだが、それがお嬢様を更に怒らせてなぁ。お嬢様ったら向きになってさらに激しく攻めてきたんだよ。まぁ、残念ながらかすりもしなかったがなぁ。

呼吸を整え終えたお嬢様を見て、今度はオレがナイフで攻める番だ。

 

「んじゃ今度はオレが仕掛けるから、頑張って防げよ、お嬢様」

「負けませんわ!」

 

お嬢様が張り切っている様子を見てオレは感心しつつ、早速手加減して突きを一発放つ。

この後言うつもりだが、ナイフは確かに刃が着いているが斬撃兵器ではない。刺突兵器だ。だからその使い方は突きがメインになるわけだが、お嬢様はそこのところの理解がイマイチだった。まぁ、ISのナイフとなるとその区分はなくなるのかもしれねぇからしかたねぇのかもしれねぇけどな。

オレが放った突きにお嬢様は反応するが遅れ、それは吸い込まれるように胸に当たった。

その瞬間、ナイフが柔らかい胸へと埋まりお嬢様がその感覚に悲鳴を上げる。

 

「きゃぁっ!? な、何するんですか、レオスさんのエッチ!!」

 

そのまま胸を隠すように手で抱きしめ隠すお嬢様にオレは笑って答える。

 

「一々それで反応してたら切りがねぇ。一応訓練なんだから真面目にしようぜ、お嬢様。胸部は一番狙われやすい部位なんだから意識しねぇといけねぇよ」

「うぅ~~~~~、そうですけど~~~~~」

 

お嬢様はオレの言っていることに理解こそすれど納得はしかねるって面で睨んできた。

そこで睨まれても甘くはできねぇんだから我慢してもらいてぇもんだ。

 

「ほらほら、そう怒るなって。これも訓練だ。次にいくぞ、次に」

「むぅ~……はいですわ」

 

お嬢様はそう答えてまた構え始めた。

その胸……左の約中心部が綺麗な赤色に染められていた。

 

「んじゃ、今度はもっと早くいくぜ、お嬢様。頑張れよ。一撃でもかすらせたらご褒美をくれてやるよ」

「ご、ご褒美ですの! い、一体何が……じゃなくて、いきます!」

 

そして再びお嬢様へとナイフで斬り掛かりに行った。

 

 

 

 その後の約三分、お嬢様はオレの攻撃を防げず、胸と腹を真っ赤に染めて地面に横たわりバテていた。

 

「うぅ~~~~~~、悔しいですわ~~~~~~!」

「そいつは結構だ。悔しいってのが上達への早道だからなぁ」

 

そう言いながらお嬢様を起こすと、お嬢様はふらつきながらも立ち上がった。

しかし、疲労が酷くて歩けねぇらしい。

仕方ねぇから、その後はオレがお姫様だっこで部屋まで運んでいくハメになったが、お嬢様は何故か上機嫌だったよ。

まぁ、その調子でトーナメントまで頑張ってもらうからなぁ。

 

頑張れよ、お嬢様。

 

 

(結局ご褒美を貰っちゃいましたわ…………)

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