恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回でやっと出る、新たなる武装。
相変わらず変態な武器です。

あまりにもお気に入りが減っているので、修正しました。


第九十二話 二本の魔剣

歓迎のクラッカーを聞いて全員がポカンとした面を晒してるのは中々に滑稽で面白ぇ。

オレは未だに言葉を失って口をパクパクとしてる人質だった受付嬢に声をかける。

 

「よぉ、またあったな。しっかしアンタも災難続きだねぇ~。この騒ぎが終わったら少し有給でも貰って旅行にでも行ったらどうだ。人間、リフレッシュは大切だぜ」

「っ!? あ、貴方は………」

 

どうやらオレの声で気付いたらしい。

まさか声だけで分かって貰えるなんて、嬉しいねぇ。

嬉しさのあまり、そのままお茶にでも誘いたくなってくるもんさ。

まぁ、そいつはもっと平和な時にだけどよ。このままのお嬢さんと楽しくお喋りに興じたい所だが、そいつを許す程周りの奴さん達は暇じゃねぇらしい。

 

「撃てぇええぇえええ!!」

 

号令に従って始まるオーケストラ。

奴さん達が持ってる楽器と後ろに控えるIS……改造されちゃいるが、ありゃあ多分ラファール・リヴァイブあたりだろうよ。

そいつ等が持っていた大型の楽器が音楽を奏で始めやがった。

いつもなら避けてるところなんだが、流石にこの逃げ場が少ねぇ場所じゃ避けられそうにねぇなぁ。出来ねぇわけじゃねぇんだが、すれば今日一番のアンラッキーガールがあっという間にミートパテに早変わりしちまう。

そいつは少しばかり可哀想だろ。頑張ってる奴ってのは報われねぇとなぁ。

ってことでオレが取った行動ってのが………。

 

「んじゃ、観客席に連れて行ってやるよ」

「え?………ってキャァーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

お嬢さんを抱えてその場からダッシュだ。

当然演奏が始まったからには彼方此方の場所が弾で弾けやがる。

だが、オレのISは全身装甲で通常の銃程度なら余裕で防げるんだよ。流石にRPGだとか対物ライフルだとか、IS用の火器だと無理だけどなぁ。

そのままお嬢さんにあたらねぇように気を付けながら駈けると、奥に押し込まれてる連中の所まで向かう。

その際飛んで来た弾が何発か背中に当たったが、シールドの減りはそこまで酷くねぇ。

悲鳴を上げて混乱してる連中の所にお嬢さんを送ると、オレは周りの連中にニヤリと笑いながら声をかけた。

 

「こんな目に遭って災難だって思うかも知れねぇが、世の中ってのは案外そんなもんさ。偶々運が悪かった。それだけのことだよ。なぁに、後10分もしない内に全部綺麗収まるから、そこで待ってな。お前さん達が一服する前には綺麗に収まる」

 

オレの声に安堵したのか、緊張が少しは解れたらしい。

これも偏にクロードの教育の賜物ってか?

んじゃ更にここで一つ、小粋なジョークを嚙ましてやろう。

 

「これから演奏してる奴等にお礼として鉛弾を贈呈しようと思うんでなぁ。見たい奴は見て良いぜ。奴さん、嬉しさのあまりに血を噴き出すからよ」

 

更に放つブラックジョークに紳士でない奴等はニヤリと笑い返した。

流石は変態が集まる企業、普通の社員も毒されてる奴は毒されてるねぇ。

すっかりと落ち着き始めたようだ。お嬢さんも今じゃ落ち着き初めて同僚に顔に着いた血を拭いて貰ってるよ

オレはそこから少しだけ移動するやオルトロスを展開し、威嚇射撃をして奴さん達が近づかないように警告する。

さて、一応聞いておこうか……その目的をもう一回なぁ。

 

「さて……なんでこんな頭のイカれた企業なんかを襲いに来たのか、教えてくれねぇかなぁ」

 

その問いに答えたのは、リーダー格らしい男だった。

 

「この企業にある『データ』を譲って貰いたい。多少手荒な真似をして申し訳無いと思うが、下手に動けば命はない。逆にすんなりと協力的に動いてくれるのなら、命は保証しよう」

「中々に紳士らしいじゃねぇか。随分と真面目なんだな」

「先程は部下が失礼をしたね。どうもこういう職業柄、荒くれ者が多くなってしまって困る。まぁ、その部下も今じゃ君の御蔭で床にぶちまけられてしまったが」

 

