雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編   作:蜜柑ブタ

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前半は、川の字で寝てる雁夜達。


後半は、魔力量の違いからライダーをセイバーだと誤認したキャスター。

そして、ツツジの指示を受けて、ライダーが衛宮宅に急行し……。

※参考にしているのは、Staynightの漫画版です。セイバールートのやつ。


SS9 想定外

 

 

 雁夜は、隣でスヨスヨと安らかに眠る桜を、枕に片肘を突いて眺めていた。

「なあ…。」

『こっちで喋ろう。』

『慣れないなんだよな。これ…。』

 ツツジは、バオーによりできるテレパシーのような通信方法で会話を促した。

 桜の反対側には、ツツジ。つまり雁夜とツツジで桜を真ん中に挟んでいる形で三人がひとつの布団(大きいの)に入っている。

 桜が小さかった頃と違い、さすがに大きい人間三人は、布団が大きくても狭くなってくる。

 雁夜は、それを感じて桜が大きくなったんだぁ…っとしみじみ思う。

 しかし……。

「んん…。」

 ゴソゴソと桜が少し動く。

 すると、ムニュッというか、モニュっというか、柔らかい二つのたわわな膨らみが雁夜の胴体に押しつけられる。

 桜は、現在進行形で、雁夜に抱きついて寝ていた。

 その結果、推定Eカップ(ツツジ調べ)のこの歳にしては育ちすぎなぐらい育った桜の胸が遠慮なく押しつけられることになる。ついでに十代半ば過ぎの若い少女の匂いに混じってシャンプーの良い匂いがするわけで……。

「~~っ。」

 雁夜は、バオーによって鋭くなった感覚、とりわけ嗅覚の発達をこのときほど呪ったことはない。

『私は、気にしないよ?』

『気にしろ! 馬鹿!』

 遠回しに我慢するなと言うツツジに、悪態をついた。

 悶絶したい雁夜のことなどまったく気にもとめておらず、スヨスヨと寝ている桜。これは、自覚あってのことか、無自覚なのか分からない。

『桜ちゃんの甘えん坊は、今に始まったことじゃないじゃん。意識するって事は…。』

『あーあー! 言うな!』

『桜ちゃんも結婚できる年齢になったんだし、そろそろ、大決断……。』

『あーあー! だーまーれー!』

『桜ちゃん、綺麗になったよね~。しかも可愛い。見なよ、この寝顔。』

『わーわー! 分かってるって! 桜ちゃん、可愛い、超可愛い! 嫁に出したくねぇ!!』

『じゃあ、お嫁に貰えば?』

『それとこれとは、話はべつーー!』

「……う~ん…。」

 すると、桜がうなされだした。

 雁夜もツツジも通信を止めて様子を見る。

「ぅう…うぅぅ…、いや…、もういやぁ……、お父様、お母様、姉さん…助けて…助けて……うぅぅ…。」

「桜ちゃん…。」

 おそらく、臓現が生きていた頃にされた魔術の施術の悪夢を見ているのだろう。目尻に涙が浮かび、寝顔を悲痛に歪めている。

「かり…や…さ…。」

「桜ちゃん。俺はここにいるよ。」

「私もいるよ。」

 よしよしっと、うなされてる桜の頭を二人で撫でる。

 優しく撫でていると、やがて桜の顔が安らぎ、うなされていた状態から安眠へと落ち着いた。

 それを見て、二人揃って、安堵の息を吐いた。

『……もう、昔のことでうなされることはないと思ってたんだけど…。』

『そう簡単にトラウマは消せないさ。』

『これから先……、ずっと一緒にいられればいいね。』

『そうだな…。』

『あ? もしかして…、お嫁に貰う気になった?』

『それとこれとは話は別だ!』

『え~?』

 そんなこんなで、夜は更けていく。

 しかし……。

「…ん?」

『どうした?」

『……誰か来てる。ライダーが気づいた。』

『サーヴァント?』

『たぶん。』

『どうする?』

『私が行く。』

 ツツジは、通信でそう言うと、素早く布団から出てふすまを開けて出て行った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ライダーは、元蟲蔵の残骸が残り、なおかつ過去にギルガメッシュにボロボロにされた庭の方面で、塀の上を見つめていた。

「どちら様かしら?」

 警戒を怠らず、その侵入者の様子を見る。

「……ライダーか…。」

 濃い紫色のローブをまとった人物の声は、女の声だった。

 ローブのフードを深く被っており、顔は見えない。

「強い魔力感じて来てみれば、とんだ見当違いをしてしまったわ。」

 酷く残念そうに言うその女の言葉に、ライダーが、不愉快そうにする。

「あら? 私では役不足かしら?」

「やぶ遅くに見張りを邪魔してごめんなさいね。さよなら。」

「まっ…!」

 ライダーが動くより早く、相手は消えた。

「ライダー。」

 そこへツツジが走ってきた。

「ツツジ。どうやら敵の先兵のようです。」

「うん。でも、目的はライダーじゃなかったみたいだね。」

「おそらくですが、サーヴァントかと…。」

「……ねえ、ライダー。お願いを聞いてくれる?」

「なんでしょう?」

「……衛宮くんの家に行ってくれる?」

「なぜ?」

「嫌な予感がする。桜ちゃんにはあとで言っておくから、最善を尽くしてくれないかな?」

「……本来ならマスターではない方の命令は聞かないのですが…、いいでしょう。」

「ありがとう。もちろん、何かあったらこっちも最善は尽くす。あなたは、大切な仲間だもの。」

「そう言っていただけて、感謝しますわ。」

 ライダーは、そう言って微笑み、霊体化して、衛宮家へ急いだ。

「さてと……。嫌な予感が当らなきゃいいけど…。」

 ツツジは、ふうっと息を吐いて、踵を返し、雁夜と桜が寝ている部屋に戻った。

 部屋に戻り、雁夜に報告している間に、桜が急に飛び起きることになる。

 

