恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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スランプ過ぎて何も言えないです。
感想でも酷いことを言われてへこんでますし………。



第九十九話 接近戦での銃の使い方

 学園祭に向けて色々と動き出す学園。

ウチのクラスも出し物が決まったことで、さっそくそれに向けて準備をし始める。

と言っても、オレは特にすることもねぇんだけどなぁ。

基本お嬢様とイチカ以外話し相手がいない寂しいオレに頼み事をする奴ってのはそうそういねぇ。たまに話しかけてくる奴もいるが、それも稀だ。

そもそも、野郎が出来ることなんて力仕事くらいなもんなんでね。

頼まれりゃするが、出番がねぇんじゃしようもねぇ。

クラスではそんな感じで殆どイチカに任せてるわけだが、奴さんには学園祭以外にもしなきゃならねぇことがある。

それが今、オレの目の前でやってることさ。

 

 

 

「ほら、一夏君、そこでもイグニッションブースト! 遅いわよ! もっと速く!!」

「は、はい!」

 

ターゲットに向かって高速で接近するイチカだが、タイミングがずれた所為で標的から逸れて行っちまってる。それを会長が檄を飛ばしながら注意していた。

そんな二人をオレとお嬢様、デュノアの三人で見ていたわけだが、なんでこんな事になってるのか?

そいつを語るには、前に話した事を思い出してもらいてぇ。

前回、爺さん所で会長が自信満々に話したイチカの野郎をストーカーから守る話。その時にイチカを鍛えるって話があっただろ? そいつだよ。

最初にちょっかいをかけた後に全校生徒の前で吊し上げられたんだ。

流石の優男イチカも会長には反感を抱いたってわけだが、そいつが狙いだ。

放課後に再びちょっかいをかけた会長にイチカは見事に噛み付き、そこで会長からある提案をされる。

良くある勝負に負けたら言うことを聞けって奴だな。

普通に考えりゃあ、こんな変な学園の生徒会長をやってる奴が何の勝算も無しにふっかけてくるわけがねぇ。だが、頭に血の昇ったイチカにゃあぁそんな判断をする余裕は無かったのさ。

見事に挑発に引っかかったイチカは会長の勝負を受け、そして結果はご覧の通りって寸法だ。

流石に負けたから文句の言いようもねぇってことでイチカは会長とのお遊びを頑張ってる。

なんでこんな訓練をしているのかと言えば、イチカの戦略を広げるためなんだとよ。

アイツのISは第二形態に移行して射撃兵器が追加されたんだが、アイツはそういったモンを使う才能に恵まれなかったらしい。

せっかく持ってても当てられなかったら宝の持ち腐れってな。

射撃で必要なのは面制圧力だが、連射が効かない奴さんの物はどちらかと言えばスナイパーライフルに近い。一撃必殺の突破力があるのは良い利点だが、それを使う奴の才能がてんで駄目なんでね。

そこで会長はその部分を鍛え、奴さんに向いた使い方を覚えさせようとしてるわけさ。具体的に言やぁ、至近距離からぶち込むって寸法だ。

そのためにオレとお嬢様はサポートとして呼ばれた。なんでそんな面倒臭ぇことに付き合わなけりゃならねぇんだと思うところだが、ノリ気なお嬢様を前にして断れなかった辺り、オレもヤキが回ったもんだ。

ってなわけで、会長の手助けとしてさっそくお嬢様がアリーナで練習していたデュノアと一緒に『シューター・フロー』で円状制御飛翔をすることになった。

これは射撃型の戦闘動作なんだが、中々に難しいらしいとか。

何でも、射撃と高度なマニュアル機体制御を同時に行うもので、本来オートで制御されているPICなどをマニュアル操作することでより細かく機敏な動作を可能とするんだと。

オレにはイマイチわからねぇが、普通は並列思考で動くから難しいらしい。

オレの戦闘動作は特殊過ぎて分からねぇし、そもそも機体のPICが最初からマニュアルだったんで気にしたこともねぇよ。

あそこがまともな玩具を作るわけねぇだろ。必ずどこかぶっ飛んだモンしかつくらねぇんだからよぉ。

だから、これにはお嬢様が抜擢されたってわけだ。

そしてイチカの前で手本を見せて、こうして今度は奴さんの番。

イチカは何度も同じように周りを飛行し、そしてターゲットに接近し左手のモンをぶっ放す。

だが、まったく持ってかすりもしねぇ。

その度に会長がイチカに注意を促すんだが、まぁ上手くはいかねぇわなぁ。

そしてある程度やった後、イチカが疲れて地面でくたばってる間に会長はオレに聞いて来た。

 

