恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回はセシリアの水着選びです!


第四十話 訴えるのも考えよう

 お嬢様を連れ出したオレは現在、駅前にあるショッピングモール『レゾナンス』の中にいた。

何でも、ここいらで一番でけぇショッピングモールらしい。その名にふさわしく、店内は色々な店が置かれていたいたよ。まぁ、他の国でも似たようなモンは一杯あるから今更驚きはしねぇが、あまり居心地がいいもんでもねぇ。

何せこういった建物ってのは、戦場である意味厄介極まりネェからだ。

補給線にも使えるし、店の中のモンは武器として使えるモンも多くあるからなぁ。ある意味では、拠点として文句なしに使える。自分達が使う分にはありがてぇが、敵に回すと攻めにくいこと受け合いだ。

今回はオフなんだからそんなことを考えたかねぇが、自然に考えちまうあたりやっぱり職業病かねぇ。

そんなことを考えながら歩いていると、さっきからずっとお嬢様の視線を感じるんだよなぁ。特に見られるようなことをしたような覚えはねぇんだがねぇ。

 

「お嬢様、さっきからどうしたんだ?」

「あっ!? い、いえ、何でもありませんわ!」

 

お嬢様は顔を真っ赤にして慌ててやがった。

何だか弄りたくなっちまうじゃねぇか。

それにたぶんこういうときの反応ってのはドラマとかで大体見てるからなぁ。何を言えば良いのかは大体分かる。

 

「そういえばお嬢様」

「は、はい!」

「その服、とっても似合ってるよ。まさに『お嬢様』って感じだ。清楚な感じがして綺麗だぜ」

「き、綺麗ですの! そ、そうですか……」

 

褒められて顔を真っ赤にしつつも喜ぶお嬢様。

女ってのは自身の容姿とそれに似合う服を褒められると喜ぶってのは定番だからな。

そこんとこは実の所、クロードにしごかれてる。ウチの中でそういうことに精通してるのはアイツだけだからなぁ。

アイツ曰く、

 

「あなたはまだ若いのですから、今のウチにそういうことも学んで下さい。将来的には私のように依頼人と話し合うこともあるのですから。私以外、そういうことには本当に無頓着なんですから」

 

だとさ。

要は話術を学べってことらしい。

実際、お嬢様の服装はオレでも分かるくらい似合ってるけどねぇ。

薄い水色のワンピースに白いボレロ、いつもと同じ髪留め。それに日差しを考えてか真っ白い日傘を携えていて、見た目はまさに深窓のお嬢様だ。

 

「れ、レオスさんもそのお洋服、お似合いですわ!」

「そいつは嬉しいねぇ」

 

自分が褒められたことで喜んでたお嬢様だったが、慌てるようにオレの服装を褒めた。

今オレが着てる服は、カジュアルな普通のスーツだよ。

私服なんて余りねぇし、一応女の子とのお出かけってんでちゃんとした服にしたわけだ。これもクロードの野郎に仕込まれた。アイツはオレを何にする気なのやら。

流石にIS学園の制服ってんじゃ目立ちすぎるしな。

 

「それでお嬢様。今日はここに何の用だい」

「は、はい! じ、実は臨海学校で必要な物を買いに来たんですの」

 

成る程、オレは荷物持ちって所かねぇ。

まぁ、美少女の荷物持ちってんなら、寧ろ光栄だけどなぁ。

これがもしイチカの野郎ってんなら、速攻でバックれてた所さ。

 

「それで、何を買うんだ? 女性は入り用が多いって話だからなぁ。荷物も多くなんだろ」

「い、いえ、そんなことはありませんわ」

 

お嬢様はそう言うと、顔を赤らめながら今日ここに来た用事について話してくれた。

 

「じ、実は今日ここに来たのは、水着を見に来たのですわ」

「水着? ああ、そういうことか」

 

