そして皆様、良いお年を。
いいねぇいいねぇ、この感じ。
鉄の匂いと火薬の匂い、怒号と罵声、そして何よりも悲鳴が飛び交い響くこの場所ってのが、オレの生まれ故郷って奴なんだろうさ。
別にオレは戦闘狂ってわけじゃねぇんだが、最近は機械だ何だとばかりしていたからなぁ。やっぱり血と臓物の香り漂う『本物』の方が性に合ってる。
辺りは真っ赤に燃え上がり、迫撃砲の砲弾の飛来音が木霊する。何回も何回も爆裂する地雷の音がより音楽に華を添える。この音楽ってのはクラシックのコンサートよりも印象深く、ロックよりも激しい。
そのたびに耳心地のいい悲鳴があがり、オレは口元が笑っちまう。これでこそ『戦闘』だ。
ノリも乗ってきたところで旅館に向かう特殊部隊ご一行様を発見。見た装備からアメリカ軍らしい。
さっそくもてなさねぇとなぁ。
となればサプライズが必要だ。オレはバレねぇように後ろに回り込むと……
「ごはっ!? っ……」
「かひゅっ、かひゅっ……」
オルトロスの銃剣で近くにいたアメリカ軍らしき特殊部隊二人の喉を切り裂く。
いきなり現れたオレの驚いて目ぇ剝いてるようだが、生憎喉を切られた所為で声が出せねぇんだよなぁ。
噴き出す返り血が実に綺麗なことで。
「っ!? 敵襲、敵襲!!」
その噴水に気付いた他の奴が途端にオレに向かってM16を向けて発砲してきやがった。先程噴水になってた奴等を引き寄せて盾にしつつ応戦する。
「んじゃさっそくダンスのお誘いだ。残念ながら女性がいねぇなぁ。お生憎様、オレはノーマルなんでチークダンスを踊る気はねぇ」
そう言いながらオルトロスを更に撃っていく。
雄叫びを上げるかのように発する発砲音。そして発射された弾丸がダンス相手の身体を貫き血肉を吹っ飛ばしていく。
「がはっ!? な、何故ハンドガン如きに……」
「あぁ、オレの胃が! 胃がぁああああああああああああ!!」
驚愕に染まった面で事切れる奴と、吹っ飛んだ腹を触って混乱している奴。
そいつらを尻目にオレは更に襲い掛かる。
「おいおい、誰かオレとまともに踊れる奴はいねぇのかよ!」
「手がっ! ぐあぁああああああああああああああああああああああああ!」
「ぷぐっkっふはっhcあうbう゛いあ」
片方のオルトロスの銃剣で持っていたM16ごと手を斬り飛ばし、もう一丁のオルトロスで腹を突き刺して中をかき混ぜてやる。
それでピクピクと痙攣したのを見た後に腹の中で引き金を引くと、辺り一面に中身が飛び散った。
これで残り四人っと。
おいおい、この程度かよ。食い足りねぇなぁ。
『此方、β分隊。現在未確認の敵に襲撃を受けている! 至急応援求む! CP、繰り返す、現在β分隊……』
三人がオレに牽制射撃を撃ち、一人が応援を呼ぶ。
別におかわりが来るのはかまわねぇんだが、パーティー会場が広いんでなぁ。
「そのままお相手してぇ所だが、一団体だけに構ってる訳にはいかねぇんだよ」
そのままオルトロスをぶっ放して牽制してる奴等の額に風穴を開けてやる。
さすがの変態銃ってだけあって、防弾チョッキもなんのその。こいつの弾丸防ぎたきゃ、装甲板でも用意しておかねぇとなぁ。御蔭でどこ撃ったって確実に入る。
反動がすげぇが、そいつは歯ごたえってもんさ。
「う、うわぁああああああああああああああああああああああああ!!」
一気に三人がお味噌を木にぶちまけたもんだから、応援を呼んでた奴が叫びやがった。
いいねぇ、その面。やっぱり怖がる面っていうのはそうじゃねぇとなぁ。
どうやら奴さん、オレの正体を知ったらしい。有名人ってのはこういうとき便利だねぇ。
そいつは好都合。オレのスピーチでお客様に最高の癒しをお送りさせてもらうぜ。
「その通信機、借りるぜ」
「来るな、くるなぁああああああああああああああああああああああ!!」
手に持ったM16を半狂乱にぶっ放す奴にオレは一気に駈ける。
途中で何発か弾が来たが、そいつは斬り払わせてもらった。
何? 普通はそんな真似出来ねぇって? こういう芸が出来た方が、隠し芸大会なんかで目立つんだぜ。むしろこれぐらい出来ないんじゃ、優勝は目指せねぇなぁ。
