恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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最近は感想ももらえてきて嬉しいです。


第三十四話 自業自得ってのはこういうことを言うんだとさ

 爺さんから大体の話を聞き終えて、やっとこさ夕飯にいけるぜ。

それで自室に戻ったらお嬢様が笑顔で待ってたよ。

 

「すまねぇなぁ、お嬢様。ちぃと長引いちまった」

「いえ、そんなことありませんわ!」

 

お嬢様はそう言うとオレに向かって歩いてきた。

一緒に食堂に行こうってこと何だろうが、その視線は妙にオレの右手に集中してる。

それが何を求めてんのか………まぁ、大体の予想はつくはなぁ。

それじゃぁやってやるとするか。

オレはそのままお嬢様に右手を差しだし、半身を反らして畏まった感じでお嬢様に話しかける。

 

「それではお嬢様。是非とも私に食堂までのエスコートをさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「はっ、はひ!(れ、レオスさん………格好いいですわっ!)」

 

それを聞いたお嬢様は途端に顔を真っ赤にしたよ。

おいおい、この程度で赤くなるなんて随分と初心だねぇ。

ま、そこがこのお嬢様可愛いところなんだがね。

そしてお嬢様は弱々しい感じにオレの腕に腕を組んできた。

それを確認して一緒に歩くことにした。

その際、お嬢様は無意識なんだろうが、その歳の割に成長してる胸を腕に押しつけていた。

いやはや、これはまた役得って奴だねぇ。

そんなわけで、オレは食堂までの道のりをお嬢様の胸の感触を楽しみながらゆっくりと歩くことにした。

 

 

 

 

 夕食も無事に食い終え、部屋に戻ろうってことで移動してたら、こっちに向かってマヤが走ってきやがった。

 

「や、やっと見つけました、ハーケン君っ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

「だ、大丈夫ですか、山田先生!!」

 

その様子にお嬢様が心配するが、別にそこまで心配することでもねぇだろうに。

 

「おいおい、マヤ。急いでたのは分かるが、だからって走り回るのはあまり感心しねぇなぁ。そんなにオレに用があるってんなら、放送でも何でもして呼び出せばいいじゃねぇか」

「そ、その手がありました!? ふぇ~ん、私の今までの苦労って……」

 

マヤはオレに言われてショックを受けたみてぇで、そのまま床にしゃがみ込んじまった。

こいつはもうちっと機転を働かせることを覚えねぇとなぁ。

そう思ってたらお嬢様が苦笑してたよ。あまり今までの頑張りが無駄だって言うなってさ。

 

「それでマヤ。よっぽど急いで来たってことは、それなりに重大な話なんだろ?」

「は、はい、そうです!」

 

取りあえず話を聞かねぇと始まらねぇ。

何かミスったことは………無くもねぇなぁ。主に千冬に睨まれるような事ばかりだけどよ。

マヤは一回深呼吸すると、オレを見て嬉しそうに笑った。

 

「えっとですね。今日は大浴場がボイラーの点検日で元々使用不可なんですが、点検が予定より早く終わったんです。それで男子の大浴場の使用が今日から解禁になりました!」

 

そう言やぁ、確かつい最近に男子の大浴場の使用が可になったってんで日程調整やら何やらしてるって話だったな。そいつが急遽今日からになったってわけか。

 

「そうかい。そりゃ良かったな」

「あれ? 嬉しくないんですか?」

 

返事を返したらマヤが意外っつった顔で聞き返してきやがった。

 

「別にオレは使わねぇしな」

「えぇ~、何でですか! せっかく使えるのに」

「そうですわ、レオスさん。今までシャワーでしたし、たまにはゆっくり湯に浸かられても」

 

何でそこまで驚くかねぇ。

寧ろお嬢様はすっかり日本に慣れたってことかねぇ。

 

「オレは風呂ってのが苦手なんだよ。別に熱いのが苦手だとか、頭を洗うのが嫌だとか、そんな理由じゃねぇぞ。ただなぁ……あまり全裸ではいたくねぇんだよ」

「「ぜ、全裸……」」

 

二人して何を考えてるのかねぇ。顔が真っ赤になってるぜ。

正直に言やぁ、風呂自体は嫌いじゃねぇんだよ。だが、風呂に入るに当たっては全裸になって入るだろ? それだと襲撃された際に対応出来ねぇんだよ。

それだったらシャワーも同じだって言うかもしんねぇが、シャワーは部屋自体が狭いからなぁ。近くに最低でも銃の一つでも置いておけるし、狭いから襲撃者の行動も限られるんで対応がすぐに取れる。だが、風呂だと広いからなぁ。そうなると手こずっちまうからな。そういうのがもう癖になってるんだよ。

