恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回も頑張ってます。


第三十一話 トーナメント開始 お嬢様の成果

 お嬢様との訓練も一通りやってあっという間に一週間が経っちまった。

鍛えたお嬢様は、まぁ、最初に比べりゃぁ毛が生えた程度にはマシになったが、まだまだ甘くて仕方ねぇ。取りあえず接近されてもそれなりに抵抗出来る程度にはなっただけお嬢様の成長っぷりってもんが窺えるぜ。

と言っても、オレには一撃もかすらせられなかったのはかわらねぇがなぁ。

 そして今日はトーナメント当日。

オレとお嬢様はISスーツに着替えて控え室で対戦カードの発表を持っていた。

周りの奴等から今か今かと発表を待ち望んでる緊張って奴をヒシヒシ感じるぜ。

まるで新兵が初めて実戦に投入される時の緊張に似てる感じだ。

別に緊張しなくてもすぐに来るんだから緊張する必要なんてねぇのによぉ。

オレの時はどうだったかって?

昔過ぎて覚えてねぇよ。物心付いたときから銃ひっさげて戦場を走り回ってたからな。

今更緊張もクソもねぇ。

そんな緊張でじれったそうにしている奴等の中、ウチのお嬢様はというと平然としていたよ。

それでも口元の笑みが堅いあたり、やっぱ緊張してるんだろうかねぇ。

そんなわけでお嬢様の緊張を解すためにも話しかけた。

 

「おい、お嬢様。緊張してるのかい?」

「そ、そんなわけありませんわ! このセシリア・オルコットがこの程度の戦いで緊張なんてっ!」

 

やっぱり予想通り緊張してやがった。

喋ればボロが出る辺り、お嬢様はまだまだ甘いねぇ。ま、そこが可愛くもあるんだけどなぁ。

 

「別に緊張するなとは言わねぇよ。良いんじゃねぇか、初々しくて可愛いと思うぜ、オレは」

「か、可愛いだなんて………」

 

途端に顔を真っ赤に染めるお嬢様。

嬉しいんだろうが、こうもすぐ顔に出しちまうのは少し心配になっちまうねぇ。その内ポーカーとかで痛い目に遭わなきゃいいがなぁ。

 

「別に時間が来れば嫌でも決まることだからなぁ。どっしりと待って一服でもすりゃあすぐにでも発表されるさ」

「レオスさんは逆に落ち着き過ぎじゃありませんの。ISの試合なんてまだ片手で数えるくらいしかしていないはずですわよね? なのに何でそんなに落ち着いているのか不思議なんですが、どうしてですの?」

 

お嬢様はオレがまったく緊張してないことに不思議そうだが、別に驚くこともねぇよ。

こっちは今まで生身でやり取りをしてたんだから、こんな『安全なお遊び』に緊張する道理はこれっぽっちもねぇ。

それこそ、『巨人の大剣』の連中と手前の給料賭けてポーカーする方がよっぽどスリリングな緊張を味わえるってモンさ。

アイツ等は目の前のお嬢様と違って容赦と遠慮ってもんが欠片もねぇからな。

だからお嬢様にオレは笑いながらこう答えた。

 

「別に戦いなんて仕事だったからなぁ。今更命のやり取りもねぇつまらねぇお遊びに緊張しろって方が無理ってもんだ。それにな……ウチの連中と賭けをする方がよっぽど緊張するぜ。何せアイツ等は容赦ってもんがまったくねぇからなぁ。御蔭で負けたときは次回の給料日まで極貧生活だったよ。何せ酒一本も買えねぇくらいこってりと搾り取られたからなぁ……思い出しただけでも肝が震えあがっちまうよ」

「あ、はははは……それはちょっときついですわね……」

 

お嬢様はオレの話を聞いて苦笑したよ。

まぁ、これは貧乏人じゃなきゃわからねぇはなしだったかねぇ。

 

「なぁに、緊張し過ぎも良くねぇが、それも程度によるってもんだ。今のお嬢様くらいが丁度いいんだろ。それに少しは鍛えたんだ。昔よか自信ってもんを持ったっていいんじゃねぇか」

「は、はい!」

 

お嬢様は褒められたのが嬉しいらしくて笑顔になった。

そう、その笑顔だよ。戦う時ってのは笑う奴が勝つんだぜ。

そんな風に笑顔になったお嬢様と試合について話していく。

 

「んで、お嬢様としちゃあどいつと当たりたいところだ?」

 

そう聞くとお嬢様は面を引き締めて真剣に答えた。

 

「やっぱり私はボーデヴィッヒさんと戦いたいですわ。せっかくレオスさんに鍛えてもらったのですから、是非ともリベンジマッチですわ」

 

