恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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もう一つの作品の影響で書きづらいですね~


第五話 裏のやり方

あのお嬢様に頼んだチフユ達が到着しだいに縛ったアホを突き付けてやった。

二人は侵入者の姿を見て驚いたみてぇだ。

マヤはあわあわ慌ててるのは中々面白れぇけど、いつまでもそうしてるわけにはいかねぇな。

チフユにアホを引き取ってもらう際に聞くことがあるからどこかに放っとくよう言うと、チフユは分かってるらしくうなずいた。いいね~、理解がある奴は早くて助かるぜ。

しっかしその前に弾抜かねぇとなぁ、痛いからよ。

そのことを撃たれた所を見せながら二人に言うと、マヤの奴は気絶しやがった。

初々しいねぇ~、その反応。見ててそれはそれで面白れぇ。

しかし時間が時間なせいで保健室は空いてねぇとさ。

仕方ねぇからピンセットと包帯だけ用意してもらってその場で抜くことになっちまった。

チフユはその場で弾を抜く俺を見て少し顔が青くなってたみてぇだが、マヤと違ってこっちはあんまりリアクションがつまんねぇなぁ。

んで包帯を巻こうとするが、さすがに左腕は巻きずれぇな。

そんな感じに悪戦苦闘してると、何とお嬢様が手伝ってくれたよ! 驚いたったらありゃしねぇな。

 

「悪いねぇ~、お嬢様」

「い、いえ・・・私を庇って怪我を・・・」

 

どうも負い目ってやつを感じてるみてぇだな。

ここで優男なら気の利いた台詞の一つでも吐くところだが、生憎俺はそんなもの持ち合わせていねぇ。俺は正直者だからなぁ、正直に言うだけさ。

 

「別に庇って何かいねぇよ」

「えっ?」

「俺が狙いだったのは丸わかりだったからよぉ、あそこにいられたんじゃ邪魔でしかたねぇからどかしただけだ」

「なっ、な、な、・・・・・・」

 

正直に答えたらお嬢様のやつは開いた口が塞がらないって感じになってやがった。

そんな口を開けてたらはしたないぜ、お嬢様(笑)

 

「な、何でもありませんわ! ふん!」

 

お嬢様は何に怒ってんのか分からなくはねぇが、だからって包帯を力一杯締めんのはやめてもらいたいぜ。御蔭で止まりかけた血がまた出てきちまった。

 

「ま、そういうわけだ。お嬢様は気にせずにとっととおねんねしな。夜更かしは美容の大敵だぜ(笑)」

「い、言われなくてもそうさせてもらいますわ!」

 

お嬢様を部屋に入れて俺はチフユ達と一緒にあのアホの所に行くことになった。

さあ、これから楽しい楽しい質問タイムってやつだ。是非とも全問正解したいねぇ。

ところが、チフユは自分達でやるから手を出すなと言って来やがった。

理由は生徒にそんなことをやらせるわけにはいかないからだと。

ここに来て初めて真っ当に扱われた気がして泣けてくるねぇ~。

そこまで言うのなら、お手並み拝見といかせてもらおうか。

俺はチフユ達にあのアホの事を任せて、自分は部屋の前で座りながら休ませてもらうことにした。

し・か・し・二時間経っても進展しねぇみてぇなので飽きて眠っちまった。

夜の暗い部屋でたばこも酒も無しに待ってられるかよ。

んで寒さで目を覚ますと寝始めてから二時間しか経ってねぇときた。

しかし部屋からは何の反応もねぇみてぇだ。いい加減俺もしびれを切らしちまうぜ。

ここまで待つなんざぁいつ以来ぶりだ? ここまで待たされて何も出てきませんだったらさすがに俺の青筋の一本や二本は切れちまう、そこまで俺は寛容じゃねぇんだ。優しくしてもらいたきゃたばこの一本でも差し出すことをおすすめするぜ。

しびれを切らした俺は早速部屋に入ると、いかにもな感じの取り調べ室であのアホをチフユが怒鳴りながら尋問していた。

しかしあのアホはまったく効いた様子がねぇらしく、けろっとしてやがった。

 

「マヤ、まだ終わんねぇのか? いい加減待つのは飽きちまったよ」

「それが・・・・・・全然答えてくれないんですよ、あの人」

 

マヤはチフユが怒鳴るたびに肩をびくっと振るわせてやがった。

おいおい、お前さんがビビってちゃ駄目だろ。

 

「こんなんじゃ生涯かかったって終わらねぇよ。チフユ呼んできてくれ」

「は、はい!」

 

マヤに頼んでチフユを呼んでもらうと、チフユは大層苛立った感じにこちらにきた。

 