それに忘れてるとは思わねぇが、オレは一応アメリカ人だぜ。『一応』はなぁ。

風呂に馴染まねぇんだから、別に可笑しい事なんかねぇんだよ。

 

「「………………」」

 

「おい、お二人さん。いつまで惚けてるつもりだい? あんまりそんな顔してるとチフユに叱られちまうぜ」

 

「「はっ!?」」

 

やっと二人は夢から現実に戻ってきたよ。流石はチフユだねぇ、効果はテキメンだ。

二人はその後慌てて咳払いやら何やらをして取り繕っていたが、どう見たって全然出来てねぇなぁ。

 

「そ、そうですか。それは残念です。で、でも、たまには入ってみるのも良いものですよ」

「そうですわ。日本のお風呂というのも、中々に良い物ですから」

「まぁ、気が向いたらな」

 

マヤはそう言って少し残念だって面をしていた。悪いがね、これも性分なんでな。

 

「はぁ。織斑君とデュノア君は喜んでくれたのに……」

「えっ!?」

 

それを聞いたお嬢様が驚いて大きな声を出した。

へぇ~、そいつは面白そうなことを聞いたぜぇ。

 

「なぁ、マヤ。その言い方だと、オレよりも先にイチカとデュノアに風呂の件を伝えたってことか?」

「え? はい、そうですよ。お二人とも、少し前に見つけることが出来たので。伝えたら織斑君、凄く喜んでくれました。こうして喜ぶ生徒の顔が見られるのは先生、とても嬉しいです」

 

嬉しそうに話すマヤの話を聞いて、お嬢様がオレの方を向いた。

その面は複雑で何と言い表していいか分かりずれぇ面だ。

お嬢様の気持ちは大体分かる。

何せ、男と『女』だからなぁ。

ここで普通の奴等なら、どっちかが入るだとか時間をずらすとかして何も問題はねぇんだけど、何せ今回は『あの』イチカだ。

絶対に問題を起こすに違いねぇ。具体的に言やぁ、デュノアの風呂に乱入とかな。

アイツだったらやったっておかしくねぇ。それがアイツが望む望まないにかかわらずなぁ。

きっと滅茶苦茶笑えるに違いねぇ。

 

「れ、レオスさん、どうしましょう!」

 

お嬢様がまずいって感じで慌て始めた。

きっとお嬢様のことだから、今すぐにでも止めるべきか悩んでるんだろうよ。

なら、オレがお嬢様に言えることは決まってる。

 

「いいか、お嬢様。このことは誰にも言うなよ。きっと今頃面白い展開になってるだろうけど、それに首を突っ込んだらこっちにまで飛び火するかもしれねぇからなぁ。オレ達は何も聞かなかった。OK」

「お、OKですわ…」

 

お嬢様にそう言い聞かせると、オレはマヤに向き合う。

 

「そうかい。なら、オレの分、アイツ等には楽しんでもらいてぇなぁ」

「はい、そうですね」

 

そう言ってマヤは嬉しそうんい帰って行ったよ。

きっと今頃爆笑物の展開になってるんだろうがねぇ、見に行ったらお嬢様に怒られちまうからな。手前で言ったこともあるから、今日は大人しくしてることにするぜ。

たぶん予想だが……近日中にまた何かありそうだからなぁ。そいつを楽しみにしておこうか。

そう思いながら、オレはお嬢様と一緒に自室に戻っていった。

その間お嬢様は気まずいかんじだったが、その内治るだろ。こういうのは時間の問題だからな。

過ぎちまったらどうしようねぇ。済んだことは取り返しがつかねぇからなぁ。

 

 

 

 

 それで翌日になり、オレはお嬢様と一緒に登校した。

いつもとかわらねぇ時間に爺さんの呼び出しもなく、精神的にもすがすがしい朝だったぜ。いつもこうなら、人生さわやかなんだろう。まぁ、すぐに暇になっちまうがなぁ

ちなみに爺さんからの報酬金はちゃんと口座に振り込まれてたよ。

突発的でもちゃんとしてる辺り、爺さんはしっかりしてて有り難いねぇ。

席に着いて始業チャイムが鳴ると、顔をげっそりとしたマヤが入って来た。

おいおい、その面は女がして良い面じゃねぇよ。今ならそのままハロウィンに参加できそうなくらいの面だ。よっぽど疲れてんなぁ、ありゃあ。

もうちょっと労ってやろうかねぇ。

マヤはよろよろとしながら教壇まで来ると、疲れた声で挨拶を始めた。

 

「み、みなさん、おはよう…ございます。ええ~と……じ、実は今日、転入生が来ます。ですが、きっと皆さんも知っていると思います……」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「は、入って下さい」

「はい!」

 