そう答えるお嬢様の目はリベンジに燃えてるようだ。

気品溢れる顔に情熱的な瞳というのがまたそそるじゃねぇか。

 

「いい気迫だ、そうこなくっちゃぁな」

「ええ!」

 

そんな風に試合への意気込みを顕わにするお嬢様。

すると早速モニターに対戦カードが映し出されたよ。

ええっと…………

 

『第三試合 織斑 一夏、シャルル・デュノア VS ラウラ・ボーデヴィッヒ、篠ノ之 箒』

 

「どうやらあの子ウサギの相手はイチカが先らしいぜ」

「少し残念ですけど、仕方ないですわね。なら、私は織斑さん達を応援致します」

 

お嬢様はしっと残念そうに顔をしかめたが、こいつばっかりはどうしようもねぇな。

それにしても、まさかイチカが当たるとはねぇ。

アイツにやけにご執心だったからなぁ、あの子ウサギ。この試合、まさか爺さんが何かしてねぇよなぁ? してねぇんだったら、アイツは相当運が良いのか悪いのか。

とんでもないドラマチックな展開もアイツなら難なく起こすあたり、やっぱり飽きさせねぇぜ、アイツは。このままいったらさらに面白そうなことに発展するんじゃねぇか?

どことなく確信しちまうぜ、なんたってイチカだからな。それだけで通りそうだ。

それで今度は自分達の名前を見つけたわけだが、

 

『第一試合 レオス・ハーケン、セシリア・オルコット VS 相川 清香、谷本 癒子』

 

「あら、相川さんと谷本さんですの」

「確か同じクラスの奴だったなぁ」

 

どうやら対戦相手は同じクラスの奴らしい。

それならお嬢様も緊張することもねぇだろうさ。

 

「しかも初っ端からか。まぁ、いいんじゃねぇか」

「はいですわ! 戦うのなら、精一杯やらせていただきます」

 

お嬢様はもう戦う気満々で頷く。

 

「よし、良い意気だぜ、お嬢様。みんなに見せつけてやろうぜ、新しい格好いいセシリアをな」

「はいっ!」

 

お嬢様のやる気満々な様子を頼もしく思いながら、オレ達は二人でアリーナへと向かい歩いて行った。

さぁ、お嬢様との晴れ舞台だ。是非とも頑張って貰いたいねぇ。

 

 

 

 ISを装着してお嬢様とアリーナに降り立つと、目の前には打鉄とラファール・リヴァヴを装着した見覚えのある二人が身構えていた。

確か二人とも祭り好きでノリの良い奴等だったな。

 

「うわぁ、改めて見てもやっぱり凄いね、そのIS」

「確かにね。全身装甲だから顔も見えないし」

 

二人ともオレを見て若干怖がりながらもそう感想を洩らす。

別に何度も見てるだろうに。まぁ、見られたところで減るようなもんでもねぇけどなぁ。

 

「お二人とも、よろしくお願いしますね」

 

お嬢様はそんな二人に微笑みながら挨拶をすると、二人は感心したらしい。

 

「さすがセシリアだね」

「代表候補生は伊達じゃないわ、やっぱり」

 

それじゃお嬢様がしたんだしオレも挨拶するかねぇ。

 

「んじゃオレよろしく頼むぜぇ」

「ひっ!?」

「う、うん!」

 

オレの声を聞いて顔を青くして怯える二人。

おいおい、未だに慣れてねぇのかよ。そんなに怖がられるとお兄さん、悲しいぜぇ。(笑)

それで二人に挨拶を終えた所で、さっそく試合開始のブザーが鳴った。

 

「それじゃ行くわよ、清香!」

「いっくぞ~!」

 

二人はそう言うなり、オレ達に展開したアサルトライフルの集中砲火を浴びせてきやがった。

 

「んじゃお嬢様、行くぜ」

「はい!」

 

それに反応してオレとお嬢様はその弾雨から逃れるべく、上空へと跳ぶ。

そして逃れ次第、オレはお嬢様に指示を出しながら空を駈けた。

 

「お嬢様は後衛で撹乱と援護。オレは取りあえず突っ込むぜ」

「お任せくださいですわ!」

 

お家芸なだけに自信満々に答えるお嬢様。

そいつを見ながらオレは打鉄を纏ってる相川…だったか? そいつに向かって突っ込む。

 

「さっきのお礼だ。釣りはいらねぇよ」

 

そう言いながら両手に『オルトロス』を展開して奴さんに向かってぶっ放す。

 

「え……、わ、私っ!? キャァ!!」

 

そのまま銃弾を喰らって後ろに引く打鉄。

それを見て慌ててラファール・リヴァヴを纏った谷本? がサポートに回る。

 

「大丈夫、清香! やっぱりハーケン君は強いわね! でも!!」

 