中々に紳士的で話が通じそうだねぇ。奴さんの言う通り、どうもこういう荒事ばかりを生業にしてると、荒くれた奴等ばかりが増えちまう。

そいつは決まって話を聞かねぇ奴等ばかりだ。

その点、奴さんには好感が持てそうだ。

 

「そう言うなよ。人質に取られてた奴は一応顔見知りでな。流石にあのままじゃ可哀想だったんでね。其方の紳士らしい対応に此方も真摯に答えようか。このまま大人しく引き下がるなら見逃してやる。もしまだ続けようってんなら、その時はお前さん等を使って床に真っ赤なアートを描く。単純だろ? 簡単な二択だ」

「ふむ。君は話が通じる人間だが、やはり引く気はないか」

「まぁ、そういうことらしい。お互いお仕事だからなぁ。ちゃんとやらねぇとお飯が食えねぇ。残念だよ、本当」

 

交渉決裂っと。

さて、どうしたもんかねぇ。

別に連中の火器その物はたいしたことはねぇが、後ろのIS3機が厄介だ。

流石にそいつ等を相手にするのは骨が折れそうだ。

ってなると………そうだな~……懐に飛び込むか。

プランを決めたんなら、さっそく実行に移そう。丁度使えそうなモンも手元にあるしなぁ。

オレはオルトロスを収納すると、さっきまで使ってた代物を呼び出す。

 

『デルフィング』

 

名前を呼ぶと共に現れる大剣。

そいつを持ちながらオレは前に飛び出した。

 

「っ!? やれ!」

 

まさかいきなり飛び出してくるとは思わなかったらしい。

リーダー格の男か口元を引き付かせながら命じると、オレだけに向かって皆から歓迎のクラッカーが鳴らされる。

いくら装甲があるからってこの鉛玉の雨は浴びたくはねぇなぁ。

だからさ………オレはここで一つ、ある手品を使うことにした。

 

「面白いもん見せてやるよ」

 

空いているもう片方の手を喰らうとヤバいIS用火器の銃弾が飛んでくるであろう方向に翳す。

連中がぶっ放した弾丸がオレ目がけて飛んでくる。そのまま行けば本来ならオレにぶち当たるだろう。

だが、オレが翳した手に触れる少し手前で……弾丸が弾かれた。

 

「な、何だと!? AIC? いや、違う!」

 

弾丸が弾かれてる所を見て、ISを操ってる女の一人から驚く声が聞こえた。

そうそう、その反応を待ってたんだよ。IS学園でこの手品を披露しようと思っても、中々に使える場面が無かったからなぁ。

オレはそのまま当たったらヤバい弾だけを片手で防ぎ、そのまま奴さん達に向かって突き進む。普通のハンドガンやらアサルトライフルやらの弾は気にしないで突っ込むためか、身体中で火花が散り金属のぶつかり合う音が鳴り続ける。

何でこんな真似が出来るのかって?

そいつのネタを話しちまったら芸にならねぇ、と言いたいところだが、今回は特別に教えてやるよ。

こいつはスカイウォーカーの力場だ。いつも空中を駈けるのに使ってるだろ。そいつがこの手品の種だよ。IS一機を余裕で支える程の力場だ、弾丸如きじゃまず破れることはねぇ。こいつは空中で過激に動き廻るためにも、掌にも力場の発生装置が付けられているのさ。

オレは足だけで十分だから普段は使う機会がねぇんだが、こいつを合わせるとよりアクロバティックな動きが可能なんだとさ。

だからそれを応用したのが、この簡単なシールドってわけだ。

何も足場にしかならねぇ訳じゃねぇ、道具ってのは使いようだ。

弾が防がれてることに驚いている奴を尻目に、まず手近にいた奴にデルフィングを振りかぶる。

 

「まず一人だ」

 

そのまま刃を伏せて叩き着ける。

左肩から右脇に駈けて叩きつけられた奴は血を吐きながら壁に叩き着けられた。IS用のこいつを生身の人間に本気でぶつけようモンなら、直ぐに死んじまうからな。依頼でもねぇのに派手に殺ると後が面倒だ。

まぁ、肋骨の2~3本はイッてるだろうが、そいつは勘弁だ。自業自得ってことで納得しろって話だ。コレに懲りたら転職をお勧めするよ、オレは。

そのまま気にせずにデルフィングの銃口を他の奴等に向けて引き金を引く。

その途端に吐き出された弾丸の雨が他の奴等の足に風穴を開け、エントランスを真っ赤に染め上げていく。

別にする必要はねぇのかもしれねぇが、ここで下手に暴れられると奴さん達のISの攻撃を喰らっちまうからなぁ。流石にこの装甲でISの火器は防げねぇんで、簡単な『盾』になってもらおうか。

