恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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スランプすぎてしょうがないです。


第九十八話 学園祭は健全に

 爺さん達との打ち合わせを終えた二日後、さっそく会長が行動を起こしたらしい。

その日の朝、いつもならチフユより早く来ているイチカが遅れて教室に来た。

その遅刻した理由に関して、奴は見知らぬ二年の女に食い止められていたから来るのが遅れたんだと。

その話を聞いてお嬢様とオレは笑っちまったよ。

早速会長が動いたんだとさ。

今更ながら二年の女子がイチカにちょっかいをかける理由なんざねぇ。まだそれが愛の告白なんて甘酸っぱいもんなら腹を抱えて爆笑するわけだが、わざわざ告白を朝っぱらからやらかす奴はいねぇだろ。いくら人がいない時間でも、もう少しロケーションってもん考えるもんさ。

ってことを考えれば、出て来るのは一つだけ。

会長が早速ちょっかいをかけ始めたってわけだ。

その事で笑っていたわけだが、まさかその後更に笑えるもんを見るとは思わなかったぜ。

イチカの遅刻の言い訳に対し、チフユが取った処分はデュノアの公開射撃ショーだった。

デュノアのノリノリで満面の笑顔を浮かべながらISを展開し、イチカに呼び出したアサルトライフルを向けてやがった。

そこから始まったのは、イチカの野郎の絶叫と銃撃音の実に愉快なコメディショーさ。

腹を抱えて笑うオレはその後お嬢様に怒られたわけだが、無茶言うなよお嬢様。

ここまで馬鹿馬鹿しくて笑える見世物はそうはねぇんだからよ。

 

 

 

 イチカの野郎が朝にハッスルしまくったわけだが、学園の授業は始まったばかりだ。まだピロートークの時間には早すぎる。

それに今から全校生徒を集めて朝会を行うんだと。

十中八九内容は学園祭に付いての話で、会長が何かしら言うのは目に見えてる。

今回は自分が主導だって張り切ってるからねぇ。

実に活き活きした様子が目に見えるようだぜ。

そして移動し講堂へと入る。

 

「しっかし、ただ立ってるだけってのは暇でいけねぇなぁ」

 

話が始まるまでずっと立たされてるわけだが、どうにも暇になりがちだ。

オレは懐から学園でもう見飽きるくらい使ってきた電子タバコを取り出し、口に咥えようとするんだが、その前にお嬢様の手で遮られちまった。

 

「レオスさん、駄目ですわよ!」

「そう堅い事いいなさんな、お嬢様。どうにも手持ち無沙汰で仕方ねぇんでな。一服くらいならいいじゃねぇか。周りに害もねぇんだしよぉ」

「ダ・メ・で・す! アメリカでは見て見ぬ振りをしましたが、ここは日本で学園です! 学生がタバコを吸って良い道理などありませんわ」

 

真面目なお嬢様は偽物でも許せねぇんだと。

 

「なぁ、頼むよ。もし許してくれたら、その頬にキスしてやるよ」

「なっ!? そ、それは…………」

 

お嬢様はオレの言葉を聞いた途端に顔を真っ赤にして恥ずかしがり始めた。

アメリカに行って色々と成長したようだが、こういう可愛らしいところは変わってないらしい。からかいがいがあって良いもんだ。

だが、それでもお嬢様はオレに駄目だと言ってきた。

 

「そ、それでも駄目です! もう、わたくしをからかって……(で、でも本当にしてもらえるんだったら……キャーーーーーー!)」

 

どうやら予想以上に成長していたらしい。

感心感心、お嬢様は前以上にしっかりしてきたようだ。そいつは結構だが、そのウチクロードみてぇな真面目人間にならないか心配になっちまうよ。

 

「まぁ、そこまで言われたら引き下がるしかねぇか。お嬢様の可愛い顔を見れただけで良しとしておくよ」

「か、可愛いぃ…………(レオスさんが可愛いって……わたくしのこと、可愛いって……)」

 