 そのまま両手に展開したアサルトライフル『ガルム』をオレに向かってぶっ放そうとした。

それを見てもオレは回避行動に移る気はねぇ。何故なら、

 

「させませんわ!」

 

オレの後ろにいるお嬢様がサポートしてくれるからなぁ。

お嬢様は愛銃である『スターライトmkIII』を使ってラファール・リヴァヴを狙い撃った。

放たれたレーザーが見事に辺り、手に持っていたガルムの一つが破壊されたみてぇで誘爆したようだ。

 

「キャァアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

谷本はそれにビックリして後ろに仰け反ったよ。

さすがお嬢様。狙いは上々みてぇだな。

そんなことを思ってたら相川が防御しつつも近接ブレード『葵』を展開して斬り掛かってきやがった。

 

「やぁああああああああああああああ!」

「おっと」

 

オレはそいつを片手のオルトロスの銃剣で受け止めつつ、もう片方を構える。

 

「相手の両手が開いてるときに自分の両手を塞いでちゃぁ、駄目だぜ、お嬢さん」

「ぜ、全然動かない! 片手なのに何で!」

 

両手で精一杯の力で押し切ろうとしてるんだろうが、全く動かねぇブレードに四苦八苦する相川。

オレはそいつを笑いながら開いているオルトロスの銃口を至近距離で相川に向ける。

その銃口を向けた途端に相川から引きつった悲鳴が聞こえたが、オレは気にせずにぶっ放した。

 

「え?」

 

そして相川からそんな間の抜けた声が上がった。

何せ撃たれたと思ったはずが何の衝撃もこねぇんだからな。

その正解は相川の後ろにあるぜ。

 

「くぅううううう! 何でそっちから攻撃が来るのよ!!」

 

銃弾を受けた谷本が後退しながら呻いていた。

オレはその様子に笑いながら相川に答えてやる。

 

「せっかくのタッグマッチ戦だ。意表を突かねぇとなぁ」

 

そう言った後にそこから蹴りを放って吹っ飛ばした。

 

「キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

相川がそのまま壁まで吹っ飛んだのを見た後、今度は谷本の方を見るとお嬢様が一対一で押していた。

 

「行きなさい、ティアーズ!」

 

お嬢様の命を受けて四方からティアーズが襲い掛かっていく。

それを谷本は慌てながら対応するが、追いつかずに翻弄されてた。

 

「えぇっ! 撃ってるのに全然当たらない! それにこっちは避けきれないよ、キャァ!」

 

そのまま誘導される谷本。

オレはお嬢様の意図に気付き、谷本にばれないように静かに近づいて行く。

そして谷本がお嬢様のティアーズの隙間からの脱出を計り、何とか脱出して笑顔を浮かべた瞬間、そのこめかみにちくりと何か堅く鋭い物を当たった。

それを見て谷本の顔が固まる。

 

「良い笑顔だったが、生憎一生懸命頑張り過ぎだな。これでお前さんはゲームセットだ」

「ひっ……」

 

オレは眉間に押し当てた『オルトロス』の引き金を引いた。

その瞬間に頭から吹っ飛ばされた谷本はそのまま地面に墜落するとシールド切れを起こしたようで機能停止したようだ。残念だったな。

 

「ああっ、癒子!」

 

壁まで吹っ飛ばされていた相川が相方の様子を見て声を上げる。

そして近接ブレードを振りかぶってそのままセシリアへと斬り掛かった。

 

「責めてセシリアだけでも! やぁああああああああああああああああああ!!」

 

そのまま突っ込む相川を見ながらオレはお嬢様に言う。

 

「見せ所だぜ、お嬢様。見せつけてやりな」

「はい! 見ていて下さいな」

 

お嬢様はオレに向かって不敵に微笑むと、突っ込んできた相川のブレードにブルーティアーズの近接兵装『インターセプター』を展開して向かう。

この一週間でお嬢様は名前を言わなくても展開出来る様になったんだぜ。凄いだろ。

 

「行きます! やぁっ!!」

 

お嬢様はそのまま斬り掛かってきたブレードを受け止めると、そのまま受け止めずに逸らして流した。

 

「嘘ぉ!」

 

相川のその悲鳴と共に、お嬢様がナイフで斬り付けていく。

そしてシールドが切れたらしく、そのまま地面へと着地して機能停止した。

そしてコールが鳴り響いた。

 

『勝者、ハーケン・オルコットペア!!』

 

そのコールと共にお嬢様は嬉しそうに笑いながらオレへと向かってきた。

 

「やりましたわ、レオスさん!」

「格好良かったぜ、お嬢様」

 

そして二人でハイタッチをかますと、その音が良く聞こえた。

 こうしてオレ達は一回戦を勝ったわけだ。

さて、今度はイチカの野郎の番だ。楽しみにさせて貰うとするかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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