恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

8 / 180
第八話 クラス代表選挙の口出し理由

「ISについて教えてくれよ、ハーケン」

 

クラス代表の話が終わった後の放課後。

イチカの野郎が何かに縋るような面でこっちに話しかけて来やがった。

 

「何で俺にその話がくんだぁ? 俺とお前さんじゃあ差はねぇだろ。他の奴に教わった方がいいと思うぜ」

「そりゃそうかもしんないけどさ~、お前以外に話しかけられる奴は箒しかいないし、それにお前・・・・・・千冬姉と引き分けたんだろ。そんなに強いんなら教えてもらおうかなって思って」

 

あぁ、その話かぁ。

まぁそう言われりゃこっちにくんのも分からなくはねぇな。

だが・・・・・・

 

「無理だな」

「はぁ、何でだよ!」

 

イチカは何で!? と突っ込むがなぁ・・・・・・

 

「俺はお前さんがどう戦うのか知らねぇからなぁ。俺のやり方を教えたって出来るようなもんでもねぇしよ。何よりも・・・・・・そいつは面白くねぇ。戦うからにゃぁ自分で何とかしな」

「そう言うけどなぁ、そもそもこうなったのだってお前のせいだろ」

「そいつは心外だぜ。あのままじゃぁ、遅かれ速かれあのお嬢様は戦いを挑んできたぜ、カウボーイみたいになぁ。そうなったら余計にややこしいことになっただろうさ。そいつをやんわりまとめてやったんだ、批難される憶えまではねぇよ」

「そ、そんな~」

 

そういってイチカは項垂れる。

別に教えたっていいけどなぁ、銃器のじゅの字も使ったこともねぇ奴じゃ教えたって出来やしねぇ。まぁ、そいつを餌にして嵌めるって寸法もあるが・・・・・・そいつは面白くない。

面白くするにゃぁ、いろいろと大変ってことだ。

項垂れているイチカの野郎を好機と見たのか、一人の女子が近づいてきた。

たしかイチカに惚れてるホウキとか言う奴だったな。

ちょうどいいからコイツに頼むか。

 

「そこのあんた、悪いけどよぉ、こいつにISのこと教えてくんねぇか? 確かこいつの知り合いだよなぁ。俺じゃこいつに教えられそうもねぇんでな、頼むよ」

 

俺がそのホウキとやらに頼むと、ビクッ、と反応した。

顔が少しおっかねぇが、何でやろうとしたことがばれてるって驚いた表情をしてやがった。

残念ながらにお見通しってな。顔にあからさまに出まくってるぜ。そんなんじゃぁポーカーじゃあカモられちまうよ。

 

「つーわけだ。そいつに教えてもらいな」

 

そうイチカに言うと、野郎は仕方ないか~、て面で教わることにしたみてぇだ。

ホウキのほうはかなり喜んでるみてぇだ。何度も言うがよぉ、顔に出すぎだぜ。

そして二人は教室を出て行った。

俺も出ようかと思って腰を上げようとしたが、その前に向こうさんも俺に用があるみてぇだ。

二人が出て行くのを見計らってこっちに来やがった。

 

「どうしたんだいお嬢様。何か用でもあるかい?」

 

そう俺が言葉を向けた先には、セシリア・オルコットが仁王立ちしていた。

結構ピリピリしてるみてぇだが、別に怒ってるわけじゃねぇみてぇだ。

 

「一体どういうことですの!?」

「どうって・・・・・・何がだ?」

「とぼけないで下さい。さっきのクラス代表の話です」

 

まぁ、当然くるとは思ってたさ。

ここではぐらかしてもいいが、そうなるとずっと噛みつかれるってわけだ。同室だから逃げることもまもならねぇってな。別に逃げることくらい何てこともねぇが、そいつはそいつで面倒だ。

仕方ねぇから素直に言うとしますかねぇ。

 

「まぁ、そこまでピリピリしなさんな。お前さんだって分かってただろう、あそこあたりが落としどころだってなぁ。ただそいつをまとめたってだけさ」

「それは・・・・・・・・・そうですけど・・・・・・」

「お前さんが真面目てのは、まぁ大体分かったからなぁ。イチカの野郎が推薦された時点でで来るこたぁ分かってた。だからって言葉にゃあ気を付けた方がいいぜ。一応は国家を背負う代表候補生様なんだからよぉ、あまり過激なこと言うと他のとこから突っ込まれちまう。それにチフユの前であんまり野郎をバカにすんなよ。奴さん、かなり頭に血まわったみたいでおっかねぇ面してたからよぉ。あやうくちびりそうになちまったぜ」

「そ、そんな!?」

 

さすがにチフユの面にまでは気が回ってなかったみてぇだな。

あの姐さんはかなりのブラコンみてぇだ。

お嬢様があの野郎のことを貶してるとき、チフユの眉間にゃぁかなり深けぇ皺が出来て青筋が2,3本立ってやがった。

あのまま放置してたら教室は血の風呂(ブラッドバス)になってたかもなぁ。

それが理解できたらしく、お嬢様の顔がブルーマンよろしくに真っ青になっていきやがた。

 

「まぁ、そんなわけで助け船ってわけだ」

「ど、どうして私を助けたのですか・・・・・・」

「何、ただそっちのほうが面白いと思っただけさ。お前さんには昨日の礼もあったしなぁ。俺は義理堅いんだよ」

 

そう答えて昨日やられた左腕をめくって見せる。

そこには相変わらず血で汚れた包帯が巻かれている。

最近の医療技術ってやつはすごくてなぁ、撃たれた後も一週間で完治するんだよ。

休み時間中に保健室で細胞活性剤とエキセドリンを勝手に拝借させてもらったわけだ。

そいつで現在治療中ってこった。

その左腕を見てお嬢様は何とも言えないって面になった。

 