「ねぇ、この訓練について、あなたはどう思う?」

 

どうやらIS操縦者以外の視点からの意見を聞きたいらしい。

それに関して、オレは適当に答えるしかねぇよ。

 

「どうって言われてもな。別にいいんじゃねぇか、こんな感じで。会長のアドバイスは充分的を射ているわけだし、問題はねぇと思うよ」

「そう言ってくれると嬉しいんだけど、どうも引っかかるのよねぇ。何だか後一歩って感じで。何なのかしら、この感じ?」

 

会長は座りが悪ぃって感じでそう答えてきた。

まぁ、IS操縦者としては会長があってるんだろう。高速機動から一気に間合いを詰めての一撃。ヒットアンドウェイによる強力な攻撃は確かに奴さんの戦術を広げる。

だが…………オレからしたら、そいつは少しばかりお粗末としか言えねぇなぁ。

それがバレちまったのか、会長はオレを睨んできやがった。

 

「その顔だと、何かあるって感じね。正直に言いなさい、お姉さん怒らないから」

「レオスさん、何かありますの?」

 

二人の美女の視線を一身に受けちゃあ流石に照れちまうねぇ。

とは言え期待されてるんだったら、答えねぇとなぁ。

それに関し、オレはニヤリと笑って二人にこう答えた。

 

「まぁ、口で言うよりも実際に見せた方が早いだろ。会長、今から頼むもんを用意してもらいてぇんだが、いいかい?」

 

そして会長に持ってきてもらいてぇもんを伝えると、会長はイマイチ理解出来ねぇって面で頷いた。お嬢様も一緒で、不思議そうに首を傾げてやがる。

まぁ、実際に見てもらえばわかんだろ。

そう思いながら会長が帰ってくるまで待つことにした。

 

 

 

 

 そして待つこと十数分後。

会長はオレが頼んだ以上の物を持ってきた。

 

「こんなのでイイかしら」

「あぁ、上等だ」

 

会長が持ってきたのはペイント弾の装填された拳銃だ。

それを二丁用意してもらった。

オレが注文したのはエアーガンあたりだったんだが、会長もオレが言いたいことに気が付いたらしい。だからこそ、よりやりやすいモンを用意してくれた。

オレは会長からそれを受け取ると、壁に背を預けて休んでいるイチカの所へと向かう。

 

「よぉ、お疲れさん」

「あぁ、レオス……疲れたよ、本当に……」

 

中々に疲れたって様子だ。だが、お疲れのところ悪いがオレは休んでいるイチカの懐に銃を軽く投げ付けた。

これから先に行う授業には必要なもんだからなぁ。

 

「わっ、なんだ!? じゅ、銃?」

 

いきなり渡された銃に驚くイチカに、オレはニタリと笑みを浮かべて答えてやる。

 

「ここからはオレの授業と行こうか。お前さんがよりマシになるためになぁ」

「え、お前もか………今日は辛いなぁ……」

 

泣き言を言いたそうなイチカをからかいつつも起き上がらせると、オレは早速説明することにした。何でこんなモンを持ってきたのかを含めても。

 

「会長がISでに使い方を教えるのなら、オレはお前さんにより『せこい』使い方を教えるぜ。まずは、そいつでオレを撃ってみろ。当てられたらコーヒーでも奢ってやるよ」

「ちょっと待て! いきなり銃渡して何言ってるんだ。それにISを使わないで射撃しても意味なんてあるのか?」

「まぁそう言うな。それに中に入ってるのはペイント弾だ。汚れはしても痛くはねぇよ。それとな、意味があるかどうかは……試してから考えな!」

 