臨海学校の初日は遊んでられるから、やっぱり泳ぎたいってところなんだろうよ。

それに女ってのは一年に一回は必ず水着を新調するって話だ。これも当然教えられたことだけどなぁ。

水着もおしゃれってやつだとさ。

オレの水着はどうしたんだって? おいおい、オレがこの行事で遊んでられると思えるのか? そんなもんは絶対にねぇよ。

オレが言ったことを理解したようで、お嬢様の顔はさらに真っ赤になっていった。

そんなわけでオレ達は早速水着売り場へと向かった。

店内は夏ってことで水着が目白押しだが、その殆どが女性用の水着だ。

こういう所が、『女尊男卑』ってやつだな。男性用の水着は隅の方にこじんまりと置いてあったよ。

初めてこういう所に来たが、今更布きれ如きにハシャぐような歳でもねぇ。

 

「それじゃぁお嬢様は水着を買ってきな。オレはここで待たせてもらうよ」

 

そのまま店の脇に移行としたら、左手の袖が何かに引っかかった。

何かと見れば、お嬢様がオレのそれをと摘まんでジッとしてたよ。

 

「あ、あの……出来ればレオスさんには、わたくしの水着を見ていただきたいんですの」

 

顔を真っ赤にしながらそうオレに言うお嬢様。

おいおい、そんな今にも泣きそうな面されたら流石に断れねぇだろ。

 

「仕方ねぇなぁ。んじゃ、お嬢様の艶姿を拝ませて貰うとするかな」

「あ、艶姿ですの! そ、その……頑張りますわ……」

 

お嬢様は恥ずかしがって真っ赤になりつつも何とか頷き、水着を選びに行った。

それじゃあついでにオレも水着を買っていこうかねぇ。

たまにはそういうもんを買ったっていいだろ。使うことはねぇと思うけどよ。

それで適当にグレーの水着を選んで買うと、そいつの会計を済ませる。

それでお嬢様が待っているであろう更衣室に向かっていると、途中で声をかけられちまった。

 

「ちょっと、そこのあなた! この水着の会計、済ましておきなさいよ!」

 

見れば明らかにケバい化粧をした女がオレに向かってきた。

その腕には数多くの水着がある。どうやらオレにその手に持ってるもんを買えって言ってるらしい。

 

「おいおい、何でオレがお前さんの水着の会計をしなきゃならねぇんだ? オレはそこの所、お前さんの頭が心配になってきちまったよ。腕の良い医者でも紹介しようか?」

「はぁ? 男が女に口答えできると思ってんの!! こっちは訴えてもいいんだけど!」

 

おお、こわ。

これが所謂最近流行りの『女尊男卑主義』ってやつか。

しっかし……聞いてて笑っちまうねぇ。

 

「お前さん、あまりそんな恥ずかしいことは言ねぇ方がいいぜ。見てて滑稽過ぎて笑っちまうよ。

「はぁ? どういうことよ!」

 

どうやら奴さんは気付いてないらしい。

自分でどれだけ間抜けなことをしてるかわかってねぇ奴ってのは笑えて仕方ねぇなぁ。

 

「仮にオレを訴えたとして、どうなると思う?」

「そんなもの、あなたが有罪で終わりじゃっ」

「一応ここの店には監視カメラもあって、その上オレはこういうときのためにこんな玩具を持ってきたりするんだよなぁ」

 

そう言ってケバい女の前にオレは懐からボイスレコーダーを取り出す。

今の世の中ってのが物騒だからねぇ。ちゃんとこういう事態には対応しねぇとなぁ。

 

「さて、証拠は此方の方が上。お前さんの証言だけじゃ不十分だ。何よりそれでも有罪に出来たとして、それでどうするんだ?」

「ど、どういうことよ……」

 

オレの迫力も合わせて怯え始めた女。

その滑稽な姿を見て笑みを浮かべつつ、オレは告げた。

 

「水着を無理矢理かわせようとして相手を有罪にしたなんて事実、恥ずかしくてしかたないぜ、オレだったらなぁ。何か? 癇癪起こして裁判に無理矢理勝ったとしても、そんな裁判なんて今のご時世だ、世界中で話題になるだろうさ。そうしたら余りにも不名誉なことをその裁判関係者は全員くらうことになるわけだが、そんな世間様から後ろ指差されまくることに元凶であるお前さんは耐えられるのか? オレだったら恥ずかしすぎて自殺するね。そんな『世界的に恥ずかしいこと』」