「ですが、私はさっきあなたのこともバカにしましたのよ。何故・・・・・・」

「さっきも言っただろ、お前さんが糞真面目なのは分かってるってなぁ。別にお前さんの言ってることは全部間違ってるわけじゃねぇんだ。ただそいつでムキになってお互い噛みつくお前等がただ若けぇだけさ。俺は真面目な人間ってのは嫌いじゃねぇ」

 

そう答えるとお嬢様はさっきまで真っ青だったのが急にポストみてぇに真っ赤になった。

 

「そ、そうですの! そ、それでは失礼しますわ!」

 

そう言ってお嬢様は教室をすごい勢いで飛び出していっちまいやがった。

何が何やら・・・・・・若いってのはよくわかんねぇな~まったく(注、同い年)

その後にクラスの奴らにあのお嬢様とイチカの野郎、どちらが勝つかの賭けを持ちかけてみたんだが、丁度良く戻ってきたチフユに見つかって大目玉を食らっちまった。

他はどうかは知らねぇが、日本じゃ未成年の賭け事は不健全だそうだ。特に現金は駄目だってよ。

仕方ねぇからチフユが帰ったあとに食券でやろうって話になった。

祭り好きな奴らってだけあって快くノってくれたぜ。

こいつのおかげで少しは緊張が緩んだみてぇだ。俺だってイチカ以外にも話すくらいはしてぇからなぁ。

そしてその話をまとめて教室を出た。

 

 

 

セシリア・オルコットは訳が分からなくなっていた。

クラス代表を決めるにあたって自分の言ったことに間違いはないと思っている。

当然ながら彼、レオス・ハーケンのことも含めてはいた。

しかしそこまで彼をバカにしようとは思わなかったが、クラスのお祭り気分で勝手に祭り上げられた織斑 一夏の反応も含めて、ヒートアップしてしまいああなってしまった。

一夏はもちろん、レオスにも当然批難されると思っていた。

しかし彼はそれどころか双方の言い分を尊重し、話を丸く収めてしまった。

その理由を聞いたら、彼はそちらの方が面白そうだからと答えた。

一瞬、何故かは知らないが落胆しそうになった。

彼は周りと同じなのかと・・・・・・

 

しかし違った。

 

聞けば、あのままいっていたらあの織斑 千冬の怒りを買いかけていたらしい。

それはこの業界にとって、かなり不味いことになりかねない。

そういったことに怒りで頭が回らなかったのは自分の落ち度だ。

そうならないようにするために彼はああしたのだと。

何故批難した私を助けたのかと聞くと、彼は少し真面目な顔になって、『別に私も織斑 一夏も悪くない』そう答えた。

そして少し、いつもの獰猛な肉食獣のような笑顔ではない、ぎこちない笑顔で『真面目な奴はきらいじゃない』と答えてくれた。

それを見た瞬間、よく分からない感情が胸から湧き上がってきて、どうして良いか分からず、彼から逃げるように去ってしまった。

この感情はセシリア・オルコットには初めてのもので、それがなんなのか、彼女にはまだわからなかった。

 

 

 

教室をでた俺はというと・・・・・・理事長室にいた。

 

「おい、爺さん。ハメやがったな」

「なんのことですかな」

 

目の前の爺さんはのほほんととぼけてやがる。

分かってて言ってることは確実だな。

 

「このタバコを吸える場所なんてここしかねぇじゃねえか。あんた、分かってて言っただろ」

「何のことかですかね~」

 

前に貰った電子タバコ。コイツを吸うのに他の奴らに見られないようにしろって話だったが、このジジイ、やりやがった。

この学園は殆どが女子で放課後はあっちこっちに散らばる。お陰で俺はおちおちタバコも吸えねぇ。

結果、俺がゆっくりコイツを楽しめる場所は目の前の爺さん以外誰もこねぇこの部屋だけってわけだ。

いくら暇だからって俺を巻き込むのはよくねぇと思うんだけどよぉ。

まぁ、この爺さんの話し相手が出来る奴なんて早々いねぇか。黒すぎて仕方ねぇし。

俺は観念して懐から電子タバコを取り出すとスイッチを入れて咥える。

先が赤く光り、水蒸気が煙りのように出てくる。

 

「ちっ・・・・・・まじぃな」

 

本物とくらべりゃぁ一目同然ってやつだ。

まぁ、元々偽物ってやつだからそこまでは期待してなかったがね。

救いらしい救いと言やぁ、吸えないほど不味くねぇことと、数種類のタバコの味を再現することが出来るってことくらいか。

俺は不味さに顔を顰めっつつ、ドカッ、と行儀悪くソファに座る。

 

「聞きましたよ。あなたがクラスの争いを仲介したと」

「そいつはまた耳がはぇな」

 

早速きたか。

あんなことをしたら絶対くるとは思ってた。

まったく・・・どこに耳があるのやらってやつだ。おちおち愚痴ることもできねぇ。

 

「まさかあなたが直に出てくるとは思わなかったですよ」

「意外だったかい?」

「ええ、まぁ」

 

そう笑顔で言われても驚いた感じはしねぇなぁ。

 

「俺だって一応はここの学生だぜ。クラスの奴らが困ってたら助けるくらいするさ(笑)」

「成程、そちらのほうが面白そうだからですか。あなたらしいですね」

 

ちっ、バレバレだなこりゃ。

 

「でも・・・それでけではないみたいですね。この学園の者としては嬉しく思いますよ」

「何のことやらな」

 

俺はそう答えながらまたタバコをふかせた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。