ちなみにこれ、本当のことだぜ。ウチじゃ年に四回くらいそうした遊びがあるからなぁ。
未だに親父の『砲弾白羽取り』にはかなわねぇけどな。
「お仲間と一緒に向こうへご招待だ。文句はそんな仕事に就いた自分に言うんだな」
そのまま一気にオルトロスを一閃。
ちょっとばっかし勢いが強すぎたようで、首が飛んじまった。
そのまま地面に崩れ落ちる身体。おいおい、下が緩くなるからって色々とぶちまけ過ぎだろ。まぁ、通信機が無事だからいいけどなぁ。
そのまま死体から通信機をはぎ取る。
『どうした、β分隊! 応答せよ、β分隊!』
「ハロー、ミスターアメリカン」
『っ!? ……β分隊をどうした?』
通信機越しに話してるのが連中のボスのの耳兼口らしい。耳に優しいあたり、女の軍人らしい。
ならその優しい癒しボイスでボスに伝えてもらわねぇとなぁ。
「そんなモンはオレがこいつで話してる自体で分かってんだろ。みんな揃ってお空のお星様になったよ。ヤンキー(アメリカ人)ってのは本当に月に行きたがってるんでなぁ。オレはそいつを手伝ってやったわけさ。これでみんなアポロと一緒だ」
『………………』
あれま。
どうやらCPの奴が変わってるようで無言だ。
まぁ、すぐに新しい奴に変わったみてぇだけど。
『貴様がレオス・ハーケンか……』
今度は男の声。
声から察せる貫禄ってモンを鑑みるに、どうやらボスらしい。
「ハロー、ゴーストリーダー。オレの事を知ってるってんなら、お話は簡単だ。大人しく満足して帰ってくれるってんならオレは何もしねぇ。まだやるってんなら、オレはお前さんの首を大統領にデリバリーピザの宅配みてぇに送らなきゃならねぇんだが、どうよ?」
『まさか本当に『巨人の大剣』きってのエースがIS学園に行っているとはな。我々としては引く気はない……が、貴様がいては引かざる得ないか?』
「そう言ってもらえるのは嬉しいけどねぇ。オレとしても引いてもらえると有り難い。こっちは他にもおもてなしをしなきゃならねぇお客様が多いんでな。それにこいつは巨人の大剣の正式な依頼だ。容赦もしねぇし油断もしねぇよ。オレ等の噂を聞いてるってんなら、わかるだろ。ここでオレに部隊壊滅させられるか、大人しく帰って上司に怒られるけど命は助かる。簡単な二択だと思うがね」
『我々は特殊部隊だが、ステイツに忠誠を誓った軍人だ。引くわけにはいかない』
流石腐っても大国の軍人だ。
立派な物言いに感動を覚えちまう。
「ってことだと、オレに全滅コースか。なら、お前さんの死体をホワイトハウスに送ることになるぜ。今回の襲撃の件を他の国に洩らした上でなぁ。そんな事になったら、彼の大国でも世界中からバッシングを受けるのは避けられねぇと思うがね。シラ切ろうとしたって、既に証拠も掴んでるからなぁ。さぁ、ゴーストリーダー、ここで簡単な問題だ。オレにやられてお前さんが忠誠を誓った大国に大恥かかせるのと、大人しく帰って最小のダメージで済ませる。どっちが『アメリカ』のためになるかな」
こいつには少し嘘が含まれてる。
実際に証拠なんて掴んでネェが、どうせあの爺さんのことだ。
掴んでたっておかしくねぇ。そいつが分かるからこそ吐ける嘘ってわけだ。
『…………仕方ないか。貴様がいたことで我々の作戦は大きな支障をきたした。このままでは遂行は不可能と判断し、撤退する』
「物わかりが良いと助かるねぇ。ドイツ軍より寛大なのがアメリカの良いところだ」
『……ふん、あんなジャガイモ畑の農夫共と一緒にするな』
それで通信が切れた。
これで引いてくれれば案の字。もしやろうってんなら、それこそこの森で真っ赤な美術展を開かなきゃならなくなる。
さてと、お次は……
「見つけたぞ、レオス・ハーケン!」
「これで3000000ドルは俺のもんだぁあああああああああああああああああ!!」
「いや、俺が貰う!」
「死ねぇえええええええええええええええええええええ!!」
どうも品のねぇ客らしい。
まぁ客なら相手をしねぇとなぁ。
「手前ェ等みてぇな糞にはヤラれるほど甘くはねぇよ!」
そう言いながら、オルトロスで向かってくる糞どものお味噌を森の木々にぶちまけた。