「なんだ、ハーケン!」

 

おおう、おっかねぇ~。この顔の前にゃ神様だって裸足で逃げ出しそうだ。

 

「いい加減飽きてきたんだよ。その様子じゃ何も聞けなかったってところだろ」

「くっ・・・・・・確かにその通りだ」

 

かなり悔しそうにチフユは答える。さっきからマヤが此方を怯えながら見てるんだからよぉ、そこまで殺気立たないでもらいたいもんだ。

 

「ここからは俺がやる。何、俺がやれば三十分もしないで片付けてやるよ。だから俺の荷物を返してくれねぇか。それと今から頼むもんをそろえてくれよ」

 

チフユ達にそう言うと、チフユは反対したが俺の様子を見て仕方ない感じに了承した。

さすがに今のままじゃ話にならねぇってのはわかってるらしい。

それで俺の荷物と頼んだ代物を持ってきてもらった。

そうそう、これこれ。やっぱり自分の『持ち物』は手元にねぇとなぁ。

俺は自分の『荷物』からある物を取り出してチフユに代わり部屋に入った。

 

「よぉ、四時間ぶりだな、クソ野郎」

「チッ!」

 

早速ご機嫌に挨拶をしたら舌打ちされちまった。駄目だぜぇ、挨拶はちゃんとしねぇとなぁ。

 

「随分と暇だったんじゃねぇか? ここは生温いからなぁ」

「手前みてぇな奴がいねぇから天国みたいな気分だったぜ」

「ほう、そいつはよかったな。残念ながら俺が来ちまったからバカンスはおしまいだ。さっそくだが吐いてもらうぜ」

「吐くとでも思ってるのか」

「おいおい、勘違いしてねぇか? 俺は『吐かせる』って言ってんだよ。思ってるんじゃない、吐かせるんだよ、わかるかチャイニーズ?」

 

う~ん、この口汚い応酬が懐かしいぜ。つい頬が緩んじまう。

 

「どうせ俺を狙ってきたのは分かってるから理由はきかねぇよ。俺が聞きてぇのは誰の差し金かって話だ。まぁ、予想なんざつくがね」

 

やっぱり尋問ってのはこうじゃねぇとなぁ。凄みを増した笑みでアホを見ると、このアホは顔を強ばせやがった。

 

「素直に答えてくれるってんなら俺は嬉しいがねぇ」

「い、言うわけないだろ!」

 

正直に話せばややこしくなくて済むのによぉ、このアホは意地なのか信心深いのか、どちらかだなこりゃ。

 

「残念でしかたねぇなぁ。んじゃちょっと痛い目にあってもらうか」

 

俺は手をパキパキと動かすとアホに近づく。

アホは今拘束されてるから抵抗はできねぇ。やりたい放題ってわけだ。

 

「ボコられて吐くとでも思ってんのか」

「ば~か、俺がそんなまだるっこいことするかよ。こいつ一つで十分だ」

 

俺は手錠で繋がれたアホの手を机の上に無理矢理乗っけると、手の上に『ある物』を指に押しつける。

 

「なっ!?」

 

アホは目の前にあるものを見て驚きやがった。別に驚くもんでもないだろ、普段見慣れてる代物だしよぉ。

俺がアホに押しつけている代物、そいつはよくありふれた拳銃だ。

M92である。総弾数と使い勝手の良さから結構気に入ってる代物だ。

 

「手前にゃぁ鉛玉をプレゼントしてもらったからよぉ。こいつも同じ九ミリだからお礼をしようと思ってなぁ。何、簡単な話だ。吐かなかったり嘘をついたらこいつでお前さんの指を一本ずつ吹っ飛ばす。これはそういう話さ」

 

俺が凄みを効かせながらそう言うと、さすがにやばいと判断したらしい。

 

「お、俺の命は保証されるのか!」

「ああ、俺はお前さんを殺さねぇ、約束してやるよ。それにちゃんとお仲間の元に戻してやる」

 

俺は義理堅いからなぁ、ちゃんと約束は守る質だ。

それでやっとアホが話し始めた。

 

「お、俺は李家のもんだ。手前の賞金でただつられただけだ。話したんだから早く俺を離せ!」

 

アホが言い切ると同時に引き金を引いた。

銃声が暗い部屋に木霊すると、華人から獣のような悲鳴が上がる。

 

「おいおい、俺は嘘をついたら吹っ飛ばすといったはずだぜ」

「っっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おい、さっきの銃声はなんだ!?」

 

さすがに銃声聞いてチフユが部屋に飛び込んできた。

 