頑張ったお嬢様に免じて吸うのを諦めたオレは、その代わりにお嬢様の顔を観察することにした。

真っ赤な顔が百面相をする辺り、これはこれで中々に見応えがあって面白れぇ。

それで時間を潰していたところ、やっと会長が出てきたよ。

壇上に上がるなり、早速自己紹介を会長は始めた。

 

「一年生には初めましてかな。私はこの学園の生徒会長、更識 楯無よ。よろしくね」

 

実に堅実で面白みのねぇ挨拶だ。もう少しジョークの聞いた事を聞きたいもんだねぇ。

その後も会長は面白くもねぇ話を始め、学園祭について説明し始める。

良くある注意事項だの何だのが基本だ。

だが、それだけじゃ無いらしい。周りの連中は気付かねぇだろうが、実に悪い事を考えてる面をしてやがる。絶対に何かあるぜぇ、こういうときはよ。

そして予想通り、会長は爆弾を投下してきやがった。

 

「今月の一大イベントの学園祭だけど、今回に限り特別ルールを導入するわ。で、その内容なんだけど」

 

そこで一旦タメを作ると、一気にテンション高めで発表した。

表示された仮想ディスプレイに表示されたのは、『各部対抗織斑 一夏争奪戦!』の文字だ。

まぁ、読んで字の如くだろうよ。

それを見た途端、周りの連中が一気に沸いた。

あまりの音量にイチカが目を回しかけてやがったよ。駄目だぜ、そこでふらついてたら。テメェの名前が出てるんだから、最後まで見てねぇとなぁ。

一通り叫び終えた周りの連中を見計らって、会長が更に補足を入れる。

 

「は~い静かに。学園祭では毎年各部活動ごとの催し物を出し、それに対して投票を行って上位組は部費に特別助成金が出る仕組みでした。しかし、今回はそれではつまらないと思い、織斑 一夏君を一位の部に強制入部させましょう! 彼は丁度部活に入ってませんから、丁度いいですしね。この学園、基本必ず部活には所属しないといけませんから」

 

だとさ。

するとオレも部活動って仲良しクラブに入らなきゃならねぇわけだが、オレの名が上がってねぇことは何なんだろうねぇ。

まぁ、そんなつまらねぇことをするくらいなら、まだ爺さんの話し相手をしていた方がつまらなくはねぇだろ。

イチカの野郎は信じられねぇって面で壇上の会長を見て打ち拉がれていたが、これはまだ始まりに過ぎないんだぜ、ボーイ。

もっと気張らねぇとなぁ。出ないと……ノイローゼになっちまうよ

 そして絶望に打ち拉がれているイチカを笑いながら朝会は終わったわけだ。

一番の見所はやっぱりイチカの面で決定だな。あの面はフィルムに焼き付けて皆でたらい回し見して爆笑するくらいイイ面だったよ。

 

 

 

 そんな実に笑いものなイチカだが、いつまでもへこんでいる訳にはいかねぇのが人ってもんだ。

教室に戻り次第、学園祭でやる出し物について話し合うことになった。

クラス委員であるイチカが当然議長として話を纏めるわけだが、こうして見ると改めてオレが受けなくて良かったって思えるねぇ。

周りの連中が手を上げて案を出していくわけだが、これがまた実にイチカにとって面白くねぇ案ばかりらしい。

いい加減耐えかねたのか、イチカは吠えるように皆に文句を突き付けてきた。

 

「何だよ、この『織斑 一夏とポッキーゲーム』とか『織斑 一夏のホスト接待』って! そう考えたって誰が得するんだ、こんなもん!」

 

「「「「「えぇええええぇえええええええええええええぇえええええぇえええええええええええええええええ!!!!」」」」」

 