 

「くそ、近すぎて撃てない!」

「まったく、これだから男は!」

「だから嫌だったのよ、男と仕事なんて!」

 

ISの操縦者三名からそんな悪態が聞こえてきたが、そりゃあんまりだろう。せっせっかくお前さん等の危険が減るように配置してもらってるんだからよ。男心ってもんを察してやろうぜ。

更に背後から迫ってきた奴に対して、デルフィングの刃を伏せた状態でスイングし、壁にホームランさせる。当たり所が悪く無きゃしなねぇだろ。

しっかし……なんとまぁ面白みのねぇ戦いだなぁ。

下手に殺すと不味いから武器も活かせねぇしよぉ。

 

「おいおい、まだまだこんなんじゃ満足できねぇよ。もっと根性見せて見ろよ、男だろう?」

 

そのまま大剣で斬り掛かかって壁に叩き着けたりしてノックアウトし、マシンガンで弾丸をばらまいてISを牽制する。

新しく作られたキワモノだが、使ってれば結構馴染んでくるもんだ。悪くはねぇ。

エントランスを駆け回り、蹂躙していく様は中々に悪夢染みてるのかもしれねぇなぁ。現に相手の3機は腰が引けてるのか不抜けた銃撃しかしてこねぇ。

リーダー格の野郎はオレに応射しつつ後退し始めている。

やっぱり奴さんが一番『出来てる』なぁ。

この現状が不利だと即座に判断し、撤退の指示を出し始めやがった。

きっと元はどこかの軍人だったんだろうよ。そういった『臭い』がする。

このまま放置すれば大人しく帰ってくれるだろうなぁ。そうすればみんな万々歳だ。

だ・が……それじゃあ落とし前が着かねぇよなぁ。

オレはエントランスから逃げようとする連中に向かってある名前を口にした。

 

『レーバテイン』

 

その瞬間、両手持ちのやけにでかくごついアサルトライフルのような武器が展開される。特筆すべきは、その銃口の大きさだろう。まるで砲弾でも撃ち出すんじゃねぇかってくらい大きい。

 

「せっかく来たんだ。キャンプファイヤーで一緒に踊ってくれよ」

 

それを背を向けている連中に向かって引き金を引いた。

次の瞬間、凄まじい勢いで大きな弾が連続発射されていく。

それは敵ISへと飛んでいき、直撃した途端に大爆発を引き起こした。

その爆発を皮切りに敵叩き込まれた弾丸が悉く連座的に爆発していく。

連続で起こる爆発に飲み込まれ、IS3機は抵抗することも出来ず、悲鳴らしい悲鳴すら爆音に飲み込まれ、爆炎が薄れる頃にはISを強制解除され、重傷で血まみれになっていた。

使っといてなんだが、また一段とオツムが可笑しなモンが出てきたなぁ。明らかに可笑しいだろ、この威力。なぁに考えてんのやら。

その爆発に巻き込まれたのか、リーダーの男も爆風で吹っ飛ばされて壁に叩き着けられたらしい。後頭部から血流して呻いてたよ。

オレはそのまま男の前に歩いて行く。

 

「な、何なんだ、その……武器は……」

 

苦しそうに呻く男に、オレは笑いながら答えてやった。

 

「こいつは『レーバテイン』。ここの変態達が作った『携行型グレネードマシンガン』だよ。しっかし随分と吹っ飛ばしたもんだ。御蔭でエントランスが見る影もねぇ」

「そ、そうか……それが……」

 

リーダーは何か納得したのか、そんな面をしてやがった。

もうこの調子じゃ助からねぇのは分かってるらしい。

なら、せめてもの手向けって奴だな。

オレはレーバテインを収納するとオルトロスを一丁だけ展開し、リーダーの頭に銃口を向ける。

 

「何か言い残すことは、紳士(ジェントル)?」

「…………感謝する……」

「あいよ」

 

そしてオレは……刃の峰でリーダーの頭をぶっ叩いた。

 

 

 

 こうしてこの騒動は終わった。

こちら側は怪我人こそ出ていたが、死んだ奴はいねぇ。

連中は………まぁ、全員病院送りだな。エントランスの酷い光景の割に死んだ奴が一人もいねぇのは驚きだ。

正直、一人か二人は死んだもんだと思ってたが……今日はそれなりについてるらしい。これでクロードのお説教も少しは減るってもんだ。

まったく……本当にイイ試し撃ちになったもんだよ。

後は……このエントランスの修理費がオレにまわってこねぇことを祈るだけだよ。

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