「どういうことだ、ハーケン!」

「どうもこうもこういうことだぜ、チフユ。ただの罰ゲームだ」

「何が罰ゲームだ! 貴様、何故撃った!」

 

凄い剣幕でまくし立てるチフユは阿修羅よりおっかねぇ。

しかしここで引くとこの野郎はせいぜい警察に引き渡されるだけなんでなぁ、悪いがそんな『甘い』ことにするわけにゃいかねぇんだ。

 

「お前さん達じゃこいつはぜってぇに吐かねぇよ。そんな『甘い』やり方じゃあなぁ。何、あと十分もしないうちに話なんざ終わるさ。コーヒーでも啜って待ってな」

 

こう、あっちがわのほう好きな俺の顔はきっと悪い顔になってんだろうな。あのチフユでさえたじろいでいた。

俺はチフユにそう言い聞かせると部屋から押しだし、また華人と話す。

 

「悪いなぁ~、ちょっと野暮が入っちまった。しかし嘘はよくねぇなぁ、嘘は。李家はうちのお得意様の一つだぜ。それにあそこのボスとはそれなりに面識があるしよぉ、俺のことを狙うならこんなちゃっちいことはしねぇ奴だよ、あいつはな」

 

俺がアホに向かってそう言うが、アホは指を吹っ飛ばされた痛みで転げ回ってやがった。

俺は蹴りを腹に思いっきり入れると体を引きずってまた席に着席させる。

 

「ここからは俺の推察だがなぁ、お前さんは李家と敵対してるところのもんだろ」

 

アホは何とか話を聞ける状態にまで持ち直したみてぇだが、痛みで脂汗を掻きまくっていた。

 

「んでこんなお粗末な襲撃をかけられるような組織となると・・・・・・そうだな。最近中国で売り出し始めた龍虎とか言うマフィアってところか。たしかあそこはいろいろ手広くやってたよなぁ。差し詰め引っ越し業者に紛れ込んで侵入したってところだろ」

「なっ!?」

「お、ビンゴみてぇだな。まぁ、あの装備じゃ独断で動いたのは分かるけどよ。どうせ俺を手柄に組織の重鎮になろうとか、そんなオチだろ。出来たばかりの組織にゃありがちだ。たしかあそこの組織のせいで李の若が困ってたっけなぁ。手土産に丁度いいか」

 

俺がそう言いアホを見るとアホは怯えていやがった。

 

「なっ!? 命の保証はするって!」

「俺は、『俺は殺さない』って言っただけだぜ。別に保証はしねぇよ」

 

そう言い捨てて銃底で華人の頭をぶん殴ってやった。

華人は見事に伸びたのを見計らって俺はチフユ達にこいつの身柄は此方で扱うと言ってアホを連れて行った。

チフユ達は俺の姿を見て言葉を失ってたが、そんなに怖かったのかねぇ。

俺は自室に戻るとお嬢様は既に寝ていた。まぁ、これからやることは見られない方がいいから丁度いいか。

俺はアホを頼んでた代物、『人が入るくらいのトランク』に入れると返してもらった荷物から四角い粘土のような物を取り出し、タイマーやら何やらの機械をセットしていきトランクを閉める。

その後は電話で『巨人の大剣』に連絡を取ってアホの仲間の場所を調べてもらい、裏の運び屋に連絡してトランクを運んでもらうことにした。

 

 

 

翌日の早朝。

さっそく頃合いをみて電話をかける。相手は李家の若だ。

 

「もしもし、中々よい朝だな、おはよう」

『いきなり電話してきて挨拶とは随分なことだな。私は今すぐ貴様の眉間に銃弾をぶち込んで二度寝をしたい気分で一杯だよ』

「そうカリカリしなさんな。何、これから面白いものが見られるから電話しただけだぜ」

『面白いもの?』

「何、お前さんの悩みの種の一つが解消されるだけだ。窓見てみな、そろそろ花火が上がるぜ」

 

そう言われ李家の若頭は窓を見た瞬間、

 

遠くのビルが爆発した。

 

「中々の花火だろ」

『・・・・・・朝から小粋なことをしてくれる。後で小遣いでもやろう』

「そいつは嬉しいねぇ~。んじゃまた用があったら家をご贔屓にな」

 

そう言って電話を切った。

 

その日の中国の新聞には、

 

『トランクが爆発!? 中からは男性の遺体らしきものが!』

 

という見出しが出回った。

中の遺体は殆ど原型を止めておらず、仕込まれた火薬の量でビルの一室が丸々吹っ飛んだとか。

調べた結果、中の遺体は爆発するまで生きていたらしい。

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