「っ~~~~~~~~~~~~!!」

 

奴さんは顔をヤカンみたい真っ赤にして怒ってるようだが、オレの言っていることを理解して引き下がるしかねぇことも理解したらしい。誰だって恥はかきたくねぇからなぁ。

 

「お、覚えてなさい!!」

 

そんな三下の台詞を吐いて逃げるように走って去って行ったが、お生憎様、覚える気なんてさらさらねぇよ。

そのままオレはお嬢様の元まで向かうと、丁度お嬢様が更衣室の前で待っていた。

 

「騒がしかったようですけど、何かありましたの?」

「いいやなんでもねぇさ。ちょいと虫に絡まれただけさ。夏って季節は多いからなぁ」

 

心配するお嬢様にそう言うと、イマイチわからねぇって面だったが大丈夫だと思ったようだ。

あまり深く考えねぇほうがいいぜ、こういうのはな。

するとお嬢様は顔を真っ赤にしてオレを見てきた。

 

「そ、それではレオスさん……お、お願いしますわ……」

「ああ、お嬢様のご期待に添えるよう、精一杯見させてもらうかねぇ」

「は、はぃ……」

 

お嬢様は顔をさらに真っ赤にして恥ずかしがりながら選んできたであろう水着を持って更衣室へと入っていった。

それで待つこと数分。試着室のカーテンが開いた。

 

「ど、どうでしょうか………」

 

心配そうに聞いてきたお嬢様が着てきたのは白に青のラインの入ったワンピースタイプの水着だった。

お嬢様の鍛えられた曲線がより強調されてるみたいで、結構活発な感じを与えるぜ。

だが………

 

「そいつは悪くねぇが、やっぱりオレとしてはビキニの方が似合うと思うぜ。お嬢様だって胸は充分大きいんだからよ」

「はぅっ!? そ、そうですか……」

 

胸を押さえながら恥じらうお嬢様。

スタイルの良さならかなりのもんなんだから、もっと全面的に出してもいいんじゃねぇか。

すると何を考えたのか、真っ赤な顔でオレにアホなことを聞いてきた。

 

「あ、あの……レオスさんはマイクロビキニとか、ヒモみたいな凄い水着の方が、す、好きなんですの!?」

 

それを聞いた俺は呆れちまったよ。

いや、お嬢様が悪いってわけじゃねぇんだけどよ。

 

「おいおい、そいつはもっと大人になってからにしておけよ。あまり背伸びして着るようなもんじゃねえから止めておきな。お嬢様には似合わねぇよ。もっと高貴な感じのほうが良いって」

「そ、そうですの……」

 

そう返事を返したお嬢様は安心したような、残念そうな顔をしていた。

チャレンジ精神は大切だが、使い所が重要だぜ。

その後出てきたのは白や赤のビキニ。

流石お嬢様はスタイルが良いだけあって実に映えるねぇ。

 

「でもやっぱり、お嬢様には青が似合うと思うぜ」

「やっぱりそうですよね」

 

てなことで青のビキニに決まった。

クラスの中でも大きな方の胸は、青い水着に包まれて見事な谷間をつくり、高貴な感じを出すためにしているパレオ、そこから除く白い足が大人の艶っぽさを演出する。

 

「ど、どうですか…」

「ああ、とても似合ってるよ。こいつがやっぱり一番セシリアには似合ってると思うぜ、オレは」

「そ、そうですの……よかったぁ……」

 

お嬢様は恥じらいながらも喜んでいるようで何よりだ。

これでお役目も果たせたってことかねぇ。

こうして、水着を買い終えた俺達は店を後にした。

お嬢様は似合ってる水着を買えたことで上機嫌だったよ。

 

(レオスさんが選んでくれた水着……似合ってるって言ってもらえましたわ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

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