そこから先の文句は聞く気はねぇんでなぁ。そのままイチカに向かって態とらしく引き金を引いた。

奴はそれを見て慌てて横へと飛び退く。

するとそれまでイチカが座っていた所に真っ赤な液体が飛び散った。

赤く染まった部分を見て、イチカはオレに叫ぶ。

 

「いきなり危ないっての! こっちの覚悟もまだ決まってねぇってのに」

「誰もお前さんの了承なんて待つ気はねぇよ。オレに当てればゲーム終了だ。早く当てねぇとペイントのインクが落ちなくなっちまうぜ。ほら、さっさと撃ってこいよ」

 

そのままイチカにあたらねぇように撃ちながら距離を詰めていく。

イチカは慌ててオレに応射をするが、元が下手なだけにまったくもって狙いがなってねぇ。御蔭で避ける必要も無く前へと歩いて行ける。

そして奴との距離が二メートル程になったところで、一気に間合いを詰めた。

 

「うわっ、何でこんなに近づくんだよ!」

 

イチカからそんな悲鳴が上がるが、わからなくもねぇ。

何で銃を持ってるくせに近づいてくるのか?

その答えは……実際に体感すれば分かるモンさ。

 

「これが答えだよ、ボーイ」

 

返答と共に、オレはイチカに向かって左拳を握り殴りかかった。

当然手を抜きまくった拳でだ。イチカはそれに驚いて咄嗟に避けようと身体を反らす。それがどれだけ『隙』だらけなのかを気にせずに。

 

「うおっ、危ない! おい、いきなり殴りかかってくるなんてどういう……」

「よそ見は禁止だぜ。チェックメイトだ」

 

文句を言っている一夏に向かって、オレはがら空きになっている腹に右手に握っている銃を突き付けて引き金を引いた。

途端に弾ける音と共に、イチカの腹が真っ赤に染まる。

 

「え…………ってうわぁっ、すっごく真っ赤じゃないか!」

 

撃たれたことに気付いたイチカは驚きの声を上げるが、そんな驚くようなもんでもねぇだろ。

そんなイチカを見てニヤリと笑いながら、オレは改めて何をしたいのかを説明することにした。

 

「いいかい、イチカ。これがオレがお前さんに教えようとしたことだ。銃だからって遠距離とは限らねぇ。至近距離でもぶっ放すこともある。さっきみたいに攻撃されながらだとまったく気が付かなかっただろ。これもまた、一つの銃の使い方ってもんさ。会長の教えでも正解なんだが、せっかく至近距離でぶっ放すなら、こういう風に他の攻撃も混ぜ込んで使った方がより当てられるとかもなぁ。会長のは確かにわかりやすいが、同時に安直すぎる。如何にも近づいてぶっ放しますってのが丸わかりなんでなぁ。だったら、こんな風にした方がお前さんの身にもなるだろうよ。結局接近戦しか出来ねぇんだからよ」

 

それを聞いて、イチカは大体だが理解したようだ。

そう、同じ至近距離からぶっ放すにしても、撃つまでの過程は大切だ。ブラフを混ぜ込まねぇと直ぐに読まれちまうからよ。

接近戦で他の攻撃を出して相手を揺さぶり隙を作り、そしてそこへと叩き込む。

結果だけなら会長の訓練と同じだが、相手は心理的にこれでかなり揺らぐだろうよ。いつ撃たれるのかわからねぇ、本当に撃つのかってなぁ。この砲撃自体をブラフにするって手もあるから、戦術的には幅は広がるだろうよ。

別にこういうことだったらISは必要ねぇからなぁ。必要なのは、戦術を練る頭と、そして経験だ。

それで納得したであろうイチカに向かって、オレは更に銃を向ける。

 

「さぁ、だったら次もチャレンジだ。そのままじゃ翌日にはケチャップマンってあだ名が付いちまうぜ、イチカ」

「それは絶対にお断りだ! 行くぞ、レオス!」

 

そしてオレはイチカと二人でお遊びに興じることになったわけだ。

 

 

 翌日、インクが取れなくなった所為で顔面が真っ赤に染まったイチカはクラスで笑いのネタになった。

 

 

 

 

 

 

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