マヤが声をかけると、扉が開いてそこから入って来た奴がいた。

そいつは……デュノアだ。ただし………女子制服を着てるが。

デュノアはそのまま教壇前に行くと、にこやかに笑った。

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

その自己紹介を聞いて唖然とする周り。お嬢様は正体を知っていただけに、そこまでは驚いてねぇようだ。

オレはお嬢様に視線を送ると、お嬢様もオレを見た。

それを確認して、お嬢様に分かるようにジャスチャーを送る。

内容は………

 

「「「「「えぇえええええええええええええええええええええええええええっっっっ!?」」」」」

 

耳を塞げ、だ。

周りの悲鳴で騒がしくなるがオレとお嬢様は事前に防いだ御蔭でダメージはねぇ。

イチカの野郎は目を回してやがった。ご愁傷様だな。

 

「え? デュノア君って女?」

「おかしいと思ったっ!? 美少年じゃなくて美少女だったわけね!!」

「私の恋心を返せぇええええええええええええええええええええ!」

「そんなぁ~。織斑×デュノアがぁ……」

「いや、デュノア×織斑だったのに………」

 

皆口々に悲観に暮れた。おいおい、ここはどこかの負けた軍か?

随分と士気の下がりがわかりやすいねぇ。

すると一人の女子がとあることに気付いた。

そう、イチカがあんまり驚いてねぇことに。

 

「あれ? 確か昨日は男子の大浴場使用日だったよね。っていうことは、織斑君!?」

 

そして皆気づき、一気に騒がしくなった。

まぁ、言わなくてもわかんだろ。

イチカの野郎は脂汗かいてたよ。どうやらヤバイって自覚はあるらしい。

すると、突然入り口近くの壁が吹き飛ばされた。

 

「一夏ぁああああああああああ!!」

 

怒り満点な叫びを上げてファンが教室に突っ込んで来やがった………ISを展開して。

おいおい、どんだけ地獄耳なんだよ。

そのままファンは鬼の形相でイチカを睨み付けた。

 

「死ねぇええええええぇええぇええ!!」

 

そう叫ぶと共にあの衝撃砲が展開される。

こりゃあやべぇなぁ。

 

「お嬢様、こっちにきな!」

「え? きゃぁ!?」

 

オレはそのままお嬢様を抱えるとそのまま机の下に隠れた。

この机は結構頑丈だからな。気休めくらいにはなんだろ。

 

「し、死ぬぅうううううううううううううううううううう!!」

 

イチカの叫びが聞こえたが、きっとこれが最後の言葉になるんだろうなぁ(笑)

そう思うと、涙も出てきそうだぜ。

その途端に外側の壁が吹っ飛ばされた衝撃が来た。

その轟音に胸の中にいるお嬢様が息を呑む。

その衝撃が過ぎたのを確認してからオレはイチカのミンチを確認しようと見たが、生憎吹っ飛ばされた壁の瓦礫の側にイチカの肉片一つなかった。

それで辺りを見回すと、少し離れたところで倒れているイチカを見つけたぜぇ。しかも無傷だ。

その上には銀髪のあの子ウサギが覆い被さっていた。

 

「た、助かった……」

 

そんな声を漏らした後、イチカはあの子ウサギに例を言おうとしたようだが……

 

「すまない、助かったよっ」

 

途中で言葉が切れた。

何でだって? そいつはな………何とあの子ウサギがイチカの口にキスしたからだよ。

その事に衝撃を受けて固まるイチカ。

そんなイチカから唇を離した子ウサギは、立ち上がって堂々と宣言した。

 

「お前は私の嫁にする。異論は認めん!」

 

その発現に皆が固まり、イチカの野郎は間の抜けたことを言いやがった。

 

「嫁? 夫じゃなくて?」

 

あのアホがそう呟いた瞬間、またクラスは騒然となった。

それを見ていたファンは虚ろな目で衝撃砲を向け、デュノアは笑ってない笑みを浮かべてISを展開。アサルトライフル二丁を展開してイチカに向けていたよ。

最後の止めにホウキが日本刀を抜いて構えてた。

あぁ、まったく。

この哀れな子羊に祝福を……

神父だったらそう言いたい気分だぜ。

そしてイチカの野郎は3人に追いかけ回された。

その光景と来たら、今までで一番笑えるもんだから、オレはその場で腹を抱えて爆笑しちまったぜ。

あぁ、今日ほど面白い日はそうはねぇな。

これから先もこんな光景が見れるんなら、アイツの護衛も悪くねぇなぁ。

 

 

 この後、この騒ぎはチフユによって鎮圧させられたわけだが、オレはどういうことかお嬢様に叱られちまったんだがね。

あんまり笑っては可哀想だってさ。

でもよぉ、お嬢様。こういうのは……自業自得っていうんだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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