雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編   作:蜜柑ブタ

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凜が、桜の逆鱗に触れてしまいます。


凜は、バオーが人間(秘密機関ドレスの霞の目)が作った生物兵器だということを知りません。


SS8 逆鱗

 

 ツツジの攻撃で気絶したバーサーカーが起きるまでの間、イリヤは、衛宮家の茶の間にいることになった。

 座布団の上に座っているイリヤは、出されたお茶に目もくれず、ぷく~っと頬を膨らませてご機嫌斜めだ。

「……ぷっ…。」

「なによ!」

 そんなイリヤの姿につい笑ってしまった凜を、イリヤが睨んだ。

「アッハハハ! バーサーカーがいないと、アインツベルンの魔術師も形無しねって思って。」

「なんですって! 殺してやるわよ!」

「あら? やる気?」

「家の中で暴れるな。」

「あ、これ美味し。」

「ツツジは、マイペース過ぎますよ。」

 暢気にお茶とお菓子を食べてるツツジに、隣にいる桜がツッコんだ。

「それにしても、あんな方法…、いつ思い付いたんですか?」

「あー。雁夜から聞いた即席の魔術師になった時の体験を聞いて、私がもし魔力を手に入れるならどうすればいいかなって、考えて…。」

「それで思いついたの?」

「そう。けど…、バーサーカーを一撃で倒せるとは思わなかったけどね。」

「…それだけツツジさんが強いってことよ。」

「あなた、なに? 人間じゃないでしょ?」

 イリヤがツツジを睨んだ。

「ん? 私? 私は…、人間じゃないよ。」

 ツツジが自らが人間じゃないと肯定したことに、イリヤは目を見開いた。

「じゃあ、なんなの? 死徒?」

「違うよ。そもそも、死徒ってなに?」

「単(ひとえ)に言えば、吸血鬼のこと。」

「じゃあ、違うよ。私は血なんていらない。」

「わけ分からない…! 死徒でもなく、代行者でもない貴女が、サーヴァントを圧倒するなんて。たかが、“人間の形をしているだけ”の何かにできるわけない!」

「そうだねぇ…。私は…強いて言うなら、人間の叡智のカルマって言ったところかな?」

「エイチノカルマ?」

「人間って罪深いよね。自分の欲望や興味関心のためならどんなことでもするんだよ。その結果、生まれたのが私の親だっただけ。私がその子供だったってだけの話。」

 ツツジは、そう言って微笑んだ。

「…なにそれ。」

 ホムンクルスの母親を持つイリヤは、胡散臭そうにツツジを見つめた。

 桜ですら、十年も一緒にいるが、ツツジが親の顔を知らないことは知っていても、名前だけは知っていることは知っていた。だがその名前は聞いたことがないし、ツツジが親の名前を口にしたことがない。

「遠回しに言うわね…。」

 黙っていた凜が、少し忌々しそうに言った。

 ツツジは、微笑みを浮かべたまま、凜を見た。

「あなたのその力…、いや化け物は、間桐雁夜を人間じゃない者に変えたじゃない。その気になれば、もっと増やせるでしょ? ようは、貴女は、女王。そうでしょ?」

「へ~。そこまで分かってるんだ?」

「どういうことだ、遠坂?」

「その気になれば、その女は、世界中のあらゆる生物を、あのバーサーカーを痛めつけた怪物にすることができるってことよ。」

「なっ…。」

「うん。できるよ。でもそんなことするつもりはないし、やる気はないよ。」

 安心してっと、ツツジは、微笑んだ。

 凜は、それでもツツジを警戒する。

「あなたが生きてる限り、安心できないわね。」

「そこまで警戒しなくてもいいよ。私は本当にそういうことに興味はないから。」

「だったら、死ねばいいじゃない。」

「遠坂!」

「士郎。あんたは、正義の味方になるんでしょ? だったら、人間に仇なす怪物が目の前にいれば殺すわよね?」

「それは…。でも彼女はなにもしてないぞ?」

「何もしてない? あの間桐雁夜の変貌を見てるくせに、バーサーカーを圧倒したのを見てるくせに、予防策もとらないわけ? アレがただの人間に向けられたらどうなるかぐらい分からないの?」