どうやらウチのクラスのレディ達は自分達が出したダンスの選曲にケチを付けられたことが不満らしい。

そしてイチカの野郎に口々に自分達の案が素晴らしいか説明し始めた。

それを聞いていたイチカは今度はマヤに話を振る。どうやらテメェでは手に負えねぇと判断したらしい。あれでも一応は教師だからなぁ。

だが、その淡い期待は瞬く間に砕かれやがった。マヤは少し考えた後にイチカを見てポッキーゲームがイイと言い出しやがったんだぜ。

この短い間に変わりまくるイチカの面と来たら、コメディアンとしてやっていけるくらいに面白れぇ。

チフユは面倒臭がって早々に職員室へと退避しちまった。その所為で今の教室に騒ぎ立てる奴等を止められる奴は誰もいねぇ。

中々に暖まった無法地帯にイチカはグロッキーになりかけてるみてぇだ。

そんなイチカを更に笑いつつ、オレはお嬢様に話を振ることにした。

 

「お嬢様は何か案はあるのかい? 前にメイド喫茶を楽しんでいたようだし、メイド喫茶か?」

「そ、それは………確かにそれもやってみたいですけど………」

 

お嬢様は言い当てられたのが恥ずかしいのか、顔がまた真っ赤になっていく。

こういう初心なところは見ていて心が癒されるねぇ。

お嬢様は恥ずかしがってモジモジとし、そして少ししてから口を開いた。

 

「確かにメイドをしてみたくもありますが、わたくしとしては……レオスさんと一緒に学園祭を回りたいです……駄目でしょうか」

 

上目使いに潤んだ瞳っていう女の武器のダブルパンチを浴びせられちまった。

別にそんなことしなくても……。

 

「別にいいぜ。元から誘う気だったしなぁ」

「は、はい! ありがとうございます!」

 

喜びを顕わにするお嬢様。そこまで喜ぶと周りの連中が何事かと騒ぎ始めちまうぜ。

別に声をかけられなくともお嬢様とは一緒に回る気でいたからなぁ。どうせ爺さんにそう言われるだろうしよ。

そのまま嬉しそうな笑みを浮かべるお嬢様を見続けたいところだが、イチカの野郎、今度はオレを巻き込みやがった。

 

「レオス、お前だったらどうする! 何か案とかないのか!」

「おいおい、いきなり振るなよ。案って言われたってあんまりねぇぞ」

「それでもだよ。こんな巫山戯た物よりマシな奴があるだろ」

 

まるで縋り付く思いでオレに食い付くイチカ。

オレはそっちの気はないんでね。そんな目を向けられても困る。

まぁ、そこまで期待されてるんだったら一つ案を出してやろうかねぇ。

 

「そうだな……オレだったら、トランプオンリーのカジノでもやるかな」

「か、カジノ?」

 

予想外だったのか、目を丸くするイチカ。

おいおい、自分で聞いてきたんだろうが。

 

「トランプと台だけ容易すれが直ぐにでも開けるし、カジノなら収入はかなり美味しいだろうよ。しかもイカサマすればさらに膨れる。それにこの学園にくるのは大抵が平和ボケした大人やガキばかりだろ。なら、まさに食べ放題だ」

「んなもん出来るわけないだろ! ばれたら千冬姉に怒られるだけじゃすまないっての! それに日本じゃカジノは違法だ!」

「なんだ、そうなのか? つまんねぇなぁ」

 

せっかくの案が蹴られちまった。

何かと文句が多くて困っちまうねぇ。まぁ、それも若さってや奴か。

 結局この後、あのドイツの子ウサギが出した案で決定したわけだが、それがまさか『メイド喫茶』だとわねぇ。

お嬢様はそのことをかなり喜んでたよ。

これでウチのクラスの出し物が決まったわけだが、オレは一体何をやらされることになるのやら。

まぁ気にしたところで何か分かるもんでもねぇし、気長に待たせて貰うとするか。

そうして、この話し合いは終わった。

 

 

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