 そして、桜の右手の令呪が消えていた……。

 

 桜が、ライダーが…っと泣きそうな声で言うので、急いで着替えて衛宮家に向かってみると、そこでは、サーヴァント・キャスターの襲撃を受けたばかりで、ライダーがセイバーを庇ってルールブレイカーなる武器で契約を破棄され、キャスターの支配下に置かれてしまった後であった。

「チッ…! 想定外だけど、仕方ないわね。ライダー、令呪をもって命じる、セイバーの相手をしなさい。」

「くっ!」

 無理矢理に令呪の強制力を受け、ライダーが二本の短剣を抜いた。

「ライダー!」

「逃げなさい! この女の狙いはセイバーよ! セイバーを奪わせないで!」

 ライダーが強制力に抵抗しながら叫んだ。

「ほう? 令呪に抵抗するとは…。ライダークラスと侮っていたけど、中々やるようね。気が変わったわ…。」

「この…!」

 ライダーが後ろ回り蹴りをキャスターに食らわそうとした。

 途端、キャスターは、桜の右手からキャスターの左手に移っている令呪を使い、ライダーを屈服させた。

 その場に倒れ込むライダーを、キャスターが杖で背中を突いた。

 更にキャスターの傍らに倒れている、藤村大河の腕を掴み上げた。

「この二人を助けたければ、大人しくなさい。すぐ終わるわ。」

「貴様…!」

 人質を取るキャスターに、セイバーが剣を握りしめて憤慨する。

「従ってはいけない! ぐっ…!?」

「あなたは、いい加減大人しくなさい。」

「ライダー…。」

「桜…、申し訳ありません。」

「私のせいだよ!」

「いいえ、…あなたの予感は当ってました。ツツジ…。セイバーを敵に奪われるよりはマシ…、っ!」

「たいした精神力ね。…そういえば、そちらの殿方。」

「…俺か?」

 キャスターが雁夜を示した。

「面白いモノを宿しているようね。そうね…。じゃあ、こうしましょう。バーサーカーを痛めつけたその力を見込んでお願いするわ。この二人を解放してあげても良いけど、その代わり…、私の配下になってくれる?」

「なに?」

「雁夜さん!」

 キャスターの言葉に雁夜は眉をつり上げ、桜は悲鳴じみた声を上げた。

「私に服従なさい。そしたら助けてあげるわ。」

「ダメ! ダメよ、ダメダメ!」

「桜ちゃん…。」

 だだをこねるように首を振る桜に、雁夜は困ったように言った。

「私のことは…気にしないでください…。キャスター……、令呪を奪ったくらいで…私を屈服させたとは思わないことですね…!」

「な…。」

 次の瞬間、ライダーは、手にしていた短剣で自らの首を切り、血を噴出させ、血による巨大な魔方陣を描いた。

「ちぃ! おまえぇ!!」

 次の瞬間、ライダーに手をかざしたキャスター。するとライダーの体がその場から消えた。そして魔方陣も消えた。

「ライダー!? てめぇ、ライダーをどこへ!?」

「予定が狂ったわ…。でも人質は…。」

 

「させないわよ!」

 

 次の瞬間、凜の叫び声が聞こえ、壁が粉砕され、ガンドによる魔力の弾丸がキャスターの頭に当った。

「がっ…!?」

 壁が粉砕されたことによる粉塵が舞う。

 キャスターがその場に崩れ落ちると同時に手放した大河を、アーチャーが奪い返した。

「逃げるわよ!」

「遠坂!? けど、ライダーが!」

「諦めなさい! セイバーを奪われるよりマシよ!」

「遠坂…!」

「に…、逃がすもの…か!」

 凜の言葉にカッとなった士郎だが、直後、粉塵を払うほどのキャスターの魔力が発生し、それどころじゃなくなった。

「ストライク・エア!」

 放たれたキャスターの魔法と、セイバーが放った風の一撃がぶつかり、部屋がメチャクチャになった。

「この程度で…。っ!?」

 弾け飛んだ畳を貫通する一撃がキャスターの左肩を抉った。

「ぐっ…!」

 キャスターが左肩を押さえてその場にへたり込む。穴が空いた畳が落ちた時、キャスターが見たのは、弓を構えたアーチャーだった。

 キャスターが動けないでいるその隙に、キャスター以外の全員が逃げた。

 キャスターは、素早く霊体化して、家を飛び出し、上空で実体化してローブを翼のように広げて周りを見回した。

「……逃げたか…。まったく、予定が狂ったわ。」

 忌々しそうに呟き、上空でフッと消えたのだった。




どうしてキャスターがライダーをセイバーと誤認したのか……。
それは、桜が悪夢にうなされていたことで虚数属性魔術により夜の闇が影に影響されて、その場の魔力がおかしくなっていたことや、ライダーが保有し供給されている魔力量がセイバーより高かったためということにしています。
少し前から、セイバーを奪われないようにするにはどうするか?っと考えて、考えた末に、ライダーがセイバーを庇って代わりにルールブレイカーで刺されてライダー自身と桜の令呪を奪われてしまったという展開にしました。
ライダーが放とうとした一撃は、あの目玉みたいな魔力の塊を放つデカい一撃です。それを防ぐことは大魔法のような魔法を行使するキャスターなら可能だけど、それ相応の魔力溜めるために時間がいるのでやむを得ずライダーを自分のねぐらに飛ばしました。

あれ? なんかライダーがヒロインしてる?
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