「でも…。」

「…っ、あんたに期待した自分が馬鹿だったわ。」

「おい!」

「ともかく!」

 凜がビシッとツツジを指差した。

「私は、あなたを殺すわ! もちろん、間桐雁夜もね!」

「あ、それは…。」

「これは決定事項! 誰にもじゃ…っ!?」

 次の瞬間、影から出現した帯状の影に巻き付かれ、凜は顔までグルグル巻きにされた。

「ねえ、なんて言ったかしら? 聞こえなかったわ。」

 桜が、鉄仮面のような無表情で、冷たい声で聞く。

 ギリギリと絞められ、凜は、苦しさで呻き、暴れるが影は外れない。アーチャーが慌てて影を外そうとするが、平たく、薄すぎて、手が、指が隙間に入らない。

「遠坂さん。なんて言ったかしら? 聞こえなかったの。」

「間桐がやってるのか!? やめろ、やめるんだ!」

「あら? どうして? だって、この人…、私の雁夜さんを殺すとか、世迷い言を言ってた気がして…。」

「聞いてんじゃねぇかよ! いいから離してやれよ! このままじゃ窒息死するぞ!?」

「私から…、雁夜さんとツツジさんを奪う奴は、許さない…許さない許さない許さない…。」

 士郎に肩を揺るられながら、桜は、ブツブツと念仏のように許さないと呟く。

「桜ちゃん。ありがとう。」

「…ツツジさん……。」

「でも、凜ちゃんを殺したら…、きっと雁夜は悲しむよ。」

「……。」

「…、ぶはっ!」

「凜!」

 影から解放された凜の体をアーチャーが抱きとめた。凜は、必死に呼吸した。

「不用意なことは言わない方がいいよ。じゃないと、本当に貴女は、妹さんを失うことになるよ?」

「あの人は他人です。」

 ヤレヤレと肩をすくめるツツジに、鉄仮面のような無表情の桜がそう言った。

「ゲホッ…、桜…あなた、私を敵に回すのね?」

「ええ。それが?」

 キッと凜に睨まれても、桜は表情を崩さない。

「そこまで、間桐雁夜に執着するわけ?」

「あの人は、私のモノ。私の伴侶になる人。」

「認めないわよ。そんなこと。」

「他人の貴女に認められる必要はないわ。」

 背後に、ゴゴゴゴ…っという音と共に不穏な黒い空気を背負っているような雰囲気が茶の間にたちこめた。

 あまりの空気の悪さに、士郎はめまいを感じ、セイバーに支えられた。

「あ、バーサーカー!」

 その時、バーサーカーが目を覚ましたのを感じたイリヤが立ち上がった。

 そうすることで場の空気が変わり、イリヤが玄関の方へ走っていった。

「……とにかく、私は認めないわよ。」

「それがどうしました?」

「っ…。」

「落ち着け、凜。」

「あんたは黙ってて。」

 落ち着くよう促すアーチャーの手を凜は振り払った。

「帰りましょう。ツツジさん。」

「そうだね。雁夜が心配してる。じゃあね、衛宮くん。」

「今日はすみませんでした、先輩。」

「あ、はい…。」

「待ちなさい、桜!」

「今日は、一緒のお布団で寝たいな~。」

「じゃあ、三人で久しぶりに川の字になる?」

「うん!」

 桜は、鉄仮面のような無表情を崩し、笑った。

「ちょ…、桜!?」

 聞き捨てならない言葉に凜が、去って行く桜を止めようとするがアーチャーの腕がそれを止めた。

「なんで止めるのよ!」

「君が止めたところで、彼女は聞かないだろう。」

「だからって…。」

「君の気持ちは分かる…。あの歳でいまだに一緒の布団で寝るとか…、ましてやおそらくは風呂も…。」

「あああああああああああ!!」

 凜が頭を抱えて絶叫した。

 その間に、桜はツツジと共に衛宮家から出て行っていった。




凜、桜の逆鱗に触れてしまう。ツツジが止めなかったら、この時点で殺されても不思議じゃないほど怒ってます。
この頃の桜は、ヤンデレ発揮した後、若干の幼児返りを起こすかな?(身内(雁夜とツツジ)に甘える)

凜と桜は、どこまでも平行線。和解できる(というか凜が諦める)のはいつのことやら…?


凜は、ツツジがどういう存在なのかはだいたい把握してますが、バオーが人間が創り出した生物兵器だという詳細とかは知りません。
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